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「僕の妻になれば、ファーストレディーじゃないか」――いえ、私は、好きな仕事がしたいんです
[溺愛らぶらぶ]あの日、子供ができていなければ、私、結婚していたかも……
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「うわっ! 広いお部屋。
ゲストルームとは聞いていたけど、ここ、軍の施設だからおカタくて狭い、ビジネス用お宿のイメージを持っていた。
全然違ったわ。
カーペットの下に見えている床、これ大理石よね……館に住んでいた頃は、家中が大理石だったから。親にお値段を聞いた事はなかったけど、安くないのだけは知ってる。
窓も大きいし、カーテンがそもそもお高そう。
エリオット。
いいの?
今夜、私なんかがこんなお部屋をお借りして……」
「ああ、もちろんだとも。
風呂や手洗い、そしてミニキッチンなどもあるので、自由に使ってくれ。
天王寺先輩。
そうだ、伝えておこう。
窓の外の中庭は、高い壁で囲まれている。
壁の上部には、有刺鉄線が張り巡らされているが、建物自体が、軍事施設なので気にしないでほしい。
女性の君が、壁をよじのぼろうとする光景など想像できないが――軍事上不審な点が確認されれば、取り締まりの為、警報システムが作動する仕組みだ。
念の為に、注意事項として言っておくよ。
お喋りに夢中になってしまい、帰りの列車の時間に間に合わず、すまない。
部屋の時計が、かなり遅れているのに気づかなかったなんてな」
「ううん。
私も、エリオットとのお喋りが楽しくて、ついつい時間の確認を忘れていた。
端末とか出して、時間を確認すればよかったのに」
「天王寺先輩。
言い忘れていた。
ここは、軍の施設なんだ。
滞在してもらうにあたって、通信機能のある機器は預からせてもらう必要がある。
今、手にしている端末を、この場で、僕に渡してくれないか?」
「え? こ……これ。
私の端末を?」
「心配はいらない。
この軍事施設を出る時までには返却するよ。
端末がないと、朝起きる為のアラームがなくなって困るとでも思っているのかい?
それなら、ベッドサイドテーブルに置かれた時計に、目覚まし機能があるので使ってくれ。
ああ。
そうか。
眠くなるまで、時間をつぶすものがなくなると――そんな事を考えていたのか。
安心してくれ。
天王寺先輩の話し相手として、僕は、もう少しここにいるつもりだ」
「私の端末、古すぎる機種だから、音声通話と時計と電卓ぐらいにしか使えないけど。
時間つぶし――。
あっと、エリオット……う、うん。
そうね。
お喋り……。
あ。
ほ、本当だ! ベッド脇のテーブルに時計が……きゃあああ!
……エ、エリオット?」
「驚いたかい?
すまない。
時計に手を伸ばそうとして、ベッドの上にあがった君を見ていたら、僕も、つい後ろから手を伸ばしたくなってしまった。
素早く靴を脱ぐ仕草、妙に心惹かれるものを感じてしまったよ。
はい。
どんなに古い機種でも、外部と連絡が取れるものは、預からせてもらう。
取り決めなので、諦めてくれ」
「エ、エリオット……い、いきなり後ろから抱きしめてこないで……」
「ベッドの上とはいえ、四つん這いの姿勢で抱きつかれているのは、大変だろ?
このまま仰向けになってほしい。
天王寺先輩の話し相手をすると、さっき約束したじゃないか。
さあ。
力を抜いて、僕に仕向けられるままに、従ってくれ」
「あ……あの……ま、また……私を……その……裸で、抱きしめたいの?
エリオットは、この前の夜みたいに……二人で、ベッドの上で過ごしたいと思っているの?」
「嬉しいな、天王寺先輩。
君の方から、そう口にしてもらって。
もちろん。
そうしたいと思っている。
先日、君の家で、初めて身体を重ねてから……あれからずっと、天王寺先輩の事ばかりを考えていたよ。
こちらからお邪魔しようとしていたところだったが――君の方から、僕のところへ来てくれた。
喜ばしいに決まっている。
僕は、今宵このまま、君と、身体を重ねないなどと言うつもりはない。
ほら、寝転がって。
その可愛いらしい黄色のワンピース。
赤い髪の君によく似合っている。
――だが。
白い素肌を晒してほしいんだ。
手向かう真似などせずに、このまま裸になってくれ」
「あ……胸……揉まないで……力が入らない。
エリオット。
私、シーツにしがみつくしかなくなっちゃうでしょ……や、やめて……そんなに、胸ばかり……なんか、いろいろくすぐったくなってきて……あ……ぬ、ぬがさないで……」
「天王寺先輩。
言葉では嫌がっていても、身体の方は、裸にされていく事に悦びを感じているようにしか見えない。
抵抗せずに、仰向けになってくれ。
そうそう、そうやって寝返って。
ああ。
身体を少し丸めて、肌を隠そうとしている様子、とても愛おしく感じる。
ふふふ。
だが、駄目だ。
恥ずかしくても、抗する事を許すつもりはない。
さらけ出してくれ。
ほら。
どうだい?
胸のあたりを、隠せないようにしてみた。
おや?
