247 / 359
第二十一章 世界旅行
魂の残滓
しおりを挟む
父の書斎を模した部屋。
そこにある執務机に、主たる男が腰を掛けている。
男性は貴族服にシルクハットと白衣を纏うという奇妙な出で姿。
白衣にはアーガメイトを司る『スカシユリ』の意匠。
緑風を纏う少し短めの髪に金と紫のオッドアイ。
背は高く、痩せ型。
感情を完全に制するかのように、沈静な面立ちを見せる男性。
それはまさしく、父の姿。
私はもう一度、男性の姿を言葉で表す。
「父さん?」
「二度も言うな。そうだと言っているだろう」
「なぜ……?」
この疑問――これは私だけではない。この場にいる全員が抱いた疑問。
フィナは正十二面体の深紅のナルフを浮かべ、父を調べる。
「……これは、光子? あんたは映像ね」
「いかにも。それが六十年後のナルフだな。良い出来だ」
「それは当然でしょ。未来の私が作ったんだから」
「今のお前はお粗末だけどな」
「な、なんですってぇ~!」
「フィナ、待て! えっと、父さん、ですよね?」
「三度目だぞ、ケント。無用な問いを繰り返すな」
父は鋭く光る金と紫の目で私を貫いた。
この瞳――鼓動を凍てつかせ止めてしまうような迫力。
間違いなく父さんだ。
「す、すみません。しかし、どうして? フィナは光子と言いましたが」
「それは間違っていない。私の姿は光によって映し出された虚像だ。ただし、私本人であることも間違いではない」
「というと?」
「お前から話を聞いて、私がこの施設の結界に悪さをしたと知った。そこであの後すぐさまビュール大陸へ向かった」
「ええ、覚えています。私が少年だった頃、父さんがビュール大陸に出張したときのことですね」《第十三章 結界解除に記載》
「その通りだ。私はお前の話した歴史の流れに沿うように、結界に細工を施した。そこで立ち去っても良かったのだが、そこの未熟な錬金術士に転送装置を預けるにはかなりの不安があってな。このままでは大事な息子の命を奪われかねん。そこで私が手助けしようと考えたのだ」
この父の言葉に、フィナは怒気を交えながら唾を飛ばした。
「誰が未熟ですって!? こう見えても私は実力でおばあちゃんから席を奪い取ったのよ! あんたが世界で唯一対等と言わしめた、あのおばあちゃんに私は勝ったのよ!!」
「まったく、勝ちを譲られたことも理解できぬとは……」
「はっ?」
「ファロムは常々自由を求めていた。理論派の長ほどではないが、実践派の長もまた、長として束縛される部分がある。そこであいつはお前に椅子を押しつけた。そんなところだろう」
「そんなわけっ」
「さらに、未熟ながらもそこそこの才はあると見たファロムは、お前を谷に突き落とすことにした」
「は、どういうことよ?」
「長という重責はお前のような小娘には務まらん。それをファロムは知っている。だから、お前に席を譲り、潰すつもりだ。そこでそのまま潰れてしまえばその程度の存在。だが、才が上回り、乗り越えることができれば、長として一皮むけたことになる。ファロムからしてみれば、どちらに転ぼうと構わないといったところだろう」
「ば、馬鹿馬鹿しい! 私はね、本気のおばあちゃん相手に勝ったんだから!!」
「あいつが本気なら今頃お前は地の中で眠っている。ファロムはあらゆる面で私に匹敵し、錬金術師として深謀であり、戦士としては魔族の十や二十如き一飲みにできる実力を持っているのだぞ」
「う、嘘よ」
「真実だ。現に、私が何故このような状態で存在できているのか、お前の知ではわからぬだろう?」
「そ、それは……」
ここまで何とか食らいついていたフィナは、父の問いに答えられず言葉を降ろしてしまった。
代わりに、私が言葉を繋げる。
「父さんがどのようにここに現れたのか、またいる理由を教えていただけますか?」
「良いだろう」
――アーガメイトの回想
私はお前と別れたあと、すぐさまビュール大陸に渡り、結界に細工を施した。
その後、施設の中に入り、システムを操作して私の人格をコピーした。
それが今の私だ。
私はプログラムのようなものだが、性格や知力は何ら変わらん。
「ここにある映像は私の残影だ。私自身は死んでいるからな。だが、残影であっても、このように適切な会話が行える。古代人の技術は一つの人格そのものを記録できるのだ」
と、ここでフィナが再び食らいついた。
