【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

.mizutama.

文字の大きさ
142 / 165

第142話 聖騎士の結婚式(最終話)

しおりを挟む
「叔父様……、叔父様……」

 テオドールが俺の首筋に顔をうずめてくる。

「テオ……」

 触れ合う肌が、なんだかくすぐったい。
 俺たちは裸のままシーツにくるまっていた。

 すっぽりとテオドールに抱きしめられた俺は、まだ二人で溶け合った余韻が身体に残っているようだった。

 テオドールのいたずらな指が、俺のあちこちに触れてくる。


「ひゃっ、あ、ダメっ……、テオっ……」

「叔父様……、淫紋は、消えましたよ」

 テオドールは、俺に甘い声でささやきかけた。

「ほんとにっ!?」

 俺は寝台からがばりと起き上がって、下腹部を確かめる。

 ――ない!
 
 あの忌まわしき淫紋は、俺の身体からきれいさっぱり消えてなくなっていた。


「よかった! ありがとうテオドール」

 俺はテオドールに抱きついた。

「お礼を言うのはこちらです。ジュール叔父様、ありがとうございました。俺はついに叔父様の真実の愛を手にすることができたのですね。
とても甘美で、素晴らしい時間でした。叔父様の可愛らしい姿は、一生忘れません」

 テオドールは再び俺の背中に妖しく指を這わせる。

「っ……」

「ところで叔父様、淫紋がなくなったからといって、俺はもうお役御免、というわけではないでしょうね?」

「え?」

 テオドールは身体を離すと、俺の鼻先に自分の鼻先をくっつけてきた。

「叔父様、もしかして、淫紋がなくなったからもう定期的にセックスしなくていいんだ、なんて、今考えていないでしょうね?」

「……うっ」

 ――それは、確かに……、ちょっとは、考えていたけど……!


「結婚前に先に取り決めておきましょうか? 結婚後は、一日何回セックスするのか」

「……へ?」

 俺はごくりと唾を飲み込んだ。

「何回って!? それってまさか、毎日するってこと?」

「ええ、毎日」

 にっこりとほほ笑むテオドール。


 ――テオドールは本気だ!!


「そ、そのことについては、あとで、話し合おう! おいおい……、ゆっくりと……」

 しどろもどろになる俺を、テオドールはゆっくりと寝台に横たえた。

「そうですね。叔父様にはわかっておいていただかなければいけないことが、とてもたくさんありそうです。
でも、その前に……、淫紋が解けた叔父様ともう一度触れ合いたいのですが、いかがですか?」

「……っ、え、あ、待って、ちょっと今は、まだ、まっ……、むっ、うあ、あ……!」

 あっという間に唇を塞がれて、抵抗しようともがいた俺の両手は、テオドールによって拘束されてしまった……。


 ――俺はこの時初めて、テオドールと結婚するということは、いろいろと覚悟が必要だということを悟ったのだった……。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








「ジュール、とっても素敵、似合ってるわ!」

 支度を整えた俺の部屋に入ってきたのは、シャンタルお姉様だった。


「お姉様、ありがとうございます」

 俺は少し照れくさかったが、素直に礼を言った。

「それにしても、聖騎士団の制服の色違いとはね。シャルロット殿下の強いこだわりを感じるわ……」

 お姉様は俺の光沢のある白い上着に触れる。


 そう、俺の結婚式の衣装は、なぜかシャルロット王女によって『黒の聖騎士団服~純白version~』と最初から決められていた……。


「聖教会での結婚式だなんて、王族みたいで本当に素敵! いいわねえ、私もテオドールのつてで、聖教会でお式を挙げさせてもらおうかしら」

 お姉様の言葉に、俺の頭の中に疑問符が浮かぶ。


「ところでお姉様、デマル男爵とはいったいどうなっているんです? 婚約してからずいぶん経っているのに、お姉様は独身のままだし……」

 俺の言葉に、今度はシャンタルが目を大きく見開いた。

「まあ、あなたったら、本当に何も知らなかったの? そういえば、あの頃、ずっとエディマにいたんですものね……。
デマル男爵とはとっくの昔に婚約は解消したのよ」

「そう、だったんですか……」

 もしかして聞いてはいけないことだったのかと、俺の声は自然と小さくなった。
 だが……、

「そんな顏しないで! お姉様は今とっても幸せだから。やっぱり、人生お金なんかじゃないわ。愛よ、愛!
愛に生きるお姉様は、今セルジュと婚約しているのよ! だから安心して。あなたたちの結婚式が済んだら、次は私たちの結婚式よ!」

「はあああっ!!??」
 
 俺は驚きのあまり、吸っ頓狂な声をあげた。
 


 ――シャンタルお姉様が、なんとあの、セルジュと!? 
 セルジュはちゃっかり、お姉様への片想いを実らせていたというのか!?

