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第三章 学園国家グラドレイ
第六十六話 蛇の巣
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俺は、ボム達に簡単な説明をして、詳細はまた後日になった。ニールにも、一緒に聞いてもらおうと、思ったからだ。そして、最後の魔術の説明をした。
「最後の魔術は、リオリクス様の【獣爪拳】です。これが、右腕崩壊の原因です。ただ、時間を掛けると、イヤな感じがしたため、力を発揮出来ないうちに、始末することにしたため、選択肢がありませんでした。リオリクス様の爪で、武器を作っておくべきでした」
俺は、あの爪で作った武器があれば、こうならなかったことを、予想していた。【獣爪拳】は、あの爪の強度ありきの技だということが、使ってみて分かったのだ。分かってたから、爪も一緒にくれたのだろう。考えが甘かったことを、今回身をもって知った。
「なら、俺のも作ってくれるよな?」
「俺は、ナイフの代わりの、双剣のような物を作るだけだから、あとは全部、ボムの物だぞ」
「いいのか?」
俺の言葉に、嬉しそうに尻尾を振る、ボムだった。あの技に耐えられる爪で作った武器が、そう簡単に、壊れるはずもないため、二本で十分だと、思ったからだ。それに引き換え、ボムは様々な武器を使うため、素材は多い方がいいのだった。
「もちろんだ」
「ありがとな」
とっても嬉しそうな熊さんだった。可愛い。そして、その可愛いボムを見詰める、モフリスト共は、ボムを見ながら話し掛けてきた。
「ラースくん。子熊のこと、忘れてないわよね?」
……ぶっちゃけ、忘れていた。リオリクス様のことは、覚えていたが、子熊の量産は忘れていた。というか、材料が全然足りない。あの狩りでは、魔石は集められたが、毛皮が足りない。大きいバージョンのソモルンと、ボムを作ったら、完全になくなる。
「……もちろん、忘れていませんよ。ただ、材料が足りないため、今日行われるオークションで、購入予定です。不屈石も出されないそうなので、爆買いしようかと。ついでに、従魔オークションで解放運動を、しようかと思ってます」
その話を聞き、モフリスト共が、何やら相談を始めた。そして、答えが出たのだろう。代表して、モフリスト筆頭のローズさんが、話し出した。
「毛皮が足りないのですよね? オークションで全て集まりますか? 集まらないようなら、私達が、ダンジョンに行ってきますが?」
コイツら、マジか……。十大ダンジョンほどではないが、ここは、【創世の塔】が近くにあるため、ダンジョンも広く、魔物の強さも平均でBだった。そこに、お嬢様出身の女性だけで行くとか、自殺行為だろう。そこまで、子熊が欲しいのか?
「そこまでしなくても、大丈夫ですよ。それより、希望の色を教えて下さい」
そう言うと、また相談を始めたモフリスト共。そして、話し合いにより、色が決定したようだ。頼むから、ボムの姿で奇抜な色は止めて欲しい。
まずは、モフリスト筆頭のローズさんは、オレンジだと言う。理由は、ソモルンと同じ色なら、ボムとソモルンが、一緒にいるみたいで幸せだそうだ。ソモルンも大喜びして、ローズさんに抱きついていた。そして、だらしない顔をする、ローズさんだった。
次に、そのモフリスト筆頭の娘であり、モフリストのサラブレッドである、エルザさん。騎士のくせに、剣と子熊のどちらがいいか聞いたら、即答で子熊を選んだ、モフリストのサラブレッドは、緑を選んだ。三原色がよかったのかもしれないな。
続いて、王妃のくせに、ボムと子熊のためにここまで来た、モフリスト共の知恵袋兼後ろ盾である、イリスさん。順番は、最後でもいいから、色だけは譲れないと、ゴリ押しをしたお嬢様。コイツが、やってくれた。奇抜な色の、先駆者だった。色は、ピンク。理由は、ローズさんのカルラバージョン。だが、カルラも可愛がっている、イリスさんらしくはある。
