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本編
味噌ヨーグルトのお手軽和風ソース
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「おはようございます! あいにくの雨ですけど」
「おはよう!」
いつもなら後輩は午前11時に来るところだが、今は9時である。俺はこれから遅めの朝食を食べて、実家に帰省する予定なのである。そんなペースに後輩も付き合ってくれたというわけだ。
「冷蔵庫、だいぶ空っぽですね」
「まあ、しばらくあっちに行ってるからな」
部屋に入るなり、冷蔵庫を物色しつつそう言った。野菜などの生ものなどはほぼ食べてしまった後だ。残っているのは……
「ヨーグルトが少し残ってますね、食べちゃいます?」
「そうだな。あと……これを使おう」
「え、その組み合わせ?!」
ヨーグルトとともに俺が取り出したのは、味噌だ。
「そう。今日は混ぜるだけの簡単なやつにしよう」
「うーん、ちょっと想像できないんですけど、とりあえずお湯沸かしますか」
この組み合わせは最近知ったものである。パスタにも合わないことはないだろう。
*
「それじゃ、お湯も沸いたので茹でましょうか」
「あ、ちょっと待った」
俺はツナ缶を開けて、フタを中身に押し当てて油を絞り、鍋に注ぐ。
「今回は油は使わないからな。パスタを茹でる時加えると風味付けになるんだ」
「前もやった油通しですね」
以前は、ナスを油湯通しした後の鍋でそのままパスタを茹でた。その時と比べると少量だが、少しは風味が付くだろう。
「このツナに、味噌とヨーグルトを混ぜるだけだ。基本的には大さじ1杯の味噌に対して2倍のヨーグルトだな」
「見た目はツナマヨみたいになってきましたね。味は……なんとも言えない感じ。説明無しで出されたらなんだかわからないかも」
味噌の塩味とうま味に、ヨーグルトの酸味とコクが合わさり、なんとも形容しがたい味になる。組み合わせのギャップもあり、確かに言われなければ材料は予想しづらいだろう。
「加熱はしなくていいんですか?」
「生きた乳酸菌を使いたいからな。冷たくて気になるなら、湯せんで少し温めるくらいがいい」
パスタを茹でているお湯を使って、軽く湯気が出る程度まで温めることにした。
「これ、サバの水煮缶とかでもいいですよね」
「そうだな。いっそ味噌とヨーグルトだけの具なしでもいいと思う。その場合は少し味の素を振ったりとかな。このツナ缶にはアミノ酸が入っているから入れなくてもいいかな」
実際のところ、原料に「調味料(アミノ酸等)」が入っていても、さらにうま味を足す目的で味の素を使ったほうがいい場合もある。このあたりは食べる人それぞれの好みがあるので、最初から味付けせずに食卓で調整するのがいいのではないかと思う。
*
「そろそろですね」
「だな」
茹であげたパスタを湯切りして、ボウルの中でソースとよく和える。
「仕上げに黒胡椒を振るか」
「ネギとか刻み海苔とかの和風薬味もいけそうですね」
「まあな。あいにく今は切らしてるんだが」
今日は大晦日なのだが、正月の雑煮のために買った薬味が余ったらかけてみるのもいいと思った。
「味噌とマヨネーズのツナマヨもどき、完成!」
「それじゃ、いただきます! さっぱりした和風クリームソースって感じですね」
「だな。今日は温めたけど、夏場なんかは逆に冷製パスタにしてもよさそうだ」
余り物で適当に作ったので季節感も何もないのだが、かえってこういう何気ないものこそ年末らしいのかも知れない。
**
「さて、片付けも済みましたし、ガスの元栓とかも大丈夫ですね」
「そうだな。そろそろ行こうか」
後輩はいつものようにぺろりとパスタを平らげ、いつものように片付けまで手伝ってくれた。だが、ここからはいつもと違う。
「お誘いいただいたから行くって言っちゃいましたけど、ちょっと緊張しますね」
「俺も、年末年始に連れて行くなんて経験は初めてだからな」
改めて荷物を確認し、コートを着込んで玄関を出る。
「でも、やっぱり楽しみですね、先輩のご実家!」
ドアの鍵を閉めながら、今年を振り返る。色々なことがあったし、色々な料理を作ったっけ。来年はどんな年になるだろうか。
「先輩、電車乗り遅れちゃいますよ」
「ああ、わかってるって」
彼女に促されて、雨の降る街の中を駅に向かって歩き出すのであった。
「おはよう!」
いつもなら後輩は午前11時に来るところだが、今は9時である。俺はこれから遅めの朝食を食べて、実家に帰省する予定なのである。そんなペースに後輩も付き合ってくれたというわけだ。
「冷蔵庫、だいぶ空っぽですね」
「まあ、しばらくあっちに行ってるからな」
部屋に入るなり、冷蔵庫を物色しつつそう言った。野菜などの生ものなどはほぼ食べてしまった後だ。残っているのは……
「ヨーグルトが少し残ってますね、食べちゃいます?」
「そうだな。あと……これを使おう」
「え、その組み合わせ?!」
ヨーグルトとともに俺が取り出したのは、味噌だ。
「そう。今日は混ぜるだけの簡単なやつにしよう」
「うーん、ちょっと想像できないんですけど、とりあえずお湯沸かしますか」
この組み合わせは最近知ったものである。パスタにも合わないことはないだろう。
*
「それじゃ、お湯も沸いたので茹でましょうか」
「あ、ちょっと待った」
俺はツナ缶を開けて、フタを中身に押し当てて油を絞り、鍋に注ぐ。
「今回は油は使わないからな。パスタを茹でる時加えると風味付けになるんだ」
「前もやった油通しですね」
以前は、ナスを油湯通しした後の鍋でそのままパスタを茹でた。その時と比べると少量だが、少しは風味が付くだろう。
「このツナに、味噌とヨーグルトを混ぜるだけだ。基本的には大さじ1杯の味噌に対して2倍のヨーグルトだな」
「見た目はツナマヨみたいになってきましたね。味は……なんとも言えない感じ。説明無しで出されたらなんだかわからないかも」
味噌の塩味とうま味に、ヨーグルトの酸味とコクが合わさり、なんとも形容しがたい味になる。組み合わせのギャップもあり、確かに言われなければ材料は予想しづらいだろう。
「加熱はしなくていいんですか?」
「生きた乳酸菌を使いたいからな。冷たくて気になるなら、湯せんで少し温めるくらいがいい」
パスタを茹でているお湯を使って、軽く湯気が出る程度まで温めることにした。
「これ、サバの水煮缶とかでもいいですよね」
「そうだな。いっそ味噌とヨーグルトだけの具なしでもいいと思う。その場合は少し味の素を振ったりとかな。このツナ缶にはアミノ酸が入っているから入れなくてもいいかな」
実際のところ、原料に「調味料(アミノ酸等)」が入っていても、さらにうま味を足す目的で味の素を使ったほうがいい場合もある。このあたりは食べる人それぞれの好みがあるので、最初から味付けせずに食卓で調整するのがいいのではないかと思う。
*
「そろそろですね」
「だな」
茹であげたパスタを湯切りして、ボウルの中でソースとよく和える。
「仕上げに黒胡椒を振るか」
「ネギとか刻み海苔とかの和風薬味もいけそうですね」
「まあな。あいにく今は切らしてるんだが」
今日は大晦日なのだが、正月の雑煮のために買った薬味が余ったらかけてみるのもいいと思った。
「味噌とマヨネーズのツナマヨもどき、完成!」
「それじゃ、いただきます! さっぱりした和風クリームソースって感じですね」
「だな。今日は温めたけど、夏場なんかは逆に冷製パスタにしてもよさそうだ」
余り物で適当に作ったので季節感も何もないのだが、かえってこういう何気ないものこそ年末らしいのかも知れない。
**
「さて、片付けも済みましたし、ガスの元栓とかも大丈夫ですね」
「そうだな。そろそろ行こうか」
後輩はいつものようにぺろりとパスタを平らげ、いつものように片付けまで手伝ってくれた。だが、ここからはいつもと違う。
「お誘いいただいたから行くって言っちゃいましたけど、ちょっと緊張しますね」
「俺も、年末年始に連れて行くなんて経験は初めてだからな」
改めて荷物を確認し、コートを着込んで玄関を出る。
「でも、やっぱり楽しみですね、先輩のご実家!」
ドアの鍵を閉めながら、今年を振り返る。色々なことがあったし、色々な料理を作ったっけ。来年はどんな年になるだろうか。
「先輩、電車乗り遅れちゃいますよ」
「ああ、わかってるって」
彼女に促されて、雨の降る街の中を駅に向かって歩き出すのであった。
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