マヨマヨ~迷々の旅人~

雪野湯

文字の大きさ
219 / 286
第二十四章 秘める心と広がる思い

アプフェルの覚悟と想い

しおりを挟む
 俺とパティの間に、暖かくも寂し気な空気が流れる。
 その空気を不躾な狼たちが吹き飛ばした。


「ほほぉ~、話を聞く限り、なかなかの傑物と見えるな。フォレという子は。だからといって、そう簡単には!」
「もう~、おじいちゃん。どっか行ってよ~」


 アプフェルとセムラさんは、まだ仲良くじゃれ合っている。
 そんな二人を目にして、パティは扇子を開き口元に置いて呆れ声を漏らした。


「今の話、聞いていらしたのね?」
「あ、うん、ごめんね」
「すまぬの。悩める若人の話を盗み聞きする気はなかったんじゃが……」

「まぁ、いいですわ。話してみると、それほどつかえのある過去ではありませんでしたし。あの頃は色々とありましたけど、どうやら懐かしき思い出となっているようですわね、ふふ」


 パティは過去と今を見つめ、笑う。
 その姿を瞳に宿したアプフェルは柔らかな笑みを零す。


「そうなんだ」
「ええ。あ、そうそう、一つだけ権利を行使させていただきますわよ」
「権利?」
「わたくしの過去を話したんですもの。次はアプフェルさんの番でしょう?」
「えっ?」

 たじろぐアプフェル。隣から狼が吼える。


「詳しく聞きたいのぉ。そのフォレという男とどこまで行っているのかっ?」
「どこまでも行ってない! って、おじいちゃん関係ないでしょっ、もう!」


 アプフェルはプイっと横を向いて、何も話すまいと口を真一文字に閉める。
 しかし、パティは催促を止めず、セムラさんはフォレとの関係が知りたくて激しく詰め寄ってくる。

 周囲には戦場に向かう兵士たち……。
 彼らは緊張感の欠片もない現場を目の当たりにして、底抜けな呆れ笑いを漏らしている。
 アプフェルはそんな兵士たちの視線に耐え兼ねて、俺たちを道の隅に引きずり込んだ。

「もう、わかったから。話すからっ」

 観念したアプフェルはフォレとの出会いを語る。

 

 アプフェルが国立学士館へ通うために王都へ訪れたのは、三年前……。
 パティが不登校だった時期と重なる。

 学士館に来たばかりの彼女には知り合いもなく、一人過ごす日々が多かった。
 また、人間を中心とした学校であったため、人狼であるアプフェルを奇異の目で見る者も少なからずいた。
 そのこと自体はアプフェルも想定の範囲内だったようだ。

 だが、寂しさというものが心をゆっくりと蝕んでいく。
 同時に、人間に対する諦め。
 彼女は当時をこう振り返る。


「あの頃の私は人間にがっかりしていた。王都には多くの種族がいるというのに、人間は壁を作っている。人間を中心としていた学校にいた私は、それをより一層肌に感じていた」


 しかし、彼女のことを気にかけている人間もいた。
 それはアプフェルの担当教官である教授。

 ある日のこと、その教授は学士館に届いた近衛このえ騎士団の依頼をアプフェルに任せることにした。
 

「たぶん、先生は気分転換のつもりで任せたんだと思う。それに、あの時の依頼は盗賊退治。実戦経験のある魔導生が少なったこともあるのかも」

 その依頼で、アプフェルはフォレと出会う。
 彼はアプフェルと年もそれほど離れていない青年。

 礼儀正しく、とても美しい男性だったが、アプフェルは彼の姿を暗く淀んだ瞳で見ていた。

(どうせ、この人も人狼を……)


 だが、フォレは違った。
 アプフェルを同じ人と見て、女性と見て、接してくれた。
 最初は抵抗感があったアプフェルだが、何度も一緒に近衛騎士団の依頼を行っていく中で、フォレという騎士を、一人の男として見るようになっていた、と。


「誰にでも平等に接してくれるフォレ様を身近に感じて、私は気づいたの。もしかして、壁を作ってるのは私も同じじゃないかって。それから私は、積極的にいろんな人と接するようになっていった」