そして、セシリア公爵夫人。コイツは、モフモフを愛してやまない、生粋のモフリスト。筆頭であるローズさんを支える、筆頭補佐である。コイツの子供には、会いたくない。子熊の注文が増える。さらに、コイツは公爵家が管理している、グリフォンの保護区域に、入り浸りたいがために、結婚したも同然らしい。馬鹿すぎる。筆頭より、モフモフ馬鹿だった。
そして、コイツもやってくれた。色は黄色だそうだ。一番奇抜なやつだ。理由は、どこにいるかすぐに分かるから、だそうだ。ゴーレムだから、側にいるし、元々デカいから分かるだろ! と、言いたかった。しかし反論が、怖かったから無視した。
最後に、大人しいマーガレット侯爵夫人。一番真面だったが、実際にいそうで、ある意味不安だった。ちなみに、この人はモフモフ歴が浅い。理由は、モフリスト共に洗脳されたからだ。そして、元々素養があったのだろう。すぐに、堕ちた。そして、侯爵領にある、ウルフ系の保護地区のモフモフを、狂ったようにモフり始めたそうだ。色は、白。白熊の完成だ。
そして、色を聞いてる最中のボムは、死んだ顔をしていた。おかしな色の太った熊が、量産されていると、最初は笑っていたが、そのモデルが自分だと気づき、おかしな色の自分を想像して、凹んでいた。だが、オレンジとピンクのときは、喜んでいた。理由を聞いたからだろう。
「あと、シュバルツさんの剣は、作り終えましたので、確認して下さい。剣の方は、【ブレイズ】一般的なバスターソードというものですね。片手でも両手でも持て、斬りと突きの両方が出来る、万能剣でしょう。シュバルツさんは、適正属性が『火・無』と言っていたので、その二つを使いやすいように、してあります。一つは、熱伝導率が高い、ヒヒイロカネを使った合金製ということ。もう一つは、魔剣ですね。もちろん、使用者制限と盗難防止対策付きです。合金の内容としては、ヒヒイロカネと魔法鋼のダマスカスですね。ヒヒイロカネだけだと、硬度はありますが、折れやすく重くなってしまうため、靱性を高めるため、ダマスカスを入れています。
それから、おまけでソードブレイカーを。こちらは、【アビス】。普通の短剣としても、使えますよ。こちらは、強度をメインにして、アダマンタイトとミスリルを使った、合金製です。ミスリルにより、魔力伝導がしやすくなっています。属性纏を覚えたら、戦いやすくなるでしょう」
ボムからの圧力と、モフリスト共からの圧力から、抜け出せない苦労性の彼を労うのは、当然の行為だろう。それに、他の阿呆と違って、向上心が高く、臆することなく、俺やプルーム様に質問をしているところは、賞賛に値する。さすがに、プルーム様達の素材を、出すことはしないが、それでも最高の物が出来たはず。
今回も、文字の刻印をしている。バスターソードの方には、【一刀両断】。剣に相応しい、四字熟語だろう。ソードブレイカーの方には、【堅牢堅固】。防御のためにある言葉だろう。使用者以外は、持てない。それでも、盗られた場合は、魔力を込めれば、転送される仕組みだ。もちろん、どちらも【不老不死】を刻み込んであるため、メンテナンスフリーである。
「……いいのですか? このようなものを頂いても。これは、本来王が持つもの。それを、私が?」
「いいもなにも、シュバルツさんの剣に合わせて作った、オーダーメイドです。他の人では、無意味のゴミと同じですよ。しかも、前線に立たない王が持っていても、それこそ無意味でしょう? それに、そのように評価を、してくれているのなら、それは、強者が持つ武器だということです。でしたら、向上心がある者が持つ方が、本来の在りようでは、ありませんか? 気になる点が、ないようでしたら、魔力を流してみてください。それで、初めて完成しますから」
