R18「僕の手から逃げる事は許さない!」狂愛夫に、塔の上に囚われているが意外と純愛心を持っている【短編集/読み切り】

K.A.

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「僕の妻になれば、ファーストレディーじゃないか」――いえ、私は、好きな仕事がしたいんです

[溺愛らぶらぶ]あの日、子供ができていなければ、私、結婚していたかも……

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「うわっ! 広いお部屋。
 ゲストルームとは聞いていたけど、ここ、軍の施設だからおカタくて狭い、ビジネス用お宿のイメージを持っていた。
 全然違ったわ。
 カーペットの下に見えている床、これ大理石よね……館に住んでいた頃は、家中うちじゅうが大理石だったから。親にお値段を聞いた事はなかったけど、安くないのだけは知ってる。
 窓も大きいし、カーテンがそもそもお高そう。
 エリオット。
 いいの?
 今夜、私なんかがこんなお部屋をお借りして……」

「ああ、もちろんだとも。
 風呂や手洗い、そしてミニキッチンなどもあるので、自由に使ってくれ。
 天王寺先輩。
 そうだ、伝えておこう。
 窓の外の中庭は、高い壁で囲まれている。
 壁の上部には、有刺鉄線ゆうしてっせんが張り巡らされているが、建物自体が、軍事施設なので気にしないでほしい。
 女性の君が、壁をよじのぼろうとする光景など想像できないが――軍事上不審な点が確認されれば、取り締まりの為、警報システムが作動する仕組みだ。
 念の為に、注意事項として言っておくよ。
 お喋りに夢中になってしまい、帰りの列車の時間に間に合わず、すまない。
 部屋の時計が、かなり遅れているのに気づかなかったなんてな」

「ううん。
 私も、エリオットとのお喋りが楽しくて、ついつい時間の確認を忘れていた。
 端末とか出して、時間を確認すればよかったのに」

「天王寺先輩。
 言い忘れていた。
 ここは、軍の施設なんだ。
 滞在してもらうにあたって、通信機能のある機器は預からせてもらう必要がある。
 今、手にしている端末を、この場で、僕に渡してくれないか?」

「え? こ……これ。
 私の端末を?」

「心配はいらない。
 この軍事施設を出る時までには返却するよ。
 端末がないと、朝起きる為のアラームがなくなって困るとでも思っているのかい?
 それなら、ベッドサイドテーブルに置かれた時計に、目覚まし機能があるので使ってくれ。
 ああ。
 そうか。
 眠くなるまで、時間をつぶすものがなくなると――そんな事を考えていたのか。
 安心してくれ。
 天王寺先輩の話し相手として、僕は、もう少しここにいるつもりだ」

「私の端末、古すぎる機種だから、音声通話と時計と電卓ぐらいにしか使えないけど。
 時間つぶし――。
 あっと、エリオット……う、うん。
 そうね。
 お喋り……。
 あ。
 ほ、本当だ! ベッド脇のテーブルに時計が……きゃあああ!
 ……エ、エリオット?」

「驚いたかい?
 すまない。
 時計に手を伸ばそうとして、ベッドの上にあがった君を見ていたら、僕も、つい後ろから手を伸ばしたくなってしまった。
 素早く靴を脱ぐ仕草しぐさ、妙に心惹こころひかれるものを感じてしまったよ。
 はい。
 どんなに古い機種でも、外部と連絡が取れるものは、預からせてもらう。
 取り決めなので、諦めてくれ」

「エ、エリオット……い、いきなり後ろから抱きしめてこないで……」

「ベッドの上とはいえ、四つんいの姿勢で抱きつかれているのは、大変だろ?
 このまま仰向あおむけになってほしい。
 天王寺先輩の話し相手をすると、さっき約束したじゃないか。
 さあ。
 力を抜いて、僕に仕向けられるままに、従ってくれ」

「あ……あの……ま、また……私を……その……裸で、抱きしめたいの?
 エリオットは、この前の夜みたいに……二人で、ベッドの上で過ごしたいと思っているの?」

「嬉しいな、天王寺先輩。
 君の方から、そう口にしてもらって。
 もちろん。
 そうしたいと思っている。
 先日、君の家で、初めて身体を重ねてから……あれからずっと、天王寺先輩の事ばかりを考えていたよ。
 こちらからお邪魔しようとしていたところだったが――君の方から、僕のところへ来てくれた。
 喜ばしいに決まっている。
 僕は、今宵このまま、君と、身体を重ねないなどと言うつもりはない。
 ほら、寝転がって。
 その可愛いらしい黄色のワンピース。
 赤い髪の君によく似合っている。
 ――だが。
 白い素肌をさらしてほしいんだ。
 手向かう真似などせずに、このまま裸になってくれ」

「あ……胸……まないで……力が入らない。
 エリオット。
 私、シーツにしがみつくしかなくなっちゃうでしょ……や、やめて……そんなに、胸ばかり……なんか、いろいろくすぐったくなってきて……あ……ぬ、ぬがさないで……」

「天王寺先輩。
 言葉では嫌がっていても、身体の方は、裸にされていく事に悦びを感じているようにしか見えない。
 抵抗せずに、仰向あおむけになってくれ。
 そうそう、そうやって寝返ねがえって。
 ああ。
 身体を少し丸めて、肌を隠そうとしている様子、とてもいとおしく感じる。
 ふふふ。
 だが、駄目だ。
 恥ずかしくても、こうする事を許すつもりはない。
 さらけ出してくれ。
 ほら。
 どうだい?
 胸のあたりを、隠せないようにしてみた。
 おや?
 胸の先端が、僕をほっしているようにしか見えない。
 めたり、くわえたりしてやろう」
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