 アプフェルの瞳に懐かしさの光が宿る。
 瞳に映るのはフォレの姿。
 彼女は瞳の中の彼に微笑む。

 
 そんな彼女の姿を見た、俺とパティとセムラさんは……。


「やっば、ガチの恋ですぜ、パティさん」
「ですわね。なんだか、こちらが恥ずかしくなってしまいますわ」
「ぬぬぬぬっ、聞くからには好青年のようだが。しかしっ、儂の目で確かめるまでは認めんぞ!」

「あんたらねぇ~、人の純愛をなんだと思ってるの!?」

「自分で純愛言うなよ……」
「普段は純愛とは程遠い、嫉妬に塗れていた気がしましたが?」
「くくっ、まさかアプフェルから愛なんて言葉が……成長しておるのじゃな。じいじはじいじは……」

 セムラさんは何に感極まったのか、腕を目に当てて涙を拭い続ける。
 当てた腕はふさふさの毛で覆われていて、タオルよりも吸水性がよさそうだ。


 そんなセムラさんは置いといて、俺はパティの口から飛び出した『嫉妬』の言葉に注目した。


「アプフェルさ、みんなと仲良く接するようになったくせに、フォレのライバルを牽制してたわけ?」
「う、それは……」

 パティが俺に続く。

「ええ、そのおかげで女学生の方々からは仲間外れにされていましたし」
「パティ~、あんただって基本一人だったじゃないのっ」
「あら、これでも少なからず友人はいましたわよ。皆、名門貴族の方々でしたが。名ばかり貴族の方々は嫉妬がひどくて」

 
 俺は再度耳にした、嫉妬という言葉から懐かしい記憶を思い出す。
 
「そういえば、初めてアプフェルに会ったとき酷い目に遭ったんだよなぁ」
「うぐっ」

 アプフェルは尻尾を跳ねて、猫耳をへなりと下げる。
 その姿をパティは楽しそうに見つめながら俺に尋ねてきた。

「何があったんですの?」
「俺さ、頭に怪我を負って、馬上のフォレの後ろに座ってたんだよ。そしたらアプフェルが『フォレ様。誰です、この女っ?』って、嫉妬丸出しの口調で責めるわけ」
「まぁ、酷いっ。怪我人に対してそんな態度を?」

「ちょっと待ってよ。その時は怪我をしてることを知らなかったから仕方ないじゃないの。それにそのあとちゃんと謝ったじゃない!」

「そうだっけ~?」

 俺はわざとらしくとぼける。

 アプフェルは歯ぎしりを交えつつ、しっぽと耳の毛を逆立てている。
 そこから予想だにもしなかった、とんでもない一言をぶつけてきた。


「そういうヤツハは、フォレ様のことどう思ってるの!?」
「え?」


 ピシリと、空気が固まる。
 パティは畳んだ扇子を顎先に置いて、俺の言葉をいたずらな笑いを交え待つ。
 セムラさんは泣くのをやめて、狼の耳をピクリとこちらへ向ける、って、なんだこの爺さんは?

 周囲の兵士もわざわざ列を離れ、何故か聞き耳を立てている。 
 そこにはいつもの三人組。スプリ、フォール、ウィターも混じってやがる。
 
 俺はアプフェルへ顔を向ける。
 彼女の表情は真剣そのもの。
 絶対にはぐらかせる気はないという気迫が伝わってくる。


「はぁ」
 俺はため息を一つついて、フォレに対する感情を思い起こす。

(フォレ、か……)
 あいつに対する感情の答えは出ている。
 ヤツハはフォレに惚れている。
 それは間違いない。
 今もフォレの名を心に響かせると、それにヤツハの心は応え、俺の心に熱を帯びさせる。
 だけど、俺は……。


