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第45話 諸悪の根源
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「は、あ、ああっ、なんでっ、エリオット先輩……」
ソファの上に脱力する俺。
エリオットはあろうことか、俺の出した精液をためらいなく嚥下すると、ポケットから取り出したプレスの効いたハンカチで口元を拭った。
「ジュール、お前は俺の大切な研究対象だ……」
エリオットが俺の頬をなでる。
「研究、対象……?」
「俺が、必ずこの淫紋を解呪してやる。だが、まだ解呪できるほどの統計や情報が揃っていない。だから……、お前は、定期的にここを訪れて俺の研究活動に協力しろ」
「それは、どういう……」
「その淫紋の制約も含めて、俺が全部面倒を見てやる、と言っているんだ!」
なぜか頬を染めたエリオットが、再び俺にのしかかってくる。
「制約も含めて……?」
「次に男の精気が必要なのは、いつだ?」
「多分、二週間後くらいに……」
「わかった」
エリオットは言うと、俺の首筋に唇を這わせた。
「えっ!? はっ!?」
エリオットは音を立てて俺の首筋を吸った。
ーーこれって、一体……!?
「残念だが、俺は男を抱いたことはない。つまりは、今は予備知識がないのでお前に精気を補充することはできかねる。2週間後までに完璧にメソッドと技法をマスターしておくので、その時まで待っていろ!」
「メソッド……、技法……!?」
俺は青ざめる。それは、つまりは、次にあったときに、俺はエリオット先輩とそういうことを、する、ということ……?
「シャンタルさんの紹介と言っていたな。シャンタルさんからは俺から話しておこう。どこの馬の骨ともわからない男たちに、これ以上お前を抱かせておくわけにはいかないからな。大丈夫だ、……俺がちゃんと、満足させてやる」
耳元で囁かれると、エリオット相手だというのに、俺の身体はゾクリと震えた。
「エリオット先輩…‥っ」
「お前の忌まわしい呪いは俺がかならず解く! 二週間後に必ずここに来るんだ。わかったな、ジュール」
「はい……、わかりました」
ほぼ押し切られる形で約束させられてしまった俺。
そして、理事長室を出た俺には、新たな難問が待ち構えていた。
「やあ、ジュール叔父様、お久しぶりです。こんなところで会うなんて、奇遇ですね。理事長室に、どんな御用だったんですか?」
今回俺がわざわざ王立学園まで出張ってくることになった諸悪の根源、オーバン・ノアイユが廊下で俺を待ち構えていた……。
「は? 別に、何も、用なんて、ないしっ! 君のことを報告に来たとかそういうんじゃ、全然ないしっ!」
先程のエリオットとのやり取りもあり、俺はすでに混乱していた。
明らかに不審な俺に、オーバンはこめかみに手を当て、ふぅ、と小さくため息をついた。
そういうちょっとした仕草も、美少年というだけで絵になるから嫌になる。
「ああ、そうなんですね。叔父様は、僕のことを理事長に言いつけにわざわざ学園まで……。なんだか、悲しいです。僕、ジュール叔父様に誤解されてしまったんですね」
ーー誤解もなにも、お前は俺の可愛いテオドールを誘惑したんだろうがっ!?
「それにしても、叔父様がここに来ていると知ったら、テオドールは喜ぶんじゃないですか? 今はちょうど闘技場にいると思いますよ。よかったら、ご案内しましょうか?」
エメラルドグリーンの澄んだ瞳に、俺はたじろいだ。
「いや、必要ないよ! というか、オーバン君っ、テオドールには私がここに来ていることはぜひとも言わないでほしいんだがっ!」
「へえ、もしかして、テオドールには、秘密のお話、ですか? ヴァロア理事長と? 一体どんな話なのか、気になりますね」
「気にしなくていいっ! 子どもには関係のない、大人の話なんだからっ!」
思わず大きな声になる俺。
「そんなことを言われると、ますますテオドールに話したくなります、ねえ、ジュール叔父様!」
探るような視線。俺は確実に、オーバンに手玉に取られていた。
「いや、そのっ、なんていうか、オーバン君? 今日君が私とここであったことはテオドールには言わないでくれるとありがたいんだ。この意味、わかるよね?」
「ええ、もちろん、わかります」
オーバンはにっこりと微笑む。その美しい笑みになぜか俺はゾッとした。
「じゃあ……」
俺は愛想笑いを浮かべる。だが、そんな小細工が通用する相手ではもちろんなく……。
「でも、僕はおしゃべりだから、ちょっとした拍子に、テオドールに話してしまうかも。でもジュール叔父様が、僕のお願いをきいてくださるなら、きっと僕もジュール叔父様とのお約束を忘れたりしないと思いますよ」
「それは、どういう……」
もうすでに、嫌な予感しかしない。
オーバンはその美しく整った顔を俺に近づけてきた。
思わずのけぞる俺。
「僕、ジュール叔父様にお願いしたいことがあるんです。いえ、何も難しいことはないんですよ。僕と一緒に来て、ちょっと話を合わせていただくだけでいいんです。簡単なことですよね? ねえ、ジュール叔父様、できますよね!?」
「……はい……」
ああー、なぜこうも俺は押しに弱い男なんだあああああ!!!!
