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第二十四章 絶望と失意の花束を
絶対不可避の一撃
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私は皆を、自分を奮い立たせようと大声を出す。
だが、動かない。動けるわけがない!
目の前に立つ男は、絶対に倒せぬ相手。
私は瞳を閉じて、銀眼に問いかける。
(頼む、今一度、力を貸してくれ! テラのみんな! 目の前の男を殺せる力を!)
声は暗闇に広がるだけで、答えは返ってこない。
もはや、彼らとのリンクは切れて、私がいくら思いを乗せようと絶対に届かない。
仮に届いたとしても、サレートに見せた程度の力では敵わぬだろう。
わかっている! そんなことはわかっている! 敵は暴走した私など虫けらの如く扱える存在。
だけど、縋るしかないんだ!
私は銀眼に思いを込める。縋る。泣き喚く!
(頼む、頼む、頼む! 銀眼よ、私に力をくれ! 仲間たちを逃がせてやれるだけでいい!! ほんの僅かな力でいいから、私に力をくれぇぇぇぇえ!!)
言葉は暗闇に溶け込み消えて、届かない……。
バルドゥルは抵抗の意思を無くした私たちへ嘲弄の雨を降らせる。
「クククク、ははははは、あははははっ。どうやら、準備運動にすらならなかったようだ。これ以上、未開人と付き合っても益もなし。貴様らを消して、じっくり研究施設の復旧に努めるとしようか」
巨大な力が彼に収束する。
いや、彼にとってみれば頬を撫でるよりも優しい力だろう。
それでも、私たちをいともたやすく消し去ることができる。
為す術無し――非力な私はみっともなく最期の時まで銀眼に縋るしかない!
(銀眼よ! 古代人の力よ! 本当に僅かでいいんだ。せめて、仲間たちだけでも! 銀眼よ、おねがいだぁぁ! 仲間を助けてくれえええええ!!)
虚しく木霊する思い――――――――虚無と思えた空間に小さな光が見えた!?
「えっ!?」
驚きとともに瞼を開ける。
するとそこには、海岸が広がっていた。
さらさらときめ細やかな砂の粒を敷き詰めた海岸に、どこまでも透き通る美しい海。
「ここは……トーワの海岸?」
視線を海からゆっくりと動かしていく。
ふわりと揺れる白い布が見えた。
それはとても穏やかなスカートの揺らめき。
視線を上へ向けていく。
麦藁帽子を深々と被った、長く艶やかな黒い髪を持つ女性がいた。
彼女は帽子を押さえ、私にこう伝える。
――ケント、銃を取れ――
視界は開け、広がるのは色を失った灰色の世界!
男は力を収束し、私たちを消し去らんとしている。
私は銃を握り締め、シリンダーから弾丸を地面に落とし、弾丸を納めているポシェットから新たな弾丸を六発取り出した。
そいつを放り投げて、銃を交差し、一気にシリンダーへ納め…………銃口をバルドゥルへ向けた。
その姿を目にした男は詰まるような笑いを見せる。
「くふぅ、ククク、ここへきて抵抗の意思を見せるのは見事。だが、いまさら銃で何をするつもりだ? 恐怖で正気を失ったか」
――ああ、そう見えるだろう。いまさら鉛の弾丸でお前を殺せるとは思っていない。だが、今、この銃に込められた弾丸は!――
「貴様たち、古代人の力だ!!」
――パン、パン、と、低く乾いた音が響く。
それは何の変哲もない銃声。
何か特別なことが起こったわけではない。
そうだというのに!?