「ありえない! 技術であんたの人格をコピーできても、あんたがここへ訪れることなんかできないはず。ここは放射線に汚染されて、誰も入れなかった。実際にここ数十年、私たち以外に誰も訪れた形跡なんてなかったんだから!!」
「うむ、それには少しばかり骨を折った。なにせ、六十年後の技術に古代人のセンサー。まぁ、相手にとって不足なしといった程度だったが」
「え?」
「ケントから話を聞いた。ここには誰も足を踏み入れた形跡はなかったと。だが、私は踏み入った。その辻褄を合わせるために私はお前のナルフの目を晦ませたのだ」
「で、できるわけがない。このナルフはっ」
「遥か先の技術。だが、使い手が未熟であれば、せっかくの技術も宝の持ち腐れということだ」
「クッ! だったらどうやって私の目を晦ませたの? 放射線はどうやって防いだの? それに何より、施設の目をどうやって掻い潜ったの? ここに訪れたということは遺跡内の浄化機構が働いたはずよ!」
フィナは身体を前のめりにして牙を立てるように父へ咆哮をぶつける。
だが父は、激しい嵐の如き言葉を微風のように受け取り、さっと手を振って、机の上にコーヒーの入ったカップを産み出し、それを優雅に口へ運ぶ。
「ふむ、偽物でもなかなかだ。ふふ、私も偽物なのだがな」
「ちょっと、私の話を聞いてんの!?」
「ピヨピヨとやかましいヒヨコめ。質問ばかりで己の頭を使おうとしない。恥ずかしいと思わないのか?」
「こ、この~」
「まぁいい。今の質問の内、一つだけ答えてやろう。放射線についてだが、光の魔法で退けただけだ」
「光の魔法で……? あ、わかった! ケントから話を聞いて、私のアイデアをパクったのね!」
「ふ、ふ、ふふふふふ、あははははは」
父は突然、笑いを吹き出した。
それはあまりにも愚かな回答を馬鹿にするような笑い方。
手に取っていたカップを机に戻し、フィナをじろりと睨む。
それにフィナは一瞬、背をのけぞらせようとしたが踏みとどまり、じっと睨み返す。
父は表情に僅かばかりの綻びを見せるが、すぐさまそれを消し去り、フィナへ言葉を返した。
そこにある執務机に、主たる男が腰を掛けている。
男性は貴族服にシルクハットと白衣を纏うという奇妙な出で姿。
白衣にはアーガメイトを司る『スカシユリ』の意匠。
緑風を纏う少し短めの髪に金と紫のオッドアイ。
背は高く、痩せ型。
感情を完全に制するかのように、沈静な面立ちを見せる男性。
それはまさしく、父の姿。
私はもう一度、男性の姿を言葉で表す。
「父さん?」
「二度も言うな。そうだと言っているだろう」
「なぜ……?」
この疑問――これは私だけではない。この場にいる全員が抱いた疑問。
フィナは正十二面体の深紅のナルフを浮かべ、父を調べる。
「……これは、光子? あんたは映像ね」
「いかにも。それが六十年後のナルフだな。良い出来だ」
「それは当然でしょ。未来の私が作ったんだから」
「今のお前はお粗末だけどな」
「な、なんですってぇ~!」
「フィナ、待て! えっと、父さん、ですよね?」
「三度目だぞ、ケント。無用な問いを繰り返すな」
父は鋭く光る金と紫の目で私を貫いた。
この瞳――鼓動を凍てつかせ止めてしまうような迫力。
間違いなく父さんだ。
「す、すみません。しかし、どうして? フィナは光子と言いましたが」
「それは間違っていない。私の姿は光によって映し出された虚像だ。ただし、私本人であることも間違いではない」
「というと?」
「お前から話を聞いて、私がこの施設の結界に悪さをしたと知った。そこであの後すぐさまビュール大陸へ向かった」
「ええ、覚えています。私が少年だった頃、父さんがビュール大陸に出張したときのことですね」《第十三章 結界解除に記載》
「その通りだ。私はお前の話した歴史の流れに沿うように、結界に細工を施した。そこで立ち去っても良かったのだが、そこの未熟な錬金術士に転送装置を預けるにはかなりの不安があってな。このままでは大事な息子の命を奪われかねん。そこで私が手助けしようと考えたのだ」
この父の言葉に、フィナは怒気を交えながら唾を飛ばした。
「誰が未熟ですって!? こう見えても私は実力でおばあちゃんから席を奪い取ったのよ! あんたが世界で唯一対等と言わしめた、あのおばあちゃんに私は勝ったのよ!!」
