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第一章 無人島
第一話 巨大な熊さんとの出会い
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意識が戻って来ると、サラサラとした砂の感触と波のさざめきが聞こえる。
「ここは……海岸……島か?」
辺りを見渡すと、砂浜と海、そして砂浜に鎮座する巨大な何かが、目に入って来た。動物の後ろ姿にしては、巨大すぎる。俺は、自分のことなど気にも止めずに、その巨大な何かを凝視した。
時折、首が上下に振られ、頷いてるようだった。コイツ、誰かと話しているのか? 色や形は違うが、ト○ロに似たおデブさんである。
――あっ! こっちを見た。
悪口に気が付いたのだろうと思ったのだが、そもそも俺の中では、動物のデブはアピールポイントだから、悪口ではない。
それにしてもどうしよう。目の前の巨大な熊をだ。
確か、目を合わせたまま少しずつ下がって行くのが、逃げるコツだったはず。でも、異世界で通用するのだろうか? どうしようか必死に思案していたら、熊が手をかざし、その手を自分の胸へ。その後、俺を指差す。
えっ? お前の心臓取るってこと?
せっかく転生したのに?
そう思っていたのだが、何やら違うようだ。同じ事を繰り返す熊。終いには、近づいて来たのだ。おデブさんなのに速い。さすが異世界である。
次の瞬間、避ける間もなく、右手を掴まれた。終わったー。二度目の人生も短かったー。と思ったら、右手をモフモフな熊さんの胸へ。不思議に思っていたとき、どこかから声が聞こえてきた。
「やっとか。ったく、さっさとしてくれよ」
――んっ? 誰かしゃべった?
周りにいるのは、目の前の熊さんだけだ。ということは、必然的にこの熊さんだと言うことになる。
「ほら、名前をつけろ。契約が進まんだろ」
あぁ! 定番の従魔契約のようだ。名前をつけるのはいいが、名付けとか苦手なのだ。だが、そうも言っていられない。
まず見た目はおデブさんだけど、色はさっきまでの茶黒と違う。赤にほんのり橙と黄色が混じって、所々グラデーションのようになってる。炎が揺らめいて見えなくもない。さらに、この体型。爆弾のようだ。
「じゃあ、ボムで。お前の名前は、『ボム』だ」
「おぅ! よろしくな!」
ボムがそう言った途端、二人の体を光が包み込み、魔力の紐のようなものが結びついたのがわかった。と、ここでボムにさらなる変化が起きていた。
元々熊だということで後ろ足だけで、立ち上がっていたが、完全に二足歩行になってる。熊を熊のまま人間のように立たせたみたいに。おデブさんなのは変わらないのだが……。
それでも、本人は大興奮。
テイムすると、こうなるのだろうか。これじゃあ、ますますト○ロに似てしまう。熊だから違うとしてもだ。何か知ってるかもしれないし、聞いてみることにした。
「なぁボム、その変化の原因は何? それと、ここら辺に案内の人いなかった?」
「あぁ、この姿はお前のテイムスキルのせいだな。お前のテイムスキルは、普通のと違う。ユニークスキルらしいからな。普通のは、こうならない」
興奮しながら、返答してきた。
というからしいって何だ?
誰かから聞いたのか?
「お前のテイムスキルで契約すれば、人族の能力に近づけるらしい。俺は、元々後ろ足だけで立ち上がれたから、もしかしたら人族のように二足歩行をし、肩の位置も変わるかもって期待していた。そこに、この変化。提案に応じてよかったと、心の底から思ったぞ! それに、ユニークスキル【擬人化】によっての変化だから、自由に変化を選べるのも最高だな!」
未だ興奮冷めやらぬボムは、サラッと重要なことを言ったのだ。提案に応じたって、まさかコイツが案内役なのか? だから、スキルの詳細を知っているのか? 二つの疑問が生まれたのであった。
「じゃあボムは、人間になりたくて案内役を受けたのか?」
異世界の熊は、人間になりたいのだろうか。
「違うぞ。俺には目標がある。この世界には、下界を管理する3体の神様がいるんだ。柱と言わないのは、この世界が創られたとき、最初に生まれた生き物だからだ。それぞれ役割が与えられ、それを成せる強大な力がある。その内の、獣と大地の管理をする、獅子王神のリオリクス様に勝負を挑んだんだ。
俺の目標は神獣への成り上がりだからな。獅子王神様に勝てば、近道になると思ったのだが、結果は一撃でおしまい。でも、死ななかったことで気に入ってもらえて、ヒントをもらったり、稽古をつけてもらったりして、リベンジのための、お使いも頼まれたんだ。
武者修行のために、魔境の無人島まで来た。それなのに伸び悩んでしまった。そんなとき、文字通り神の声が聞こえて来たんだ。協力すれば加護をやるし、修行にもなっていいこと尽くめだから。と言われたけど、さすが神様。本当のことだった。
だから、人間になりたかったわけではない。ただ、人間のようになれば武器を使えるから、さらに強くなれるだろ。まだまだ伸び代があることがわかったんだ。それだけでも、ワクワクが止まらないだろ!」
そう言ったボムは、本当に嬉しそうだった。やりたいことに一生懸命で、命をかけてまで目指す先がある。そんな目の前の熊さんを心から尊敬した。
ただ、コイツってスゴイ戦闘狂のようだ。これから先、コイツと一緒って大丈夫かな?
と、不安に思うのだった。
「ここは……海岸……島か?」
辺りを見渡すと、砂浜と海、そして砂浜に鎮座する巨大な何かが、目に入って来た。動物の後ろ姿にしては、巨大すぎる。俺は、自分のことなど気にも止めずに、その巨大な何かを凝視した。
時折、首が上下に振られ、頷いてるようだった。コイツ、誰かと話しているのか? 色や形は違うが、ト○ロに似たおデブさんである。
――あっ! こっちを見た。
悪口に気が付いたのだろうと思ったのだが、そもそも俺の中では、動物のデブはアピールポイントだから、悪口ではない。
それにしてもどうしよう。目の前の巨大な熊をだ。
確か、目を合わせたまま少しずつ下がって行くのが、逃げるコツだったはず。でも、異世界で通用するのだろうか? どうしようか必死に思案していたら、熊が手をかざし、その手を自分の胸へ。その後、俺を指差す。
えっ? お前の心臓取るってこと?
せっかく転生したのに?
そう思っていたのだが、何やら違うようだ。同じ事を繰り返す熊。終いには、近づいて来たのだ。おデブさんなのに速い。さすが異世界である。
次の瞬間、避ける間もなく、右手を掴まれた。終わったー。二度目の人生も短かったー。と思ったら、右手をモフモフな熊さんの胸へ。不思議に思っていたとき、どこかから声が聞こえてきた。
「やっとか。ったく、さっさとしてくれよ」
――んっ? 誰かしゃべった?
周りにいるのは、目の前の熊さんだけだ。ということは、必然的にこの熊さんだと言うことになる。
「ほら、名前をつけろ。契約が進まんだろ」
あぁ! 定番の従魔契約のようだ。名前をつけるのはいいが、名付けとか苦手なのだ。だが、そうも言っていられない。
まず見た目はおデブさんだけど、色はさっきまでの茶黒と違う。赤にほんのり橙と黄色が混じって、所々グラデーションのようになってる。炎が揺らめいて見えなくもない。さらに、この体型。爆弾のようだ。
「じゃあ、ボムで。お前の名前は、『ボム』だ」
「おぅ! よろしくな!」
ボムがそう言った途端、二人の体を光が包み込み、魔力の紐のようなものが結びついたのがわかった。と、ここでボムにさらなる変化が起きていた。
元々熊だということで後ろ足だけで、立ち上がっていたが、完全に二足歩行になってる。熊を熊のまま人間のように立たせたみたいに。おデブさんなのは変わらないのだが……。
それでも、本人は大興奮。
テイムすると、こうなるのだろうか。これじゃあ、ますますト○ロに似てしまう。熊だから違うとしてもだ。何か知ってるかもしれないし、聞いてみることにした。
「なぁボム、その変化の原因は何? それと、ここら辺に案内の人いなかった?」
「あぁ、この姿はお前のテイムスキルのせいだな。お前のテイムスキルは、普通のと違う。ユニークスキルらしいからな。普通のは、こうならない」
興奮しながら、返答してきた。
というからしいって何だ?
誰かから聞いたのか?
「お前のテイムスキルで契約すれば、人族の能力に近づけるらしい。俺は、元々後ろ足だけで立ち上がれたから、もしかしたら人族のように二足歩行をし、肩の位置も変わるかもって期待していた。そこに、この変化。提案に応じてよかったと、心の底から思ったぞ! それに、ユニークスキル【擬人化】によっての変化だから、自由に変化を選べるのも最高だな!」
未だ興奮冷めやらぬボムは、サラッと重要なことを言ったのだ。提案に応じたって、まさかコイツが案内役なのか? だから、スキルの詳細を知っているのか? 二つの疑問が生まれたのであった。
「じゃあボムは、人間になりたくて案内役を受けたのか?」
異世界の熊は、人間になりたいのだろうか。
「違うぞ。俺には目標がある。この世界には、下界を管理する3体の神様がいるんだ。柱と言わないのは、この世界が創られたとき、最初に生まれた生き物だからだ。それぞれ役割が与えられ、それを成せる強大な力がある。その内の、獣と大地の管理をする、獅子王神のリオリクス様に勝負を挑んだんだ。
俺の目標は神獣への成り上がりだからな。獅子王神様に勝てば、近道になると思ったのだが、結果は一撃でおしまい。でも、死ななかったことで気に入ってもらえて、ヒントをもらったり、稽古をつけてもらったりして、リベンジのための、お使いも頼まれたんだ。
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だから、人間になりたかったわけではない。ただ、人間のようになれば武器を使えるから、さらに強くなれるだろ。まだまだ伸び代があることがわかったんだ。それだけでも、ワクワクが止まらないだろ!」
そう言ったボムは、本当に嬉しそうだった。やりたいことに一生懸命で、命をかけてまで目指す先がある。そんな目の前の熊さんを心から尊敬した。
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