216 / 359
第十九章 暗闘
役者は揃う
しおりを挟む
『美しい』――レイのこの一言に失礼ながらも、一同、でっかいビックリマークを自分の頭の上に跳ね飛ばした。
レイは私たちの態度に気づくことなく、ギウをオニキスの瞳に焼きつけていく。
「柔軟で力強く無駄のない筋肉。強さを内に秘める滑らかな皮膚。瞳に宿るたしかな自信。底知れぬ力。アイリから話は聞いていたけど、これほどの実力者がいるなんて……私はレイ=タイラー。改めて、あなたの名を伺いたい」
「ギウ」
「ギウさん。一つ手合わせを願いたいところですが、残念ながら役目があります。それに、一度手合わせをすれば、お互い無事では済みませんから」
「ギウッ」
ギウは握手を求め、レイに手を伸ばす。
レイはその手に応え、二人は力強い握手を交わした。
そして、互いに無言で見つめ合う……なにやら、強者を認め合う雰囲気が漂っているが、このまま放置するわけにもいくまい。
「二人とも、私たちを置いてけぼりにしないでくれ」
「あ、ああ、ごめん、兄さん」
「ぎうぎう」
「よくわからないが、二人とも実力が伯仲しているということか? アイリがギウのことをレイ並の強さを誇っていると言っていたが、誇張でもなんでもなく、そうであったか」
「ギウさんの実力は勇者としても遜色ない。私たちの中であっても一・二を争うものだよ」
レイは強さに関してお世辞を言う男ではない。
その彼がそう評するということは、ギウは魔族から町や村を守れるほどの実力者なのだろう。
だが、そのギウは小さく体を振った。
「ギウ……」
「そんな、ふふ」
この言葉にノイファン以外の私たちは驚きと同時にクスリと笑い声を漏らした。
ギウの言葉がわからぬノイファンが私に尋ねてくる。
「ケント様。いま、ギウ殿はなんと?」
「彼はこう言った。それは過大なる評価というもの。レイ殿の実力は私の遥か先の頂に立っております。ですが、十に一つは一本取る自信はあります、と……」
「え~っと、ギウ殿の短い言葉と長文が噛み合っていない気もしますが……」
「あくまでも翻訳ではなく、感覚ですから」
「そ、そうですか。ともかく、互いに冗談を交わせるくらいに実力を認め合った仲というわけですな。ですが、よくレイ様もギウ殿の意思がわかりましたな」
「なんとなくですよ。互いに一人の戦士として、繋がりを感じました」
「ギウッ!」
「そ、そうですか。至らぬ私にはさっぱりです」
一人だけギウを理解できていないノイファンは居心地悪そうに体をそわつかせる。
だけど、普通は理解できないもの。
この場に理解できる者が揃っていることが稀有なのだ。
フィナは初めてギウと出会った時のことを思い出したようで、ノイファンに軽く声を掛ける。
「私も最初はさっぱりだったから。いえ、みんなもそのはず。だから気にしないで」
「え、ええ、そうしましょう」
「んで、自己紹介は終わったっと……だ、け、ど」
フィナはノイファンから視線を外し、くるりと体を回転させて私とレイを見つめてきた。
「話の最初に兄さん呼びは止めろ、と言ってたよね。アイリの時もそうだったけど、血の繋がりはなくて、えっとレイの年齢は?」
「二十四だよ」
「つまり、二十五歳のアイリと同じように二十二歳のケントよりも年上。それなのに、ケントを兄さん呼び。一体、どういうことかなぁ~?」
またもやフィナの好奇心が働いたようだ。
私がそれをどう打ち払おうかと考えていると、レイがあっさり秘密を暴露しようとする。
「年齢的には兄さんが年下だけど、外を自由に動いていた期間が長いからね」
「外を自由?」
「レイっ! こっちへこい!」
