僕が君を守る、そんな物語が紡がれる

ノア オリバー

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出会い、それは運命が変わる瞬間だった。

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ホームルームが終わり僕は、みんなに囲まれていた。
「オッドアイって超カッコイイじゃん!」
とか
「鬼邪君ってイケメンだよね!」
お世辞だろうが、
「ありがとう」
そう返した。
帰る時間になり僕は帰路を辿った。学校生活楽しみだなー。そんなことを思いながら。





家に着いた。僕は高校生になり施設を出て一人暮らしを始めた。園長に援助はしてもらっているが…。
園長には感謝でいっぱいだ。明日からバイトして少しでも早く自立しよう。そう思うのだった。明日を楽しみに待って、僕は深い眠りについた。






次の日、学校に向かう途中、友達が来た。
「鬼邪~。おはよー」
その友達は笑顔で僕に歩み寄ってきた。
「あぁ。おはよう。輝翔(ひかりと)」
彼の名前は、青天 輝翔(せいてん ひかりと)
僕と同じで施設から出て、1人で暮らしている。
施設に来た理由は、早くに親を無くし、親戚の家で育てられることになったが、暴力が絶えず逃げ出した所を園長がたすけてくれたそうだ。本当に園長は何者なんだ?
「鬼邪ってスゴいモテるよな~」
何でそうなった?
「…なんで?」
思わず聞き返す。
「だって、入学してすぐチヤホヤされてるじゃん。
いいなー」
なんだそれ。
「いや、ただオッドアイが可哀想だからだろ。負い目だよきっと。」
うん負い目だよ。きっと。
「そうかなー…」
そんなどうでもいい事を話しながら僕らは通学路を進むのだった。





「ねぇ、ミリア?」
ケラケラと笑うように名前を呼ばれる。
「な、何ですか?」
私は振り向く。そしたらいきなり、水を掛けられた。そしてまた笑い声。
「冷たい」
私は誰にも聞こえないような声で呟くのだった。






お昼休みになった。僕らは教室にいた。
「おい、お前ら…分かってるな?」
そう言って僕は拳を出した。
そうしたら、みんなゴクッと唾を飲み込んで、拳を出した。そこには、輝翔もいるし他の昨日出来た友達2名もいた。
「じゃあ行くぞ…」
今、勝負の時!!!
「最初はグー!ジャンケンポン!」
僕はグーを出した。そしたらみんなは
「1人負け…だと!?」
みんなパーを出していた。
「は、はめられた!!??」
そんな冗談を言うと。
「鬼邪、お前がグーを出すのは長年一緒にいた俺が分かる、それを事前に皆に伝えておいた。」
なぁに!?
「ク、クソ!ずるいぞ!もう一回だ!」
そんなの不公平だ!
「…そう言うと思ってたんだ!だから俺は…1回勝負だって言ったんだ!」
「なっ!!!!」
くそ、完璧にはめられた。
「…負けたよ。みんな焼きそばパンでいいんだよな?」
あぁ、と皆相槌を返す。
「後で金くれよ?…じゃあちょっくら行ってくるよ。」
僕はそう言って教室を出た。






「ねぇ、ミリア?」
瞬間、私の体は凍りついた。
「は、はい。な、何ですか?」
なにをされるんだろう。殴られるのかな…
「焼きそばパン買って来なさいよ。あんたの奢りでね。4人分買ってきなさいよ。」
パシリ…か。でも殴られるよりマシだ。
「は、はい。買ってきます。」
そしたら背中を思いっきり蹴られた。私は前のめりに転ける。後ろからは笑い声。そして一言、
「早く買ってきなさいよ。」
私は、教室から急いで出た。






「おぉ!」
そう僕は喜んだ。焼きそばパンがちょうど4人分あったのだ。
「おばさんこれください。」
俺は笑顔でそう言った。
「はい400円ね。…あらあなたがA組のオッドアイの陽気な子ね!」
噂って凄いな。一瞬で広がるなんて。
「はい。僕が陽気なオッドアイの鬼邪です。毎日来ると思うので、鬼邪って気軽に呼んでください。」
僕が笑顔でそう言うと、
「あらあら、可愛らしい子ね。気に入ったわ。鬼邪はいこれ焼きそばパン、出来たてだから美味しいわ。」
優しい人だなぁ。
「ありがとう。おばちゃん。」
そう言って戻ろうとした、その時、凄い勢いで僕の隣を少女が横切った。
「うぉっ!?」






「嘘…」
私は思わずそう口に出していた。
焼きそばパンは売り切れていたのだ。
「おばちゃん…焼きそばパンってもうないの?」
私は、売店の奥にまだ焼きそばパンがあることを祈って聞いた。
「ごめんねぇ~さっきので最後なのよ。」
「そ、そんな。」
おばちゃんは、ここ、昼の1時までなのごめんね。閉めるわね。そう言ってシャッターを降ろした。
私は地面に膝を着いて小さく
「…また殴られる。」
そう呟いた。






今隣を横切った少女は、膝を着いて落ち込んでいた。そして小さく
「殴られる…蹴られる…」
そう零していた。僕はそんな彼女を見ていて、いじめられているのを察した。だから僕は、
「…あの。良ければこれ…」
そう言って紙袋を渡した。彼女は、涙が溢れる目を拭い紙袋を受け取った。下向きの彼女の顔は見えないが、恐らく、凄い落ち込んでいるだろう。






「…!?これ!?焼きそばパン!いいんですか!?」
私は顔を上げた。そして思わず紙袋を落としてしまった。そこに立っていたのは、私と左右対称的な目をしている。少年が立っていた。




「なっ!?」
僕と同じ目だ。一瞬驚いて僕は、妙に納得する。
そうか、オッドアイだから虐められているのか…と。
「…ねぇ君?」
僕はそう彼女に呼びかけた。







「…友達になってくれないかな?」
そう、その少年は言ってきた。
「君の目は僕と同じ、君も何か心に深い傷を、負ってたりするんじゃ…ないかな?」
そう彼は言ってきた。その通りだ。私は何も言い返せなかった。
「…とこんな話をしていると、君の【お友達】に迷惑がかかるんじゃないかな?」
はっ!と私は思い出す。そうだった。
焼きそばパンを買わなきゃって…
「…このパンあげるよ。君の方が重要そうだし。」
そ、そんな…
「で、でも」
本当にいいんですか?そう聞こうとした時
「早く行きな。また、深い傷を負うかもしれないよ?」
!!!それを聞いた私は、ぺこりと頭を下げて急いで教室に戻って行った。







「神咲 ミリア…それが彼女の名前か…。」
多分、彼女は虐められているのだろう。あの震え方は、多分そうだ。
「何か、妹みたいな感じだな。」
僕はクスッと笑った。僕と同じ目なんて。兄妹みたいじゃないか。そしてふと真顔に戻る、あの子の目はきっと、片方が僕の目だ。虐められるのは僕の目のせいだとも考えられる。なら、その罪を滅ぼそう。彼女を絶対、
「助けてやるからな、」













「……神咲 ミリア…」






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