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第二十八章 救いの風~スカルペルはスカルペルに~
さらなる援軍!
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――ケント陣営
トーワ前の森から現れた軍を見て、私は目を見開きつつ声を上げた。
「あれは、アルリナの軍かっ? 彼らも助勢に!」
この声にカオマニーが続く。
「アルリナは弱兵揃いかと思ってにゃけど、かなりの練度に素晴らしい指揮ニャ。トーワを守る兵もかなりのものニャ。あれほどの人材がアルリナにいたのは驚きニャね。にゃけど、そのせいで魔族の興味を引いたニャ」
彼女の指摘通り、魔族の一団が我々を避けて、直接トーワへ向かい始めた。その数は三千を超えるだろう。
これに私は焦りの声を飛ばすが、カオマニーはとても落ち着いた様子で尻尾を使いフイっと東側の海を差す。
すると、遺跡を無視した三千の魔族に向かって雷鳴のような音が轟き、魔族たちは動きを止めた。
轟きの出所は、東の海の上。
皆の目には海に浮かぶ、一隻の軍船が映った。
「あれはっ!?」
「アルリナの軍船ニャね。アルリナの港から南の海を迂回して、東の海に回ったようニャ。これは、トーワの領海を侵犯しているニャね、にゃふふ」
「はは、さすがにそれは不問とするよ。だが、軍船の砲台だけでは三千の魔族は?」
「ケント様、その心配は無用みたいニャ」
「なに?」
「どうやらノイファン様は、軍船以上の切り札を用意していたようニャね」
カオマニーは蒼と金の猫目にアルリナ軍を納めた。
彼らの後ろから――――私は大勢の失った友の姿を見た!
「「「ぎうううううううううううう~!!」」」
彼らはアルリナに住みながら、アルリナに属していない最強の戦力。
人を守れと百合に命じられ、アルリナの下に居続けた百のギウたちだった!
百のギウたちは果敢にも三千の魔族相手へ突撃を行う。
ぶつかり合う百の波と三千の波。
そして砕け散るは――三千の波!
ギウたちは魔族の波を砕き、アルリナ軍が砕かれた魔族たちを叩いている。
私は友の影を見つめ寂しげな思いを宿すが、すぐに気持ちを戦場へと戻す。
「ここで百合さんの思いを受け継いだ彼らが助けに来てくれるとは。ありがとう、ギウたち……とはいえ、アルリナにアグリスにワントワーフにキャビットと、こうまで手際が良いのは一体?」
「先ほど少し触れましたが、フィコン様の手紙のおかげニャ。どういうわけか、こうなることを予想していたみたいで、おかげで魔族に対応する準備ができたニャ」
「フィコン様の? そうか、サノアの遠見の力。あの黄金の瞳はまさに本物というわけか。よし、これだけの戦力が半島内に揃っているなら、何とか遺跡まで!」
キャビット軍のおかげでじわりじわりと前進できて、遺跡まで走れば10分足らずというところまで来ていた。
しかし、前線で剣を振るっていたレイが苦し気に言葉を漏らす。
「はぁはぁ、兄さん。そう簡単に行かないみたいだ。アグリス軍が山脈から降りてくる魔族を分断しようとしていたけどうまくいかず、こちらへ流れてきている。これじゃあ、先に進めない」
彼の言葉を受けて、私は遠くへ首を伸ばす。
遺跡から意識を外した魔族たちが、次々とこちらへ押し寄せている。
数は万を超えているだろうか……。
「クッ、これほどの戦力が揃い、ここまで来て届かないのかっ。だが、それでもこの事態を食い止めるには、無理を押して遺跡へ行くしかない!」
ここでフィナの声が飛び込んでくる。
「その遺跡だけど、私の結界が壊されかけてる。もう、10分持つかどうかっ」
「なっ!? わかった! みんな、今から無茶をするぞ! 万を超える魔族の中心に突っ込み、一気に駆け抜ける!!」
「ケント、それはっ!」
「わかっている。だが、ここで遺跡を破壊されれば魔族たち、古代人と呼ばれた地球人たちの暴走を止める術がなくなってしまう!」
「そうだけど……ええい、わかったっ。とことん付き合ってあげる!」
フィナの気合の入る言葉に、エクアやレイたちは無言で頷く。
そして、万を超す魔族に突撃を仕掛けようとしたとき――その音は半島中に響き渡った。
フォンフォンと、日常ではまず聞くことのない音が戦場に広がる。
そこから音なき光の線と、爆轟を纏った砲弾が青の空を鈍色に染め尽くすほど降り注いだ。
光の線は魔族たちを薙ぎ払い大地を切り裂き土を溶かし、砲弾は万雷を束ねに束ねた衝撃と火柱によって魔族たちを世界から消し去った。
私たちは突然の爆音に鼓膜を劈かれながらも、フォンフォンという不可思議な音だけはしっかり鼓膜に響かせていた。
戦場いる、全ての存在が空を見上げる。
皆の瞳に映ったのは――空を海として浮かぶ、金属で覆われた白銀の船。
船体下部の両端には、浮遊の力を封じた魔導石のスラスターが周囲の空間を靄のように揺らめかせ、後部にある四基のアンクロウエンジンは火を噴き、煌めく蒼の光跡を空に描く。
船体側面にはハリネズミと見間違うほどの砲台を乗せて、船体上下は明滅を繰り返す白色のリングに挟まれる。
砲台は絶えず魔導の力を凝縮し詰め込まれた砲火を噴き出し、リングは魔力とは別種の力を光のエネルギーとして放ち、魔族ごと大地を切り裂いていく。
あの船は――世界で唯一無二の天翔ける翼!
