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第一章桃チャンの世界…俺がまるっとハッピーエンドにしてやるぜ!
第13話過去から未來、交錯する感情
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複雑な胸中の3人組だが、旅路は思いの外楽しかった。
鬼を退治したい桃太郎。
鬼を守りたい瞬。
鬼の敵がいる黄楊。
ちぐはぐだけれど、年齢も其ほど離れていない同姓は気心が知れて楽な部分も確かに有る。
猿(黄楊)の住んでいた村までは、後少しで着くそうだ。
着いて欲しい様な着かないで欲しい様な複雑感。…俺は本来とてもシンプルな男の子だった筈なんだが?
とは、勿論瞬の言葉だ。
目的地は、元々そんなに離れていない村だったから、非常にも直ぐにたどり着いてしまった。
これが、ロールプレイングゲームなら、片っ端から村人ABに話を聞いて廻る事になるのだが、如何せんこれはリアルだ。
それに、この村には……もう村人はいない。
村は、辛うじて人が住んでいたんだろうな、と感じるしか出来ない程に、荒れ果てていた。これを見る黄楊はどんな気持ちか?……考えるに余りある。
村の入り口に入ると、途端に桃太郎の雰囲気が変わった。
「……ここに鬼はいない…」
何の探知機なのか?……どうやら桃太郎には鬼を感じるセンサーが付いているらしい。
鬼●朗の髪の毛か!?…何て思ったりもしたけど、彼はそもそもが妖怪で人間じゃない。
「……さすが桃太郎さん。…正解だよ、ここに鬼はいない。…鬼はこの奥にいる」
そう言って猿が指を指したのは、村の奥、小高い山の上だった。
それを聞くが早いか桃太郎は走り出してしまった。
「おいおい、待てよ!!…んっとに団体行動の出来ねー奴だな!!」
勝手に走り出す桃太郎に、怒鳴るも聞きやしない。
仕方なく俺と黄楊は、桃太郎を追いかけた。
心なしか黄楊も何処かおかしい様に感じたが、今は桃太郎を追いかける事が先決だ。
「くそ!!…速えーな!!化け物かよ!」
自転車を放り出し、俺と猿は追い掛けるが中々追い付けない。
自慢じゃないが、足はそこそこ速い方だったのに、自信を無くすわ。
やっとの思いで追い付くと、寂れた木屋の前で、羅刹のおっさんが家の前で突っ立っていた。
それを黙って睨み付けている桃太郎の姿に、美景さんの時に見た景色が思い出される。
途端、更にプッツンした桃太郎がおっさん目掛けて切りつけた。
その声に、少し前の記憶を思い出していた俺は正気に戻り、止めようにも、俺の声より、桃太郎のダッシュの方が速かった。
「羅刹つっーーーーーーーー!!」
おっさんが危ない!!…俺はそう思った。
でも結果は、……………。
桃太郎が羅刹のおっさんにたどり着く事なく、何か解らない力で吹き飛ばされた。
様に俺には見えた。
桃太郎は俺達より後方に吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた衝撃で気を失っている。
俺は桃太郎に駆け寄ったから、反応が遅れてしまったんだ。
黄楊が寂れた家にふらふらと近寄り、そして、その家の扉に付けられた刀傷を見詰めて、狂った様に心がこの場所にはいなくなって……その瞳は、今のこの景色のどれも写してはいないことに……気づけなかった。
◇◇◇
「俺は………この扉の傷を知っている?…どうして?…誰が?」
黄楊は扉に向かって話しかけるのが早いか……脳の記憶の箱が開くのが早いか、封じていた記憶がフィードバックし始めた。
この声はお母さん?
まだ辛うじて残っている黄楊の、望んだ、正気な感情が優しかった母の面影を思い出す。
「お前さえ………お前さえいなければ!!」
次に思い出したのは、優しい母とはかけ離れたおぞましい女の姿だった。
黄楊には、母にそんな顔され恨まれる覚えがない。
何で?…どうして?…幼かった黄楊の問いかけに答えてくれる者なんて誰もいなかった。
何故、母親が自分を切り殺そうとしている?理由が解らない。
なら、どうやって助かったんだ?
