150 / 359
第十四章 兵(つわもの)どもが夢の跡
球体を奉じる部屋
しおりを挟む
私たちはフィナのナルフに導かれ、黒の球体の最頂点までやってきた。
そこには表面の一部をスライドしてできた長方形の穴があった。
穴の中には階段。
フィナは階段に赤いナルフを近づける。
「放射線量が跳ね上がった。よくもまぁ、ランゲンもヴァンナスも生身で調査したもんよ」
「ここから過去の調査隊は遺跡内部へ?」
「うん。ほら見て、スライドされた場所に傷が残ってる」
促されて、その場所を見た。スライドされた球体表面には無数の傷跡が残っている。
「たぶん、バールのようなものでこじ開けたんだと思う」
「なるほど。入口はこの階段だけなのか?」
「う~ん、下の方を調査してみないとわからないけど、この施設全体から空間に干渉した跡が残ってんのよねぇ」
「つまり?」
「この入口は非常用か何かで、普段は転送魔法……技術かな? 転送技術を使い外と中を行き来していたみたい」
「そうだとしたら、何のためにわざわざ熱線を放ってまで地上へ続く洞窟を作ったんだ?」
「転送だけの行き来だと不安だからじゃないの? こんな風に非常用の階段があるわけだし。地上へ続く非常用の出入口も作っておきたかったんだと思う」
「ふむ、かもな……この施設が地下に埋まっている理由はわかるか?」
「それはさすがにわからない。何もかも内部を見てからかな」
「内部か……こちらの結界の様子は?」
「十分に持つ。行きましょっ。ただし、何度も言うけど周りのものには触れないでね」
フィナの注意を身に染み込ませ、私たちは限られた結界内で身を寄せ合い、ゆっくりと長い階段を降りていく。
先に続くのは闇。
ナルフが生み出す光源を頼りに歩いていく。
その途中、私は皆に聞かれぬようにこそりとフィナに話しかける。
「君はレスターの力をなんと考える。理論派ではスカルペルに住む生命体にはレスターを活用できる因子があり、レスターを取り込むことで因子が活性化して、強固な肉体や力を得たり魔法を操れるとしている」
「でも、それだとレスターが何なのかわからない」
「その通りだ。そこで仮説だが理論派はレスターの正体を――」
「何らかの放射線と結論付けた?」
「っ? よくわかったな」
「あんたから放射線の話を聞いてる最中にそのことを思いついたの。もしかしたら、レスターの正体は未知の放射線で、私たちには耐性があり、さらには活用しているんじゃないかって」
「理論派と実践派が同じ結論に至ったわけだ」
「そうね。全て憶測で証拠なんてないけど……憶測ついでに、この力の発生源はスカルペルから遠く離れた場所あるんだと思う。それは常に、とあるエネルギーを送り続ける存在。その存在の名は――」
「揺らぎの太陽ヨミ。明確な証拠はないが、理論派ではそう唱えられている。君もそう考えたのか?」
「うん。あそこから発生する重力波。その中にレスターが大量に混じっている。だけど、そのままでは力が強すぎる。そこで強力な力を緩和しているのが、光の太陽テラス。もし、私たちの仮説が正しいなら……これはまるで……」
そこでフィナは言葉を飲み込んだ。
続くはずだった言葉――これはまるで、実験……。
スカルペルという箱庭にヨミを配置してレスターの恩恵を与え、制御のために光の太陽テラスを配置。
そして、私たちの様子を何者かが観察しているのではないか?
