146 / 359
第十三章 呪われた大地の調査
ギウは認める
しおりを挟む
――フィナによる遺跡探索のための説明
まず、入り口の結界だけど、それはもう破り方を考えた。
ほとんど以前話したことと変わらないけどね。
それらは遺跡の前で話す。
今から話すのは結界を破り、遺跡内部に入った後の話。
侵入後すぐに、空間の力が宿る結界で私たちを包み込む。
この結界は通常の結界よりも外部の影響を受けにくく、周囲の環境に結界の形を合わせやすい。
結界内部には酸素を産み出す風精石を配置して、酸素の供給を確保。
結界外部では光の魔法を使用して放射線を弾き飛ばす。
これで結界から外に出ない限り、放射線による被曝を恐れる必要がない。
「あとは……私のナルフなんか目じゃない、強化されたナルフを使って、放射線の線量を測定する」
「私の?」
「ごめん、今のは気にしないで。とにかく、光魔法と空間の結界で対処できないレベルに達したら、そのナルフから警告が出るようにしてる」
「放射線についてかなり詳しくなったようだな」
「あんたから教えてもらった知識と強化されたナルフを使い実際に調べてね。今ではアルファ線から中性子線までどんと来いよ……ま、原子だの分子だの、私たち実践派の知らない知識や観点をひけらかされたのはムカついたけどっ」
フィナは苦虫を嚙み潰し、それを舌先でねっとりと味わい、吐き気を催したような皺塗れの表情で私を睨みつける。
正直この話を行ったとき、フィナが原子について知らないことに私は驚いた。
それは理論派と実践派が別れる前に、これらの情報を共有していたはずだからだ。
だが、フィナと会話を重なることで知らない理由に合点がいった。
彼女は原子のことをレスターの素として表していた。
紫外線という用語もそうだが、実践派は二百年以上前に袂を分かって以降、物理学の用語や知識の一部を魔導の用語や価値観に置き換えたり、従来の魔導の性質のみを把握するだけに留めて、それらの謎を追うことなく当然として扱っていたようだ。
そのため、原子の構造自体は把握できていないが存在自体は理解しているという、不思議な知識を得ている。
もっともこれらについては、理論派が実践派の状況を知らないというよりも、私が実践派の存在に興味がなく知らなかった要因が大きい。
私はドハ研究所で周りを見ることなく、一つの研究に没頭していたから……。
ともかく、彼らは理論派と違う道を歩むために全てを魔導の色に塗り替えたのだろう。
結果、共有していたはずの知識の一部の名前が変わり、断片的になり、時に埋没してしまったと見られる。
だが、不思議なことに、素粒子物理学の一部分ではあるが妙に詳しいところがあった。
もちろん、目線は科学ではなく魔導的観点からだが。
これは彼らの光魔法の研究の成果だと思われる。
とはいえ、原子構造に詳しくないのに物質を構成する最小単位はわかるとは……訳がわからない。
彼らは魔導を主軸にどう知識を消化しているのだろうか?
これとは別に理論派が使う用語・重力子という単語を知っているところから、どこからか情報が洩れて実践派に渡っている可能性もあるが。
密偵?――これをヴァンナスに報告した方がいいのか悩むところだ。
いや、下手なことをしてこちらの動きを勘づかれる方が問題か。
そもそも、理論派と実践派の関係にあまり詳しくない私が不用意に口を挟む問題でもないか……。
と、些末なことに頭を悩ませる私を、フィナはいまだ睨みつけている。
知らぬ知識と観点に悔しさを覚えているようだが、彼女は私の拙い知識と説明からでも理論派が持つ知識を十二分に理解し、あっさり吸収していった。
「そう睨むな。私こそ、君を睨みたいんだぞ。私は教科書を読んだから知っている程度。それなのに……凡才の私とは比べ物にならないくらいの才能を目の当たりにして年甲斐もなく嫉妬覚えたものだ」
「え、そうなる? ふふ~ん、ま、私は世界一の錬金術師だからねっ」
フィナの声色が明るくなり、歪んでいた口元が緩む。
「ふふ、才はあるが、君は単純だな」
「こんのやろっ。喧嘩なら買うぞ」
「前も言ったが売り切れ中だ。話を戻すが、大勢の人間を放射線から守る方法を考え出すとは実に頼もしい。さすがはテイローの名を継ぐ者」
「評価してくれるのはありがたいけど、実際のところはやってみないとちゃんと防げるかわかんないよ」
「うむ、恐怖は以前なくならずか。と、かなりの危険があるわけだが、再度聞く。皆は探索に参加するのか?」
この問いかけに、マスティフ・マフィン・エクア・親父はこくりと頷いた。
私はマスティフとマフィンに話しかける。
「しつこいようだが、お二人とも長という立場。よろしいのか?」
「長であるこそ、最も危険な場所を見ておかねばな」
「それにニャ、このことはヴァンナスには秘密の調査ニャ。にゃったら、探索を行うことを知っている者は代表とその身近な者で留めるべきニャ」