私はレイをみんなから引き離す。
フィナは不満をありありと表したが、私の怒りの形相を見て、嫌そうに手を振って諦めた。
部屋の隅に寄り、レイとだけ会話を重ねる。
「兄さん? まさか、まだ話してないの?」
「当然だろうっ」
「どうして、仲間なのに?」
「気軽に話せる問題ではないからだ。それにここには……」
私はノイファンに視線を合わせることなく意識だけを向ける。
それに気づいたレイは誰にも聞こえないように、私のそばで小声を漏らした。
「全員が信用を置ける存在じゃないんだ」
「そうだ」
「でも、信用を置ける人たちもいる。どうして話さないの?」
「そのようなことすれば、君たちの正体を知られることになるんだぞ。君をよく知る人は受け入れられるだろうが、そうでない人たちが受け入れられるとは限らない。そうなれば、君たちは勇者としての立場が危うくなる」
小声でありながらも強い感情を込めてレイを諭した。
だが、レイは首を横に振る。
「構わないじゃないか。そうなったらその時だ」
「何を馬鹿げたことをっ。レイたちはようやく自分の居場所を見つけたんだ。その場所を簡単に手放してはいけない」
「それは、偽りの場所だよ。虚構に虚構を重ねて作られた場所。偽りの勇者象。それを受け入れてもらえないなら、それでも良し。でも、頼ってくれるなら、全力でみんなのために勇者を演じるさ」
「何故、そんな投げやりな物言いを」
「だって、どのみち……こほっ」
「どうした?」
「なんでもない。しゃべりすぎて喉が絡んだみたいだ」
「嘘をつけ。体が不調なのだろう。私は自分が作り上げた研究が不完全だったことを知った。だから、君たちに宿るナノマシンが着実に死を迎えようとしているのを知っている」
「そうなんだ。さすが兄さん、すごいや」
「ああ、私は凄い。だから、簡単に諦めようとするな。私が完全なナノマシンを作り上げて見せるからっ」
「諦めてるわけじゃないんだけどなぁ。でも、ありがとう。だけどさ」
「なんだ?」
「そのためにはテイローの長の力を借りた方がいいんじゃないかな? どうして全てを打ち明けて手を借りようとしないの?」
「そ、それは……まだ、フィナに全てを話せる状況じゃないからだっ」
思わず語尾を強くしてしまう。
それは気づいているからだ。私の心の奥には、っ?
「ふひひ、わたくしが遅れてしまったために、調停官殿と仲良くご歓談を行える間柄になったようですね」
突如、耳障りな笑い声と共に、四角顔の血色の悪いエメルが現れた。
私とレイは彼へ言葉を返す。
「ただの雑談だ。何ら含みなどない」
「その通りです。アグリスの代表は私をお疑いになりますか?」
レイは瞳に殺気を宿して、エメルの心を突き刺した。
有無を言わせぬ圧に、エメルは乾いた笑いを上げる。
「ふ、ひ、ひひ。ま、まさか、調停官殿は公平なお立場であられます。それもあなた様はヴァンナスが勇者レイ。このエメル如きが疑念を差し込む余地はありませんよ。ふひひ、ひひひひ」
「ならば、結構。ケント様、これより先は調停官とトーワの代表の立場。雑談は霧中へ」
「ええ、わかりました。では、話し合いと参りましょう」
私はレイを置いて、エメルへ向かう。
これから、トーワとアグリスの命運を決するためにっ……。
――レイ=タイラー
遠ざかるケントの背中……レイは彼の背中を瞳で追いながら心の中でこう呟く。
(兄さんは心の奥に臆病な自分を宿しているんだね。自分を知られることが怖いんだ。だから、全てを打ち明けられずにいる。でも、大丈夫だよ。少し会話をしただけでもわかる。彼らは兄さんを受け入れてくれる、っ!?)
