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第87話 淫紋と媚薬
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「じゃ、話はつけてあるから、朝までゆっくりここで寝ておけよ。俺は教会に戻ってシモンに大丈夫だって説明しておく。明日の朝、また迎えに来るから」
「うん、ありがと、ファウロス」
「ん、おやすみジュール」
チュ、とほっぺたにキスされる。
「おやすみ……」
俺は頭からシーツを被った。
ーー身体が、熱い。
あれから、ファウロスは俺の身体を拭いた後、俺の服を整えて、ベッドに寝かせてくれた。
あんなことになって、恥ずかしすぎて死にそうだけど、ファウロス自身はあまり気にしていない様子なのが唯一の救いだ。
ーー優しくて、いいやつだよな。
俺の命を救ってくれたのも、シモンを助けたのも、もともとファウロスの持っている困った人を放っておけないという気質のせいだろう。
ーー明日になれば、きっと元気になる。
ファウロスの手でイカされてしまったせいか、まだ全身が重だるい感覚がある。
だが、ファウロスの精を飲み込んだ俺は、きっと明日の朝には元気になっているはずだ。
久しぶりのふかふかのベッドに、俺の身体は深く深く沈んでいくようだった。
そして、俺はその晩、泥のように眠った……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、翌朝ーー。
なぜだ……!
俺は叫び出したい気分だった。
なぜ、いったいどうして!?
俺の身体は、もはやベッドから起き上がれないほど重くなっていた。
ーーもしかして、昨日のファウロスとのこと、ぜんぜん効いてない?
ーーやっぱり、経口摂取ではムリだったのか!?
「おはよー、ジュール。調子はどう?」
鼻歌を歌いながら、部屋に入ってきたのはファウロス。
「ファウ、ロス……」
俺の声はすでにかすれていた。
「あれ? 昨日よりひどくなってるのか? あー、やっぱり、口からじゃ駄目だったか」
あまり驚いた様子もないファウロス。
「ごめん、昨日、せっかく……」
「大丈夫、大丈夫。どうせこんなことになるって、わかってたからさ」
ファウロスは、ベッドのそばまで来ると、俺のおでこに手を置いた。
「わかってた……?」
俺が見つめ返すと、ファウロスはバツが悪そうに唇をすぼめた。
「あの淫紋を見た様子じゃ、がっつりセックスしない限りはムリっぽいなー、とは。ま、勘、だけどさ……」
「じゃあ、なんで、昨日は……」
「だってジュールは俺とセックスするの、なんとしても回避したそうだったしさ。俺としては傷ついたけど、まあ、口からでも摂取すれば、少しは効くかもしれないし。結果的には、俺もジュールのお口でしてもらうのも、気持ちよかったしさ」
ファウロスは俺の唇を撫でた。
「……っ!!」
「で、ジュール。さすがにもう、諦めもついただろ?」
ファウロスは俺に微笑みかけると、ベッドの上に乗ってきた。
「へ、は? 諦め?」
ファウロスの美貌が、俺を見下ろしている。
「うん、そう。もう俺ととことんセックスしないと、もうジュールの体調はもとに戻らないって、いい加減身体でわかったよな?」
そしてファウロスは、シーツを剥ぎ取ると、そのまま俺のシャツに手をかけた。
「え……、ま、待って! いま、朝だし、起きたところ、だし……!」
「駄目、待たない」
ファウロスはそのまま俺にのしかかると、俺の両手を頭の上にひとまとめにした。
「あ、ファウ、ロス……、あの、俺……っ」
ファウロスはねっとりとした目つきで俺を見ると、ぺろりと唇を舐めた。
「これでも俺、お預けを食らわされたのって、初めて、なんだよね。だからさ、わかるだろ? ジュール。俺、今、あんたの淫紋とおんなじくらい、腹ペコなんだよね」
ファウロスは俺の首筋をきつく吸った。
「あ、はぁっ……!」
「いい声。じゃ、遠慮なく……。せっかくなんだからさ、お互い、めちゃくちゃ気持ちよくなろ?」
ファウロスはズボンのポケットから、硝子の小瓶を取り出した。中には紫色の液体が入っている。
「恥ずかしがり屋のジュールのために、さっき受付でもらってきたんだ。多分、この淫紋は、あんたが乱れれば乱れるほど、喜ぶと思うよ。そしてそうすればジュールの回復もそれだけ早い」
言うと、ファウロスは小瓶の液体を一気にあおった。そして、そのまま俺に口移しで飲ませてくる。
「んんっ、あ、あ……」
舌で唇をこじ開けられ、口蓋を舐められた。
「大丈夫、怖い薬じゃねーよ。とっても素直になって、気持ちよくなれるおクスリだよ」
甘ったるい液体が俺の喉を伝っていく。飲み干すと、喉の奥から腹の中までカーっと熱くなる。
「ファウロスっ、俺っ、あ、なんか、熱くて……」
「俺もすごく熱いよ。早くジュールの中に入りたくて、たまんない!」
ファウロスは、手早くシャツを脱ぎ捨てる。
朝の光に照らされたファウロスの身体は、やはり何度見ても美しかった。
「俺っ、でも……」
ファウロスが俺の身体のあちこちにキスしながら、シャツのボタンを一つずつ、外していく。
「ん?」
「ファウロスに申し訳ないよっ、だって、助けてもらったのに、俺の淫紋の対処までお願いするなんて!」
俺の言葉に、ファウロスは人懐っこい笑みを浮かべた。
「何言ってんの? 淫紋も、媚薬も、全部言い訳だよ。
……ジュール、俺は今、あんたが欲しくてたまらない」
「あ、ふっ……」
互いの素肌が触れ合うと、俺はたまらず吐息を漏らした。
「うん、ありがと、ファウロス」
「ん、おやすみジュール」
チュ、とほっぺたにキスされる。
「おやすみ……」
俺は頭からシーツを被った。
ーー身体が、熱い。
あれから、ファウロスは俺の身体を拭いた後、俺の服を整えて、ベッドに寝かせてくれた。
あんなことになって、恥ずかしすぎて死にそうだけど、ファウロス自身はあまり気にしていない様子なのが唯一の救いだ。
ーー優しくて、いいやつだよな。
俺の命を救ってくれたのも、シモンを助けたのも、もともとファウロスの持っている困った人を放っておけないという気質のせいだろう。
ーー明日になれば、きっと元気になる。
ファウロスの手でイカされてしまったせいか、まだ全身が重だるい感覚がある。
だが、ファウロスの精を飲み込んだ俺は、きっと明日の朝には元気になっているはずだ。
久しぶりのふかふかのベッドに、俺の身体は深く深く沈んでいくようだった。
そして、俺はその晩、泥のように眠った……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、翌朝ーー。
なぜだ……!