考え始めると、記憶の箱から次々に思い出達が飛び出してくる。
最後に箱の中に残った、もう一つの頑丈に鍵が掛けられた箱。…その箱を開けば、残ったのは、真実の記憶。
そして知った真実。…自分を助けてくれたのは……那由多。…青鬼と呼ばれ、一度は自分が父と慕った、憎き仇の鬼が自分を救ってくれたのだ。
あの時…………家に帰った自分を、母は………自分を切り殺そうとしたのだ。
幼かった自分には、理由は解らない、解らないけど、確かなのは憎んだ、那由多が助けてくれたこと。
でも………思い出したくなかった!!
黄楊は思い出した記憶に大きな衝撃を受け、膝から崩れ落ちると、大きな咆哮を上げた。
声にならない声が何処までも響く。
その姿に驚いた瞬は、桃太郎の側にいるべきか、黄楊の側にいるべきか迷ったが、桃太郎を横に寝かせると、未だ悶える黄楊の肩を揺すった。
「しっかりしろ!!…黄楊!!…どうしちまったんだよ?!正気に戻れ!!」
でも、瞬の声は黄楊には届かない。
瞬は家の前でただ立ち、そして此方を見ている羅刹を怒鳴り付けた。
「何でこうなった!?…どうしてだよ!?おっさん!!」
何で羅刹に聞いたのか、瞬にも解らないが、羅刹が全てを知っていると、そう直感したのだ。
「……」
「黙って無いで答えろよ!!…あんたが俺を巻き込んだんだろ!?なら、俺には話を聞く権利がある筈だ!!」
正確にはチビ助が大きく俺を巻き込んだのだが、この際そんな小さな事はどうでもいい。
俺が怒鳴っている間に、黄楊が気を失い、その体から力が抜けた。
そのまま、俺が黄楊のだ体を抱き止める形となった。
「おい!!…黄楊しっかりしろ!!」
瞬が、黄楊の頬を叩いて起こそうとしていると、黙りだった羅刹が話し始めた。
鬼を退治したい桃太郎。
鬼を守りたい瞬。
鬼の敵がいる黄楊。
ちぐはぐだけれど、年齢も其ほど離れていない同姓は気心が知れて楽な部分も確かに有る。
猿(黄楊)の住んでいた村までは、後少しで着くそうだ。
着いて欲しい様な着かないで欲しい様な複雑感。…俺は本来とてもシンプルな男の子だった筈なんだが?
とは、勿論瞬の言葉だ。
目的地は、元々そんなに離れていない村だったから、非常にも直ぐにたどり着いてしまった。
これが、ロールプレイングゲームなら、片っ端から村人ABに話を聞いて廻る事になるのだが、如何せんこれはリアルだ。
それに、この村には……もう村人はいない。
村は、辛うじて人が住んでいたんだろうな、と感じるしか出来ない程に、荒れ果てていた。これを見る黄楊はどんな気持ちか?……考えるに余りある。
村の入り口に入ると、途端に桃太郎の雰囲気が変わった。
「……ここに鬼はいない…」
何の探知機なのか?……どうやら桃太郎には鬼を感じるセンサーが付いているらしい。
鬼●朗の髪の毛か!?…何て思ったりもしたけど、彼はそもそもが妖怪で人間じゃない。
「……さすが桃太郎さん。…正解だよ、ここに鬼はいない。…鬼はこの奥にいる」
そう言って猿が指を指したのは、村の奥、小高い山の上だった。
それを聞くが早いか桃太郎は走り出してしまった。
「おいおい、待てよ!!…んっとに団体行動の出来ねー奴だな!!」
勝手に走り出す桃太郎に、怒鳴るも聞きやしない。
仕方なく俺と黄楊は、桃太郎を追いかけた。
心なしか黄楊も何処かおかしい様に感じたが、今は桃太郎を追いかける事が先決だ。
「くそ!!…速えーな!!化け物かよ!」
自転車を放り出し、俺と猿は追い掛けるが中々追い付けない。
自慢じゃないが、足はそこそこ速い方だったのに、自信を無くすわ。
やっとの思いで追い付くと、寂れた木屋の前で、羅刹のおっさんが家の前で突っ立っていた。