そう言うと、大事そうに持ちながら、構えたり振ったりしながら、確認した後、魔力を流していた。すると、バスターソードの方は、刃が赤く染まっていき、深紅の刀身に青白い筋が、数本枝分かれして通っていた。そして、ソードブレイカーの方は、漆黒の刀身に深紅の筋が、一本通っていた。これで、完成であった。
俺と四賢者の一人であるドワーフとの、合作第二号である。もちろん、第一号は聖剣(偽)である。そして、目の前で狂喜乱舞する、シュバルツ。そして、期待のこもった目で見詰めて来る、モフリスト共。さらに、剣を見て復活したボム。
ボムはともかく、モフリスト共が怖かった。そのため、ちょっとした悪戯をしてみた。
「子熊の代金は……?」
驚愕の顔をしていた。王女が、国宝級のゴーレムと言っていたため、からかってみたくなったのだが、ボムに怒られた。
「何を言っている! そんなことを言うな! こんな奴らでも、一応世話になっているのだぞ」
「冗談に決まってるだろ。ただ、悪戯をしたくなっただけだよ」
そう言うと、納得してくれたのか、頷いていた。
「熊さん。かばってくれて、ありがとう」
そう言って、抱きつくモフリスト共。こんな奴らと言われたのにもかかわらず、お礼を言いながら、モフっている人達の、心の強さは、素直にすごいと思った。
「では、落ち着いたようですので、【蛇の巣】に蛇を転送しに行ってきます」
「待て! 俺も行く!」
モフモフから逃げたいボムは、すぐに起き上がり、俺の後ろに隠れた。そこに、便乗する昨日の探検メンバー。ちなみに、グレタとセレール様は、別の部屋で、グレタが甘えている最中である。セレール様に会えなかった分、今日一日、ずっと甘えるそうだ。
――時空魔術《転移》――
「ほぉー。ここが蛇の巣か。昨日よりも広いな。様々な部屋もある。いったいどう使うのじゃ?」
プルーム様が感心しながら、聞いてきた。
「この大部屋は、《転移門》を設置してありますので、後ほど作る鍵で行き来する、待機所ですね。そして、この奥に工場があるのですが、そこに蛇を固定して魔力を流すと、自動で各属性に振り分けられ、一定量がたまると、魔晶石になります。致死量は、取りませんよ。老衰で死ぬまで、従事してもらうため、個人個人の一日の規定値になったら、好きに生活してもらいます。蛇として。逃走防止のため、蛇の部屋は一つだけで、まとめて入れておきます。絶対に入りたくない部屋ですね。入るときは上から、出るときは下からだけにします。そして、施設全体に《絶界》を張ります。もちろん、全てはオークのためです」
ぶっちゃけ、蛇になること以外は、緩い罰だと思う。蛇も治そうと思えば、治せるからだ。創造魔術が使えれば……。ただ、俺はここには、二度と来ない。これは、決定事項である。
「では、そろそろ転送しますよ。もちろん、蛇の部屋に転送しますので、移動します」
そう言って、奥に移動していく。俺の後ろでは、セルやニールが、本当は魔王の生まれ変わりだと、ガルーダに説明していた。そして、そこにはいつものように、ギンもいた。さらに、何故オークのためにやっているのかも、説明していた。もちろん、セルが。
「到着です。セルは、この中に入りたいのかな?」
「ごめんなさい」
「よろしい」
我が家は、全員蛇が苦手だった。だが、まだ蛇になっていないため、入っても大丈夫である。
――時空魔術《転送》――
魔術を使うと、部屋の中に次々に現れる人。まだ人だった。
「ごきげんよう。魔結社の諸君。どうやら、幹部の方はいないようですね。幹部の方は、加護でもついているのかな? まぁ、とりあえずあなたたちは、もうすぐ蛇になります。蛇、お好きでしょう? お揃いの蛇の紋章をつけて、クラン『蛇の絆』とか言ってそう。それに、人体実験してまで、魔物の力を欲しがったのでしょ? トカゲとか新種のオークとか。それが、もれなく蛇になれるのです。おめでとうございます。夢が叶いましたね」
