【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

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第34話 テオドールと特訓

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「叔父様っ、こうですかっ?」

 テオドールが俺の手を握り、目を閉じる。


「あっ、うん、そうそう! そんな感じ。じゃあ今度は俺からやってみるね……っ」

 俺も目を閉じる。そして、精神を集中させて……。


「くっ、あっ!」

 テオドールの声に、俺は目を開けた。

「あっ、ごめん、痛かった……?」

 頬を染めたテオドールが、首を振る。


「いえっ、叔父様の魔力が俺の中に入ってきて、すごく……、気持ちい…‥、いえ、感動しましたっ!!」

「感動!? でも俺、ほとんど魔力ないんだよね。やっぱりお姉様に頼んだほうが……」

「いえっ、俺は、叔父様が、いいんですっ!!」

「そう? じゃ、もう一回……」

「はいっ!!」


 俺は目を閉じて、精神を集中させる。指先に魔力を集めて、それをテオドールに流す……。

 ーー魔力譲渡。
 これは、王立学園の『魔法』の教科の唯一の進級試験なのだ。

 いまや魔法が使えない貴族の子弟がほとんどといえど、やはり伝統ある王立学園に置いて『魔法』の教科の存在意義は大きい。そのため、どんなに魔力が少ないものでも「一応できる」といわれている「魔力の譲渡」が、王立学園の生徒の進級試験として課されることになっている。

「懐かしいなー、俺も苦労したんだよ。お姉様につきっきりで教えてもらって、なんとか先生におまけで合格をもらったんだ」

 ちなみにシャンタルお姉様は魔法がまあまあできる。火の魔法がお得意で、俺が小さい頃、夏の夜にはよく花火を見せてもらった。


「俺……、魔法があまり得意でないので……、こうして叔父様に教えていただけてすごく嬉しいです」

 テオドールがはにかんだ笑みを見せる。

「いいんだよ、テオ。君は他の教科は完璧なんだから。今どき魔法なんて使えなくたって、全然問題ないよ!」

 俺は魔法以外の教科も、たいして成績は良くなかったのだけどね……。


「でも、叔父様にこうして毎日教えていただけたので、俺もだいぶできるようになりました。ありがとうございます!」

「進級試験まであと少しだもんね。一緒に、頑張ろう、テオ!」

「はい、叔父様っ!」

 握られたテオドールの手から、熱い魔力が流れ込んでくる。

 魔法が苦手だとテオドールは言っているが、魔力量はたいしたものだ。

 ーーこの分じゃ、進級試験もなんの問題もなくパスできそうだ!




 そう、あっという間に時は過ぎ、テオドールは15歳になっていた。


 俺はいつの間にかテオドールのことを「テオ」と呼ぶようになっていた。なんとなくふざけて一度呼んでみたら、思いの外テオドールがその呼び方を気に入ってしまい、以降定着するようになったのだ。


 そして俺は……、3週間に一度は名前も名乗らない相手から精を受け、二ヶ月に一度、テオドールのいない昼間に尋ねてくるアンドレを心待ちにする生活が続いていた。

 テオドールは相変わらずのいい子で、学園でも成績優秀らしく俺も鼻が高い。だが、アンドレのやってきた日だけは、何か感ずるところがあるのか、家ですごく不機嫌になってしまう。そして、それをなだめるために、俺は何度も王都にテオドールを連れて、芝居を見に行っていた。

 テオドールは俺が見せた「騎士と王女の恋物語」にすっかりハマってしまったらしい。芝居の主人公の騎士みたいになることを夢見て、日々剣術を精進している姿をみると、俺の目論見は決してはずれていなかったのだと確信する。

「叔父様っ、明日の芝居、とても楽しみです!」

「テオは本当にあの芝居が好きだね!」

「はい、俺、あの騎士みたいな、一途な愛を貫く騎士になりたいんです。だって、あの騎士は叔父様の理想の男性なんですよね、だから、つまり……」

 最後はモニョモニョと言葉が小さくなるテオドール。照れているのかな? そんなところもかわいすぎるんですけど!!


「テオなら、きっとなれるよ」

「はい!」

 しかし、次の日、ふたりで見に行った王都の芝居で、俺は大問題に直面することになるのだった。


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