それを黙って睨み付けている桃太郎の姿に、美景さんの時に見た景色が思い出される。
途端、更にプッツンした桃太郎がおっさん目掛けて切りつけた。
その声に、少し前の記憶を思い出していた俺は正気に戻り、止めようにも、俺の声より、桃太郎のダッシュの方が速かった。
「羅刹つっーーーーーーーー!!」
おっさんが危ない!!…俺はそう思った。
でも結果は、……………。
桃太郎が羅刹のおっさんにたどり着く事なく、何か解らない力で吹き飛ばされた。
様に俺には見えた。
桃太郎は俺達より後方に吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた衝撃で気を失っている。
俺は桃太郎に駆け寄ったから、反応が遅れてしまったんだ。
黄楊が寂れた家にふらふらと近寄り、そして、その家の扉に付けられた刀傷を見詰めて、狂った様に心がこの場所にはいなくなって……その瞳は、今のこの景色のどれも写してはいないことに……気づけなかった。
◇◇◇
「俺は………この扉の傷を知っている?…どうして?…誰が?」
黄楊は扉に向かって話しかけるのが早いか……脳の記憶の箱が開くのが早いか、封じていた記憶がフィードバックし始めた。
この声はお母さん?
まだ辛うじて残っている黄楊の、望んだ、正気な感情が優しかった母の面影を思い出す。
「お前さえ………お前さえいなければ!!」
次に思い出したのは、優しい母とはかけ離れたおぞましい女の姿だった。
黄楊には、母にそんな顔され恨まれる覚えがない。
何で?…どうして?…幼かった黄楊の問いかけに答えてくれる者なんて誰もいなかった。
何故、母親が自分を切り殺そうとしている?理由が解らない。
なら、どうやって助かったんだ?
考え始めると、記憶の箱から次々に思い出達が飛び出してくる。
最後に箱の中に残った、もう一つの頑丈に鍵が掛けられた箱。…その箱を開けば、残ったのは、真実の記憶。
そして知った真実。…自分を助けてくれたのは……那由多。…青鬼と呼ばれ、一度は自分が父と慕った、憎き仇の鬼が自分を救ってくれたのだ。
あの時…………家に帰った自分を、母は………自分を切り殺そうとしたのだ。
幼かった自分には、理由は解らない、解らないけど、確かなのは憎んだ、那由多が助けてくれたこと。
でも………思い出したくなかった!!
黄楊は思い出した記憶に大きな衝撃を受け、膝から崩れ落ちると、大きな咆哮を上げた。
声にならない声が何処までも響く。
その姿に驚いた瞬は、桃太郎の側にいるべきか、黄楊の側にいるべきか迷ったが、桃太郎を横に寝かせると、未だ悶える黄楊の肩を揺すった。
「しっかりしろ!!…黄楊!!…どうしちまったんだよ?!正気に戻れ!!」
でも、瞬の声は黄楊には届かない。
瞬は家の前でただ立ち、そして此方を見ている羅刹を怒鳴り付けた。
「何でこうなった!?…どうしてだよ!?おっさん!!」
何で羅刹に聞いたのか、瞬にも解らないが、羅刹が全てを知っていると、そう直感したのだ。
「……」
「黙って無いで答えろよ!!…あんたが俺を巻き込んだんだろ!?なら、俺には話を聞く権利がある筈だ!!」
正確にはチビ助が大きく俺を巻き込んだのだが、この際そんな小さな事はどうでもいい。
俺が怒鳴っている間に、黄楊が気を失い、その体から力が抜けた。
そのまま、俺が黄楊のだ体を抱き止める形となった。
「おい!!…黄楊しっかりしろ!!」
瞬が、黄楊の頬を叩いて起こそうとしていると、黙りだった羅刹が話し始めた。
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