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本編
冷たくおいしく!カプレーゼ風の冷製パスタ
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「おはようございます! 今日も暑いですね、先輩」
「ああ、おはよう」
関東は梅雨入りしたというのに、土日はカラっと晴れている。彼女は先月の沖縄旅行みやげの、かりゆしウェアを着てやってきた。早くも夏本番の気分である。
「こう暑いと冷たいものが欲しくなりますね。さっぱりした冷製パスタってできます?」
「ああ、ちょうど考えていたところだ」
冷蔵庫からトマトとスライスチーズを出し、ベランダにあるバジルの鉢植えから葉っぱを10枚ほど摘み取る。
「バジル君、すくすく育ってますね」
「暑くなってきたからな。この夏いっぱいは楽しめそうだ」
「そうそう、私もバジル育ててるんですよ。友達が一株くれたので」
そう言って、スマホの画面を見せてきた。以前、青唐辛子をくれた友人のようだ。
「おお、来週あたりには摘み取っても大丈夫そうだな」
「ですよね。楽しみだなぁ」
バジルなどのハーブを自家栽培すると食べたい時に食べられる、つまりわざわざ買ってくる手間が省けるという恩恵も大きいのだが、単純に育っていくのを見るだけでも楽しいものである。
*
「さて、バジルとチーズとトマト。この3つから作れる料理といえば?」
「マルゲリータはピザだから……カプレーゼですか?」
「当たり! 本来は前菜だけど、それをパスタにアレンジするんだ」
イタリア国旗に見立てた3種の食材をカットして皿に並べ、オリーブオイルをかけた定番の前菜。これをパスタにアレンジしてみるというわけだ。
「まずはパスタを茹でる準備だな。今日はこれを使う」
「あ、カッペリーニですね」
「極細のロングパスタ、冷製にはぴったりのやつだ」
正確にはカペッリーニと発音するところだが、細かいところで揚げ足をとるのもつまらないのでスルーする。
*
「さて、鍋に水を張ったらソースの準備だ。まず深皿にオリーブ油を入れる。2人分で大さじ2杯ってところか」
できれば上質のエクストラバージンを使いたいところだが、これは安物である。まあいいか。
「まずはチーズから切っていく。2人分なら4枚ってところか」
まな板にスライスチーズを乗せ、包丁の腹に指先でオリーブオイルを塗りつける。
「だいたい1センチ角に切っていく」
「なるほど、そのままだとくっついちゃうから油を塗るんですね」
「その通り。切ったところでオリーブオイルに入れていく。油に漬けることで結着を防止するんだ」
本来のカプレーゼは大きめにカットしたモッツァレラチーズを使うが、今回はパスタに絡めるので小さく切ることにする。
「次にトマト。これはダイスカットだな。まず横方向に輪切りにしてから、縦横に包丁を入れていくとやりやすいと思う」
「例によって湯むきはしないんですね」
「好みだけどな。余計な手間はかけないのが俺のやり方だ」
切ったトマトは、なるべく果肉がこぼれないように、チーズとオリーブ油の入ったボウルに入れていく。
「最後にバジル。これは手でちぎったほうが香りが出る」
「あ、私もやります!」
「手は洗うんだぞ」
「もう、わかってますってば!」
わかっていてもついつい口にしてしまう。俺は世話焼きなタイプなのかも知れない。
「仕上げに塩を3グラム、小さじ半分だな。せっかくだから沖縄みやげのやつを使うか」
「溶けやすいみたいなので、冷製料理にはぴったりかも知れませんね」
「塩を入れたらよく混ぜて、冷蔵庫……いや、今は冷凍庫のほうがいいか。とにかく冷やしておくんだ」
お湯が沸いてパスタが茹で上がるまで、あと10分くらいか。冷蔵庫ではろくに冷えないだろう。
*
「パスタ、そろそろですかね?」
水で締めるから、少し長めに茹でたほうがいいとは言っておいた。標準の茹で時間から1分が過ぎたところである。
「どれどれ……うん、いいんじゃないか」
試しに1本を取ってみて、水で締めて口に入れる。十分に火が通ったようだ。
「ザルに上げて、冷水で締めて……っと」
「水切りも大事ですよね」
「ああ、もちろんだ」
念入りに水切りしたパスタを、均等に皿に盛る。そして冷凍庫から和えたソースを取り出す。
「ここに、さっき作ったソースを絡めていく」
「トマトの赤とバジルの緑。彩りがいいですねぇ」
「仕上げに黒コショウを振って……カプレーゼ風冷製パスタ、完成!」
*
「いただきます!……うん、さっぱりしてておいしい!」
「本当はモッツァレラを使いたいところだが、安物のチーズでもなかなかいけるだろ」
「モッツァレラ、微妙に高いし開けたら使い切らないといけないし、使いづらいですからね」
「他にも6Pチーズとか、さけるチーズで作ってもいいと思う。ピザ用とかの加熱用チーズだけは避けるべきだけどな」
「他に具を足したりしたらどうですか? 生ハムとかサーモンとか」
「いいな! お手軽に済ませるなら普通のハムとかツナ缶とか、サラダチキンなんかも良さそうだ」
今回作ったのは、トマトとバジルとチーズのみの基本形である。いくらでもアレンジはできるだろう。
*
「ごちそうさまでした! シンプルだけどすごく美味しかったです!」
今日も、嬉しそうに完食してくれた。
「いろいろアレンジもできそうなので、この夏はいろいろ試してみますね」
「うまくできたら教えてくれよな」
「もちろん! それじゃ先輩、また明日!」