 ゆっくりと、一音一音生み出すように言葉を漏らす。
「フォレのことは……好きだよ」

 この答えに、アプフェルは悲しそうな顔を見せた。
 でも、すぐに笑顔を見せて、答えを返す。

「そっか、ヤツハなら……ヤツハなら、そう、やつは、なら……」

 アプフェルは笑顔のまま瞳に涙を溜めていく、
 それが溢れ出し、零れそうになったところで、俺はアプフェルの頭を軽く叩いた。

「この、ばかっ」
「いたっ、何するのよ?」
「簡単に諦めんなっ」
「で、でも、たぶんフォレ様も、ヤツ」
「黙れっ! 最後まで俺の話を聞け!」
「えっ?」


 俺は大きく息を吸って、ヤツハの心に触れる。
 彼女の心に眠る思い。それは笠鷺燎の心に浸透していく。

 ヤツハは、フォレが好きだ。愛している。
 だけど、それは今の俺の心じゃない。
 そう、俺の心は別にある。


 俺はアプフェルを真っ直ぐ見つめて、偽りのない心を晒す。

「俺はフォレが好きだ。愛していると言ってもいい。だけど、それ以上に気になる人が俺には・・・いる」
「えっ、ど、どういうこと!?」
「ふふ、自分自身でも、その人に対する自分の感情がわからなくってね……正直言えば、その人のことは苦手な人の部類だった。でも、ほっとけないというか、誰にも理解してもらえない心を支えてやりたいというか。ま、とにかく、フォレ以上に気になる人がいるから、俺がフォレを選ぶことはないよ」


「そうなの……? あ、そっか。それって……うん」
 アプフェルは何に感づいたのか、一人で納得する素振りを見せた。
「あれ、アプフェル……もしかして、俺が気になってる人に気づいた?」
「え? ううん、全然。それよりも、その気になる人とはうまく行きそうなの?」

 てっきり、俺の心の中にいる人物の正体に気づいたのかと思ったけど、どうやら違うみたいだ。
 彼女の様子はちょっと気になったが、話を止めるほどでもないと思い、話を進めることにした。


「うまくいくかって聞かれると~……おそらく、無理。俺はあの人から選ばれることはないよ……」
「そう、なんだ……」
「残念なことにね。あ~あ、このままいくとずっと独り身になっちゃうなぁ」

 俺は意味もなく、ぐっと背伸びをする。
 これが何に対する、どんな感情に対する誤魔化しなのかわからない。

 ググっと背伸びをし意識を変えて、力の籠る眼でアプフェルをじっと見つめる。


「これが俺の答え。アプフェル、一つだけお前に伝えておきたいことがある」
「な、なに?」

「フォレの心にいる俺は手強いぞっ。お前に勝てるのか!?」
 俺はわざとらしくニヤリと笑みを浮かべる。
 その挑発を、アプフェルは正面から受けて立つ。

「な、な、な……負けるわけないじゃないの! 私はアプフェル=シュトゥルーデル! あんたの幻影なんかに絶対負けないんだから!!」
「ああ、そうだな。お前なら必ず、フォレの心を掴む。頼んだぞ、相棒。俺の大切な人を任せた」

 俺は拳を前に伸ばす。
 アプフェルはその拳を掴み、俺を引き寄せた。

「私の大切な人。あんたのじゃない!」
「ふふ、そうこなくっちゃ。アプフェルらしくない」
「フンッ、見てなさい! フォレ様はベタ惚れにさせてやるんだからっ」

 アプフェルは堂々と胸を張り、そう俺に宣言する。
 俺はその宣言を笑顔で受け入れた。

 

「う~ん、そうなりますと、一人可哀想な方が出てしまいますわね」
 
 パティは左手に持つ扇子で右手を叩きながら唸り声を上げる。
 セムラさんは何かを憐れむような表情を見せている。
 それは周りにいる兵士やスプリたちもだ。

 俺は妙な空気が気になり、みんなに尋ねた。
「どうしたの、みんな?」

 すると、パティからセムラさん、スプリ・ウィター・フォールと順番にみんなは答えていく。

「だって、フォレさんはあなたに思いを伝えることなく振られたことになるんですよ」
「孫に相応しい男かはともかく、同じ男として、少々可哀想じゃわい」
「あ~、僕はフォレ様と会った時、どんな顔をすればいいのか……」
「自分は……聞かなかったことにします」
「だけどよ、こんな大勢の前で話しちゃってるんだぜ。手遅れだろ。これって公開処刑だよな」

 最後のフォールの言葉を聞いて、俺は短く声を出した。
「あ」
 
 そう、周りには大勢の兵士たちがいる。
 
 俺は数度大きく深呼吸をして、みんなに頭を下げる。

「え~っとですね。このことは全部聞かなかったことにしてください。このヤツハ、一生に一度のお願いでございます……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...