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28.下級課程の生徒
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――王立学院。
その言葉に、俺の全身が反応して強張った。
あの頃、ヴェリオスは俺と同じ十八歳だった。
「上級課程」に所属していたヴェリオスは、二十歳でようやく卒業できる「下級課程」とは違い、貴族階級の成人である十八歳で卒業を迎えたはずだ。
王立学院を卒業したヴェリオス。
あの夜以降、彼はどんな日々を過ごしていたのだろうか。
そんな俺の動揺には気づかぬまま、アレクシは言葉を続けた。
「もちろん、僕はすぐに動いたよ。ヴェリオスと同級だった者たちに、片っ端から話を聞いて回った。
とはいえ、もう五年以上も前のことだからね。みな記憶も曖昧だったし、それに……、肝心のヴェリオスの性格がね」
アレクシは肩をすくめる。
「竜人という種は、もともと孤独を好む。気高さゆえなのか、他者とは一定の距離を置く傾向がある。
当然、王立学院でもヴェリオスは誰とも深く関わろうとはしなかったようでね。彼の本心を知る者など、一人もいなかった、というわけさ」
「では……結局、何も得られなかったのですか?」
俺の問いに、アレクシは優雅に微笑んだ。
「それが、そうでもない。
ヴェリオスに何があったのかまでは掴めなかったが、とある学友から、非常に興味深い話を聞けたのだよ」
そう言って、アレクシは俺の瞳をじっとのぞき込んだ。
「その学友が言うには、ある時期からヴェリオスは『下級課程』の生徒に、何やら強い関心を抱いていたらしい。そして、まるで誰かを探しているようだった……とね」
――下級課程の生徒。
――誰かを探していた……。
俺の心臓が音を立てて鳴り始める。
「ちなみにソルは知っているかな? ヴェリオスが通っていたラウタドリン王立学術院というのはね、貴族が所属する『上級課程』と、一般の民が学ぶ『下級課程』に分かれているのさ。
しかし、不思議だと思わないかい? 王立学院では『上級課程』の生徒と『下級課程』生徒とはほとんど交流がないんだ。学ぶ場所すら厳格に分けられていてね。
まあ、僕も卒業生であるからわかるが……、『上級課程』の生徒が『下級課程』の生徒に興味を持つなど、聞いたことがない。逆のことはままあったとしても、ね」
アレクシはおどけたように小さく首を傾げた。
「だからこそ、その話は興味深かった。ヴェリオスがなぜ『下級課程』の生徒に関心を持ったのか。
何のために探そうとしていたのか。僕は調査を続けたよ。そして、持ち前の根気とたぐいまれな行動力で……、ついに、手がかりを掴んだ」
「……手がかり?」
アレクシの視線が、まっすぐに俺を射抜く。
――この男は、どこまで知っている?
どこまで迫ってきている?
「ミエス・ランタ」
その名を聞いた瞬間、俺の内側で何かが音を立てて崩れ落ちた。
――ミエス・ランタ。
それは、俺がかつて、王立学院に通っていた時に使っていた名前だった。
その言葉に、俺の全身が反応して強張った。
あの頃、ヴェリオスは俺と同じ十八歳だった。
「上級課程」に所属していたヴェリオスは、二十歳でようやく卒業できる「下級課程」とは違い、貴族階級の成人である十八歳で卒業を迎えたはずだ。
王立学院を卒業したヴェリオス。
あの夜以降、彼はどんな日々を過ごしていたのだろうか。
そんな俺の動揺には気づかぬまま、アレクシは言葉を続けた。
「もちろん、僕はすぐに動いたよ。ヴェリオスと同級だった者たちに、片っ端から話を聞いて回った。
とはいえ、もう五年以上も前のことだからね。みな記憶も曖昧だったし、それに……、肝心のヴェリオスの性格がね」
アレクシは肩をすくめる。
「竜人という種は、もともと孤独を好む。気高さゆえなのか、他者とは一定の距離を置く傾向がある。
当然、王立学院でもヴェリオスは誰とも深く関わろうとはしなかったようでね。彼の本心を知る者など、一人もいなかった、というわけさ」
「では……結局、何も得られなかったのですか?」
俺の問いに、アレクシは優雅に微笑んだ。
「それが、そうでもない。
ヴェリオスに何があったのかまでは掴めなかったが、とある学友から、非常に興味深い話を聞けたのだよ」
そう言って、アレクシは俺の瞳をじっとのぞき込んだ。
「その学友が言うには、ある時期からヴェリオスは『下級課程』の生徒に、何やら強い関心を抱いていたらしい。そして、まるで誰かを探しているようだった……とね」
――下級課程の生徒。
――誰かを探していた……。
俺の心臓が音を立てて鳴り始める。
「ちなみにソルは知っているかな? ヴェリオスが通っていたラウタドリン王立学術院というのはね、貴族が所属する『上級課程』と、一般の民が学ぶ『下級課程』に分かれているのさ。
しかし、不思議だと思わないかい? 王立学院では『上級課程』の生徒と『下級課程』生徒とはほとんど交流がないんだ。学ぶ場所すら厳格に分けられていてね。
まあ、僕も卒業生であるからわかるが……、『上級課程』の生徒が『下級課程』の生徒に興味を持つなど、聞いたことがない。逆のことはままあったとしても、ね」
アレクシはおどけたように小さく首を傾げた。
「だからこそ、その話は興味深かった。ヴェリオスがなぜ『下級課程』の生徒に関心を持ったのか。
何のために探そうとしていたのか。僕は調査を続けたよ。そして、持ち前の根気とたぐいまれな行動力で……、ついに、手がかりを掴んだ」
「……手がかり?」
アレクシの視線が、まっすぐに俺を射抜く。
――この男は、どこまで知っている?
どこまで迫ってきている?
「ミエス・ランタ」
その名を聞いた瞬間、俺の内側で何かが音を立てて崩れ落ちた。
――ミエス・ランタ。
それは、俺がかつて、王立学院に通っていた時に使っていた名前だった。
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