胸の先端が、僕を欲しているようにしか見えない。
舐めたり、咥えたりしてやろう」
ゲストルームとは聞いていたけど、ここ、軍の施設だからおカタくて狭い、ビジネス用お宿のイメージを持っていた。
全然違ったわ。
カーペットの下に見えている床、これ大理石よね……館に住んでいた頃は、家中が大理石だったから。親にお値段を聞いた事はなかったけど、安くないのだけは知ってる。
窓も大きいし、カーテンがそもそもお高そう。
エリオット。
いいの?
今夜、私なんかがこんなお部屋をお借りして……」
「ああ、もちろんだとも。
風呂や手洗い、そしてミニキッチンなどもあるので、自由に使ってくれ。
天王寺先輩。
そうだ、伝えておこう。
窓の外の中庭は、高い壁で囲まれている。
壁の上部には、有刺鉄線が張り巡らされているが、建物自体が、軍事施設なので気にしないでほしい。
女性の君が、壁をよじのぼろうとする光景など想像できないが――軍事上不審な点が確認されれば、取り締まりの為、警報システムが作動する仕組みだ。
念の為に、注意事項として言っておくよ。
お喋りに夢中になってしまい、帰りの列車の時間に間に合わず、すまない。
部屋の時計が、かなり遅れているのに気づかなかったなんてな」
「ううん。
私も、エリオットとのお喋りが楽しくて、ついつい時間の確認を忘れていた。
端末とか出して、時間を確認すればよかったのに」
「天王寺先輩。
言い忘れていた。
ここは、軍の施設なんだ。
滞在してもらうにあたって、通信機能のある機器は預からせてもらう必要がある。
今、手にしている端末を、この場で、僕に渡してくれないか?」
「え? こ……これ。
私の端末を?」
「心配はいらない。
この軍事施設を出る時までには返却するよ。
端末がないと、朝起きる為のアラームがなくなって困るとでも思っているのかい?
それなら、ベッドサイドテーブルに置かれた時計に、目覚まし機能があるので使ってくれ。
ああ。
そうか。
眠くなるまで、時間をつぶすものがなくなると――そんな事を考えていたのか。
安心してくれ。
天王寺先輩の話し相手として、僕は、もう少しここにいるつもりだ」
「私の端末、古すぎる機種だから、音声通話と時計と電卓ぐらいにしか使えないけど。
時間つぶし――。
あっと、エリオット……う、うん。
そうね。
お喋り……。
あ。
ほ、本当だ! ベッド脇のテーブルに時計が……きゃあああ!
……エ、エリオット?」
「驚いたかい?
すまない。
時計に手を伸ばそうとして、ベッドの上にあがった君を見ていたら、僕も、つい後ろから手を伸ばしたくなってしまった。
素早く靴を脱ぐ仕草、妙に心惹かれるものを感じてしまったよ。
はい。
どんなに古い機種でも、外部と連絡が取れるものは、預からせてもらう。
取り決めなので、諦めてくれ」
「エ、エリオット……い、いきなり後ろから抱きしめてこないで……」
「ベッドの上とはいえ、四つん這いの姿勢で抱きつかれているのは、大変だろ?
このまま仰向けになってほしい。
天王寺先輩の話し相手をすると、さっき約束したじゃないか。
さあ。
力を抜いて、僕に仕向けられるままに、従ってくれ」
「あ……あの……ま、また……私を……その……裸で、抱きしめたいの?
エリオットは、この前の夜みたいに……二人で、ベッドの上で過ごしたいと思っているの?」
「嬉しいな、天王寺先輩。
君の方から、そう口にしてもらって。
もちろん。
そうしたいと思っている。
先日、君の家で、初めて身体を重ねてから……あれからずっと、天王寺先輩の事ばかりを考えていたよ。
こちらからお邪魔しようとしていたところだったが――君の方から、僕のところへ来てくれた。
喜ばしいに決まっている。
僕は、今宵このまま、君と、身体を重ねないなどと言うつもりはない。
ほら、寝転がって。
その可愛いらしい黄色のワンピース。
赤い髪の君によく似合っている。
――だが。
白い素肌を晒してほしいんだ。
手向かう真似などせずに、このまま裸になってくれ」
「あ……胸……揉まないで……力が入らない。
エリオット。
私、シーツにしがみつくしかなくなっちゃうでしょ……や、やめて……そんなに、胸ばかり……なんか、いろいろくすぐったくなってきて……あ……ぬ、ぬがさないで……」
「天王寺先輩。
言葉では嫌がっていても、身体の方は、裸にされていく事に悦びを感じているようにしか見えない。
抵抗せずに、仰向けになってくれ。
そうそう、そうやって寝返って。
ああ。
身体を少し丸めて、肌を隠そうとしている様子、とても愛おしく感じる。
ふふふ。
だが、駄目だ。
恥ずかしくても、抗する事を許すつもりはない。
さらけ出してくれ。
ほら。
どうだい?
胸のあたりを、隠せないようにしてみた。
おや?
胸の先端が、僕を欲しているようにしか見えない。
舐めたり、咥えたりしてやろう」
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