ソファの上に脱力する俺。
エリオットはあろうことか、俺の出した精液をためらいなく嚥下すると、ポケットから取り出したプレスの効いたハンカチで口元を拭った。
「ジュール、お前は俺の大切な研究対象だ……」
エリオットが俺の頬をなでる。
「研究、対象……?」
「俺が、必ずこの淫紋を解呪してやる。だが、まだ解呪できるほどの統計や情報が揃っていない。だから……、お前は、定期的にここを訪れて俺の研究活動に協力しろ」
「それは、どういう……」
「その淫紋の制約も含めて、俺が全部面倒を見てやる、と言っているんだ!」
なぜか頬を染めたエリオットが、再び俺にのしかかってくる。
「制約も含めて……?」
「次に男の精気が必要なのは、いつだ?」
「多分、二週間後くらいに……」
「わかった」
エリオットは言うと、俺の首筋に唇を這わせた。
「えっ!? はっ!?」
エリオットは音を立てて俺の首筋を吸った。
ーーこれって、一体……!?
「残念だが、俺は男を抱いたことはない。つまりは、今は予備知識がないのでお前に精気を補充することはできかねる。2週間後までに完璧にメソッドと技法をマスターしておくので、その時まで待っていろ!」
「メソッド……、技法……!?」
俺は青ざめる。それは、つまりは、次にあったときに、俺はエリオット先輩とそういうことを、する、ということ……?
「シャンタルさんの紹介と言っていたな。シャンタルさんからは俺から話しておこう。どこの馬の骨ともわからない男たちに、これ以上お前を抱かせておくわけにはいかないからな。大丈夫だ、……俺がちゃんと、満足させてやる」
耳元で囁かれると、エリオット相手だというのに、俺の身体はゾクリと震えた。
「エリオット先輩…‥っ」
「お前の忌まわしい呪いは俺がかならず解く! 二週間後に必ずここに来るんだ。わかったな、ジュール」
「はい……、わかりました」
ほぼ押し切られる形で約束させられてしまった俺。
そして、理事長室を出た俺には、新たな難問が待ち構えていた。
「やあ、ジュール叔父様、お久しぶりです。こんなところで会うなんて、奇遇ですね。理事長室に、どんな御用だったんですか?」
今回俺がわざわざ王立学園まで出張ってくることになった諸悪の根源、オーバン・ノアイユが廊下で俺を待ち構えていた……。
「は? 別に、何も、用なんて、ないしっ! 君のことを報告に来たとかそういうんじゃ、全然ないしっ!」
先程のエリオットとのやり取りもあり、俺はすでに混乱していた。
明らかに不審な俺に、オーバンはこめかみに手を当て、ふぅ、と小さくため息をついた。
そういうちょっとした仕草も、美少年というだけで絵になるから嫌になる。
「ああ、そうなんですね。叔父様は、僕のことを理事長に言いつけにわざわざ学園まで……。なんだか、悲しいです。僕、ジュール叔父様に誤解されてしまったんですね」
ーー誤解もなにも、お前は俺の可愛いテオドールを誘惑したんだろうがっ!?
「それにしても、叔父様がここに来ていると知ったら、テオドールは喜ぶんじゃないですか? 今はちょうど闘技場にいると思いますよ。よかったら、ご案内しましょうか?」
エメラルドグリーンの澄んだ瞳に、俺はたじろいだ。
「いや、必要ないよ! というか、オーバン君っ、テオドールには私がここに来ていることはぜひとも言わないでほしいんだがっ!」
「へえ、もしかして、テオドールには、秘密のお話、ですか? ヴァロア理事長と? 一体どんな話なのか、気になりますね」
「気にしなくていいっ! 子どもには関係のない、大人の話なんだからっ!」
思わず大きな声になる俺。
「そんなことを言われると、ますますテオドールに話したくなります、ねえ、ジュール叔父様!」
探るような視線。俺は確実に、オーバンに手玉に取られていた。
「いや、そのっ、なんていうか、オーバン君? 今日君が私とここであったことはテオドールには言わないでくれるとありがたいんだ。この意味、わかるよね?」
「ええ、もちろん、わかります」
オーバンはにっこりと微笑む。その美しい笑みになぜか俺はゾッとした。
「じゃあ……」
俺は愛想笑いを浮かべる。だが、そんな小細工が通用する相手ではもちろんなく……。
「でも、僕はおしゃべりだから、ちょっとした拍子に、テオドールに話してしまうかも。でもジュール叔父様が、僕のお願いをきいてくださるなら、きっと僕もジュール叔父様とのお約束を忘れたりしないと思いますよ」
「それは、どういう……」
もうすでに、嫌な予感しかしない。
オーバンはその美しく整った顔を俺に近づけてきた。
思わずのけぞる俺。
「僕、ジュール叔父様にお願いしたいことがあるんです。いえ、何も難しいことはないんですよ。僕と一緒に来て、ちょっと話を合わせていただくだけでいいんです。簡単なことですよね? ねえ、ジュール叔父様、できますよね!?」
「……はい……」
ああー、なぜこうも俺は押しに弱い男なんだあああああ!!!!
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