レイは喉奥から込みあがってくる咳に耐えるため、喉をぐっと押さえる。
(グッ! はぁ……兄さんの様子からして、私たちにあまり時間が残されていないことを知らないみたいだ。そう、もう手遅れ。私もアイリたちも助からない)
揺らぐ瞳にケントの姿を丸々と映す。
(兄さん。魔族の変化に対応するために想定以上に体へ負荷をかけている。そのせいで滅びのナノマシンが私たちを蝕み始めたんだ。でも、余計な心配をさせたくないから、このことは黙っておこうってみんなで決めた。ごめんね、兄さん)
レイは私たちの態度に気づくことなく、ギウをオニキスの瞳に焼きつけていく。
「柔軟で力強く無駄のない筋肉。強さを内に秘める滑らかな皮膚。瞳に宿るたしかな自信。底知れぬ力。アイリから話は聞いていたけど、これほどの実力者がいるなんて……私はレイ=タイラー。改めて、あなたの名を伺いたい」
「ギウ」
「ギウさん。一つ手合わせを願いたいところですが、残念ながら役目があります。それに、一度手合わせをすれば、お互い無事では済みませんから」
「ギウッ」
ギウは握手を求め、レイに手を伸ばす。
レイはその手に応え、二人は力強い握手を交わした。
そして、互いに無言で見つめ合う……なにやら、強者を認め合う雰囲気が漂っているが、このまま放置するわけにもいくまい。
「二人とも、私たちを置いてけぼりにしないでくれ」
「あ、ああ、ごめん、兄さん」
「ぎうぎう」
「よくわからないが、二人とも実力が伯仲しているということか? アイリがギウのことをレイ並の強さを誇っていると言っていたが、誇張でもなんでもなく、そうであったか」
「ギウさんの実力は勇者としても遜色ない。私たちの中であっても一・二を争うものだよ」
レイは強さに関してお世辞を言う男ではない。
その彼がそう評するということは、ギウは魔族から町や村を守れるほどの実力者なのだろう。
だが、そのギウは小さく体を振った。
「ギウ……」
「そんな、ふふ」
この言葉にノイファン以外の私たちは驚きと同時にクスリと笑い声を漏らした。
ギウの言葉がわからぬノイファンが私に尋ねてくる。
「ケント様。いま、ギウ殿はなんと?」
「彼はこう言った。それは過大なる評価というもの。レイ殿の実力は私の遥か先の頂に立っております。ですが、十に一つは一本取る自信はあります、と……」
「え~っと、ギウ殿の短い言葉と長文が噛み合っていない気もしますが……」
「あくまでも翻訳ではなく、感覚ですから」
「そ、そうですか。ともかく、互いに冗談を交わせるくらいに実力を認め合った仲というわけですな。ですが、よくレイ様もギウ殿の意思がわかりましたな」
「なんとなくですよ。互いに一人の戦士として、繋がりを感じました」
「ギウッ!」
「そ、そうですか。至らぬ私にはさっぱりです」
一人だけギウを理解できていないノイファンは居心地悪そうに体をそわつかせる。
だけど、普通は理解できないもの。
この場に理解できる者が揃っていることが稀有なのだ。
フィナは初めてギウと出会った時のことを思い出したようで、ノイファンに軽く声を掛ける。
「私も最初はさっぱりだったから。いえ、みんなもそのはず。だから気にしないで」
「え、ええ、そうしましょう」
「んで、自己紹介は終わったっと……だ、け、ど」
フィナはノイファンから視線を外し、くるりと体を回転させて私とレイを見つめてきた。
「話の最初に兄さん呼びは止めろ、と言ってたよね。アイリの時もそうだったけど、血の繋がりはなくて、えっとレイの年齢は?」
「二十四だよ」
「つまり、二十五歳のアイリと同じように二十二歳のケントよりも年上。それなのに、ケントを兄さん呼び。一体、どういうことかなぁ~?」
またもやフィナの好奇心が働いたようだ。
私がそれをどう打ち払おうかと考えていると、レイがあっさり秘密を暴露しようとする。
「年齢的には兄さんが年下だけど、外を自由に動いていた期間が長いからね」
「外を自由?」
「レイっ! こっちへこい!」
私はレイをみんなから引き離す。
フィナは不満をありありと表したが、私の怒りの形相を見て、嫌そうに手を振って諦めた。
部屋の隅に寄り、レイとだけ会話を重ねる。
