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ーーー夏目の家ーーー
【09】
しおりを挟む俺は家に帰ってから、直ぐに休憩しなくていい?と俺を気遣う夏目の手を引いて庭園に行った。入ってすぐの所に大きな木がありその太い枝には白いブランコが付いていた。力強い木々と咲き誇る綺麗な花たちに囲まれたそこは幻想的な雰囲気がする。
「夏目、話があるの」
「んー?どうしたの?」
「俺は、夏目 直樹の事を愛してるみたい。2週間後に発情期があるから、俺の首、噛んで」
俺はフードを外しブランコに座ろうとした。だけど俺の体は夏目に抱きしめられ、押し倒されるような感じで若草の上に寝っ転がっていた。ブランコは俺の横でゆらゆらと揺れている。
「うん。ありがとう、一生大切にする。」
「あ、でもあと一週間そ、そういうエッチな事禁止ね。心の準備をさせて。」
今はかなり心の余裕ができご飯も少しずつだけど食べれるようになった。これも全部夏目のおかげだと思う。
俺は夏目を抱きしめると向き合うようにして寝っ転がった。高いマンションの貸し切り限定の場所なだけあってクオリティは高く上を向くとお昼の太陽がガラスの天井と木々の間から差し込んできた。
「ねぇ、夏目。キスしよ?」
「今は無理だよ。だって今したらそのまま舌を入れたくなる」
「いいよ、入れて」
そう言うと夏目は驚いたような顔をした次の瞬間、男の人の顔をしていた。夏目は俺の唇に噛み付くように自分の唇を合わせると何度か角度を変えてキスをする。
「舌、入れるよ」
「ん、っ、…ぁ」
庭園にはくちゅ、くちゅ、とはしたない水音だけが響き渡っている。夏目のキスは熟練感を感じさせるような激しいキスだった。息をしようと逃げるように舌を引っ込めれば息をする間もなく次は歯列を舐め上げてくる。ねっとりとした動作に俺は気持ちよくなりちんこが勃ってしまう。
「ん~明楽、ここ大きくなってるよ」
「んひゃっ!お触り禁止!!!」
夏目は俺の足と足の間に手を忍び込ませまだ誰にも触らせたことがない俺のを撫でた。初めての感覚につい動揺してしまう。でもその感覚が忘れられないほど気持ちいい。
夏目はキスはさせたのにその先はさせてくれないのかと静かに抗議の目で俺を威圧する。前は怖かったけど今はそれが愛おしく感じてしまう。それはきっと俺が普通のΩになったからだ。
「こーら夏目、そのフェロモンは次使う人を困らせるからしまって。」
俺は夏目の頭をポンポンと叩くとフェロモンは収まった。そして俺は立ち上がりブランコに座る。
地面を蹴るとブランコは大きく揺れ俺は心地いい風に包まれた。夏目はベンチに座り缶コーヒーを片手に俺を眺めている。
最近嬉しいことが沢山できた。まだ少量だけど髪の毛の根元から数センチが黒くなってきいる。これも夏目のおかげでこれを見つけた時、俺はつい嬉しくなった。だって3年ぶりの黒い髪の毛だもん。昔は女の子みたいだと言われるほど綺麗だったこの白い髪の毛が昔のような綺麗さを取り戻せるかもしれないのだ。その姿を早く夏目に見てもらいたい、そして綺麗だと褒めてもらいたい。
「ねぇ、夏目!俺、雪也くんと水族館に行きたい!」
「いいけど、発情期が終わってからね。もちろん俺もついてく」
「うん!佐野も誘って一緒に行こうね!」
俺は勢いよく地面を蹴りブランコと共に宙を揺れる。それが楽しくて俺はつい笑ってしまう。180度回れそうな勢いのまま俺はまた地面を蹴り飛ばし、揺れが治まったぐらいの時に今度は空中でブランコから離れた。
「あーたのしー」
俺は振り返ると鬼の形相で近づく夏目の姿があった。
「こら、危ないでしょ。次やったら怒るからね」
「うん、わかった。」
そういうと夏目はやれやれと頭を抱え俺にカーディガンを着せた。気がつけば少し汗をかいていてもう日が沈み始めている。
夏目は汗で冷たくなった俺を抱き上げて部屋に戻った。
今日の夕食はシチューらしいよ
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