その何者かとは……宗教に則するならば、サノアという存在だろう。
私の思考はそこに落ち着く。
ところがフィナはそこで終わらず、飲み込んだ言葉の代わりに全く異なる新たな説を唱える。
「もしくは……なんらかモノから守るため。いえ、隠すため?」
「急に随分奇妙なことを言うな。何故、そう思う?」
「先日、砂浜で赤のナルフの試運転をしてたでしょ。その時なんだけど、揺らぎの太陽ヨミから結界みたいな力を感じたのよ。あまりにも微小な力で、はっきりそうだとは断言できないから話さなかったんだけど」
「結界? 仮にヨミが結界だとして、スカルペルを何から守り、もしくは何から隠しているんだ?」
「わからない……あるいは全ての説が正しい?」
「ん?」
「サノアという観察者が仮に存在したとして、彼はスカルペルを守るためにヨミを作った。同時に、ヨミの力を利用して私たちの活動を見ている」
「ふむ……突拍子もない説だな」
「そうね。古代遺跡を前にして興奮で思考がぶっ飛んでるのかも」
彼女は小さく息を吐き、冷静さを取り戻して、今は遺跡の謎を追おうと言葉を漏らす。
「わかんないことを論じても仕方がない。それにサノアに疑いをかける推論。みんながいる状況で話すような話じゃないし。先に進みましょうか」
話を閉じて、階段を降り切り、とても長い廊下に辿り着いた。
横幅は4mで高さは3mほど。廊下にしては広い。
内部の気温は熱くもなく寒くもない。まぁ、結界のおかげで正確な温度を感じていないためかもしれないが……ただ、正常な空気が生み出される結界内部でありながらも、胸を押さえつけられるような圧迫感が遺跡の空気にはあった。
そこを慎重に歩いていく……その途中で遺体を発見した。
「これはっ?」
「服装から見て、ヴァンナスの調査隊ね。ここまで調査したけど、途中で放射線障害で……それも……」
フィナはナルフの光度を高めて、遠い先まで見通した。
先に続く廊下にはぽつりぽつりと遺体が転がっている。
その中にはヴァンナスの服装とは違うものも混じっていた。おそらく、ランゲンの調査隊の者だろう。
横たわる遺体はミイラ化及び部分的に白骨化。崩れかけの体を持つ彼らは何も語らない。
私は彼らの死を悼みつつ、フィナに問いかける。
「彼らは置いて行かれたのか、それとも逃げる途中で……ちゃんと弔ってやりたいが、今はまだ無理だな。現在の線量は?」
「結界がなかったら、数日で死に至るレベル。知らなかったとはいえ、ランゲンもヴァンナスも無茶しすぎ」
「これが遺跡の呪い……ランゲンとヴァンナス以外の遺体は?」
「それは古代人のってことね……ないっぽい」
「そうか、まだ先へ進めるのか?」
「うん、まだね」
「よし、慎重に行こう」
先へ進む――途中、こじ開けられた部屋がいくつかあったが、内部には機械や道具類などは見当たらない。
ただ、部屋の中心に、直径30cmほどの灰色の球体が乗った台座が置かれているだけだ。
今は球体の調査を後回しにして先を進む。
しばらく進むと、下の階へと続く階段を見つけた。
階段へ降りていく。
黒の球体の屋上より下二階の廊下――ランゲンとヴァンナスの調査隊の遺体の数が減っている。ここまで訪れた者が少ないからだろうか?
ここで、深紅のナルフが注意を促す黄色の点滅を纏った。
「最悪の線量ね。もう、結界では防げない。光の魔法で押し寄せる放射線を逸らすだけになった。マフィンさん、大丈夫?」
「さすがに疲れてきたニャ。脱出の分を考えると、もうちょいぐらいしかもたにゃいニャ」
「わかった。あと少し調査したら、いったん戻りましょう」
フィナの肌に汗が張り付いている。常に光の魔法を生み出し続けていることがかなり堪えているようだ。
この階でも、こじ開けられた部屋を見つけた。
だが、同じく部屋の中心に球体が乗っている台座があるだけで、他に何もない。
まだ開けられていない部屋を発見――フィナがポシェットから二本のバールを取り出す。相変わらず長さ無視のポシェットの存在は不思議だ。
取り出したバールを親父とマスティフに渡す。
親父とマスティフはバールを結界から外へ出した。
