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第15話 俺の可愛いテオドール
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テオドールとの生活は思った以上に快適だった。
礼儀正しく、よく気の付くテオドールは、まるで俺の専属の小姓なのかと思うほど、あれこれと甲斐甲斐しく俺の世話を焼いてくれていた。
俺はあくまでテオドールの義理の叔父兼後見人なのであって、俺にそこまで気を使う必要などない、と俺はこんこんと諭しはしたのだが、テオドールは全く意に介さない様子で、メイドからは「ここでの私の仕事を奪う気ですかっ!?」と苦情が来るほどだった。
でもそんなテオドールを見て、俺はとても切なくなる。
きっと今まで育ってきたアルボン家でも、テオドールは肩身の狭い思いをしてきたのだろう。だからこんな風に、周りの人のことまでなんやかんやとやってしまうような少年に育ってしまったのだ。そうに違いない!
貴族の子弟には人を顎で使うことなどなんとも思わない生意気なクソガキが多い。テオドールにはもちろんそんなこまっしゃくれたガキには育ってほしくはなかったが、もっと俺にはわがままを言ったりして、年相応にひねくれたところも見せてほしかった。
だが……、
「叔父様! お茶をお持ちしました。ジャムの乗ったクッキーもご用意いたしました。叔父様はこのクッキーがお好きなんですよね?」
テオドールが俺の前にてきぱきとティーセットを用意していく。
「テオドール、君はそんなことしなくっていいんだってば!」
後ろで仁王立ちして目配せしてくるメイドのエマに怯えながら、俺はあわててテオドールを制止する。
「でも……」
「ほら、お茶はエマが入れてくれるから。テオドールは俺の前に座って。
一緒にお茶を飲もう。テオドールもこのクッキーが好きだろ? 一緒に食べておしゃべりしよう、ねっ!」
「はい、叔父様っ! ありがとうございます。」
ぱあっと顔を輝かせるテオドール。
はっきり言って、可愛い。可愛すぎる!!
あくまで無表情を装う俺だったが、内心は身もだえしていた。
テオドールがここにきてすでに一週間。
最初は緊張気味だったテオドールだったが、最近ではこうして俺の前では笑顔を見せてくれるまでになっていた。
その笑顔が、もう、なんというか、蕩けそうなくらいキュンとくるのだ!
内心ドキドキしながら、俺はクッキーをほおばるテオドールに目を向ける。
正直はじめは、マリユスにそっくりなテオドールが少し怖かった。
でも今では、テオドールがマリユスに似ているなんて、これっぽっちも思わない。どこをどう見て、テオドールからマリユスを想像できたのか、もうすでにわからないくらいだ。
マリユスは確かに美しく魅力的だったが、今の俺にはテオドールの方がよっぽど光り輝いて見えた。
「テオドール、明日は学園に必要なものを一緒に買い出しに行こう。
お姉様からリストが届いたんだ」
「買い物……、俺と、叔父様、が……」
「そうだよ、王都に行こうと思ってるんだけど……」
呆然とするテオドールに、俺はなにかまずいことを言ってしまったのかと焦る。
俺と二人で買い物なんて、14歳の男子からすれば恥ずかしいことなのだろうか!?
「叔父様と、王都で……、二人で……」
「テオドール、嫌だったら無理しなくても、俺一人で……」
言いかけた俺の手を、テオドールはぎゅっと握った。
「俺っ、すごくうれしいですっ! 叔父様と二人で王都で買い物なんて、夢みたいですっ!」
「そう……なの、じゃあ、よかった。好きなもの、たくさん買ってあげるね」
俺はまたきゅっと心が締め付けられる思いだった。
きっと今まで王都で買い物などしたことがなかったのだろう。テオドールはいったいアルボン家でどんな扱いを受けてきたのか? いつか絶対抗議しにいってやる!!
「はいっ! あっ、でも俺のものなんかより、俺は叔父様のものを一緒に選びたいですっ!」
「テオドールっ!!」
俺はテオドールの手を両手で包み込んだ。
――なんて、けなげな子!!!!
もう叔父様はテオドールの欲しいものなら、なんだって買ってあげちゃうからっ!!
「叔父様っ!」
なぜか頬を赤らめて見つめ返してくるテオドール。
「はいはい、お二人とも、お茶のおかわりですよっ!」
そんな俺とテオドールのやりとりに、あきれ顔のエマが割って入ってくる。
「……チッ」
あれ? 今、舌打ちしたの、テオドールか?
