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初めて同士
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裸で抱き合ったまま、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。アオイはいったん俺から離れると、ベッドに腰掛けて、そのまま仰向けに横たわった。胸は両手で固くガードしている。
「見せて」
「だめ」
俺は彼女の両手をつかんでそう言ったが、拒否されてしまった。でも顔は笑っている。ここで力ずくで剥がすのも違う気がしたので、俺は両手を下の方に滑らせていく。
「あっ……」
彼女の甘い声に誘われるように、なめらかな脇腹から腰へ、そして臀部へと指を這わせていく。ほんのりと香るのはボディソープだろうか。少しだけ汗ばんでひんやりとした肌。いや、汗をかいているのは俺の手のほうかも知れない。いずれにせよ石膏像などの作り物ではない生身の体であることを改めて実感する。
「はぁっ……」
再び脇腹に戻って、何度も繰り返す。彼女は無言のまま、半開きの口で呼吸をしている。その度に、彼女のお腹が動く。この中には肺があり、脈打つ心臓があり、そして子宮と卵巣がある。お互いがその気になれば子供を宿すことさえできる。もう、俺たちは(少なくとも体だけは)大人なのだ。
「んっ……」
今度は腰から下、太ももから順に脚を愛撫していく。膝の裏、ふくらはぎ。邪魔なソックスを脱がして、かかとから指の間まで。また上の方に戻って、首筋と鎖骨。胸は相変わらず固くガードしているが、その腕も丁寧に撫でていく。
「いい?」
何度目かの往復の後で、俺はショーツのゴムに指をかけてそう言った。セックスはひとまず二の次で、今はとにかくアオイのすべてが見たいと思った。彼女は無言で腰を浮かせたので、一気に下ろした。レース生地からも透けていた艷やかなヘアが露わになる。意外にも隠そうとはしない。それどころか、胸の前で固く組んでいた両腕を開いて、すべてを見せてくれた。
「アオイ……いいのか?」
「もう、隠しても意味ないから」
俺は息を呑みながら、夢にまで見たアオイの裸身を鑑賞する。胸は思っていたより小さい……いや、これは仰向けになっているからか? ヘアは俺より濃いかも知れない。あるいは男のようなモノが無いからそう見えるのだろうか。
「ねえ、私だけ裸なのも恥ずかしいから、アキも見せてよ」
「いいけど……俺まで脱いだら止められなくなると思う」
「私は、いいよ」
アオイはそう言うと、枕の下に隠していた小箱を取り出した。コンドームすなわち避妊具である。
「俺も、一応持ってきたんだけどな」
ポケットの中の財布に忍ばせていた、2つ繋がりのゴムを取り出してシーツの上に置く。
「なんだ、考えてることは一緒じゃない」
「男の嗜みってやつだよ。まあ使うのは初めてだけど」
こんなことなら試しに付けてみておくべきだったなぁ。ともかく、アオイは完全にその気のようなので、俺もズボンを下着ごと脱いで裸になった。
「大丈夫? なんだか腫れてるみたいで痛そう……」
俺の股間を見た第一声がそれだったので、ちょっと拍子抜けしてしまった。まあ心配してくれるのがアオイらしいとも言えるが。
「痛くはないよ、敏感にはなってるけど」
「そ、そうなの? それじゃ、よろしくお願いします……」
眼鏡を外した彼女に、俺は初めての口づけをした。
***
***
「大丈夫? 痛くなかった?」
「痛いと言えば痛かったけど……幸せな痛みってやつ?」
行為を終えて一息ついて真っ先に出たセリフは、アオイと同じように痛みを気遣うものだった。
「私も用意しといてよかったでしょ?」
ゴムの口を縛って後始末をしている俺を見てそう言った。1個目は表裏を間違えて駄目にしてしまった。2個目はうまく装着できたが、ようやく入ったアオイの中ですぐに果ててしまった。まともに行為が出来たのは3個目であった。
「それより、早くシーツ洗ったほうがよくない?」
「もう、ムードないなぁ……もう少し一緒に横になっていたかったのに」
そう言われても、人の家のものを汚してしまうのはどうしても気になるものである。ホテルならば後腐れなく楽しめるのだろうか。ともかく汚れたシーツを剥ぎ取って、風呂場で軽く手洗いして洗濯機に放り込み、ついでに一緒にシャワーを浴びるのであった。
*
「……くっついてると洗えないんだけど?」
「ごめん……もう少しだけ……」
アオイは、風呂場で俺の背中に抱きついてしばらく離れなかった。やがて、嗚咽とともに背中に熱い雫が落ちる。
「私、アキと一つになれたんだなって」
「アオイ……」
俺も、行為の最中はとにかく必死だった。終わった後もゴムやシーツの後始末のことで頭がいっぱいだった。結ばれた幸せを噛み締められるタイミングは今なのかも知れない。
「俺を受け入れてくれて、ありがとな」
彼女の手を取って、そっと口づけをした。
「見せて」
「だめ」
俺は彼女の両手をつかんでそう言ったが、拒否されてしまった。でも顔は笑っている。ここで力ずくで剥がすのも違う気がしたので、俺は両手を下の方に滑らせていく。
「あっ……」
彼女の甘い声に誘われるように、なめらかな脇腹から腰へ、そして臀部へと指を這わせていく。ほんのりと香るのはボディソープだろうか。少しだけ汗ばんでひんやりとした肌。いや、汗をかいているのは俺の手のほうかも知れない。いずれにせよ石膏像などの作り物ではない生身の体であることを改めて実感する。
「はぁっ……」
再び脇腹に戻って、何度も繰り返す。彼女は無言のまま、半開きの口で呼吸をしている。その度に、彼女のお腹が動く。この中には肺があり、脈打つ心臓があり、そして子宮と卵巣がある。お互いがその気になれば子供を宿すことさえできる。もう、俺たちは(少なくとも体だけは)大人なのだ。
「んっ……」
今度は腰から下、太ももから順に脚を愛撫していく。膝の裏、ふくらはぎ。邪魔なソックスを脱がして、かかとから指の間まで。また上の方に戻って、首筋と鎖骨。胸は相変わらず固くガードしているが、その腕も丁寧に撫でていく。
「いい?」
何度目かの往復の後で、俺はショーツのゴムに指をかけてそう言った。セックスはひとまず二の次で、今はとにかくアオイのすべてが見たいと思った。彼女は無言で腰を浮かせたので、一気に下ろした。レース生地からも透けていた艷やかなヘアが露わになる。意外にも隠そうとはしない。それどころか、胸の前で固く組んでいた両腕を開いて、すべてを見せてくれた。
「アオイ……いいのか?」
「もう、隠しても意味ないから」
俺は息を呑みながら、夢にまで見たアオイの裸身を鑑賞する。胸は思っていたより小さい……いや、これは仰向けになっているからか? ヘアは俺より濃いかも知れない。あるいは男のようなモノが無いからそう見えるのだろうか。
「ねえ、私だけ裸なのも恥ずかしいから、アキも見せてよ」
「いいけど……俺まで脱いだら止められなくなると思う」
「私は、いいよ」
アオイはそう言うと、枕の下に隠していた小箱を取り出した。コンドームすなわち避妊具である。
「俺も、一応持ってきたんだけどな」
ポケットの中の財布に忍ばせていた、2つ繋がりのゴムを取り出してシーツの上に置く。
「なんだ、考えてることは一緒じゃない」
「男の嗜みってやつだよ。まあ使うのは初めてだけど」
こんなことなら試しに付けてみておくべきだったなぁ。ともかく、アオイは完全にその気のようなので、俺もズボンを下着ごと脱いで裸になった。
「大丈夫? なんだか腫れてるみたいで痛そう……」
俺の股間を見た第一声がそれだったので、ちょっと拍子抜けしてしまった。まあ心配してくれるのがアオイらしいとも言えるが。
「痛くはないよ、敏感にはなってるけど」
「そ、そうなの? それじゃ、よろしくお願いします……」
眼鏡を外した彼女に、俺は初めての口づけをした。
***
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「大丈夫? 痛くなかった?」
「痛いと言えば痛かったけど……幸せな痛みってやつ?」
行為を終えて一息ついて真っ先に出たセリフは、アオイと同じように痛みを気遣うものだった。
「私も用意しといてよかったでしょ?」
ゴムの口を縛って後始末をしている俺を見てそう言った。1個目は表裏を間違えて駄目にしてしまった。2個目はうまく装着できたが、ようやく入ったアオイの中ですぐに果ててしまった。まともに行為が出来たのは3個目であった。
「それより、早くシーツ洗ったほうがよくない?」
「もう、ムードないなぁ……もう少し一緒に横になっていたかったのに」
そう言われても、人の家のものを汚してしまうのはどうしても気になるものである。ホテルならば後腐れなく楽しめるのだろうか。ともかく汚れたシーツを剥ぎ取って、風呂場で軽く手洗いして洗濯機に放り込み、ついでに一緒にシャワーを浴びるのであった。
*
「……くっついてると洗えないんだけど?」
「ごめん……もう少しだけ……」
アオイは、風呂場で俺の背中に抱きついてしばらく離れなかった。やがて、嗚咽とともに背中に熱い雫が落ちる。
「私、アキと一つになれたんだなって」
「アオイ……」
俺も、行為の最中はとにかく必死だった。終わった後もゴムやシーツの後始末のことで頭がいっぱいだった。結ばれた幸せを噛み締められるタイミングは今なのかも知れない。
「俺を受け入れてくれて、ありがとな」
彼女の手を取って、そっと口づけをした。
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