バルドゥルは唇を震わせ、声に怯えと驚きを纏う。
「ど、ど、どういうことだ、これは……?」
弾丸はバルドゥルのシールドをたやすく突き破り、彼の右手と左足を穿って根元から引き千切った。
彼は多量に噴き出る血を見つめ、声を朧に漏らし、次には吠えた。
「銃には認識阻害……弾丸は、スース用ダムダム弾!? 馬鹿なっ、私たちの太陽系内に持ち込むなど条約違反だぞ!? ましてや研究施設内にっ……一体、誰が、あ、あ、あ、あああああはぁぁあぁあだおおおおあいいいあいいああかぁあっぁ! あの、軍人崩れがぁあぁぁぁ、よくもももぉぉおお!」
私は彼の雄叫びに誘われるように再度引き金を引いた。
三発目、四発目――
「そんなもの当たるかっ!」
この二発をバルドゥルは躱し、姿を消した。
「クッ、一体どこへ? あと、二発。絶対に外すわけには!」
――銀眼とリンクしろ!――
「え?」
頭の中で声が響く。これは暴走した私の拳を受け止め、銃を取らせた白いワンピースの女性の声。
――このクズ。さっさと銀眼と銃をリンクさせやがれ! 銀眼と銃を意識すれば繋がるからよっ――
「わ、わかった」
銀眼に思いを宿し、銃を思い描く。
すると、グリップから熱が伝わり、その内部にある水晶の力をはっきりと感じた。
水晶から伝わる力により、銀眼には常人に見えぬ光景が広がる。
「これは、周囲の空間が揺らいで、あっ!」
バルドゥルは私たちが存在する空間とは異なる空間を移動しながら、私の右側から襲い掛かろうとしていた。
私はすかさず銃を右に向けて引き金を引く――。
「ぎゃぁああ!」
手応えはあった。しかし、致命傷ではなさそうだ。
彼はさらに奥深い空間に逃げ込み、姿を、気配を消そうとしている。
「この、逃がすものか! あと一発、確実に仕留めてやる! 銀眼と銃よ、頼むぞっ」
この声に女性の声が響き伝わる。
――そうだ、それでいい。深く深くリンクしろ。この銃は絶対不可避の弾丸を生む。宇宙最強の銃。いかなる存在も射止める銃。さぁ、構えやがれ! てめぇはただ引き金を引くだけでいい!!――
私の銀眼は銃と繋がり、世界を見通す。
男がどこに居ようと、私の銀の瞳から逃れることを許されない。
銃口より放たれた弾丸から逃れることを許されない。
銃を、まっすぐと構える。
そして、引き金を引いた。
パン――っと、乾いた音が正面に広がる。
次に届くは、遥か空の上から降り注がれる、男の悲鳴。
「ひぎゃぁぁあぁあああはああぁあぁあぁ!!」
悲鳴の広がりに合わせて、天井より灰色が失われ、色を取り戻した青い空と乾いた大地が私たちを包み込んだ。
だが、動かない。動けるわけがない!
目の前に立つ男は、絶対に倒せぬ相手。
私は瞳を閉じて、銀眼に問いかける。
(頼む、今一度、力を貸してくれ! テラのみんな! 目の前の男を殺せる力を!)
声は暗闇に広がるだけで、答えは返ってこない。
もはや、彼らとのリンクは切れて、私がいくら思いを乗せようと絶対に届かない。
仮に届いたとしても、サレートに見せた程度の力では敵わぬだろう。
わかっている! そんなことはわかっている! 敵は暴走した私など虫けらの如く扱える存在。
だけど、縋るしかないんだ!
私は銀眼に思いを込める。縋る。泣き喚く!
(頼む、頼む、頼む! 銀眼よ、私に力をくれ! 仲間たちを逃がせてやれるだけでいい!! ほんの僅かな力でいいから、私に力をくれぇぇぇぇえ!!)
言葉は暗闇に溶け込み消えて、届かない……。
バルドゥルは抵抗の意思を無くした私たちへ嘲弄の雨を降らせる。
「クククク、ははははは、あははははっ。どうやら、準備運動にすらならなかったようだ。これ以上、未開人と付き合っても益もなし。貴様らを消して、じっくり研究施設の復旧に努めるとしようか」
巨大な力が彼に収束する。
いや、彼にとってみれば頬を撫でるよりも優しい力だろう。
それでも、私たちをいともたやすく消し去ることができる。
為す術無し――非力な私はみっともなく最期の時まで銀眼に縋るしかない!
(銀眼よ! 古代人の力よ! 本当に僅かでいいんだ。せめて、仲間たちだけでも! 銀眼よ、おねがいだぁぁ! 仲間を助けてくれえええええ!!)
虚しく木霊する思い――――――――虚無と思えた空間に小さな光が見えた!?