私はその雄姿を言葉で表す!
「飛行艇ハルステッド!?」
トーワ前の森から現れた軍を見て、私は目を見開きつつ声を上げた。
「あれは、アルリナの軍かっ? 彼らも助勢に!」
この声にカオマニーが続く。
「アルリナは弱兵揃いかと思ってにゃけど、かなりの練度に素晴らしい指揮ニャ。トーワを守る兵もかなりのものニャ。あれほどの人材がアルリナにいたのは驚きニャね。にゃけど、そのせいで魔族の興味を引いたニャ」
彼女の指摘通り、魔族の一団が我々を避けて、直接トーワへ向かい始めた。その数は三千を超えるだろう。
これに私は焦りの声を飛ばすが、カオマニーはとても落ち着いた様子で尻尾を使いフイっと東側の海を差す。
すると、遺跡を無視した三千の魔族に向かって雷鳴のような音が轟き、魔族たちは動きを止めた。
轟きの出所は、東の海の上。
皆の目には海に浮かぶ、一隻の軍船が映った。
「あれはっ!?」
「アルリナの軍船ニャね。アルリナの港から南の海を迂回して、東の海に回ったようニャ。これは、トーワの領海を侵犯しているニャね、にゃふふ」
「はは、さすがにそれは不問とするよ。だが、軍船の砲台だけでは三千の魔族は?」
「ケント様、その心配は無用みたいニャ」
「なに?」
「どうやらノイファン様は、軍船以上の切り札を用意していたようニャね」
カオマニーは蒼と金の猫目にアルリナ軍を納めた。
彼らの後ろから――――私は大勢の失った友の姿を見た!
「「「ぎうううううううううううう~!!」」」
彼らはアルリナに住みながら、アルリナに属していない最強の戦力。
人を守れと百合に命じられ、アルリナの下に居続けた百のギウたちだった!
百のギウたちは果敢にも三千の魔族相手へ突撃を行う。
ぶつかり合う百の波と三千の波。
そして砕け散るは――三千の波!
ギウたちは魔族の波を砕き、アルリナ軍が砕かれた魔族たちを叩いている。
私は友の影を見つめ寂しげな思いを宿すが、すぐに気持ちを戦場へと戻す。
「ここで百合さんの思いを受け継いだ彼らが助けに来てくれるとは。ありがとう、ギウたち……とはいえ、アルリナにアグリスにワントワーフにキャビットと、こうまで手際が良いのは一体?」
「先ほど少し触れましたが、フィコン様の手紙のおかげニャ。どういうわけか、こうなることを予想していたみたいで、おかげで魔族に対応する準備ができたニャ」
「フィコン様の? そうか、サノアの遠見の力。あの黄金の瞳はまさに本物というわけか。よし、これだけの戦力が半島内に揃っているなら、何とか遺跡まで!」
キャビット軍のおかげでじわりじわりと前進できて、遺跡まで走れば10分足らずというところまで来ていた。
しかし、前線で剣を振るっていたレイが苦し気に言葉を漏らす。
「はぁはぁ、兄さん。そう簡単に行かないみたいだ。アグリス軍が山脈から降りてくる魔族を分断しようとしていたけどうまくいかず、こちらへ流れてきている。これじゃあ、先に進めない」
彼の言葉を受けて、私は遠くへ首を伸ばす。
遺跡から意識を外した魔族たちが、次々とこちらへ押し寄せている。
数は万を超えているだろうか……。
「クッ、これほどの戦力が揃い、ここまで来て届かないのかっ。だが、それでもこの事態を食い止めるには、無理を押して遺跡へ行くしかない!」
ここでフィナの声が飛び込んでくる。
「その遺跡だけど、私の結界が壊されかけてる。もう、10分持つかどうかっ」
「なっ!? わかった! みんな、今から無茶をするぞ! 万を超える魔族の中心に突っ込み、一気に駆け抜ける!!」
「ケント、それはっ!」
「わかっている。だが、ここで遺跡を破壊されれば魔族たち、古代人と呼ばれた地球人たちの暴走を止める術がなくなってしまう!」
「そうだけど……ええい、わかったっ。とことん付き合ってあげる!」
フィナの気合の入る言葉に、エクアやレイたちは無言で頷く。
そして、万を超す魔族に突撃を仕掛けようとしたとき――その音は半島中に響き渡った。
フォンフォンと、日常ではまず聞くことのない音が戦場に広がる。
そこから音なき光の線と、爆轟を纏った砲弾が青の空を鈍色に染め尽くすほど降り注いだ。
光の線は魔族たちを薙ぎ払い大地を切り裂き土を溶かし、砲弾は万雷を束ねに束ねた衝撃と火柱によって魔族たちを世界から消し去った。
私たちは突然の爆音に鼓膜を劈かれながらも、フォンフォンという不可思議な音だけはしっかり鼓膜に響かせていた。
戦場いる、全ての存在が空を見上げる。
皆の瞳に映ったのは――空を海として浮かぶ、金属で覆われた白銀の船。
船体下部の両端には、浮遊の力を封じた魔導石のスラスターが周囲の空間を靄のように揺らめかせ、後部にある四基のアンクロウエンジンは火を噴き、煌めく蒼の光跡を空に描く。
船体側面にはハリネズミと見間違うほどの砲台を乗せて、船体上下は明滅を繰り返す白色のリングに挟まれる。
砲台は絶えず魔導の力を凝縮し詰め込まれた砲火を噴き出し、リングは魔力とは別種の力を光のエネルギーとして放ち、魔族ごと大地を切り裂いていく。
あの船は――世界で唯一無二の天翔ける翼!
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