単なるセフレだったはずの王宮騎士団のイケメンエースが、なぜか身分違いの俺に激しく執着しはじめて、周囲をドン引きさせているって本当ですか!?

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55.アリャンとイーサン

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「シヴァ・ミシュラ……、言葉を交わすのは今日が初めてかな?
でも僕は君のこと、とてもよく知ってるよ。
友達として忠告させていただくけど、君はイーサンには似合わない!」

 ラムが強い視線をシヴァに向ける。

 シヴァも一歩前に進み出た。

「それはイーサンが決めることだ。お友達の君が決めることじゃない」

 お友達、を強調してシヴァが言う。

「どうせ適当なことを言って、イーサンをここに連れ出したんだろう?
イーサンから花束を突き返されてもまだわからないのかな?
あなたは、もしかしてちょっと頭が悪いのかな?」

 ラムが笑顔で返答する。ちなみに、目は全然笑っていない。
 
 そういうシヴァも、さっきからにこやかな表情をしている、が……、何だろうこの雰囲気!?

 ――殺気が漲っている!!


「そう言う君は目が悪いんじゃないか?
俺たちを見てわからないか? 俺は、イーサンの……」


「はいはい、そこまでにしとこうか、お二人さん!」

 ラムを強引に自分の脇にひっぱると、アリャンは笑顔で言った。

 さすが舞台俳優! 場面切り替えがすごい!


「イーサン、この前は差し入れありがとうな!
アンタの揚げ物、楽屋でも取り合いになってたよ」

 白い歯を見せて俺に笑いかけるアリャン。


「どういたしまして! もしよかったら、またいつでも作りますよ!」

「あの芋を揚げたのがまた食いたいな! あれはスパイスたっぷりで絶品だった!
そうだ! 今度はあんたのうちに行こうかな、一度俺の……」


「アリャン!!!!」

「イーサンっ!!!!」

 ラムとシヴァが同時に大声を出す。


「アリャンっ、いったいどういうつもりだよっ!
イーサンのこと、口説くつもりじゃないだろうねっ!?」

「イーサンっ、俺との約束を忘れたのか!? もしこの男を家に入れたりしたら……」

 ラムはアリャンに、そしてシヴァは俺に凄んでくる。


「ははっ、冗談だよ! 妬くなよ、ラム」

 アリャンは快活に笑うと、ラムの頭を抱え込むようにして、俺たちにくるりと背を向けた。


「じゃあな、イーサン、また今度! アンタの料理楽しみにしてるよ!」

 アリャンのターゴイズの瞳にドキリとする俺だったが……、


「イーサン、今夜家に戻ったら、俺たちは一度ゆっくりと話し合う必要があるようだな…‥」

 後ろから覆いかぶさってくる、地の底から這って出てきた悪霊のようなシヴァの声に、思わず震えあがるのだった。



 


 

 
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