「兄さん? まさか、まだ話してないの?」
「当然だろうっ」
「どうして、仲間なのに?」
「気軽に話せる問題ではないからだ。それにここには……」
私はノイファンに視線を合わせることなく意識だけを向ける。
それに気づいたレイは誰にも聞こえないように、私のそばで小声を漏らした。
「全員が信用を置ける存在じゃないんだ」
「そうだ」
「でも、信用を置ける人たちもいる。どうして話さないの?」
「そのようなことすれば、君たちの正体を知られることになるんだぞ。君をよく知る人は受け入れられるだろうが、そうでない人たちが受け入れられるとは限らない。そうなれば、君たちは勇者としての立場が危うくなる」
小声でありながらも強い感情を込めてレイを諭した。
だが、レイは首を横に振る。
「構わないじゃないか。そうなったらその時だ」
「何を馬鹿げたことをっ。レイたちはようやく自分の居場所を見つけたんだ。その場所を簡単に手放してはいけない」
「それは、偽りの場所だよ。虚構に虚構を重ねて作られた場所。偽りの勇者象。それを受け入れてもらえないなら、それでも良し。でも、頼ってくれるなら、全力でみんなのために勇者を演じるさ」
「何故、そんな投げやりな物言いを」
「だって、どのみち……こほっ」
「どうした?」
「なんでもない。しゃべりすぎて喉が絡んだみたいだ」
「嘘をつけ。体が不調なのだろう。私は自分が作り上げた研究が不完全だったことを知った。だから、君たちに宿るナノマシンが着実に死を迎えようとしているのを知っている」
「そうなんだ。さすが兄さん、すごいや」
「ああ、私は凄い。だから、簡単に諦めようとするな。私が完全なナノマシンを作り上げて見せるからっ」
「諦めてるわけじゃないんだけどなぁ。でも、ありがとう。だけどさ」
「なんだ?」
「そのためにはテイローの長の力を借りた方がいいんじゃないかな? どうして全てを打ち明けて手を借りようとしないの?」
「そ、それは……まだ、フィナに全てを話せる状況じゃないからだっ」
思わず語尾を強くしてしまう。
それは気づいているからだ。私の心の奥には、っ?
「ふひひ、わたくしが遅れてしまったために、調停官殿と仲良くご歓談を行える間柄になったようですね」
突如、耳障りな笑い声と共に、四角顔の血色の悪いエメルが現れた。
私とレイは彼へ言葉を返す。
「ただの雑談だ。何ら含みなどない」
「その通りです。アグリスの代表は私をお疑いになりますか?」
レイは瞳に殺気を宿して、エメルの心を突き刺した。
有無を言わせぬ圧に、エメルは乾いた笑いを上げる。
「ふ、ひ、ひひ。ま、まさか、調停官殿は公平なお立場であられます。それもあなた様はヴァンナスが勇者レイ。このエメル如きが疑念を差し込む余地はありませんよ。ふひひ、ひひひひ」
「ならば、結構。ケント様、これより先は調停官とトーワの代表の立場。雑談は霧中へ」
「ええ、わかりました。では、話し合いと参りましょう」
私はレイを置いて、エメルへ向かう。
これから、トーワとアグリスの命運を決するためにっ……。
――レイ=タイラー
遠ざかるケントの背中……レイは彼の背中を瞳で追いながら心の中でこう呟く。
(兄さんは心の奥に臆病な自分を宿しているんだね。自分を知られることが怖いんだ。だから、全てを打ち明けられずにいる。でも、大丈夫だよ。少し会話をしただけでもわかる。彼らは兄さんを受け入れてくれる、っ!?)
レイは喉奥から込みあがってくる咳に耐えるため、喉をぐっと押さえる。
(グッ! はぁ……兄さんの様子からして、私たちにあまり時間が残されていないことを知らないみたいだ。そう、もう手遅れ。私もアイリたちも助からない)
揺らぐ瞳にケントの姿を丸々と映す。
(兄さん。魔族の変化に対応するために想定以上に体へ負荷をかけている。そのせいで滅びのナノマシンが私たちを蝕み始めたんだ。でも、余計な心配をさせたくないから、このことは黙っておこうってみんなで決めた。ごめんね、兄さん)
0
あなたにおすすめの小説
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる