僕が君を守る、そんな物語が紡がれる

その後

僕はあの後教室に戻った。
｢ごめんみんな。売店もうしまってたよ…｣
僕はそう言って肩を竦めて見せた。
｢マジかよ！…まぁしまってたなら仕方ないよな。｣
輝翔が他2人にそう同意を求める。他2人も閉まっていたならと許してくれた。
｢ありがとう。また明日買って来るよ。｣
そう言って、僕らは席に着いた。案外長い時間売店にいたようだ。まだ売店は開いてたけど…ごめんみんな。僕は謎の罪悪感に襲われるのだった。





私は急いで教室に戻った。
｢はぁ…はぁ…。あの…焼きそばパン買って来ました。｣
私は呼吸を落ち着かせながら、焼きそばパンを差し出した。
｢…へぇ。売り切れてると思ったんだけど…まぁいいわ。今日はいじめてあげないであげる。｣
小さい声でボソボソと呟いたあと、虐めないであげると言われた。
｢あ、ありがとう…ございます。｣
私は感謝し、席に着いた。あの人のおかげで今日は虐められないらしい。1年A組の石神くんらしい。
彼の目は私と同じみたいだ。何か知っているかもしれない。彼も私と同じ半吸血鬼かもしれない。帰り、校門前で待っていよう。私はそんなことを考えて授業が始まるの待つのだった。




 
終学活が終わり、校門まで行くと先程売店であった少女がいた。
僕は、輝翔に
｢今日は一人で帰るわ、また明日ー｣
と言った。
｢オッケー、またあしたー｣
輝翔は本当に話が早いやつだ、そういう所も合わせて良い友達だ。
｢…お久しぶりです。｣
僕は、売店で会った少女にそう言葉を発した。







｢お久しぶりです。｣
いや、さっき会ったばかりですよね？
そう口から出そうになる。
｢…あの、貴方の目。それは｣
私が言葉を発している途中彼は被せるように、言う。
｢…あぁ。このオッドアイですか？…多分勝手な考察ですけど、あなたの黒い目、私の目だと思うんですよ。｣
そうだ。そうに違いない。私は吸血鬼で、両目とも赤いはずだった。
｢…でも、私は…｣
私は、赤い両目の方がもっと虐められる。そう確信を持てた。だからだろうか、自然と私の目からは涙が出ていた。








少女の目からは涙が零れていた。
｢…どうしましたか？｣
僕は真剣な顔でそう聞く。
｢私は…この目が貴方のだと分かっています。でも、でも、両目が赤かったから私は虐められる。だから、だから返したくないんです！｣
｢そんなことを聞いてるんじゃない！｣
僕は思わず叫んでしまった。
｢君の目と僕の目が入れ替わったのはもしかしたら僕のせいかもしれない。ってことは僕の目のせいで君が虐められているのかも知れない。だから…だから」
僕は一息着いて、
｢僕が君を救うから！僕が君を守るから！｣
少女の顔は驚きに満ちていた。
｢…友達に、友達になって…くれませんか？｣
そう少女は零した。
｢はい。絶対に守ります。でも、｣
でも、
｢僕にとっては家族になって欲しいですね。
なんかあなたを見ていると妹を見ているようで。｣
はっ！しまった！つい口に







きっと、きっと。彼も辛い思いをしていたのだろう。私は友達を欲した。でも彼は家族を、欲した。
彼は家族がいないのかもしれない。
｢妹…ですか｣
妹…確かにそれはいいかもしれない。私に少し似ている、頼もしいお兄さんか…。
｢私を守ってください。えーと、｣
名前はなんだっけ？
｢鬼邪です。石神 鬼邪。｣
あぁ鬼邪さんって言うのか
｢鬼邪さん、よろしくお願いします。私を守ってください。｣
そう言って私は深々と頭を下げた。








彼女は言わば、僕の半身。僕は家族がいないのに対し友達がいない。僕と彼女は対のような関係なのだ。だから
｢守ってみせますよ。ミリア。僕はあなたを絶対に守る。｣







その日から僕達は家族(友達)になった。 そして僕とミリアはこの日から、登下校を一緒にすることになったのだった。