「まったく、勝ちを譲られたことも理解できぬとは……」
「はっ?」
「ファロムは常々自由を求めていた。理論派の長ほどではないが、実践派の長もまた、長として束縛される部分がある。そこであいつはお前に椅子を押しつけた。そんなところだろう」
「そんなわけっ」
「さらに、未熟ながらもそこそこの才はあると見たファロムは、お前を谷に突き落とすことにした」
「は、どういうことよ?」
「長という重責はお前のような小娘には務まらん。それをファロムは知っている。だから、お前に席を譲り、潰すつもりだ。そこでそのまま潰れてしまえばその程度の存在。だが、才が上回り、乗り越えることができれば、長として一皮むけたことになる。ファロムからしてみれば、どちらに転ぼうと構わないといったところだろう」
「ば、馬鹿馬鹿しい! 私はね、本気のおばあちゃん相手に勝ったんだから!!」
「あいつが本気なら今頃お前は地の中で眠っている。ファロムはあらゆる面で私に匹敵し、錬金術師として深謀であり、戦士としては魔族の十や二十如き一飲みにできる実力を持っているのだぞ」
「う、嘘よ」
「真実だ。現に、私が何故このような状態で存在できているのか、お前の知ではわからぬだろう?」
「そ、それは……」
ここまで何とか食らいついていたフィナは、父の問いに答えられず言葉を降ろしてしまった。
代わりに、私が言葉を繋げる。
「父さんがどのようにここに現れたのか、またいる理由を教えていただけますか?」
「良いだろう」
――アーガメイトの回想
私はお前と別れたあと、すぐさまビュール大陸に渡り、結界に細工を施した。
その後、施設の中に入り、システムを操作して私の人格をコピーした。
それが今の私だ。
私はプログラムのようなものだが、性格や知力は何ら変わらん。
「ここにある映像は私の残影だ。私自身は死んでいるからな。だが、残影であっても、このように適切な会話が行える。古代人の技術は一つの人格そのものを記録できるのだ」
と、ここでフィナが再び食らいついた。
「ありえない! 技術であんたの人格をコピーできても、あんたがここへ訪れることなんかできないはず。ここは放射線に汚染されて、誰も入れなかった。実際にここ数十年、私たち以外に誰も訪れた形跡なんてなかったんだから!!」
「うむ、それには少しばかり骨を折った。なにせ、六十年後の技術に古代人のセンサー。まぁ、相手にとって不足なしといった程度だったが」
「え?」
「ケントから話を聞いた。ここには誰も足を踏み入れた形跡はなかったと。だが、私は踏み入った。その辻褄を合わせるために私はお前のナルフの目を晦ませたのだ」
「で、できるわけがない。このナルフはっ」
「遥か先の技術。だが、使い手が未熟であれば、せっかくの技術も宝の持ち腐れということだ」
「クッ! だったらどうやって私の目を晦ませたの? 放射線はどうやって防いだの? それに何より、施設の目をどうやって掻い潜ったの? ここに訪れたということは遺跡内の浄化機構が働いたはずよ!」
フィナは身体を前のめりにして牙を立てるように父へ咆哮をぶつける。
だが父は、激しい嵐の如き言葉を微風のように受け取り、さっと手を振って、机の上にコーヒーの入ったカップを産み出し、それを優雅に口へ運ぶ。
「ふむ、偽物でもなかなかだ。ふふ、私も偽物なのだがな」
「ちょっと、私の話を聞いてんの!?」
「ピヨピヨとやかましいヒヨコめ。質問ばかりで己の頭を使おうとしない。恥ずかしいと思わないのか?」
「こ、この~」
「まぁいい。今の質問の内、一つだけ答えてやろう。放射線についてだが、光の魔法で退けただけだ」
「光の魔法で……? あ、わかった! ケントから話を聞いて、私のアイデアをパクったのね!」
「ふ、ふ、ふふふふふ、あははははは」
父は突然、笑いを吹き出した。
それはあまりにも愚かな回答を馬鹿にするような笑い方。
手に取っていたカップを机に戻し、フィナをじろりと睨む。
それにフィナは一瞬、背をのけぞらせようとしたが踏みとどまり、じっと睨み返す。
父は表情に僅かばかりの綻びを見せるが、すぐさまそれを消し去り、フィナへ言葉を返した。
0
あなたにおすすめの小説
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる