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第三章 フドゥー伯爵家
第七十三話 命名式典
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今回の召喚は人型が多いから人材不足の解消にはいいのだが、そろそろモフモフ成分が欲しい。
でも次も人型である。
「五体目。召喚――オーガキング」
普通のオーガとあまり大きさに違いはないけど、灰色の体色が黒に近づき装備が腰布ではなく、武将のような甲冑だった。
武器は刀じゃなくて鉈だけどね。
「ワレ、シタガウ」
「よろしくね。名前は『グレン』を名乗るように」
「アリガタク」
のしのしと同僚の元に向かう。
ユミルはアープのことが気に入ったようで、そのプルプルボディに抱きついている。
一応分け隔てなく、あいさつの握手を交わしているけどね。
「次は六体目。召喚――レースフェンリル」
「グァ!?」
ユミルも新たなモフモフの気配を察知して、急いでアープのプルプルボディから離れる。
召喚陣から光沢がある白黒ツートーンの大きな狼が現れ、周囲を一通り見回したあと、その場にお座りした。
モフモフだ……。
可愛い。
「グァ!」
まだ召喚が終わったわけではないため、モフモフするのは我慢しておこう。ユミルに怒られちゃうからね。
なお、【御朱印帳】にスタンプを押すと、姿はともかく能力は確認することができる。
聞いたこともない種族である『レースフェンリル』のことも分かっていて、全員分の名前も用意してある。
「君の名前は『ウル』。よろしくね」
「ガゥ」
モフモフ狼のスリスリ攻撃に、俺は思わず頬を緩めてしまった。
「グァ?」
もちろん、ヤキモチ妬きのユミルに見つかってしまったが。
「あそこにユミルお姉ちゃんがいるから、いろいろ話を聞いておいで」
「ガゥ」
ペコリとお辞儀をしてユミルの元に向かう。
ユミルは早速マウンティングをしているようで、「グァグァ」と説明していた。
可愛いな……。
「七体目。召喚――スマラグドゥス」
「――グァ!?」
ユミルが気づいた通り、二体目のモフモフだ。
召喚されたモフモフは、一言で言えば大きな虎である。
ただ、体毛はエメラルドを思わせるほど深い翠色をしていおり、お腹に向かって徐々に鮮やかで淡い翠色に変化していく。
縞模様は黒ベースの偏光色らしく、夕日に当たってキラキラしている。
瞳や爪はエメラルドのようで、貴族に狙われそうだなと心配になる。
「虎さんは、『ルドラ』ね」
「グルル」
喉を鳴らして一回だけ顔を擦りつけると、ユミルの元に向かっていった。
思ったよりも平和そうに親交を深めていたから、ホッと胸をなで下ろす。
「次は八体目か。召喚――ミノタウロスロード」
ギガントくんと戦ったのだが、戦士装備を身につけた普通個体よりも少し大きいくらいのミノタウロスが召喚された。
「我が主に永久の忠誠をっ」
胸を拳でドンッと叩くミノタウロスに少しだけ驚くも、流暢に話していることの方がすごいと遅れて気づく。
ギガントくんは「ブモォォー」だったからね。
「よろしくね。名前は『エンマ』」
「名に恥じぬことを誓いまするっ」
「うんっ」
エンマの気合に当てられ、俺も力強く返事をする。
「九体目。召喚――アルラウネクイーン」
正直あまり変わっていない。
髪の毛が葉っぱで花が咲いていたり、下半身が薔薇のような花の中に収まっていたりしている姿そのままだ。
「主様に忠誠を尽くしますわ」
「よ、よろしくね」
大人とは言わないけど、メイベルよりも成長した体をお持ちのようだ。
しかも半裸状態で、一部分以外は露出している。
「名前は『イズン』」
「感謝いたしますわ」
一礼した後、花ごとというか花がイズンを運んでいった。
メイベルからの圧が籠もった視線が痛い。
「最後だー。召喚――玉兎」
ダンジョンボスそのままの姿で現れた二足歩行の兎さんは、周囲をキョロキョロと見回して何かを捜しているようだった。
「……どうしたの?」
「朕の寝床はどこぞ?」
「――無念って……寝たかったってこと?」
「然り」
コイツ、アレだ。
俺と同じタイプだ。
「寝床はちゃんと用意してあげるから、さきに名前をつけてもいいかな?」
「うむ」
「君は『マーニ』だよ。よろしくね」
「うむ。仲良くしようぞ」
可愛い。
偉そうなのに、憎めない。
「あそこにいる熊さんはみんなのお姉ちゃんだからね」
「ん? 姉上? ――姉上ーーっ!」
「グァ?」
ポテポテと短い足でユミルに駆け寄り、ギュッと抱きついた。
ユミルも驚くほど懐いている。
「どうしたの?」
「初めての家族ゆえ……」
「グァ……」
「寂しかったんだね……」
ユミルに抱きついたまま頭をグリグリ押しつけるマーニ。
対するユミルはというと、マーニに背中を向けていた。
「グァ」
「背中で寝ていいと?」
「グァ」
珍しいことにユミルがおんぶしてあげるようだ。
「光栄ですぞ」
照れた様子で背中に乗るマーニは、ユミルの背中にしがみついた。
その様子を確認したユミルが、何故か俺に向かって歩いてくる。
「撫でろってこと?」
「グァ」
首を横に振って否定するユミル。
「……まさか、おんぶしろと?」
「グァ!」
当然だと言うがごとく激しい肯定。
「……どうぞ」
マーニが落ちないように支えつつ、ユミルが窮屈に感じないレベルの固定を行い落下を防ぐ。
「今度保留にしていたおんぶ紐でも作ろうかな。さすがに不自然だもんね」
「カルム……前から不自然だったよ」
「そ、そうかな? みんなぬいぐるみだと思ってたじゃん」
「最初だけね。ユミルちゃんが動いたらぬいぐるみだと思われなくなるし、そもそも手で支えてないのに落ちないことが一番不自然だよ」
「どすこいパワーのおかげなんだな」
このどすこいパワーは多用する【観念動】のことを含めた、天禀合成体全てのことを指しているのだが、さすがに全部言うわけにはいかない。
しかし、ネビロスの機嫌もうかがわないといけない。
女性を怒らせたら、後が怖いからね。
そこで、召喚の間誰もバラムたちに近づかなかったことを利用して、バラムに説明させることにした。
お釈迦スマイルの意味とかも含めて。
「ガウ」
「グル」
「グァ?」
「ウルとルドラもユミルの背中に乗りたいの?」
「ガウ」
「グル」
コクリと頷く巨体の狼さんと虎さん。
「今のままの大きさじゃ……無理かな」
すると、二体は子狼と子虎サイズまで小さくなったではないか。
マーニよりも小さくなった二体は、俺の足に体を擦りつけるという自己アピールをする。
「可愛い……」
「グァ?」
「もちろん、ユミルは特別だよっ」
「グァ♪」
二体をユミルの頭と左肩に乗せてあげる。
ユミルとマーニはあまり大きさに違いはないが、ユミルの右肩に頭を置いた姿勢で抱きついたマーニは幸せそうに寝ている。
二体もそれぞれ落ち着いたポジションを捜して寝る準備をしているようだ。
なお、俺とユミルも対して変わらない大きさだから、端から見たらきっと異常な光景なのだろう。
普通なら後方に引っ張られて転んでいるはずなのに、前傾姿勢になることなく直立しているからね。
「それじゃあ晩餐に行こうか」
◇
一応俺が先に自室に転移して、隠れて奈落湯の裏手に回って監視の目がないことを確認してから 、再び転移で全員を連れてきた。
今回の人型は巨体の持ち主が多い。
特にスライムキングのアープと、ミノタウロスロードのエンマの大きさは問題になりそうだ。
「あっ忘れてた。【御神札】を渡すのを忘れてた。ネビロスたちも首から提げておいてね」
「これは何なのだ?」
「これはねぇ、みんなの心の中にあるはずの森に行くための鍵なんだよ。召喚獣及び召喚者の証明にもなっているんだよ」
「なんとっ! では、森に行けるようになるのだなっ!?」
「うん。そのために必要なのが【奈落大地】だったんだよねー」
「何故?」
「鍵があるってことは門があるってことでしょ? その設置場所が必要だったの。今は僕が毎回開閉しないといけないんだけど、設置してしまえば鍵さえあれば自由に行き来できるようになるんだ」
「なるほどっ! 楽しみだ」
大切そうに首から提げているネビロスと、召喚獣たち。
