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八百万芥 ?歳
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神とはなんなのだろう。
青い空を見上げながら考える。
あれから酒も畑仕事も止めた。
まんじりともせずただ時間が過ぎるのを感じていた。
最初は怒りと喪失から思いのまままた村に厄をもたらそうとも思ったが止めた。
恵みを与えることもせずただ見守る、いや放置した。
それでも人は生き抜いた。あれからどれくらいの月日が経ったろう、ますます神とはなんなのか分からなくなった。
それでも春の風に誘われてなのか山を降りることにした。
人通りはそれなりに、けれど行き交う人は誰も自分を目に止めない。神としての力が弱まったのか、それともこの時勢の人は皆そうなのか。
河原沿いに小さな社を見つけた。
疲れたので脇に腰掛け空を仰ぐ。
人とはなんなのだろう。
自分達の手で這い上がろうと思えば意味の無い匣を奉ったりする。
「こりゃっ!バチ当たりな」
足を投げ出して考えていると叱責された。見ると老婆が箒を持って立っている。
「まったく、最近の若いのは」
立ち上がって袴の埃を払う。
「ここはね、女神様を奉った社なんだよ」
立ち去ろうとすると老婆が不意に話し出す。追い出したいのか止めたいのか分からない。
「昔ねこの辺りには悪い神様が居てね。日照りや大雨をもたらしてたんだ」
(悪神と来たもんか)
時間が流れれば畏怖も憎しみに変わるのかもしれない。
「そんな村を憐れんで女神様は一人悪い神様に向かって慰めたそうだよ。それ以来村に厄は来なくなったそうだ」
瞳孔がすぼまる。
「私ね、神様になりたいんですよ」
不意に懐かしい声が聞こえた気がした。
関わりがあるか分からない。真実かも分からない。触れることは叶わない、感じることすらできない。
それでも。
「願い、叶ったね」
突き抜けるような空を眺めてそう呟いた。
青い空を見上げながら考える。
あれから酒も畑仕事も止めた。
まんじりともせずただ時間が過ぎるのを感じていた。
最初は怒りと喪失から思いのまままた村に厄をもたらそうとも思ったが止めた。
恵みを与えることもせずただ見守る、いや放置した。
それでも人は生き抜いた。あれからどれくらいの月日が経ったろう、ますます神とはなんなのか分からなくなった。
それでも春の風に誘われてなのか山を降りることにした。
人通りはそれなりに、けれど行き交う人は誰も自分を目に止めない。神としての力が弱まったのか、それともこの時勢の人は皆そうなのか。
河原沿いに小さな社を見つけた。
疲れたので脇に腰掛け空を仰ぐ。
人とはなんなのだろう。
自分達の手で這い上がろうと思えば意味の無い匣を奉ったりする。
「こりゃっ!バチ当たりな」
足を投げ出して考えていると叱責された。見ると老婆が箒を持って立っている。
「まったく、最近の若いのは」
立ち上がって袴の埃を払う。
「ここはね、女神様を奉った社なんだよ」
立ち去ろうとすると老婆が不意に話し出す。追い出したいのか止めたいのか分からない。
「昔ねこの辺りには悪い神様が居てね。日照りや大雨をもたらしてたんだ」
(悪神と来たもんか)
時間が流れれば畏怖も憎しみに変わるのかもしれない。
「そんな村を憐れんで女神様は一人悪い神様に向かって慰めたそうだよ。それ以来村に厄は来なくなったそうだ」
瞳孔がすぼまる。
「私ね、神様になりたいんですよ」
不意に懐かしい声が聞こえた気がした。
関わりがあるか分からない。真実かも分からない。触れることは叶わない、感じることすらできない。
それでも。
「願い、叶ったね」
突き抜けるような空を眺めてそう呟いた。
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