 シャンタルお姉様とセルジュ、想像すらしていなかった二人だが、よく考えてみるとお似合いと言えなくもない……。


「ジュール、良かったわね。お姉様には最初からわかっていたわよ。あなたたち二人はきっといつか、こうして結ばれるだろうって。
そう、初めてあなたをテオドールに引き合わせたその日からね!」

 シャンタルが俺にウィンクする。

「でも、でも……、お姉様、お姉様は俺のテオドールへの気持を知っていたのに、どうして俺を『ナイム』と引き合わせたんです?
あのせいで俺とテオドールの情緒は、もうめちゃくちゃになってしまったんですよっ!」

 俺の恨み節に、シャンタルはふふんと鼻を鳴らした。

「だって、ジュール、仕方がなかったのよ! テオドールったらお姉様のアドバイスをちっとも聞かないんですもの。意地悪の一つもしたくなっちゃうわよ!
テオドールには、ジュールがエディマから戻ってきたらすぐに、ジュールがどんなに抵抗してもさっさと自分のものにしちゃいなさいって、お姉様は口を酸っぱくして言ってたの。それなのに、肝心な時にあのヘタレ男はっ!!」

 何かを思い出したのか、シャンタルは悔し気に手にしていたハンカチをぎゅっと握りしめた。

「お、お姉様っ……!?」

「テオドールったら、恋愛経験豊富なお姉様の言うことには全然耳を貸さずに、あのどっからどうみても耳年増な乙女の王女様のアドバイスにばっかりしたがっちゃって!!
『ナイム』だって、王女様の提案だったのよ。時を操る光魔法だか何だか知らないけど、わざわざあの頃のマリユスと同年代に設定したところにも何か含みを感じるわ。……まったく、あのプリンセスの考えることはあまりにも……」

 途中で言い過ぎだと気づいたのか、シャンタルははっとその手を口に当てた。

「まあ、そういうわけだけれども、ジュール! すべての出来事は、今、この瞬間に繋がっていたのよ」

 シャンタルの満面の笑みに、俺もついつられてほほ笑んだ。



 「何一つ欠けていても、今日のこの幸せな日は来なかった、そう思えば、今までのいろいろな過去全部が大切な出来事だったって、そうは思わない?」
 
 ――そうだ、今までの日々は、全部このテオドールとの未来に繋がっていたのだとしたら……。



 聖教会の鐘が鳴る。
 国を挙げての聖騎士の結婚式が、もうすぐ始まるのだ。

 祭壇の傍らには、もうすでに黒の聖騎士団の制服に身を包んだテオドールが、俺を待ってくれていることだろう。


「そうですね、お姉様。俺はいま、とても幸せです……!」




 ――これは俺が、俺を捨てた男の息子を育てて、最後に真実の愛を見つけた物語。





(了)







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 これでこの物語は完結です。長い間いままでありがとうございました!
「面白かった」「番外編も読みたい」と思っていただけましたら、ぜひお気に入り登録、エールで応援、ぜひぜひお願いします!
 感想欄も開けておりますので、励ましの感想などお寄せいただけると大変ありがたいです!

 皆様の応援が、次回更新の糧となります!!
 読んでいただいた皆様へ愛と感謝を込めて……。



 

 
しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

国民的アイドルの元ライバルが、俺の底辺配信をなぜか認知している

逢 舞夏
BL
「高校に行っても、お前には負けないからな!」 「……もう、俺を追いかけるな」  中三の卒業式。幼馴染であり、唯一無二のライバルだった蓮田深月(はすだ みつき)にそう突き放されたあの日から、俺の時間は止まったままだ。  あれから15年。深月は国民的アイドルグループのセンターとして芸能界の頂点に立ち、俺、梅本陸(うめもと りく)は、アパートでコンビニのサラミを齧る、しがない30歳の社畜になった。  誰にも祝われない30歳の誕生日。孤独と酒に酔った勢いで、俺は『おでん』という名の猫耳アバターを被り、VTuberとして配信を始めた。  どうせ誰も来ない。チラ裏の愚痴配信だ。  そう思っていた俺の画面を、見たことのない金額の赤スパ(投げ銭)が埋め尽くした。 『K:¥50,000 誕生日おめでとう。いい声だ、もっと話して』  『K』と名乗る謎の太客。  【執着強めの国民的アイドル】×【酒飲みツンデレおじさんV】

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました

水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。 新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。 それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。 「お前は俺の運命の番だ」 彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。 不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...