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第2章 光梨 愛澄花の秘密
助ける【第2章 完】
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僕は光梨の家に来ていた。勉強会をしているのだ。
「あ、光梨。この問題はね…。」
僕はわざと体を密着させ、光梨に勉強を教える。近くでは、彼女の両親が僕を睨んでいる。あ、両親も光梨だったんだ…。彼女のことは愛澄花って呼ぼう。
「雨流射君って本当に勉強できるんだね。」
演技ではなくマジの方でコソッと僕に愛澄花は言った。
「…まぁね。」
僕は強くならなくちゃいけないからな…。
…愛澄花の両親の感じからしてそろそろ…。
「ねぇ、雨流射君と言ったからしら?ちょっと私たちと話をしない?あなたの事が聞きたいの。」
と、愛澄花の母親が言ってきた。僕は目で愛澄花に合図を送った。愛澄花はそれを汲み取って、母親に言った。
「ねぇお母さん、私も一緒に話を聞いていい?」
愛澄花が質問をする。すると愛澄花の母親は、
「愛澄花は来ないで。ちょっと彼とだけ話がしたいの。」
「わかった。」
愛澄花はすんなりと引き下がる。
「…はい。どこで話しますか?」
「そうね、こっちへ来て。」
僕は案内された方へ進んだ。
「ねぇ君、愛澄花と関わらないでくれない?」
冷えきった声で、愛澄花の母親が僕にそう言った。
「何でですか?光梨は友達です。何で関わってはいけないのですか?」
それはねと彼女は一拍を置いて告げた
「あの子の頭が悪くなるからよ。あなたみたいな庶民とあの子は格が違うわけ。わかる?あの子の気持ちもかんがえてちょーだい。」
その言葉に僕の頭からプッチーンとよくマンガとかに出るあの音がなった気がした。
「…おい。気持ちを考えろだぁ?どの口が言ってんだ?あんたはわかんのかよ。あいつの気持ちが!」
「えぇ分かるわよ。私は優秀だからあんたなんかと友達なんて嫌ーとか思ってるわよ。」
雲界大学首席?聞いて呆れる。人の気持ちも考えない、いや考えることが出来ないクズ野郎じゃねーか。
「ふーん、あーそうですか。ってことはあなた、愛澄花さんに本音言われていんですね。信用されてないんじゃないですか?聞いて呆れますね。雲界大学首席が。人の気持ちも察することが出来ないただの凡人以下、赤ちゃんじゃないですか。もーそんなんだったら彼女の親変わりましょーか?」
僕は煽る。演技じゃなくて本心から。作戦なんかじゃない。思っていたよりこいつは頭が悪かった。計画なんてもん別に要らなかったってことだ。
「…へぇ。あんたに愛澄花が思いを話したってこと?面白いじゃない。言ってみなさいよ。」
「愛澄花さんは僕を信用してくれて話してくれたんで、あなたみたいに信用されてない人に話すのはどうかと思うんですよー。え?当たり前ですよね。プライバシーに勝手に踏み込むのはダメですもんね?」
当初の予定では、僕はこいつに話す予定だった。だが、僕は言う気が無くなった。こいつに話しても無駄だと、改めて確認したからである。
「すごく煽るわね?あんた。でも私は買うわよ?煽るってことは喧嘩を売ってるってことよね?買うわよその喧嘩。あなたを消してあげるわ。」
そんなふうに脅してくる彼女に僕は真顔を貫き、こう言った。
「消すとか消さないとかどうでもいいけど、あんたが子供を自慢道具にしか見てないのはわかってんだよ。愛澄花は人形でも道具でもない。人間だ。勉強ができる=自慢するになるお前の思考回路は本当にクズ、この一言に尽きるよ。」
僕の口は、まだ止まらなかった。
「お前は愛澄花の気持ちを考えたことがあるか?必死に勉強してもあんな問題出されたら解けねーよ。しかも点数が悪かったら殴るだぁ?何様なんだお前。挙句の果てに権力者であることをいいように使って塾にまで脅しをかける、本当にクズだ。分からない問題も何も解説もしてくれないからどんどん分からなくなってくんだよ。それであんたはこういうのさ。」