もちろん、結界に隙間が生まれないように、フィナがナルフを調整している。
尖った先端を扉の隅にあてがい、てこの原理で扉に隙間を作る。
その隙間から漏れ出た空気をフィナは調査……問題ないと判断し、バールの先端を隙間に差し入れたあと、親父とマスティフが同時に力を込めて横に動かす。
すると、扉は横の壁に滑り込んでいった。
フィナは部屋の中に深紅のナルフを飛ばす。
天井でナルフは止まって光を降り注ぐが、あるのはまたもや球体が乗る台座のみ……。
「もう~、何よっ。何もないじゃないっ!」
「どの部屋も台座の上に球体。どんな意味があるんだろうな?」
「さぁね。台座の上に球体がない部屋もあるけど、それはヴァンナスかランゲンの調査隊が持って帰ったんでしょうね。さて、どうしようか? マフィンさん、まだいける?」
「あとちょっとだけにゃらニャ」
「じゃ、あと一つ下の階を覗いて、一度戻るとしましょう」
そこには表面の一部をスライドしてできた長方形の穴があった。
穴の中には階段。
フィナは階段に赤いナルフを近づける。
「放射線量が跳ね上がった。よくもまぁ、ランゲンもヴァンナスも生身で調査したもんよ」
「ここから過去の調査隊は遺跡内部へ?」
「うん。ほら見て、スライドされた場所に傷が残ってる」
促されて、その場所を見た。スライドされた球体表面には無数の傷跡が残っている。
「たぶん、バールのようなものでこじ開けたんだと思う」
「なるほど。入口はこの階段だけなのか?」
「う~ん、下の方を調査してみないとわからないけど、この施設全体から空間に干渉した跡が残ってんのよねぇ」
「つまり?」
「この入口は非常用か何かで、普段は転送魔法……技術かな? 転送技術を使い外と中を行き来していたみたい」
「そうだとしたら、何のためにわざわざ熱線を放ってまで地上へ続く洞窟を作ったんだ?」
「転送だけの行き来だと不安だからじゃないの? こんな風に非常用の階段があるわけだし。地上へ続く非常用の出入口も作っておきたかったんだと思う」
「ふむ、かもな……この施設が地下に埋まっている理由はわかるか?」
「それはさすがにわからない。何もかも内部を見てからかな」
「内部か……こちらの結界の様子は?」
「十分に持つ。行きましょっ。ただし、何度も言うけど周りのものには触れないでね」
フィナの注意を身に染み込ませ、私たちは限られた結界内で身を寄せ合い、ゆっくりと長い階段を降りていく。
先に続くのは闇。
ナルフが生み出す光源を頼りに歩いていく。
その途中、私は皆に聞かれぬようにこそりとフィナに話しかける。
「君はレスターの力をなんと考える。理論派ではスカルペルに住む生命体にはレスターを活用できる因子があり、レスターを取り込むことで因子が活性化して、強固な肉体や力を得たり魔法を操れるとしている」
「でも、それだとレスターが何なのかわからない」
「その通りだ。そこで仮説だが理論派はレスターの正体を――」
「何らかの放射線と結論付けた?」
「っ? よくわかったな」
「あんたから放射線の話を聞いてる最中にそのことを思いついたの。もしかしたら、レスターの正体は未知の放射線で、私たちには耐性があり、さらには活用しているんじゃないかって」
「理論派と実践派が同じ結論に至ったわけだ」
「そうね。全て憶測で証拠なんてないけど……憶測ついでに、この力の発生源はスカルペルから遠く離れた場所あるんだと思う。それは常に、とあるエネルギーを送り続ける存在。その存在の名は――」
「揺らぎの太陽ヨミ。明確な証拠はないが、理論派ではそう唱えられている。君もそう考えたのか?」
「うん。あそこから発生する重力波。その中にレスターが大量に混じっている。だけど、そのままでは力が強すぎる。そこで強力な力を緩和しているのが、光の太陽テラス。もし、私たちの仮説が正しいなら……これはまるで……」
そこでフィナは言葉を飲み込んだ。
続くはずだった言葉――これはまるで、実験……。
スカルペルという箱庭にヨミを配置してレスターの恩恵を与え、制御のために光の太陽テラスを配置。
そして、私たちの様子を何者かが観察しているのではないか?