俺は叫び出したい気分だった。
なぜ、いったいどうして!?
俺の身体は、もはやベッドから起き上がれないほど重くなっていた。
ーーもしかして、昨日のファウロスとのこと、ぜんぜん効いてない?
ーーやっぱり、経口摂取ではムリだったのか!?
「おはよー、ジュール。調子はどう?」
鼻歌を歌いながら、部屋に入ってきたのはファウロス。
「ファウ、ロス……」
俺の声はすでにかすれていた。
「あれ? 昨日よりひどくなってるのか? あー、やっぱり、口からじゃ駄目だったか」
あまり驚いた様子もないファウロス。
「ごめん、昨日、せっかく……」
「大丈夫、大丈夫。どうせこんなことになるって、わかってたからさ」
ファウロスは、ベッドのそばまで来ると、俺のおでこに手を置いた。
「わかってた……?」
俺が見つめ返すと、ファウロスはバツが悪そうに唇をすぼめた。
「あの淫紋を見た様子じゃ、がっつりセックスしない限りはムリっぽいなー、とは。ま、勘、だけどさ……」
「じゃあ、なんで、昨日は……」
「だってジュールは俺とセックスするの、なんとしても回避したそうだったしさ。俺としては傷ついたけど、まあ、口からでも摂取すれば、少しは効くかもしれないし。結果的には、俺もジュールのお口でしてもらうのも、気持ちよかったしさ」
ファウロスは俺の唇を撫でた。
「……っ!!」
「で、ジュール。さすがにもう、諦めもついただろ?」
ファウロスは俺に微笑みかけると、ベッドの上に乗ってきた。
「へ、は? 諦め?」
ファウロスの美貌が、俺を見下ろしている。
「うん、そう。もう俺ととことんセックスしないと、もうジュールの体調はもとに戻らないって、いい加減身体でわかったよな?」
そしてファウロスは、シーツを剥ぎ取ると、そのまま俺のシャツに手をかけた。
「え……、ま、待って! いま、朝だし、起きたところ、だし……!」
「駄目、待たない」
ファウロスはそのまま俺にのしかかると、俺の両手を頭の上にひとまとめにした。
「あ、ファウ、ロス……、あの、俺……っ」
ファウロスはねっとりとした目つきで俺を見ると、ぺろりと唇を舐めた。
「これでも俺、お預けを食らわされたのって、初めて、なんだよね。だからさ、わかるだろ? ジュール。俺、今、あんたの淫紋とおんなじくらい、腹ペコなんだよね」
ファウロスは俺の首筋をきつく吸った。
「あ、はぁっ……!」
「いい声。じゃ、遠慮なく……。せっかくなんだからさ、お互い、めちゃくちゃ気持ちよくなろ?」
ファウロスはズボンのポケットから、硝子の小瓶を取り出した。中には紫色の液体が入っている。
「恥ずかしがり屋のジュールのために、さっき受付でもらってきたんだ。多分、この淫紋は、あんたが乱れれば乱れるほど、喜ぶと思うよ。そしてそうすればジュールの回復もそれだけ早い」
言うと、ファウロスは小瓶の液体を一気にあおった。そして、そのまま俺に口移しで飲ませてくる。
「んんっ、あ、あ……」
舌で唇をこじ開けられ、口蓋を舐められた。
「大丈夫、怖い薬じゃねーよ。とっても素直になって、気持ちよくなれるおクスリだよ」
甘ったるい液体が俺の喉を伝っていく。飲み干すと、喉の奥から腹の中までカーっと熱くなる。
「ファウロスっ、俺っ、あ、なんか、熱くて……」
「俺もすごく熱いよ。早くジュールの中に入りたくて、たまんない!」
ファウロスは、手早くシャツを脱ぎ捨てる。
朝の光に照らされたファウロスの身体は、やはり何度見ても美しかった。
「俺っ、でも……」
ファウロスが俺の身体のあちこちにキスしながら、シャツのボタンを一つずつ、外していく。
「ん?」
「ファウロスに申し訳ないよっ、だって、助けてもらったのに、俺の淫紋の対処までお願いするなんて!」
俺の言葉に、ファウロスは人懐っこい笑みを浮かべた。
「何言ってんの? 淫紋も、媚薬も、全部言い訳だよ。
……ジュール、俺は今、あんたが欲しくてたまらない」
「あ、ふっ……」
互いの素肌が触れ合うと、俺はたまらず吐息を漏らした。
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