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第八章 深まるアクタの謎
ちぐはぐな情報
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壁を抜け、すぐに剣を手に取り、辺りを見回す。
「なんだ、ここ?」
黒い空間。
周りには無数の文字たちが、ホログラムのように立体的に浮き上がり飛び交っている。
それらが放つ光が電灯の代わりとなって、黒い空間を明るく照らし出していた。
「おいおいおいおい、何だよここは? それにこの妙な雰囲気……」
狭間の世界と全く様相は違うが、肌にはあの世界と近しい空気を感じ取る。
だからといって、この空間が幻というわけではなく、現実の世界だということはしっかりと認識できる。
少し先に目を向ける。先には、狭間の世界や箪笥の世界には存在しない、上へ続く透明な階段が……。
俺は階段から視線を切り、飛び回る文字へ目を向ける。
ほとんどがアクタの言語とは違う、見たこともない言語。
しかし、中には見覚えのある言語や数字も混ざっている。
「英語。あれはラテン語、かな? お、漢字が。あっ、ひらがなまで」
いくつかの文字は文を構成していた。
読めそうな文字を選び出し、文を読んでみる。
「汚職事件。井上、電撃結婚。明日は晴れるでしょう。で、あれは英語で、まーず、すぺしゃりてぃ、ふれいむ……ラーメン? 火星名物・炎ラーメンってこと? ラーメン屋の親父がテキトーに書いた英語っぽいけど、意味は通じるのか? 俺自身、英語が苦手だから何とも言いようがないけど」
右側を通り過ぎていった文字を読む。
「こっちは中国語か……火箭で続く漢字は、えっと? くそ、簡体字わかんねぇ。続く文字は友っぽい漢字だけど。火箭の意味はたしか、火矢とかロケットだから、ロケット発射的な?」
続いて、アクタ語の文を読む。
「今日は畑の収穫。橋があればいいのに。最近、ダイエットに失敗した……なんじゃ、こりゃ?」
飛び回っている文字のホログラムには、特に重要な文章はない。
誰かの日記や新聞を適当にくり抜いた様なものばかり。
共通する何かが隠されている様子もない。
俺は目の前を横切ろうとした、全く見知らぬ文字のホログラムにちょんっと触れてみた。
すると、文字は空中に浮かぶ画面へと切り替わった。
「ちょ、なに? 何が始まるの?」
画面は数度のちらつきを見せて、映像を映し出してきた。
表示されたのは、巨大な一匹の白いタコが、まだら模様タコたちを虐げている映像。
「CG? いや、本物? 宇宙人? 宇宙怪獣? ふむぅ~、他の文字を触ったら、どうなる?」
浮かぶ、見知らぬ別の文字へ触れる。
新たに画面が生まれ、映像が現れる。
銀色のスーツを着用し、顔が皺くちゃで、口元に大量のミミズのようなものをぶら下げた奇妙な生命体が映った。
ミミズはうねうねと動いていて、かなり気持ち悪い。
画面の端にもう一人、同じ種族の人物が現れた。
そいつは真っ裸で、最初に映った奴に近づき、唇を重ねた。
互いのミミズが絡み合い、何ともおぞましい映像を生み出す。
直視するには耐えられず、反射的に画面を叩く。その衝撃で画面はキラキラと星のような瞬きを残して消えてしまった。
「今の、もしかして、エッチな動画とか? え~、さっきの二人には悪いけど、きっついよ。あれは~」
その後も、いくつかの文字に触れてみた。
どの文字もその文字に関係していると思われる映像が流れる。
俺は井上とやらの電撃結婚の様子を眺めながら頭を捻る。お相手は地球人ではなく、棒のようにひょろ長く、ゴムみたいにクネクネした人。
「何星人? いや、それよりもこの場所は何? 何なんだ、このアクタという世界は?」
地球の様々な言語とアクタの言語。他にも見たこともない文字が存在する世界。
文字に宿る映像。それを可能とする技術。
掃除をした時計塔の文字盤には、地球のローマ数字が使われていた。
日本製のエレベーター。地球の技術。
進んだ科学技術と思われる、マヨマヨの転送。
地球の技術を超える水路。
そして、この不思議な通路……。
「さっぱり、わからん。だけど――」
どこかへと続く、透明な階段に目を向ける。
「昇っていった先に、何かヒントがあるかも……」
階段を見上げる。
魅力と危険に彩られた美しき手が、俺を手招きしている。
壁に入るまでは、警戒心が針のように心を覆っていた。
しかし、覆っていた針はすっかり抜け落ち、気がつけば、未知に対する怯えは好奇心という甘美な御手となっている。