そう言うと、俺の後ろでは探検メンバーが、大爆笑していた。あのソモルンもだった。ガルーダも、腹を抱えて笑っていた。
もちろん、怒っている者もいた。
「ふざけるな! 我らは、魔物になりたいわけではない。世界を統一して、平等の幸せを得るために、行動している。崇高な使命があるのだ。神は仰った。いつか現れる邪神のために、力をつけよと。そして、その方はこの世界の創造神だとも。我らの首領は、神の言葉を聞き、聖獣を打ち倒すことが出来る力をつけた。我らも、神の使命を全うするための力を得るため、活動している。その邪魔をするな!」
首領の話を聞いた瞬間、ニールのことが頭をよぎり、全員の殺気が辺り一体を覆った。そして、プルーム様の殺気が、発されようとした瞬間、セレール様から念話が届いた。
『プルーム! 何事だ? 凄まじい殺気に、街や森が、混乱しているぞ!』
『……すまん。つい』
『ラース達にも、言っておけ』
子機を通していたため、俺にも聞こえた。
「……お……お前……達は、いったい……?」
殺気に当てられたのだろう。上手くしゃべれなくなってしまった。ちなみに、舌に刻まれている契約紋は、外してある。というか、《神威》を放ったあとに、消滅していた。
「その首領は、どこのどいつで、今どこにいる? それを教えてくれるなら、蛇にするのをやめてやるし、力もやろう。どうだ?」
阿呆は、しばらく悩み、答えを出した。
「竜人族・魔族・獣人族・ドワーフ族の四賢者の血が全て入った、子孫という話だ。探し物をしていて、各地を飛んでいる。だから、場所は分からない。教えたのだから、取引をしろ!」
なるほど。どんなやつか分からんことが、分かっただけか。探し物とは、幻想魔術のことか? と、疑問に思うも、とりあえず、阿呆の言う取引をしてやろう。
「分かった分かった」
――創造魔術《免罪符》――
――創造魔術《神威》――
――神聖魔術《解呪》――
――時空魔術《転送》――
「もうすぐ終わる。あと、魔力をあげる薬を打ってやる」
「やった。これで俺は……」
そう言って、消えていった。オークの国へ。彼は、オークに生まれ変わるのだった。蛇よりは、強そうだろう?
「さて、彼はオークに生まれ変わることを、選んだ。諸君は、残念ながら何も教えてくれていないため、このまま蛇だ。彼はオークとして、交尾出来る。人間と変わらないな。お前らは、どうだろうな。蛇玉というのに、なるのかな? まあ、頑張ってくれたまえ。彼は、ここの担当にしてあげるからさ」
「ちょっと待て! 嘘だよな? 嘘って言えよ!」
阿呆共が叫んでいた。だが、助ける気など、一切ない。
「嘘? 嘘なわけないだろ。お前らは、俺の弟の両親を殺したんだ。嘘だよな? と言えば、帰って来ると思っているのか? これから先、まだまだ作れた思い出を、お前らの訳の分からん実験のために、出来なくなったんだよ。許すと思っているのか? それに、これも創造神様の御意志だ。分かってくれ。お前らは、そう言って正当化していたが、お前らがしたことは、まさに神罰に値する。グレタのこと、ニールのこと。死ぬまで一生、蛇になって後悔していろ」
そう言って、阿呆共を裸に剥いて、放置しておいた。蛇の部屋を絶界にして、鍵の使用で蛇の出し入れが出来るようにした。さらに、この施設全てに、固定型の絶界を張った。強力なサポート付きで。それはもちろん、プルーム様。相当お怒りで、冥界神が迂闊に手を出せないようにも、しておいた。あとで、オークに連絡しておこう。
「みんなありがとう」
と、言ったニールを皆で撫でたのだった。
「最後の魔術は、リオリクス様の【獣爪拳】です。これが、右腕崩壊の原因です。ただ、時間を掛けると、イヤな感じがしたため、力を発揮出来ないうちに、始末することにしたため、選択肢がありませんでした。リオリクス様の爪で、武器を作っておくべきでした」
俺は、あの爪で作った武器があれば、こうならなかったことを、予想していた。【獣爪拳】は、あの爪の強度ありきの技だということが、使ってみて分かったのだ。分かってたから、爪も一緒にくれたのだろう。考えが甘かったことを、今回身をもって知った。
「なら、俺のも作ってくれるよな?」
「俺は、ナイフの代わりの、双剣のような物を作るだけだから、あとは全部、ボムの物だぞ」
「いいのか?」
俺の言葉に、嬉しそうに尻尾を振る、ボムだった。あの技に耐えられる爪で作った武器が、そう簡単に、壊れるはずもないため、二本で十分だと、思ったからだ。それに引き換え、ボムは様々な武器を使うため、素材は多い方がいいのだった。
「もちろんだ」
「ありがとな」
とっても嬉しそうな熊さんだった。可愛い。そして、その可愛いボムを見詰める、モフリスト共は、ボムを見ながら話し掛けてきた。
「ラースくん。子熊のこと、忘れてないわよね?」
……ぶっちゃけ、忘れていた。リオリクス様のことは、覚えていたが、子熊の量産は忘れていた。というか、材料が全然足りない。あの狩りでは、魔石は集められたが、毛皮が足りない。大きいバージョンのソモルンと、ボムを作ったら、完全になくなる。
「……もちろん、忘れていませんよ。ただ、材料が足りないため、今日行われるオークションで、購入予定です。不屈石も出されないそうなので、爆買いしようかと。ついでに、従魔オークションで解放運動を、しようかと思ってます」
その話を聞き、モフリスト共が、何やら相談を始めた。そして、答えが出たのだろう。代表して、モフリスト筆頭のローズさんが、話し出した。
「毛皮が足りないのですよね? オークションで全て集まりますか? 集まらないようなら、私達が、ダンジョンに行ってきますが?」
コイツら、マジか……。十大ダンジョンほどではないが、ここは、【創世の塔】が近くにあるため、ダンジョンも広く、魔物の強さも平均でBだった。そこに、お嬢様出身の女性だけで行くとか、自殺行為だろう。そこまで、子熊が欲しいのか?
「そこまでしなくても、大丈夫ですよ。それより、希望の色を教えて下さい」
そう言うと、また相談を始めたモフリスト共。そして、話し合いにより、色が決定したようだ。頼むから、ボムの姿で奇抜な色は止めて欲しい。
まずは、モフリスト筆頭のローズさんは、オレンジだと言う。理由は、ソモルンと同じ色なら、ボムとソモルンが、一緒にいるみたいで幸せだそうだ。ソモルンも大喜びして、ローズさんに抱きついていた。そして、だらしない顔をする、ローズさんだった。
次に、そのモフリスト筆頭の娘であり、モフリストのサラブレッドである、エルザさん。騎士のくせに、剣と子熊のどちらがいいか聞いたら、即答で子熊を選んだ、モフリストのサラブレッドは、緑を選んだ。三原色がよかったのかもしれないな。
続いて、王妃のくせに、ボムと子熊のためにここまで来た、モフリスト共の知恵袋兼後ろ盾である、イリスさん。順番は、最後でもいいから、色だけは譲れないと、ゴリ押しをしたお嬢様。コイツが、やってくれた。奇抜な色の、先駆者だった。色は、ピンク。理由は、ローズさんのカルラバージョン。だが、カルラも可愛がっている、イリスさんらしくはある。
そして、セシリア公爵夫人。コイツは、モフモフを愛してやまない、生粋のモフリスト。筆頭であるローズさんを支える、筆頭補佐である。コイツの子供には、会いたくない。子熊の注文が増える。さらに、コイツは公爵家が管理している、グリフォンの保護区域に、入り浸りたいがために、結婚したも同然らしい。馬鹿すぎる。筆頭より、モフモフ馬鹿だった。