「あっ。【御朱印帳】に登録しないと専用の【御神札】が生成されないらしいんだ。アグラシスとシドラゴサムも登録する?」
「「是非に」」
二人とも【御朱印帳】に登録してくれ、【御神札】を渡すことができた。
「メイベル、マーニとウルとルドラにつけてあげて」
「いいの!?」
「うん」
「やったっ! ――失礼して……」
「なんぞ?」
「ユミルちゃんとお揃いのものだよ」
「あ、姉上と? 早く首にかけるが良い」
めちゃくちゃ懐いている。
ユミルも新人モフモフが生意気なら強めのマウンティングができ、俺に対しても強く出られただろうに、ユミル自身が可愛く思ってしまったため、嫉妬の火は鎮火された。
むしろ、可愛い弟たちをメイベルに自慢してすらいる。
「グァ♪」
ご機嫌のユミルがメイベルと一緒に【御神札】をつけている間に、他の人型召喚獣に確認を取る。
同時に、バラムに私兵団を呼んできてもらう。
「この中で小さくなれるよって者は?」
手が挙がった者は全部で三体。
アープとエンマとイズンだ。
「では、お願いします」
「プォ」
「はっ」
「畏まりましたわ」
了承した三体は魔力を少し放出した後、無事に姿を変えた。
アープは一抱えほどの大きさになり、エンマはグレンほどの巨漢の戦士に姿を変える。
イズンはあまり変わらず、下半身が花から出て植物の部分が減ったくらい。
アープとエンマを見て驚いたのが、装備も大きさが変わるということ。
そして、エンマとイズンを見て一番驚いたことは、二人が人化したことだ。
エンマは牛顔じゃなくて人間顔になっているし、イズンは十五歳前後の貴族令嬢っぽい姿になっている。
唯一植物の部分があるとしたら、服装や装飾品だろうか。
「うん。大体問題が解決したかな」
「プォ」
「ユミルのところに行きたいのかな?」
「プォ」
ユミル、大人気だなぁ。
ユミルも嬉しそうに受け入れ、俺の背中とユミルの体の間に挟むようにして抱きかかえている。
「背中が……カオスになっている……」
「カルム基地だね」
「オペレーターはユミルかな」
「グァ♪」
『私の止まり木が侵略されましたーーっ』
と、ここにも侵略の被害者がいた。
ご愁傷様です。
でも次も人型である。
「五体目。召喚――オーガキング」
普通のオーガとあまり大きさに違いはないけど、灰色の体色が黒に近づき装備が腰布ではなく、武将のような甲冑だった。
武器は刀じゃなくて鉈だけどね。
「ワレ、シタガウ」
「よろしくね。名前は『グレン』を名乗るように」
「アリガタク」
のしのしと同僚の元に向かう。
ユミルはアープのことが気に入ったようで、そのプルプルボディに抱きついている。
一応分け隔てなく、あいさつの握手を交わしているけどね。
「次は六体目。召喚――レースフェンリル」
「グァ!?」
ユミルも新たなモフモフの気配を察知して、急いでアープのプルプルボディから離れる。
召喚陣から光沢がある白黒ツートーンの大きな狼が現れ、周囲を一通り見回したあと、その場にお座りした。
モフモフだ……。
可愛い。
「グァ!」
まだ召喚が終わったわけではないため、モフモフするのは我慢しておこう。ユミルに怒られちゃうからね。
なお、【御朱印帳】にスタンプを押すと、姿はともかく能力は確認することができる。
聞いたこともない種族である『レースフェンリル』のことも分かっていて、全員分の名前も用意してある。
「君の名前は『ウル』。よろしくね」
「ガゥ」
モフモフ狼のスリスリ攻撃に、俺は思わず頬を緩めてしまった。
「グァ?」
もちろん、ヤキモチ妬きのユミルに見つかってしまったが。
「あそこにユミルお姉ちゃんがいるから、いろいろ話を聞いておいで」
「ガゥ」
ペコリとお辞儀をしてユミルの元に向かう。
ユミルは早速マウンティングをしているようで、「グァグァ」と説明していた。
可愛いな……。
「七体目。召喚――スマラグドゥス」
「――グァ!?」
ユミルが気づいた通り、二体目のモフモフだ。
召喚されたモフモフは、一言で言えば大きな虎である。
