秋のソナタ

夢野とわ

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かれん

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Deep in earth my love is lying And I must weep alone.
 ポー


 学校というのは、不思議な場所だ、と僕は思う。
何、君はそう思わない?
ならば、少し僕の話しにつきあってくれたまえ!
僕とかれんの十月の話しに……。

朝の様子はいつもと変わらなかったが、心だけはうきうきとしている秋だった。うっすらとした窓は、ブルーで、カーテンレースをてらしていた。
今日は、母さんはいない。近所のポストのチラシくばりのアルバイトに行っている日なのだ。眠い。朝におきるのがめんどうだ。
僕はかれんのことを思い浮かべた。
かれん。
僕は、口に出して、かれんの名前を呼んでみる。
高山かれん。
一番美人のクラスメイトで、近ごろの転校生だ。
教室に最初に入ってきたとき、教室中がドキッとした。
すらりと伸びた長い足。ブレスレットが似合いそうな、細すぎる手足。それよりも、冬に降るような、白い顔の色――。

「高山かれんです。みなさん、私は京都からきました。どうぞよろしくおねがいします」

かれんは、まるで小鳥がさえずっているような、声を出した。かれんはさっそうと歩いて、席にすわった。まるで、空中を自由に飛ぶ、ハトのようだった。
「かれん、高山かれん」
僕はノートのはしっこにそう書いていた。高山かれんは、僕の考えた通りに、僕のとなりのイスに座った。かれんは静かに、まぶたを閉じていている。
何か考えているのだろうか?

秋の光がやさしい。
その光がかれんの横顔をてらしている。
僕はあくびを一つした。
先生の目線が気になった。
そして、かれんがいる、初めての授業がはじまった。

学校に着くと、僕が一番だった。
かれんはまだ来ていない。
僕は教室の金魚にエサやりをした。
パクパクと口を開けて、金魚たちがいっせいにエサの所まで泳いでくる。
僕はしばらく、それを見つめて、ぼうっとしていた。
教室にパタパタと人が入ってくる。
かれんの姿がなかなかみえない。
遅れて入ってくるのかと、思ったら、まだやってこない。
先生が入ってきた。その後に続くようにしてかれんが入ってくる。
白いブラウスに、制服。
「すみません。遅くなって……」
誰に言うともない、かれんのため息のような声が、となりから聞こえた。
「起立! 礼!」
学校の、秋の授業が始まった。
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