僕の周りの人達には秘密がある

ノア オリバー

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第1章 石神 隼歌の秘密

守る【第1章 完】

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僕はその、完璧な計画を石神に話した。
「ねぇ。雨流射君、わざわざーーられる必要なくない?」
全くその通りの返事が返ってきた。それに対し僕は、
「保険だよ、保険。一応信じてくれるだろうけど、決定的な証拠があった方がより信じるでしょ?」
僕はそう返した。信じてくれるとは思う。だが念には念をってやつだ。
「…でも、雨流射君がこんな目に合うのは…私が代わりに…」
彼女はそう言ったが、僕はその彼女の言葉を
「いいや、石神はもうそれだけのことをされてる。でもずっとーーられるのも気に食わないから証拠が取れたらやり返すよ。」
否定し、計画の通り、やり返すと伝えた。彼女は
「…雨流射君がそう言うならそれでいいよ。あ、ありがとう雨流射君。」
石神は、輝かしい笑顔を僕に向けて言った。僕は顔を逸らし、言った。
「何度だって守るよ。君が救われるならね。」
と。



 





放課後になった、僕は屋上にいた。石神はいない。これが僕の計画だ。いじめっ子を待っていた。
「何でいじめられるのに待つんだよ…、ただのMじゃないか…。」
まぁ違うけど。これから僕〝ら〟がするのは、いじめをする奴らへの…。
「へぇ、律儀にも待ってたのかい?」
いじめっ子達が10人位でゾロゾロ屋上に来た。
「いや~誘ったのは僕だからね。」
僕はわざと余裕そうに言った。
「あれ?石神は?何でいないの?」
「お前らなんかに石神はこねーよ。僕がここでお前らをねじ伏せるからな。」
僕は煽る。こいつらが怒り狂って暴れ出すように誘導する。
「あ?やれるもんならやってみろや!」
そう言っていじめっ子達は一斉に僕に襲いかかってきた。殴られ蹴られる。1…2、3…4、5、6…7、8…9…10…11!全員に殴られたと思うと、僕は倒れた。後ろから物陰に隠れていた石神が出てきた。いじめっ子達は一斉に石神の方を見た。
「お前いたのかよ。このでかい口叩いたあんたの彼氏は倒したよ?」
そう言ってぞろぞろと石神の方へいじめっ子達は移動する。







…ふっ。やっぱり、馬鹿だな。





 


「ねぇ。雨流射君、わざわざ殴られる必要なくない?」



「いいや、石神はもうそれだけのことをされてる。でもずっと殴られるのも気に食わないから証拠が取れたらやり返すよ。」





これが計画、こいつらを完全にボコすことができる条件を揃わせる。正当防衛の証拠、これさえあれば…。


完全に僕の独壇場だ。









ゾロゾロと私の方に来るいじめっ子に、私は恐怖しなかった。なぜなら、いじめっ子達の後ろに…彼がいたから。

そこからは彼の独壇場だった。ものの30秒で周囲にはいじめっ子達が転がった。
「さぁ、これでわかっただろう?僕がずっと石神の横にいるんだ、これでもまだいじめるかい?」
いじめっ子達は返答しない。全員気絶しているんだろう。彼はふっとこっちを向いて言った。
「さぁ、帰ろうか。家まで送るよ。」
そのとんでもなく真っ直ぐな笑顔に、私は一瞬ときめいてしまうのだった。












あのいじめっ子撲滅計画から数日。アイツらは自分らの都合のいいことばかり言って、先生を味方につけた。しかし僕らが撮っていた動画とボイスレコーダーを先生に見せてあっという間に形勢逆転。先生達は会議の末、いじめっ子達に2ヶ月の停学処分を下した。いやはや、ここまで完璧に計画が進むとは思っていなかった僕は驚いていた。まぁそれはいいのだ。石神…いや隼歌は笑顔を前より沢山見せるようになった。何故隼歌と名前呼びしたかって?何か隼歌に下の名前で読んでって言われたからだ。ぶっちゃけ石神、石神って言いにくかったから良かった。まぁ、今後彼女がいじめられることはないと思うが、もしも彼女が困ったら手を差し伸べよう。そして、僕の周りの人も困っていたら助けよう。例えば、横で勉強している、〝 光梨 愛澄花(ひかり あすか)〟という名の少女とか…ね。









今日も僕は彼との約束を守る。いや約束だけじゃない。約束兼償い。僕がヒーローになって、助けられなかった彼への償い。僕が彼と交わした約束。これも守る。僕は全てを、大事な人を守るんだ。これは、青春のラブストーリーではない。僕が罪滅ぼしをする償いの物語。僕は彼との約束を果たして…。










第1章 石神 隼歌の秘密 ~完~

次章
第2章 光梨 愛澄花の秘密

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