ただ、体毛はエメラルドを思わせるほど深い翠色をしていおり、お腹に向かって徐々に鮮やかで淡い翠色に変化していく。
縞模様は黒ベースの偏光色らしく、夕日に当たってキラキラしている。
瞳や爪はエメラルドのようで、貴族に狙われそうだなと心配になる。
「虎さんは、『ルドラ』ね」
「グルル」
喉を鳴らして一回だけ顔を擦りつけると、ユミルの元に向かっていった。
思ったよりも平和そうに親交を深めていたから、ホッと胸をなで下ろす。
「次は八体目か。召喚――ミノタウロスロード」
ギガントくんと戦ったのだが、戦士装備を身につけた普通個体よりも少し大きいくらいのミノタウロスが召喚された。
「我が主に永久の忠誠をっ」
胸を拳でドンッと叩くミノタウロスに少しだけ驚くも、流暢に話していることの方がすごいと遅れて気づく。
ギガントくんは「ブモォォー」だったからね。
「よろしくね。名前は『エンマ』」
「名に恥じぬことを誓いまするっ」
「うんっ」
エンマの気合に当てられ、俺も力強く返事をする。
「九体目。召喚――アルラウネクイーン」
正直あまり変わっていない。
髪の毛が葉っぱで花が咲いていたり、下半身が薔薇のような花の中に収まっていたりしている姿そのままだ。
「主様に忠誠を尽くしますわ」
「よ、よろしくね」
大人とは言わないけど、メイベルよりも成長した体をお持ちのようだ。
しかも半裸状態で、一部分以外は露出している。
「名前は『イズン』」
「感謝いたしますわ」
一礼した後、花ごとというか花がイズンを運んでいった。
メイベルからの圧が籠もった視線が痛い。
「最後だー。召喚――玉兎」
ダンジョンボスそのままの姿で現れた二足歩行の兎さんは、周囲をキョロキョロと見回して何かを捜しているようだった。
「……どうしたの?」
「朕の寝床はどこぞ?」
「――無念って……寝たかったってこと?」
「然り」
コイツ、アレだ。
俺と同じタイプだ。
「寝床はちゃんと用意してあげるから、さきに名前をつけてもいいかな?」
「うむ」
「君は『マーニ』だよ。よろしくね」
「うむ。仲良くしようぞ」
可愛い。
偉そうなのに、憎めない。
「あそこにいる熊さんはみんなのお姉ちゃんだからね」
「ん? 姉上? ――姉上ーーっ!」
「グァ?」
ポテポテと短い足でユミルに駆け寄り、ギュッと抱きついた。
ユミルも驚くほど懐いている。
「どうしたの?」
「初めての家族ゆえ……」
「グァ……」
「寂しかったんだね……」
ユミルに抱きついたまま頭をグリグリ押しつけるマーニ。
対するユミルはというと、マーニに背中を向けていた。
「グァ」
「背中で寝ていいと?」
「グァ」
珍しいことにユミルがおんぶしてあげるようだ。
「光栄ですぞ」
照れた様子で背中に乗るマーニは、ユミルの背中にしがみついた。
その様子を確認したユミルが、何故か俺に向かって歩いてくる。
「撫でろってこと?」
「グァ」
首を横に振って否定するユミル。
「……まさか、おんぶしろと?」
「グァ!」
当然だと言うがごとく激しい肯定。
「……どうぞ」
マーニが落ちないように支えつつ、ユミルが窮屈に感じないレベルの固定を行い落下を防ぐ。
「今度保留にしていたおんぶ紐でも作ろうかな。さすがに不自然だもんね」
「カルム……前から不自然だったよ」
「そ、そうかな? みんなぬいぐるみだと思ってたじゃん」
「最初だけね。ユミルちゃんが動いたらぬいぐるみだと思われなくなるし、そもそも手で支えてないのに落ちないことが一番不自然だよ」
「どすこいパワーのおかげなんだな」
このどすこいパワーは多用する【観念動】のことを含めた、天禀合成体全てのことを指しているのだが、さすがに全部言うわけにはいかない。
しかし、ネビロスの機嫌もうかがわないといけない。
女性を怒らせたら、後が怖いからね。
そこで、召喚の間誰もバラムたちに近づかなかったことを利用して、バラムに説明させることにした。
お釈迦スマイルの意味とかも含めて。
「ガウ」
「グル」
「グァ?」
「ウルとルドラもユミルの背中に乗りたいの?」
「ガウ」
「グル」
コクリと頷く巨体の狼さんと虎さん。
「今のままの大きさじゃ……無理かな」