「わかった。もう、このことは尋ねまい。二人ともありがとう」
「がははは、なに、こちらも気になっていましたからな。祖先から近づくなと言われ、ずっと遠ざけていた場所」
「そこに何が眠るニャか? 情報を第一とする商売人としてはいち早く知っておきたいニャ」
二人の言葉はとても頼もしい。だが、一応マフィンにだけは釘を刺しておく。
「マフィン、遺跡の情報は共有するが、どれを表に出すかはこちらに判断させてもらうぞ」
「にゃ~、しみったれニャね~。ま、一枚かませてもらっただけで今は退いてやるニャ」
「そうしてくれ。では、準備、ん?」
「ギウ」
不意にギウが一歩前に出る。
そして、フィナに何かを訴え始めた。
「ギウギウギウギウ」
「え? 遺跡内で使う結界とナルフを見たいの? いいけど……」
フィナは空間の力が宿る小さな結界を生み、風精石を見せて、今まで見たことない人頭ほどの大きさの正十二面体の真っ赤なナルフを浮かばせた。
以前、遺跡前で彼女はナルフを強化するというようなことを言っていた。
そして、先ほども強化されたナルフという言葉が出ていたから、赤のナルフは強化されたものだろう。
それらをギウはじっくりと観察している。
「ぎう~」
「なんか気になることでもあんの?」
ギウはフィナの問いかけに答えず、結界・風精石・ナルフを見つめ、人差し指を動かし始めた。
その様子は何かの計算をしているようにも見える。
「ぎうう~、ギウ、ギウギウ。ギウッ」
「な、なによ。どうしたの?」
「ギウッ」
ギウは納得したような素振りを見せて、尾っぽをぱたりと振った。
いつもなら、彼が何をしているのか何を訴えているのかわかるが、今回ばかりはさっぱりだ。
フィナがギウにもう一度尋ねている。
「なんなの、結局?」
「ギウギウギウ」
「え? さすがだって。ま、まぁね……褒められた。なんなの?」
と、私に視線を振る。
私は……。
「さぁ? 少なくとも、君の才に敬意を払ったんじゃないかな?」
まず、入り口の結界だけど、それはもう破り方を考えた。
ほとんど以前話したことと変わらないけどね。
それらは遺跡の前で話す。
今から話すのは結界を破り、遺跡内部に入った後の話。
侵入後すぐに、空間の力が宿る結界で私たちを包み込む。
この結界は通常の結界よりも外部の影響を受けにくく、周囲の環境に結界の形を合わせやすい。
結界内部には酸素を産み出す風精石を配置して、酸素の供給を確保。
結界外部では光の魔法を使用して放射線を弾き飛ばす。
これで結界から外に出ない限り、放射線による被曝を恐れる必要がない。
「あとは……私のナルフなんか目じゃない、強化されたナルフを使って、放射線の線量を測定する」
「私の?」
「ごめん、今のは気にしないで。とにかく、光魔法と空間の結界で対処できないレベルに達したら、そのナルフから警告が出るようにしてる」
「放射線についてかなり詳しくなったようだな」
「あんたから教えてもらった知識と強化されたナルフを使い実際に調べてね。今ではアルファ線から中性子線までどんと来いよ……ま、原子だの分子だの、私たち実践派の知らない知識や観点をひけらかされたのはムカついたけどっ」
フィナは苦虫を嚙み潰し、それを舌先でねっとりと味わい、吐き気を催したような皺塗れの表情で私を睨みつける。
正直この話を行ったとき、フィナが原子について知らないことに私は驚いた。
それは理論派と実践派が別れる前に、これらの情報を共有していたはずだからだ。
だが、フィナと会話を重なることで知らない理由に合点がいった。
彼女は原子のことをレスターの素として表していた。
紫外線という用語もそうだが、実践派は二百年以上前に袂を分かって以降、物理学の用語や知識の一部を魔導の用語や価値観に置き換えたり、従来の魔導の性質のみを把握するだけに留めて、それらの謎を追うことなく当然として扱っていたようだ。
そのため、原子の構造自体は把握できていないが存在自体は理解しているという、不思議な知識を得ている。
もっともこれらについては、理論派が実践派の状況を知らないというよりも、私が実践派の存在に興味がなく知らなかった要因が大きい。
私はドハ研究所で周りを見ることなく、一つの研究に没頭していたから……。
ともかく、彼らは理論派と違う道を歩むために全てを魔導の色に塗り替えたのだろう。
結果、共有していたはずの知識の一部の名前が変わり、断片的になり、時に埋没してしまったと見られる。
だが、不思議なことに、素粒子物理学の一部分ではあるが妙に詳しいところがあった。
もちろん、目線は科学ではなく魔導的観点からだが。
これは彼らの光魔法の研究の成果だと思われる。
とはいえ、原子構造に詳しくないのに物質を構成する最小単位はわかるとは……訳がわからない。
彼らは魔導を主軸にどう知識を消化しているのだろうか?