そして、コイツもやってくれた。色は黄色だそうだ。一番奇抜なやつだ。理由は、どこにいるかすぐに分かるから、だそうだ。ゴーレムだから、側にいるし、元々デカいから分かるだろ! と、言いたかった。しかし反論が、怖かったから無視した。
最後に、大人しいマーガレット侯爵夫人。一番真面だったが、実際にいそうで、ある意味不安だった。ちなみに、この人はモフモフ歴が浅い。理由は、モフリスト共に洗脳されたからだ。そして、元々素養があったのだろう。すぐに、堕ちた。そして、侯爵領にある、ウルフ系の保護地区のモフモフを、狂ったようにモフり始めたそうだ。色は、白。白熊の完成だ。
そして、色を聞いてる最中のボムは、死んだ顔をしていた。おかしな色の太った熊が、量産されていると、最初は笑っていたが、そのモデルが自分だと気づき、おかしな色の自分を想像して、凹んでいた。だが、オレンジとピンクのときは、喜んでいた。理由を聞いたからだろう。
「あと、シュバルツさんの剣は、作り終えましたので、確認して下さい。剣の方は、【ブレイズ】一般的なバスターソードというものですね。片手でも両手でも持て、斬りと突きの両方が出来る、万能剣でしょう。シュバルツさんは、適正属性が『火・無』と言っていたので、その二つを使いやすいように、してあります。一つは、熱伝導率が高い、ヒヒイロカネを使った合金製ということ。もう一つは、魔剣ですね。もちろん、使用者制限と盗難防止対策付きです。合金の内容としては、ヒヒイロカネと魔法鋼のダマスカスですね。ヒヒイロカネだけだと、硬度はありますが、折れやすく重くなってしまうため、靱性を高めるため、ダマスカスを入れています。
それから、おまけでソードブレイカーを。こちらは、【アビス】。普通の短剣としても、使えますよ。こちらは、強度をメインにして、アダマンタイトとミスリルを使った、合金製です。ミスリルにより、魔力伝導がしやすくなっています。属性纏を覚えたら、戦いやすくなるでしょう」
ボムからの圧力と、モフリスト共からの圧力から、抜け出せない苦労性の彼を労うのは、当然の行為だろう。それに、他の阿呆と違って、向上心が高く、臆することなく、俺やプルーム様に質問をしているところは、賞賛に値する。さすがに、プルーム様達の素材を、出すことはしないが、それでも最高の物が出来たはず。
今回も、文字の刻印をしている。バスターソードの方には、【一刀両断】。剣に相応しい、四字熟語だろう。ソードブレイカーの方には、【堅牢堅固】。防御のためにある言葉だろう。使用者以外は、持てない。それでも、盗られた場合は、魔力を込めれば、転送される仕組みだ。もちろん、どちらも【不老不死】を刻み込んであるため、メンテナンスフリーである。
「……いいのですか? このようなものを頂いても。これは、本来王が持つもの。それを、私が?」
「いいもなにも、シュバルツさんの剣に合わせて作った、オーダーメイドです。他の人では、無意味のゴミと同じですよ。しかも、前線に立たない王が持っていても、それこそ無意味でしょう? それに、そのように評価を、してくれているのなら、それは、強者が持つ武器だということです。でしたら、向上心がある者が持つ方が、本来の在りようでは、ありませんか? 気になる点が、ないようでしたら、魔力を流してみてください。それで、初めて完成しますから」
そう言うと、大事そうに持ちながら、構えたり振ったりしながら、確認した後、魔力を流していた。すると、バスターソードの方は、刃が赤く染まっていき、深紅の刀身に青白い筋が、数本枝分かれして通っていた。そして、ソードブレイカーの方は、漆黒の刀身に深紅の筋が、一本通っていた。これで、完成であった。
俺と四賢者の一人であるドワーフとの、合作第二号である。もちろん、第一号は聖剣(偽)である。そして、目の前で狂喜乱舞する、シュバルツ。そして、期待のこもった目で見詰めて来る、モフリスト共。さらに、剣を見て復活したボム。
ボムはともかく、モフリスト共が怖かった。そのため、ちょっとした悪戯をしてみた。
「子熊の代金は……?」
驚愕の顔をしていた。王女が、国宝級のゴーレムと言っていたため、からかってみたくなったのだが、ボムに怒られた。
「何を言っている! そんなことを言うな! こんな奴らでも、一応世話になっているのだぞ」
「冗談に決まってるだろ。ただ、悪戯をしたくなっただけだよ」
そう言うと、納得してくれたのか、頷いていた。
「熊さん。かばってくれて、ありがとう」
そう言って、抱きつくモフリスト共。こんな奴らと言われたのにもかかわらず、お礼を言いながら、モフっている人達の、心の強さは、素直にすごいと思った。
「では、落ち着いたようですので、【蛇の巣】に蛇を転送しに行ってきます」
「待て! 俺も行く!」
モフモフから逃げたいボムは、すぐに起き上がり、俺の後ろに隠れた。そこに、便乗する昨日の探検メンバー。ちなみに、グレタとセレール様は、別の部屋で、グレタが甘えている最中である。セレール様に会えなかった分、今日一日、ずっと甘えるそうだ。
――時空魔術《転移》――
「ほぉー。ここが蛇の巣か。昨日よりも広いな。様々な部屋もある。いったいどう使うのじゃ?」
プルーム様が感心しながら、聞いてきた。
「この大部屋は、《転移門》を設置してありますので、後ほど作る鍵で行き来する、待機所ですね。そして、この奥に工場があるのですが、そこに蛇を固定して魔力を流すと、自動で各属性に振り分けられ、一定量がたまると、魔晶石になります。致死量は、取りませんよ。老衰で死ぬまで、従事してもらうため、個人個人の一日の規定値になったら、好きに生活してもらいます。蛇として。逃走防止のため、蛇の部屋は一つだけで、まとめて入れておきます。絶対に入りたくない部屋ですね。入るときは上から、出るときは下からだけにします。そして、施設全体に《絶界》を張ります。もちろん、全てはオークのためです」
ぶっちゃけ、蛇になること以外は、緩い罰だと思う。蛇も治そうと思えば、治せるからだ。創造魔術が使えれば……。ただ、俺はここには、二度と来ない。これは、決定事項である。
「では、そろそろ転送しますよ。もちろん、蛇の部屋に転送しますので、移動します」
そう言って、奥に移動していく。俺の後ろでは、セルやニールが、本当は魔王の生まれ変わりだと、ガルーダに説明していた。そして、そこにはいつものように、ギンもいた。さらに、何故オークのためにやっているのかも、説明していた。もちろん、セルが。
「到着です。セルは、この中に入りたいのかな?」
「ごめんなさい」
「よろしい」
我が家は、全員蛇が苦手だった。だが、まだ蛇になっていないため、入っても大丈夫である。
――時空魔術《転送》――
魔術を使うと、部屋の中に次々に現れる人。まだ人だった。
「ごきげんよう。魔結社の諸君。どうやら、幹部の方はいないようですね。幹部の方は、加護でもついているのかな? まぁ、とりあえずあなたたちは、もうすぐ蛇になります。蛇、お好きでしょう? お揃いの蛇の紋章をつけて、クラン『蛇の絆』とか言ってそう。それに、人体実験してまで、魔物の力を欲しがったのでしょ? トカゲとか新種のオークとか。それが、もれなく蛇になれるのです。おめでとうございます。夢が叶いましたね」
そう言うと、俺の後ろでは探検メンバーが、大爆笑していた。あのソモルンもだった。ガルーダも、腹を抱えて笑っていた。
もちろん、怒っている者もいた。