すると、二体は子狼と子虎サイズまで小さくなったではないか。
マーニよりも小さくなった二体は、俺の足に体を擦りつけるという自己アピールをする。
「可愛い……」
「グァ?」
「もちろん、ユミルは特別だよっ」
「グァ♪」
二体をユミルの頭と左肩に乗せてあげる。
ユミルとマーニはあまり大きさに違いはないが、ユミルの右肩に頭を置いた姿勢で抱きついたマーニは幸せそうに寝ている。
二体もそれぞれ落ち着いたポジションを捜して寝る準備をしているようだ。
なお、俺とユミルも対して変わらない大きさだから、端から見たらきっと異常な光景なのだろう。
普通なら後方に引っ張られて転んでいるはずなのに、前傾姿勢になることなく直立しているからね。
「それじゃあ晩餐に行こうか」
◇
一応俺が先に自室に転移して、隠れて奈落湯の裏手に回って監視の目がないことを確認してから 、再び転移で全員を連れてきた。
今回の人型は巨体の持ち主が多い。
特にスライムキングのアープと、ミノタウロスロードのエンマの大きさは問題になりそうだ。
「あっ忘れてた。【御神札】を渡すのを忘れてた。ネビロスたちも首から提げておいてね」
「これは何なのだ?」
「これはねぇ、みんなの心の中にあるはずの森に行くための鍵なんだよ。召喚獣及び召喚者の証明にもなっているんだよ」
「なんとっ! では、森に行けるようになるのだなっ!?」
「うん。そのために必要なのが【奈落大地】だったんだよねー」
「何故?」
「鍵があるってことは門があるってことでしょ? その設置場所が必要だったの。今は僕が毎回開閉しないといけないんだけど、設置してしまえば鍵さえあれば自由に行き来できるようになるんだ」
「なるほどっ! 楽しみだ」
大切そうに首から提げているネビロスと、召喚獣たち。
「あっ。【御朱印帳】に登録しないと専用の【御神札】が生成されないらしいんだ。アグラシスとシドラゴサムも登録する?」
「「是非に」」
二人とも【御朱印帳】に登録してくれ、【御神札】を渡すことができた。
「メイベル、マーニとウルとルドラにつけてあげて」
「いいの!?」
「うん」
「やったっ! ――失礼して……」
「なんぞ?」
「ユミルちゃんとお揃いのものだよ」
「あ、姉上と? 早く首にかけるが良い」
めちゃくちゃ懐いている。
ユミルも新人モフモフが生意気なら強めのマウンティングができ、俺に対しても強く出られただろうに、ユミル自身が可愛く思ってしまったため、嫉妬の火は鎮火された。
むしろ、可愛い弟たちをメイベルに自慢してすらいる。
「グァ♪」
ご機嫌のユミルがメイベルと一緒に【御神札】をつけている間に、他の人型召喚獣に確認を取る。
同時に、バラムに私兵団を呼んできてもらう。
「この中で小さくなれるよって者は?」
手が挙がった者は全部で三体。
アープとエンマとイズンだ。
「では、お願いします」
「プォ」
「はっ」
「畏まりましたわ」
了承した三体は魔力を少し放出した後、無事に姿を変えた。
アープは一抱えほどの大きさになり、エンマはグレンほどの巨漢の戦士に姿を変える。
イズンはあまり変わらず、下半身が花から出て植物の部分が減ったくらい。
アープとエンマを見て驚いたのが、装備も大きさが変わるということ。
そして、エンマとイズンを見て一番驚いたことは、二人が人化したことだ。
エンマは牛顔じゃなくて人間顔になっているし、イズンは十五歳前後の貴族令嬢っぽい姿になっている。
唯一植物の部分があるとしたら、服装や装飾品だろうか。
「うん。大体問題が解決したかな」
「プォ」
「ユミルのところに行きたいのかな?」
「プォ」
ユミル、大人気だなぁ。
ユミルも嬉しそうに受け入れ、俺の背中とユミルの体の間に挟むようにして抱きかかえている。
「背中が……カオスになっている……」
「カルム基地だね」
「オペレーターはユミルかな」
「グァ♪」
『私の止まり木が侵略されましたーーっ』
と、ここにも侵略の被害者がいた。
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