「「それは時間を取らない塾が悪い」って。」
「愛澄花は、もう追い詰められてるんだよ。家では家族に殴られ、塾では永遠にテスト。学校では死ぬほど勉強している。1度きりの高校生活全てを勉強に費やしているんだ。お前はどうだ。きっと今の今まであいつの努力を知らなかっただろ?優雅にバーとかでグラス持って男たぶらかしてたんじゃないんですか?」
「.........」
何も言えないのか彼女は黙り込んだ。
「何も言えないだろ。全部事実だろうしな。…別に僕は愛澄花の将来を思って勉強させてるんなら別に何も言わねーよ。でも違うだろ?それだけでテストの点数悪かったら殴んねーだろ?もっと優しい言い方とか態度があるだろ?辛そうなんだよ、いつも愛澄花は。それも察してあげられないなら、」
僕は背を向けて言った。
「親なんて名乗んじゃねー。」
後日談である。光梨は勉強会のおかげか、塾のテストは全て90点後半を取れたそうだ。それから両親にそれを伝えると、両親は泣きながら飛びついて、
「ごめんね愛澄花。あなたをそこまで苦しめていたのね。もう殴らないもう理不尽に怒らない。今から遅くても、ちゃんと親になるわ…ごめんなさい愛澄花ぁ!」
そう言ったらしい。光梨からはありがとうと言われた。僕は腹が立って一方的に意見を主張しただけなんだけどな…。それを伝えたら光梨は、首を傾げて
「お母さんは彼のおかげで目が覚めたって言ってたよ?」
そう言った。僕の言葉が響いたんだろうか?まぁ、光梨は明るくなったし、まぁ良いか。
「ねぇ雨流射君、光梨じゃなくて愛澄花って呼んでくれない?」
「?わかったよ、愛澄花。」
「へへへっ」
「なんだよいきなり」
助けれたのかな…愛澄花を。
なぁ、僕ってちゃんと約束守れてるかな?君と交わしたあの〝周りの人を助ける〟っていう約束を。
「ねぇ、」
僕は空を見上げて、言った。
「晴留射 天翔(せいるう あまと)、君は僕をみていてくれてるかい? 」
今日も晴れている。この晴れがずっと続けばいいのに。
「あ、光梨。この問題はね…。」
僕はわざと体を密着させ、光梨に勉強を教える。近くでは、彼女の両親が僕を睨んでいる。あ、両親も光梨だったんだ…。彼女のことは愛澄花って呼ぼう。
「雨流射君って本当に勉強できるんだね。」
演技ではなくマジの方でコソッと僕に愛澄花は言った。
「…まぁね。」
僕は強くならなくちゃいけないからな…。
…愛澄花の両親の感じからしてそろそろ…。
「ねぇ、雨流射君と言ったからしら?ちょっと私たちと話をしない?あなたの事が聞きたいの。」
と、愛澄花の母親が言ってきた。僕は目で愛澄花に合図を送った。愛澄花はそれを汲み取って、母親に言った。
「ねぇお母さん、私も一緒に話を聞いていい?」
愛澄花が質問をする。すると愛澄花の母親は、
「愛澄花は来ないで。ちょっと彼とだけ話がしたいの。」
「わかった。」
愛澄花はすんなりと引き下がる。
「…はい。どこで話しますか?」
「そうね、こっちへ来て。」
僕は案内された方へ進んだ。
「ねぇ君、愛澄花と関わらないでくれない?」
冷えきった声で、愛澄花の母親が僕にそう言った。
「何でですか?光梨は友達です。何で関わってはいけないのですか?」
それはねと彼女は一拍を置いて告げた
「あの子の頭が悪くなるからよ。あなたみたいな庶民とあの子は格が違うわけ。わかる?あの子の気持ちもかんがえてちょーだい。」
その言葉に僕の頭からプッチーンとよくマンガとかに出るあの音がなった気がした。
「…おい。気持ちを考えろだぁ?どの口が言ってんだ?あんたはわかんのかよ。あいつの気持ちが!」
「えぇ分かるわよ。私は優秀だからあんたなんかと友達なんて嫌ーとか思ってるわよ。」
雲界大学首席?聞いて呆れる。人の気持ちも考えない、いや考えることが出来ないクズ野郎じゃねーか。