だが、テオドールを見ると、俺を見つめたままニコニコとしているだけ。
――気のせいか。
「叔父様、明日すごく楽しみにしていますね!」
「うん、俺も王都は久しぶりだから、楽しみだよ!」
そんなこんなで、俺はテオドールと二人で王都に赴くことになったのだった。
礼儀正しく、よく気の付くテオドールは、まるで俺の専属の小姓なのかと思うほど、あれこれと甲斐甲斐しく俺の世話を焼いてくれていた。
俺はあくまでテオドールの義理の叔父兼後見人なのであって、俺にそこまで気を使う必要などない、と俺はこんこんと諭しはしたのだが、テオドールは全く意に介さない様子で、メイドからは「ここでの私の仕事を奪う気ですかっ!?」と苦情が来るほどだった。
でもそんなテオドールを見て、俺はとても切なくなる。
きっと今まで育ってきたアルボン家でも、テオドールは肩身の狭い思いをしてきたのだろう。だからこんな風に、周りの人のことまでなんやかんやとやってしまうような少年に育ってしまったのだ。そうに違いない!
貴族の子弟には人を顎で使うことなどなんとも思わない生意気なクソガキが多い。テオドールにはもちろんそんなこまっしゃくれたガキには育ってほしくはなかったが、もっと俺にはわがままを言ったりして、年相応にひねくれたところも見せてほしかった。
だが……、
「叔父様! お茶をお持ちしました。ジャムの乗ったクッキーもご用意いたしました。叔父様はこのクッキーがお好きなんですよね?」
テオドールが俺の前にてきぱきとティーセットを用意していく。
「テオドール、君はそんなことしなくっていいんだってば!」
後ろで仁王立ちして目配せしてくるメイドのエマに怯えながら、俺はあわててテオドールを制止する。
「でも……」
「ほら、お茶はエマが入れてくれるから。テオドールは俺の前に座って。
一緒にお茶を飲もう。テオドールもこのクッキーが好きだろ? 一緒に食べておしゃべりしよう、ねっ!」
「はい、叔父様っ! ありがとうございます。」
ぱあっと顔を輝かせるテオドール。
はっきり言って、可愛い。可愛すぎる!!
あくまで無表情を装う俺だったが、内心は身もだえしていた。
テオドールがここにきてすでに一週間。
最初は緊張気味だったテオドールだったが、最近ではこうして俺の前では笑顔を見せてくれるまでになっていた。
その笑顔が、もう、なんというか、蕩けそうなくらいキュンとくるのだ!
内心ドキドキしながら、俺はクッキーをほおばるテオドールに目を向ける。
正直はじめは、マリユスにそっくりなテオドールが少し怖かった。
でも今では、テオドールがマリユスに似ているなんて、これっぽっちも思わない。どこをどう見て、テオドールからマリユスを想像できたのか、もうすでにわからないくらいだ。
マリユスは確かに美しく魅力的だったが、今の俺にはテオドールの方がよっぽど光り輝いて見えた。
「テオドール、明日は学園に必要なものを一緒に買い出しに行こう。
お姉様からリストが届いたんだ」
「買い物……、俺と、叔父様、が……」
「そうだよ、王都に行こうと思ってるんだけど……」
呆然とするテオドールに、俺はなにかまずいことを言ってしまったのかと焦る。
俺と二人で買い物なんて、14歳の男子からすれば恥ずかしいことなのだろうか!?
「叔父様と、王都で……、二人で……」
「テオドール、嫌だったら無理しなくても、俺一人で……」
言いかけた俺の手を、テオドールはぎゅっと握った。
「俺っ、すごくうれしいですっ! 叔父様と二人で王都で買い物なんて、夢みたいですっ!」
「そう……なの、じゃあ、よかった。好きなもの、たくさん買ってあげるね」
俺はまたきゅっと心が締め付けられる思いだった。
きっと今まで王都で買い物などしたことがなかったのだろう。テオドールはいったいアルボン家でどんな扱いを受けてきたのか? いつか絶対抗議しにいってやる!!
「はいっ! あっ、でも俺のものなんかより、俺は叔父様のものを一緒に選びたいですっ!」
「テオドールっ!!」
俺はテオドールの手を両手で包み込んだ。
――なんて、けなげな子!!!!
もう叔父様はテオドールの欲しいものなら、なんだって買ってあげちゃうからっ!!
「叔父様っ!」
なぜか頬を赤らめて見つめ返してくるテオドール。
「はいはい、お二人とも、お茶のおかわりですよっ!」
そんな俺とテオドールのやりとりに、あきれ顔のエマが割って入ってくる。
「……チッ」
あれ? 今、舌打ちしたの、テオドールか?
だが、テオドールを見ると、俺を見つめたままニコニコとしているだけ。
――気のせいか。
「叔父様、明日すごく楽しみにしていますね!」
「うん、俺も王都は久しぶりだから、楽しみだよ!」
そんなこんなで、俺はテオドールと二人で王都に赴くことになったのだった。
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