「ふざけるな! 我らは、魔物になりたいわけではない。世界を統一して、平等の幸せを得るために、行動している。崇高な使命があるのだ。神は仰った。いつか現れる邪神のために、力をつけよと。そして、その方はこの世界の創造神だとも。我らの首領は、神の言葉を聞き、聖獣を打ち倒すことが出来る力をつけた。我らも、神の使命を全うするための力を得るため、活動している。その邪魔をするな!」
首領の話を聞いた瞬間、ニールのことが頭をよぎり、全員の殺気が辺り一体を覆った。そして、プルーム様の殺気が、発されようとした瞬間、セレール様から念話が届いた。
『プルーム! 何事だ? 凄まじい殺気に、街や森が、混乱しているぞ!』
『……すまん。つい』
『ラース達にも、言っておけ』
子機を通していたため、俺にも聞こえた。
「……お……お前……達は、いったい……?」
殺気に当てられたのだろう。上手くしゃべれなくなってしまった。ちなみに、舌に刻まれている契約紋は、外してある。というか、《神威》を放ったあとに、消滅していた。
「その首領は、どこのどいつで、今どこにいる? それを教えてくれるなら、蛇にするのをやめてやるし、力もやろう。どうだ?」
阿呆は、しばらく悩み、答えを出した。
「竜人族・魔族・獣人族・ドワーフ族の四賢者の血が全て入った、子孫という話だ。探し物をしていて、各地を飛んでいる。だから、場所は分からない。教えたのだから、取引をしろ!」
なるほど。どんなやつか分からんことが、分かっただけか。探し物とは、幻想魔術のことか? と、疑問に思うも、とりあえず、阿呆の言う取引をしてやろう。
「分かった分かった」
――創造魔術《免罪符》――
――創造魔術《神威》――
――神聖魔術《解呪》――
――時空魔術《転送》――
「もうすぐ終わる。あと、魔力をあげる薬を打ってやる」
「やった。これで俺は……」
そう言って、消えていった。オークの国へ。彼は、オークに生まれ変わるのだった。蛇よりは、強そうだろう?
「さて、彼はオークに生まれ変わることを、選んだ。諸君は、残念ながら何も教えてくれていないため、このまま蛇だ。彼はオークとして、交尾出来る。人間と変わらないな。お前らは、どうだろうな。蛇玉というのに、なるのかな? まあ、頑張ってくれたまえ。彼は、ここの担当にしてあげるからさ」
「ちょっと待て! 嘘だよな? 嘘って言えよ!」
阿呆共が叫んでいた。だが、助ける気など、一切ない。
「嘘? 嘘なわけないだろ。お前らは、俺の弟の両親を殺したんだ。嘘だよな? と言えば、帰って来ると思っているのか? これから先、まだまだ作れた思い出を、お前らの訳の分からん実験のために、出来なくなったんだよ。許すと思っているのか? それに、これも創造神様の御意志だ。分かってくれ。お前らは、そう言って正当化していたが、お前らがしたことは、まさに神罰に値する。グレタのこと、ニールのこと。死ぬまで一生、蛇になって後悔していろ」
そう言って、阿呆共を裸に剥いて、放置しておいた。蛇の部屋を絶界にして、鍵の使用で蛇の出し入れが出来るようにした。さらに、この施設全てに、固定型の絶界を張った。強力なサポート付きで。それはもちろん、プルーム様。相当お怒りで、冥界神が迂闊に手を出せないようにも、しておいた。あとで、オークに連絡しておこう。
「みんなありがとう」
と、言ったニールを皆で撫でたのだった。
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私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
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しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
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