「ふーん、あーそうですか。ってことはあなた、愛澄花さんに本音言われていんですね。信用されてないんじゃないですか?聞いて呆れますね。雲界大学首席が。人の気持ちも察することが出来ないただの凡人以下、赤ちゃんじゃないですか。もーそんなんだったら彼女の親変わりましょーか?」
僕は煽る。演技じゃなくて本心から。作戦なんかじゃない。思っていたよりこいつは頭が悪かった。計画なんてもん別に要らなかったってことだ。
「…へぇ。あんたに愛澄花が思いを話したってこと?面白いじゃない。言ってみなさいよ。」
「愛澄花さんは僕を信用してくれて話してくれたんで、あなたみたいに信用されてない人に話すのはどうかと思うんですよー。え?当たり前ですよね。プライバシーに勝手に踏み込むのはダメですもんね?」
当初の予定では、僕はこいつに話す予定だった。だが、僕は言う気が無くなった。こいつに話しても無駄だと、改めて確認したからである。
「すごく煽るわね?あんた。でも私は買うわよ?煽るってことは喧嘩を売ってるってことよね?買うわよその喧嘩。あなたを消してあげるわ。」
そんなふうに脅してくる彼女に僕は真顔を貫き、こう言った。
「消すとか消さないとかどうでもいいけど、あんたが子供を自慢道具にしか見てないのはわかってんだよ。愛澄花は人形でも道具でもない。人間だ。勉強ができる=自慢するになるお前の思考回路は本当にクズ、この一言に尽きるよ。」
僕の口は、まだ止まらなかった。
「お前は愛澄花の気持ちを考えたことがあるか?必死に勉強してもあんな問題出されたら解けねーよ。しかも点数が悪かったら殴るだぁ?何様なんだお前。挙句の果てに権力者であることをいいように使って塾にまで脅しをかける、本当にクズだ。分からない問題も何も解説もしてくれないからどんどん分からなくなってくんだよ。それであんたはこういうのさ。」
「「それは時間を取らない塾が悪い」って。」
「愛澄花は、もう追い詰められてるんだよ。家では家族に殴られ、塾では永遠にテスト。学校では死ぬほど勉強している。1度きりの高校生活全てを勉強に費やしているんだ。お前はどうだ。きっと今の今まであいつの努力を知らなかっただろ?優雅にバーとかでグラス持って男たぶらかしてたんじゃないんですか?」
「.........」
何も言えないのか彼女は黙り込んだ。
「何も言えないだろ。全部事実だろうしな。…別に僕は愛澄花の将来を思って勉強させてるんなら別に何も言わねーよ。でも違うだろ?それだけでテストの点数悪かったら殴んねーだろ?もっと優しい言い方とか態度があるだろ?辛そうなんだよ、いつも愛澄花は。それも察してあげられないなら、」
僕は背を向けて言った。
「親なんて名乗んじゃねー。」
後日談である。光梨は勉強会のおかげか、塾のテストは全て90点後半を取れたそうだ。それから両親にそれを伝えると、両親は泣きながら飛びついて、
「ごめんね愛澄花。あなたをそこまで苦しめていたのね。もう殴らないもう理不尽に怒らない。今から遅くても、ちゃんと親になるわ…ごめんなさい愛澄花ぁ!」
そう言ったらしい。光梨からはありがとうと言われた。僕は腹が立って一方的に意見を主張しただけなんだけどな…。それを伝えたら光梨は、首を傾げて
「お母さんは彼のおかげで目が覚めたって言ってたよ?」
そう言った。僕の言葉が響いたんだろうか?まぁ、光梨は明るくなったし、まぁ良いか。
「ねぇ雨流射君、光梨じゃなくて愛澄花って呼んでくれない?」
「?わかったよ、愛澄花。」
「へへへっ」
「なんだよいきなり」
助けれたのかな…愛澄花を。
なぁ、僕ってちゃんと約束守れてるかな?君と交わしたあの〝周りの人を助ける〟っていう約束を。
「ねぇ、」
僕は空を見上げて、言った。
「晴留射 天翔(せいるう あまと)、君は僕をみていてくれてるかい? 」
今日も晴れている。この晴れがずっと続けばいいのに。
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