魔王にさらわれた聖女の君は、僕の言葉で堕とされ『花嫁』となる

K.A.

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Act 12

Executioner

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「……胸の先をでられ、腰や尻をでられ、さらに、裂け目の奥に尻尾しっぽが入り込んでいくというのは、すべてがおかしくなるほど気持ちいいだろ? ゆっくり、ゆっくりと、胸の先に舌をあててみたのだが、満足してくれたようで嬉しいよ。奥へと進む尻尾しっぽを締めつけずに、受け入れてくれた事も悦ばしい。
 あははっ!
 盤石ばんじゃくそのを失うのは、天上世界を描ける選ばれた存在であるとまんじながら、聖女として服せと君を隷属れいぞくのもとに置いた挙句、理不尽なすえを宣告してきた、驕傲きょうごうな者どもの方だ!
 僕の可愛い花嫁、今すぐ心を癒やしてやりたい。温かく、やわらかい感覚をくれる陰部を、滑らかな動きででてやる。尻尾しっぽではなく、僕の指でな。感じたえつを、背の翼を揺らす事で表してくれ」

「い、糸が、肩に巻きついてきて……は、あ……あ……エ、エリオット……やめて……ゆ、指で、下をでないで……あ、あ……さ、裂け目をひろげない……で……ん……んんんんんっ!」

「……饗膳きょうぜんとして味を調えられた君のつばきを口にできて、うたげの盛りあがりを感じ、酔いしれてくるよ。
 急に、あごめられて驚いてしまった? アリスの唇が動いた時に垂れてしまったよだれ、どうしても欲しくなってしまったんだ。だから、君の顔に舌をあててしまっただけ。
 魔王にすべてを喰われるにえになる事で、君は、覇権を握れる。『聖なる力』では、人間どもにあだなす事はできなかったが、『魔の力』を得た今では、それが可能だ。先ほども言った通り、人の世も、この魔界も、のまま……ふふ。なあ、次は、どこを喰ってほしい?」

「ああ……く、首をめないで……あ……ほ、頬もやめて……今、頬をめられると……おかしく……あ……み、耳、めないで……あ……は、はあ……」

「アリス、魔王のささやきに耳を貸すんだ。
 劫火ごうかの力を添え、君を閉じ込めていた大聖堂に向かって、弓を引いてやったらどうだい? 僕が、寒みてる氷の魔法を使うので、まととし、火矢で射ればいい。
 ほら、君の記憶をもとに描かれたこの大聖堂のへきにも、いくつかの割れ目がある。隙間にたまっている水気みずけが凍ってしまえば、さらにもろさを露呈するだろう。
 水は、天からの恵みとたみに向かって喧伝けんでんしているのに、真実は、悪魔の絵姿えすがたしたぞうに排させるような、うとましいまがと同様に扱っていた! 聖女も同じ! 神から授かったたまわりものなどと祭壇の前に君を飾って、うそぶいていたじゃないか……アリス、まがそのものになってしまえばいい!
 水をのけてしまった人間どもに、炎の惨害さんがいを止めるすべはない。大聖堂のへきひそ水気みずけは、魔界の間者かんじゃ! 我が花嫁、この魔王エリオット・ジールゲンより与えられた『魔の力』を使い、人の世に破滅を――」

「悪魔が……悪魔のぞうがいなければ……雨水によって、大聖堂の建物が傷ついてしまうかもしれない……悪魔のぞうは、うとましいものの象徴としてあそこにいる訳じゃない。悪魔に見えるぞうがいるから、護られているものがあるの。だけど……悪魔にあだなす力を宿す聖女はいらない。愛するエリオットを傷つけてしまうかもしれない私は、消えるべき……消して……魔王のあなたはいてもいいの……消えるべきは、聖女の私。天からの恵みも、力が過ぎればがいになる……だから、聖女の私は、消えるべ……き……あ……あ……あ!」

「断りなく、君のひざを魔糸で縛りあげてすまない。急にを持ちあげられて驚いたかな? これなら、僕のものを受け入れられるだろ。
 我が花嫁、君は、もう人間どもの聖女ではない。悪魔はいてもいいんだ。大聖堂の構えから突き出るぞうと等しく、背に黒翼こくよくを持つ、魔の者の君はいてもいいんだ――そうだよ。消えるべきは、聖女の君! このまま貫き『魔の力』を注ぎ込んでやる!」

「エ、エリオット、や、やめて……ああ……糸が、巻きついてきて……あ……腕や足を、糸で巻かないで……はあ、はあ……え……何これ! い、糸が、編みかごみたいになって……きゃぁ……おしりを吊りあげないで……あ……あ、足首や腰にも、巻きついてきて……あ……胸を、むみたいに、糸で巻かないで……あっ! あ、あっ! 胸の先……指で、さわらないで……ひぁあ……尻尾しっぽで、い、陰核いんかくいじらないで……もう、やめて……エリオットを愛する気持ちを止められなくなってしまって……本当に、魔の者になるのを受け入れてしまったら……私の胸の中が、おかしくなってしまったら……と、取り返しがつかな……あ、あは……あん! く……くんっ!」

「手足の自由は奪わせてもらったが、糸が翼に絡まないよう配慮したので安心してほしい。僕のものが出たり入ったりする間、そして、『魔の力』を注がれた際、大きな喘ぎ声をあげてくれ。表情のなまめかしい変化に加え、双翼そうよくを揺らして応じるんだ。
 アリスを有翼ゆうよくの獲物に見立て、悪戯いたずらを行うような思慮分別を欠く、軽挙妄動けいきょもうどうではないと断った上だが、魔王の花嫁として、生贄いけにえとして、を喰われる者の動きを見せてほしい。
 ああ。
 そういえば、身体に巻きついた魔糸、無垢な花嫁に相応しい白き衣裳となっているだろ? 胸の先や陰部の裂け目をおおったりしないので、僕からの愛をたくさん受け取れるよ。ウェディングベールは、衣裳として用意しなかったが、この手で、髪をでてあげるからね。
 花嫁、僕の指が頬に触れただけで顔を赤くしてしまうの? 魔糸に絡まれ吊られ、ついに足掻あがく事もできなくなった君は、餌食えじきとなるさまを、可愛らしく見せるしかないよ」

「あ、あ、あ、あ、ああっ! 入ってきてすぐに、激しく動かないで、や、やめ……て……エリオットを、たくさん愛してしまっていると気づいている私の内に……『魔の力』を注がないで……あ、あ、ああああっ! や、いやぁあ……ま、まのちからが……わたしのむねを……はあ、あは……む、むねを、つらぬいてしまうほど……むねが、さけてしまうほど……エリオットを愛するきもちがとめられ……な……い……あは、あは、あはっ! あ、あ、あ、あ」

「アリス……君は、もう、魔王にきっされる事からのがれられない……生贄いけにえの花嫁として、この僕にのすべてを、そして、心のすべても捧げるんだ……愛している……永遠に……」

「あ、あ、あ……あ……あいしているから……私も、エリオットを愛しているから……注がれて……私の中にひろがっていくあなたを、止めて……お願い……愛が、止められなくなってしまうから……愛する気持ちが……胸を……突くほどに、あなたを……愛してしまっているから……」

「……ふふふ。も心も繋がり、僕とアリスは、これでしん夫婦めおとになれたね。二人が同じ生命せいとして過ごせるうつつが訪れ、心嬉しく思う。我が花嫁、夫である僕の胸の中においで。婚儀は、終了した。魔糸でこしらえた婚礼衣裳を脱ぎ、夫の腕に抱かれる悦びを素肌で感じてほしいな。ああ。左手の薬指に絡む糸だけは残しておくか。君が教えてくれた、人間どもの婚礼の俗習ぞくしゅうに従うのも一興いっきょうだ。愛しているよ。アリス、愛をいっそう深める為、唇を重ねよう……」

「……ん……ん……あ……あ……エリオットを、愛する気持ちが……強過ぎて……胸が、裂けそう……む、胸を、貫いてしまうほど、あなたを愛してしまっていて……はあ、はあ……」

「花嫁、婚礼のが無事に執り行われ、心が満たされてしまったんだね。舌を絡めてくれなくて、少し寂しかったよ。だが、初心うぶな気持ちで今宵の寝所ねどこを共にするのも悪くはない。その美しい裸身らしんが、次はシーツの白にくるまれる為、僕の胸にいだかれたまま行こう」

「だ……だめ……私は、行けない……はあ、はあ……もう、エリオットとは、行けない……」

「魔界のあるじの花嫁となった君に、不承知などあり得ない。アリス、恥ずかしがらずに、こっちにおいで。穏やかな顔に戻って、僕の手を握り返して――」

「だ、だめ……だめなの……私は、エリオットとは、もう未来に行けない……ごめんなさい。あなたを強く愛してしまって……愛を止められなくて……身体の中の『魔の力』が、聖女の生命せいを、完全に終わらせようとしている……人の心を捨て切れない、私の胸を……はあ、はあ……『魔の力』が、胸を、突こうとしている……」

「アリス……?」
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