彼女を見送る。今は晴れ間が続いているが、梅雨はこれからが本番だろう。今のうちに、じめじめとした陰鬱な空気を吹き飛ばすメニューを考えておこうと思うのであった。
「ああ、おはよう」
関東は梅雨入りしたというのに、土日はカラっと晴れている。彼女は先月の沖縄旅行みやげの、かりゆしウェアを着てやってきた。早くも夏本番の気分である。
「こう暑いと冷たいものが欲しくなりますね。さっぱりした冷製パスタってできます?」
「ああ、ちょうど考えていたところだ」
冷蔵庫からトマトとスライスチーズを出し、ベランダにあるバジルの鉢植えから葉っぱを10枚ほど摘み取る。
「バジル君、すくすく育ってますね」
「暑くなってきたからな。この夏いっぱいは楽しめそうだ」
「そうそう、私もバジル育ててるんですよ。友達が一株くれたので」
そう言って、スマホの画面を見せてきた。以前、青唐辛子をくれた友人のようだ。
「おお、来週あたりには摘み取っても大丈夫そうだな」
「ですよね。楽しみだなぁ」
バジルなどのハーブを自家栽培すると食べたい時に食べられる、つまりわざわざ買ってくる手間が省けるという恩恵も大きいのだが、単純に育っていくのを見るだけでも楽しいものである。
*
「さて、バジルとチーズとトマト。この3つから作れる料理といえば?」
「マルゲリータはピザだから……カプレーゼですか?」
「当たり! 本来は前菜だけど、それをパスタにアレンジするんだ」
イタリア国旗に見立てた3種の食材をカットして皿に並べ、オリーブオイルをかけた定番の前菜。これをパスタにアレンジしてみるというわけだ。
「まずはパスタを茹でる準備だな。今日はこれを使う」
「あ、カッペリーニですね」
「極細のロングパスタ、冷製にはぴったりのやつだ」
正確にはカペッリーニと発音するところだが、細かいところで揚げ足をとるのもつまらないのでスルーする。
*
「さて、鍋に水を張ったらソースの準備だ。まず深皿にオリーブ油を入れる。2人分で大さじ2杯ってところか」
できれば上質のエクストラバージンを使いたいところだが、これは安物である。まあいいか。
「まずはチーズから切っていく。2人分なら4枚ってところか」
まな板にスライスチーズを乗せ、包丁の腹に指先でオリーブオイルを塗りつける。
「だいたい1センチ角に切っていく」
「なるほど、そのままだとくっついちゃうから油を塗るんですね」
「その通り。切ったところでオリーブオイルに入れていく。油に漬けることで結着を防止するんだ」
本来のカプレーゼは大きめにカットしたモッツァレラチーズを使うが、今回はパスタに絡めるので小さく切ることにする。
「次にトマト。これはダイスカットだな。まず横方向に輪切りにしてから、縦横に包丁を入れていくとやりやすいと思う」
「例によって湯むきはしないんですね」
「好みだけどな。余計な手間はかけないのが俺のやり方だ」
切ったトマトは、なるべく果肉がこぼれないように、チーズとオリーブ油の入ったボウルに入れていく。
「最後にバジル。これは手でちぎったほうが香りが出る」
「あ、私もやります!」
「手は洗うんだぞ」
「もう、わかってますってば!」
わかっていてもついつい口にしてしまう。俺は世話焼きなタイプなのかも知れない。
「仕上げに塩を3グラム、小さじ半分だな。せっかくだから沖縄みやげのやつを使うか」
「溶けやすいみたいなので、冷製料理にはぴったりかも知れませんね」
「塩を入れたらよく混ぜて、冷蔵庫……いや、今は冷凍庫のほうがいいか。とにかく冷やしておくんだ」
お湯が沸いてパスタが茹で上がるまで、あと10分くらいか。冷蔵庫ではろくに冷えないだろう。
*
「パスタ、そろそろですかね?」
水で締めるから、少し長めに茹でたほうがいいとは言っておいた。標準の茹で時間から1分が過ぎたところである。
「どれどれ……うん、いいんじゃないか」
試しに1本を取ってみて、水で締めて口に入れる。十分に火が通ったようだ。
「ザルに上げて、冷水で締めて……っと」
「水切りも大事ですよね」
「ああ、もちろんだ」
念入りに水切りしたパスタを、均等に皿に盛る。そして冷凍庫から和えたソースを取り出す。
「ここに、さっき作ったソースを絡めていく」
「トマトの赤とバジルの緑。彩りがいいですねぇ」
「仕上げに黒コショウを振って……カプレーゼ風冷製パスタ、完成!」
*
「いただきます!……うん、さっぱりしてておいしい!」
「本当はモッツァレラを使いたいところだが、安物のチーズでもなかなかいけるだろ」
「モッツァレラ、微妙に高いし開けたら使い切らないといけないし、使いづらいですからね」
「他にも6Pチーズとか、さけるチーズで作ってもいいと思う。ピザ用とかの加熱用チーズだけは避けるべきだけどな」
「他に具を足したりしたらどうですか? 生ハムとかサーモンとか」
「いいな! お手軽に済ませるなら普通のハムとかツナ缶とか、サラダチキンなんかも良さそうだ」
今回作ったのは、トマトとバジルとチーズのみの基本形である。いくらでもアレンジはできるだろう。
*
「ごちそうさまでした! シンプルだけどすごく美味しかったです!」
今日も、嬉しそうに完食してくれた。
「いろいろアレンジもできそうなので、この夏はいろいろ試してみますね」
「うまくできたら教えてくれよな」
「もちろん! それじゃ先輩、また明日!」
彼女を見送る。今は晴れ間が続いているが、梅雨はこれからが本番だろう。今のうちに、じめじめとした陰鬱な空気を吹き飛ばすメニューを考えておこうと思うのであった。
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