俺はその手を握りしめ、階段を上がっていく。
「なんだ、ここ?」
黒い空間。
周りには無数の文字たちが、ホログラムのように立体的に浮き上がり飛び交っている。
それらが放つ光が電灯の代わりとなって、黒い空間を明るく照らし出していた。
「おいおいおいおい、何だよここは? それにこの妙な雰囲気……」
狭間の世界と全く様相は違うが、肌にはあの世界と近しい空気を感じ取る。
だからといって、この空間が幻というわけではなく、現実の世界だということはしっかりと認識できる。
少し先に目を向ける。先には、狭間の世界や箪笥の世界には存在しない、上へ続く透明な階段が……。
俺は階段から視線を切り、飛び回る文字へ目を向ける。
ほとんどがアクタの言語とは違う、見たこともない言語。
しかし、中には見覚えのある言語や数字も混ざっている。
「英語。あれはラテン語、かな? お、漢字が。あっ、ひらがなまで」
いくつかの文字は文を構成していた。
読めそうな文字を選び出し、文を読んでみる。
「汚職事件。井上、電撃結婚。明日は晴れるでしょう。で、あれは英語で、まーず、すぺしゃりてぃ、ふれいむ……ラーメン? 火星名物・炎ラーメンってこと? ラーメン屋の親父がテキトーに書いた英語っぽいけど、意味は通じるのか? 俺自身、英語が苦手だから何とも言いようがないけど」
右側を通り過ぎていった文字を読む。
「こっちは中国語か……火箭で続く漢字は、えっと? くそ、簡体字わかんねぇ。続く文字は友っぽい漢字だけど。火箭の意味はたしか、火矢とかロケットだから、ロケット発射的な?」
続いて、アクタ語の文を読む。
「今日は畑の収穫。橋があればいいのに。最近、ダイエットに失敗した……なんじゃ、こりゃ?」
飛び回っている文字のホログラムには、特に重要な文章はない。
誰かの日記や新聞を適当にくり抜いた様なものばかり。
共通する何かが隠されている様子もない。
俺は目の前を横切ろうとした、全く見知らぬ文字のホログラムにちょんっと触れてみた。
すると、文字は空中に浮かぶ画面へと切り替わった。
「ちょ、なに? 何が始まるの?」
画面は数度のちらつきを見せて、映像を映し出してきた。
表示されたのは、巨大な一匹の白いタコが、まだら模様タコたちを虐げている映像。
「CG? いや、本物? 宇宙人? 宇宙怪獣? ふむぅ~、他の文字を触ったら、どうなる?」
浮かぶ、見知らぬ別の文字へ触れる。
新たに画面が生まれ、映像が現れる。
銀色のスーツを着用し、顔が皺くちゃで、口元に大量のミミズのようなものをぶら下げた奇妙な生命体が映った。
ミミズはうねうねと動いていて、かなり気持ち悪い。
画面の端にもう一人、同じ種族の人物が現れた。
そいつは真っ裸で、最初に映った奴に近づき、唇を重ねた。
互いのミミズが絡み合い、何ともおぞましい映像を生み出す。
直視するには耐えられず、反射的に画面を叩く。その衝撃で画面はキラキラと星のような瞬きを残して消えてしまった。
「今の、もしかして、エッチな動画とか? え~、さっきの二人には悪いけど、きっついよ。あれは~」
その後も、いくつかの文字に触れてみた。
どの文字もその文字に関係していると思われる映像が流れる。
俺は井上とやらの電撃結婚の様子を眺めながら頭を捻る。お相手は地球人ではなく、棒のようにひょろ長く、ゴムみたいにクネクネした人。
「何星人? いや、それよりもこの場所は何? 何なんだ、このアクタという世界は?」
地球の様々な言語とアクタの言語。他にも見たこともない文字が存在する世界。
文字に宿る映像。それを可能とする技術。
掃除をした時計塔の文字盤には、地球のローマ数字が使われていた。
日本製のエレベーター。地球の技術。
進んだ科学技術と思われる、マヨマヨの転送。
地球の技術を超える水路。
そして、この不思議な通路……。
「さっぱり、わからん。だけど――」
どこかへと続く、透明な階段に目を向ける。
「昇っていった先に、何かヒントがあるかも……」
階段を見上げる。
魅力と危険に彩られた美しき手が、俺を手招きしている。
壁に入るまでは、警戒心が針のように心を覆っていた。
しかし、覆っていた針はすっかり抜け落ち、気がつけば、未知に対する怯えは好奇心という甘美な御手となっている。
俺はその手を握りしめ、階段を上がっていく。
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