その何者かとは……宗教に則するならば、サノアという存在だろう。
私の思考はそこに落ち着く。
ところがフィナはそこで終わらず、飲み込んだ言葉の代わりに全く異なる新たな説を唱える。
「もしくは……なんらかモノから守るため。いえ、隠すため?」
「急に随分奇妙なことを言うな。何故、そう思う?」
「先日、砂浜で赤のナルフの試運転をしてたでしょ。その時なんだけど、揺らぎの太陽ヨミから結界みたいな力を感じたのよ。あまりにも微小な力で、はっきりそうだとは断言できないから話さなかったんだけど」
「結界? 仮にヨミが結界だとして、スカルペルを何から守り、もしくは何から隠しているんだ?」
「わからない……あるいは全ての説が正しい?」
「ん?」
「サノアという観察者が仮に存在したとして、彼はスカルペルを守るためにヨミを作った。同時に、ヨミの力を利用して私たちの活動を見ている」
「ふむ……突拍子もない説だな」
「そうね。古代遺跡を前にして興奮で思考がぶっ飛んでるのかも」
彼女は小さく息を吐き、冷静さを取り戻して、今は遺跡の謎を追おうと言葉を漏らす。
「わかんないことを論じても仕方がない。それにサノアに疑いをかける推論。みんながいる状況で話すような話じゃないし。先に進みましょうか」
話を閉じて、階段を降り切り、とても長い廊下に辿り着いた。
横幅は4mで高さは3mほど。廊下にしては広い。
内部の気温は熱くもなく寒くもない。まぁ、結界のおかげで正確な温度を感じていないためかもしれないが……ただ、正常な空気が生み出される結界内部でありながらも、胸を押さえつけられるような圧迫感が遺跡の空気にはあった。
そこを慎重に歩いていく……その途中で遺体を発見した。
「これはっ?」
「服装から見て、ヴァンナスの調査隊ね。ここまで調査したけど、途中で放射線障害で……それも……」
フィナはナルフの光度を高めて、遠い先まで見通した。
先に続く廊下にはぽつりぽつりと遺体が転がっている。
その中にはヴァンナスの服装とは違うものも混じっていた。おそらく、ランゲンの調査隊の者だろう。
横たわる遺体はミイラ化及び部分的に白骨化。崩れかけの体を持つ彼らは何も語らない。
私は彼らの死を悼みつつ、フィナに問いかける。
「彼らは置いて行かれたのか、それとも逃げる途中で……ちゃんと弔ってやりたいが、今はまだ無理だな。現在の線量は?」
「結界がなかったら、数日で死に至るレベル。知らなかったとはいえ、ランゲンもヴァンナスも無茶しすぎ」
「これが遺跡の呪い……ランゲンとヴァンナス以外の遺体は?」
「それは古代人のってことね……ないっぽい」
「そうか、まだ先へ進めるのか?」
「うん、まだね」
「よし、慎重に行こう」
先へ進む――途中、こじ開けられた部屋がいくつかあったが、内部には機械や道具類などは見当たらない。
ただ、部屋の中心に、直径30cmほどの灰色の球体が乗った台座が置かれているだけだ。
今は球体の調査を後回しにして先を進む。
しばらく進むと、下の階へと続く階段を見つけた。
階段へ降りていく。
黒の球体の屋上より下二階の廊下――ランゲンとヴァンナスの調査隊の遺体の数が減っている。ここまで訪れた者が少ないからだろうか?
ここで、深紅のナルフが注意を促す黄色の点滅を纏った。
「最悪の線量ね。もう、結界では防げない。光の魔法で押し寄せる放射線を逸らすだけになった。マフィンさん、大丈夫?」
「さすがに疲れてきたニャ。脱出の分を考えると、もうちょいぐらいしかもたにゃいニャ」
「わかった。あと少し調査したら、いったん戻りましょう」
フィナの肌に汗が張り付いている。常に光の魔法を生み出し続けていることがかなり堪えているようだ。
この階でも、こじ開けられた部屋を見つけた。
だが、同じく部屋の中心に球体が乗っている台座があるだけで、他に何もない。
まだ開けられていない部屋を発見――フィナがポシェットから二本のバールを取り出す。相変わらず長さ無視のポシェットの存在は不思議だ。
取り出したバールを親父とマスティフに渡す。
親父とマスティフはバールを結界から外へ出した。
もちろん、結界に隙間が生まれないように、フィナがナルフを調整している。
尖った先端を扉の隅にあてがい、てこの原理で扉に隙間を作る。
その隙間から漏れ出た空気をフィナは調査……問題ないと判断し、バールの先端を隙間に差し入れたあと、親父とマスティフが同時に力を込めて横に動かす。
すると、扉は横の壁に滑り込んでいった。
フィナは部屋の中に深紅のナルフを飛ばす。
天井でナルフは止まって光を降り注ぐが、あるのはまたもや球体が乗る台座のみ……。
「もう~、何よっ。何もないじゃないっ!」
「どの部屋も台座の上に球体。どんな意味があるんだろうな?」
「さぁね。台座の上に球体がない部屋もあるけど、それはヴァンナスかランゲンの調査隊が持って帰ったんでしょうね。さて、どうしようか? マフィンさん、まだいける?」
「あとちょっとだけにゃらニャ」
「じゃ、あと一つ下の階を覗いて、一度戻るとしましょう」
0
あなたにおすすめの小説
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる