【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

.mizutama.

文字の大きさ
70 / 165

第70話 禁断の口づけ

しおりを挟む
 深いキス、深いキス、深いキスといったら、アレだ!

 舌と舌を絡ませ、時には吸い合い、上あごや歯列をねっとりと舐め合って、お互いの唾液を……。


「うわあああああ!」


 俺は叫び声をあげ、頭を抱えてうずくまった。

 無理無理無理無理! 絶対に無理!!


 そんな性的欲求に直結するような行為を、テオドールとなんて!

 保護者の風上にも置けん!


「叔父様っ、大丈夫ですか?」

 テオドールがそんな俺の背中に、優しく手を置いてくれる。


 ――純粋無垢なテオドールに深いキスが何かなんて、絶対言えないよおおお!


 そんな俺の葛藤をよそに、扉の向こうではオーバンとシャルロット王女が言い合っていた。

「シャルロット……、お前、どこまで頭がおかしくなったんだ!? なんでジュールとテオドールにディープキスなんて」

「ホホホ、オーバンったら、何も知らない子供でもあるまいし! こんな絶好のチャンスに、ただの唇のふれあいだけで終わらすなんて、もったいなくてできませんわ」

「お前も立派な子供だろ! それに、何がチャンスだ、そもそもお前は……」

「ああああ! 滾る、滾りますわ……! 一体この状況をテオドールさんはどうやって……」


「やはりここは、年上であるジュール卿がテオドール様を導かれて……」

「きっと一度火がついてしまったら、堰を切ったように今までの感情が暴走して……!」

「まあ、まあ、まああっ! なんて罪作りな方なんでしょう、シャルロット殿下はっ!」

「さあ、皆さま! 我々も微力ながらここからお二人を応援いたしましょう!」

「「「はいっ!!」」」


 訳の分からない固い絆で結ばれたシャルロット王女とその取り巻きのご令嬢たち。

 ……助けてくれる気は、さらさらないらしい。



「おい、聞いたか、ジュール、もう他に手はない。諦めてテオドールとディープキスしろ!」

「そんなっ、なにか別の方法は……?」

「ない! シャルロットの魔力に勝てるやつなんて、この国にはいないんだ! あきらめろ、ジュール。男だろ!?」

 ――男とかそんなの、絶対関係ない!


「叔父様……、俺、叔父様のためならなんだってします」

 健気すぎるテオドールの視線が痛い。

「テオ、駄目だよ……、だって……」


「おーい、テオドール、聞いてるか? 意気地なしの叔父様に代わって俺が教えてやるよ。
この部屋を出るためには、いまからお前の大好きな叔父様をベッドに押し倒して、
無理やりキスして、舌で唇をこじ開けたあとに、お前の舌で叔父様の口の中を舐めまわしてやるしかないんだ!
これしかこの部屋を出る方法はない。いいな、テオドール、できるか?」

 キャ――! オーバンさまっ、ナイスアシスト! とご令嬢たちの声がそろう。


「なっ!?」


 ――押し倒す……っ!? 無理矢理っ!? 舐めまわすッ……!?

 ――オーバンのディープキスの概念って一体……!?


「う、嘘だよ、テオ、信じないで!」

 だが、振り返った俺が見たものは……。


「はい、できます! 俺は叔父様のためなら、なんだって!」

 なぜか使命感に燃えたテオドールの凛々しい姿。


 なんだか知らないうちに、状況がどんどん悪くなっている気がするのだがっ!?




「叔父様、失礼します……」

「わあっ……!」

 俺はあっという間にテオドールに横抱きにされて、ベッドの上にそっと落とされた。


 そして、俺を見下ろすのは、壮絶な色気をまとった漆黒の瞳……。


「テオ……、駄目だよ……、違うんだ……」


 俺はテオドールの胸を自分の両手で押し返した。だが、意外にも硬いその胸板はびくともせず……。

「叔父様、大丈夫です。優しくします……」

 ――こんなセリフ、テオドールから聞きたくなかった!


「駄目、テオ、駄目……っ」

「抗わないで、俺に、すべて任せて……」


 あっという間に、真剣な表情のテオドールの顔が近づいてきて……、

「んっ、む、っ……」

 唇が重なった。
 先ほどとは違って、しっかりと、強く。

「はあっ……、叔父様っ、叔父様っ!」

 テオドールは唇だけでなく、頬や顎、額や目元にもたくさんキスを落としてくる。

「駄目ッ、テオ…‥、やめっ、あっ……」


 ベッドの上できつく抱きしめられたところで、もう一度唇が重なり、テオドールの舌が俺の唇を舐めた。

「んっ……」

 俺は唇を固く結んでテオドールの舌の侵入を拒む。



「叔父様、口を開けてください」

 テオドールの言葉に、俺はいやいやと首を振る。

 だが……、


「叔父様……、好きです。誰よりも……」

 唇を舌でノックされ、テオドールの熱い手のひらが俺の胸のあたりを撫でたとき、俺は思わず吐息を漏らしてしまった。

「ああっ……」


 テオドールはその隙を逃さず、すかさず舌を差し入れてきた。

「む、うっ、んんっ……!」

 熱い舌が俺の咥内を蹂躙していく。


「はあっ……、くっ……、たまらない……、叔父様っ、ジュール叔父様っ!」

「むっ、んっ、あっ、ああ! 駄目っ、テオっ、……っ!」


 まるで獣に食われているような感覚だった。

 すべての歯列をなぞられ、強く舌を吸われ、唾液すらすすられた。


 苦し気に呻くと、テオドールは俺の手を握り、指を絡ませてきた。


「叔父様……、俺のっ、ジュール叔父様……っ」

「テオっ、あっ、こんなの駄目っ、もうっ……」


 拒絶の言葉を口にしながらも、俺もしっかりとテオドールの手を握り返していた。


「叔父様……、はあっ、もうっ……、我慢できないっ……!」


 貪るように口づけていたテオドールが、俺のシャツのボタンに手を伸ばしたその時……、



「キャアアアアアアアアア!!!!」

 少女たちの悲鳴と共に、荒々しく部屋の扉が開かれた。


「あ……」

 ベッドでもつれ合っていた俺たちが振り返ると、そこにいたのは……、


「乾杯もせずに、私をほうっておいて、こちらでみんなでお楽しみとは、いい度胸ね、ジュール!!
そもそも、私がどれだけのこのパーティの準備に情熱をかけてきたかわかってるの?
それを、あなたはテオドールと二人でふざけて、こんなところで王女様たちとかくれんぼとは……!
このパーティが何のためのものかわかっているのっ!? 一体どういうつもりなのっ!?
説明しなさいっ、ジュールっ!!!!」

 燃えるような赤い髪のお姉様が、仁王立ちで俺たちを睨みつけていた。


 ――お姉様に怒られて始まり、お姉様に怒られて終わる……。


 テオドールの16歳の誕生日会は、こうして無事?幕を閉じた。

しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました

水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。 新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。 それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。 「お前は俺の運命の番だ」 彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。 不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

処理中です...