「えっ!?」
驚きとともに瞼を開ける。
するとそこには、海岸が広がっていた。
さらさらときめ細やかな砂の粒を敷き詰めた海岸に、どこまでも透き通る美しい海。
「ここは……トーワの海岸?」
視線を海からゆっくりと動かしていく。
ふわりと揺れる白い布が見えた。
それはとても穏やかなスカートの揺らめき。
視線を上へ向けていく。
麦藁帽子を深々と被った、長く艶やかな黒い髪を持つ女性がいた。
彼女は帽子を押さえ、私にこう伝える。
――ケント、銃を取れ――
視界は開け、広がるのは色を失った灰色の世界!
男は力を収束し、私たちを消し去らんとしている。
私は銃を握り締め、シリンダーから弾丸を地面に落とし、弾丸を納めているポシェットから新たな弾丸を六発取り出した。
そいつを放り投げて、銃を交差し、一気にシリンダーへ納め…………銃口をバルドゥルへ向けた。
その姿を目にした男は詰まるような笑いを見せる。
「くふぅ、ククク、ここへきて抵抗の意思を見せるのは見事。だが、いまさら銃で何をするつもりだ? 恐怖で正気を失ったか」
――ああ、そう見えるだろう。いまさら鉛の弾丸でお前を殺せるとは思っていない。だが、今、この銃に込められた弾丸は!――
「貴様たち、古代人の力だ!!」
――パン、パン、と、低く乾いた音が響く。
それは何の変哲もない銃声。
何か特別なことが起こったわけではない。
そうだというのに!?
バルドゥルは唇を震わせ、声に怯えと驚きを纏う。
「ど、ど、どういうことだ、これは……?」
弾丸はバルドゥルのシールドをたやすく突き破り、彼の右手と左足を穿って根元から引き千切った。
彼は多量に噴き出る血を見つめ、声を朧に漏らし、次には吠えた。
「銃には認識阻害……弾丸は、スース用ダムダム弾!? 馬鹿なっ、私たちの太陽系内に持ち込むなど条約違反だぞ!? ましてや研究施設内にっ……一体、誰が、あ、あ、あ、あああああはぁぁあぁあだおおおおあいいいあいいああかぁあっぁ! あの、軍人崩れがぁあぁぁぁ、よくもももぉぉおお!」
私は彼の雄叫びに誘われるように再度引き金を引いた。
三発目、四発目――
「そんなもの当たるかっ!」
この二発をバルドゥルは躱し、姿を消した。
「クッ、一体どこへ? あと、二発。絶対に外すわけには!」
――銀眼とリンクしろ!――
「え?」
頭の中で声が響く。これは暴走した私の拳を受け止め、銃を取らせた白いワンピースの女性の声。
――このクズ。さっさと銀眼と銃をリンクさせやがれ! 銀眼と銃を意識すれば繋がるからよっ――
「わ、わかった」
銀眼に思いを宿し、銃を思い描く。
すると、グリップから熱が伝わり、その内部にある水晶の力をはっきりと感じた。
水晶から伝わる力により、銀眼には常人に見えぬ光景が広がる。
「これは、周囲の空間が揺らいで、あっ!」
バルドゥルは私たちが存在する空間とは異なる空間を移動しながら、私の右側から襲い掛かろうとしていた。
私はすかさず銃を右に向けて引き金を引く――。
「ぎゃぁああ!」
手応えはあった。しかし、致命傷ではなさそうだ。
彼はさらに奥深い空間に逃げ込み、姿を、気配を消そうとしている。
「この、逃がすものか! あと一発、確実に仕留めてやる! 銀眼と銃よ、頼むぞっ」
この声に女性の声が響き伝わる。
――そうだ、それでいい。深く深くリンクしろ。この銃は絶対不可避の弾丸を生む。宇宙最強の銃。いかなる存在も射止める銃。さぁ、構えやがれ! てめぇはただ引き金を引くだけでいい!!――
私の銀眼は銃と繋がり、世界を見通す。
男がどこに居ようと、私の銀の瞳から逃れることを許されない。
銃口より放たれた弾丸から逃れることを許されない。
銃を、まっすぐと構える。
そして、引き金を引いた。
パン――っと、乾いた音が正面に広がる。
次に届くは、遥か空の上から降り注がれる、男の悲鳴。
「ひぎゃぁぁあぁあああはああぁあぁあぁ!!」
悲鳴の広がりに合わせて、天井より灰色が失われ、色を取り戻した青い空と乾いた大地が私たちを包み込んだ。
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