これとは別に理論派が使う用語・重力子という単語を知っているところから、どこからか情報が洩れて実践派に渡っている可能性もあるが。
密偵?――これをヴァンナスに報告した方がいいのか悩むところだ。
いや、下手なことをしてこちらの動きを勘づかれる方が問題か。
そもそも、理論派と実践派の関係にあまり詳しくない私が不用意に口を挟む問題でもないか……。
と、些末なことに頭を悩ませる私を、フィナはいまだ睨みつけている。
知らぬ知識と観点に悔しさを覚えているようだが、彼女は私の拙い知識と説明からでも理論派が持つ知識を十二分に理解し、あっさり吸収していった。
「そう睨むな。私こそ、君を睨みたいんだぞ。私は教科書を読んだから知っている程度。それなのに……凡才の私とは比べ物にならないくらいの才能を目の当たりにして年甲斐もなく嫉妬覚えたものだ」
「え、そうなる? ふふ~ん、ま、私は世界一の錬金術師だからねっ」
フィナの声色が明るくなり、歪んでいた口元が緩む。
「ふふ、才はあるが、君は単純だな」
「こんのやろっ。喧嘩なら買うぞ」
「前も言ったが売り切れ中だ。話を戻すが、大勢の人間を放射線から守る方法を考え出すとは実に頼もしい。さすがはテイローの名を継ぐ者」
「評価してくれるのはありがたいけど、実際のところはやってみないとちゃんと防げるかわかんないよ」
「うむ、恐怖は以前なくならずか。と、かなりの危険があるわけだが、再度聞く。皆は探索に参加するのか?」
この問いかけに、マスティフ・マフィン・エクア・親父はこくりと頷いた。
私はマスティフとマフィンに話しかける。
「しつこいようだが、お二人とも長という立場。よろしいのか?」
「長であるこそ、最も危険な場所を見ておかねばな」
「それにニャ、このことはヴァンナスには秘密の調査ニャ。にゃったら、探索を行うことを知っている者は代表とその身近な者で留めるべきニャ」
「わかった。もう、このことは尋ねまい。二人ともありがとう」
「がははは、なに、こちらも気になっていましたからな。祖先から近づくなと言われ、ずっと遠ざけていた場所」
「そこに何が眠るニャか? 情報を第一とする商売人としてはいち早く知っておきたいニャ」
二人の言葉はとても頼もしい。だが、一応マフィンにだけは釘を刺しておく。
「マフィン、遺跡の情報は共有するが、どれを表に出すかはこちらに判断させてもらうぞ」
「にゃ~、しみったれニャね~。ま、一枚かませてもらっただけで今は退いてやるニャ」
「そうしてくれ。では、準備、ん?」
「ギウ」
不意にギウが一歩前に出る。
そして、フィナに何かを訴え始めた。
「ギウギウギウギウ」
「え? 遺跡内で使う結界とナルフを見たいの? いいけど……」
フィナは空間の力が宿る小さな結界を生み、風精石を見せて、今まで見たことない人頭ほどの大きさの正十二面体の真っ赤なナルフを浮かばせた。
以前、遺跡前で彼女はナルフを強化するというようなことを言っていた。
そして、先ほども強化されたナルフという言葉が出ていたから、赤のナルフは強化されたものだろう。
それらをギウはじっくりと観察している。
「ぎう~」
「なんか気になることでもあんの?」
ギウはフィナの問いかけに答えず、結界・風精石・ナルフを見つめ、人差し指を動かし始めた。
その様子は何かの計算をしているようにも見える。
「ぎうう~、ギウ、ギウギウ。ギウッ」
「な、なによ。どうしたの?」
「ギウッ」
ギウは納得したような素振りを見せて、尾っぽをぱたりと振った。
いつもなら、彼が何をしているのか何を訴えているのかわかるが、今回ばかりはさっぱりだ。
フィナがギウにもう一度尋ねている。
「なんなの、結局?」
「ギウギウギウ」
「え? さすがだって。ま、まぁね……褒められた。なんなの?」
と、私に視線を振る。
私は……。
「さぁ? 少なくとも、君の才に敬意を払ったんじゃないかな?」
0
あなたにおすすめの小説
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる