うさぎ獣人のララさんは、推し声の騎士様に耳元で囁かれたい。

文字の大きさ
25 / 35

25

しおりを挟む


「私は、ララさんが大切なので、ララさんが嫌がることは出来るだけしたくないと思っています。……ララさんは、男性に触れられるのが苦手なように感じるのですが、私が、ララさんに触れるのは、嫌では、ないですか?」

 レオンに遠慮がちに聞かれ、ララは、子供の時のことを思い出していた。

「…………父は、私が小さい時に出て行ったんです。そのあと、私が9才くらいの時に、初めて母に恋人ができたんです……その、その相手の男の人に、身体を、触られたことがあって」

 レオンの眉間に皺が寄り、ぐっと身体に力が入っている。

「その時はなんでなのか分からなくて、でも、気持ちが悪かったことだけは覚えていて……だから、男の人に、急に触られるのを、怖く感じる時は、あります」
「…………そんなことが、あったんですね」

 レオンの声が硬い。
 
「……でも、レオンさんに触れられて、嫌だと思ったことも、怖いと思ったこともありません! 誰かに、男の人に、触れて欲しい……と思ったのは、レオンさんが、初めてだったんです」

 レオンの顔が真顔になり、額に手を当てる。

「……頭が真っ白になります」
「っ、レオンさんが、真顔になるのは、どういう時ですか?」
「……怖くないですか? おそらく、ララさんのことになると、感情が追いつかなくて、頭が真っ白になることが多くて……」

 あ、今度は顔が赤くなった。
 額に手を当てながら照れているレオンを、可愛いと思ってしまう。

「怖くなんてありません」

 自分の言葉で、こんなにも心を動かしてくれているこの人が愛しくて、ララは、レオンを受け入れたいと思った。

「……レオンさん、今日、泊まっていきませんか?」

 レオンが目を見張り、表情がまた固まる。

「っ、いいんで、しょうか……?」

 掠れた声で、レオンが呟く。

「はい。レオンさんと、一緒にいたいです」

 自然と、そんな言葉が口から出てきた。

 
 二人でパスタを食べ、ワインを飲み、お風呂は別々に入った。下着は一番可愛いのにした。レオンが、タオルで髪を拭きながらお風呂から上がってくる。ハーフパンツの様な下着だけ身につけている。男の人の、下着ってあんなのなんだ。初めて見た。上は何も身につけておらず、初めて見るレオンの裸に、思わず目を逸らしてしまう。思っていたよりも、筋肉のついた身体に、ララはどきどきしてしまう。

 寝室のベッドで待っているのが恥ずかし過ぎて、ソファに座って待っていた。レオンが、ララの隣に座る。

「ララさん……」

 レオンに熱っぽい目で見られてしまう。
 こ、声が、なんか色っぽい?!

「あ、あの、ベッドが小さくて……、レオンさんの足がはみ出てしまうかもしれません」

 レオンが、目をぱちくりとさせる。
 
「……一緒に、寝ても良いということでしょうか?」
「は、はい! もちろん」
「っ」

 レオンが、一瞬真顔になり、前髪をくしゃっと崩す。ララの方を、横目でちらりと見る。流し目!! 色っぽい!! あ、耳が赤くなってる。可愛い。初めて見る、レオンの表情にララは釘付けになってしまう。

「……抱きしめても、いいでしょうか?」
「えっ、は、はいっ」

 上半身が裸のレオンに、ぎゅっと抱きしめられる。シャワーを浴びたばかりだからか、素肌だからなのか、以前レオンに触れた時よりも、身体がより熱く感じた。ララの頬が、レオンの素肌に触れる。

「ララさんは、とても柔らかいですね」
「……レオンさんみたいな、筋肉がないからでしょうか?」
「それもあるかもしれませんが……女性の身体は、こんなに柔らかいのかと、ララさんに触れるたびに驚きます」
「レオンさんの、胸は、硬くて、なんだか不思議です……」

 と言いながら、レオンの胸を指先で触れる。押しても硬い。筋肉って凄い。

「私とは、全然ちがいます」

 レオンが無言だ。ふと見上げると、また真顔になっている。それに真っ赤だ。

「レオンさん?」
「っ」

 レオンの身体がびくっと揺れる。

「いえ、ララさんとは、随分と違うなと」
「そうですね……」

 同じ人間の身体でも、男女で全然違うのだなあと、新鮮な気持ちになる。レオンと目が合い、顔が近づいてくる。ふわりと唇を重ねられる。すぐに離れ、唇を指でそっと触れられる。

「……ララさん、これ以上のことを、してもいいでしょうか?」

 ララから、泊まっていきませんかと誘ったのに、こうやって律儀に聞いてくれるレオンを、改めて好きだと思う。

「……はい。あの、初めてなので、うまく応えられるか分かりませんが……」
「私も、初めてなので……、座学では色々と教えてもらったのですが……」
「座学?!」

 え、何それ気になる。そんな授業があるの?!

「あ、いえ、その話は、また……」
「……気になります」
「すみません、余計なことを言いました……早く、ララさんに、触れたくて堪らないです」

 レオンに、熱っぽい目で覗かれる。

「っ」

 再び唇が重なる。今度は、すぐには離れなくて、唇の感触を確かめるかの様に、端から喰みながらなぞられていく。上の唇も下の唇も。息をするのを忘れて、苦しくて、レオンの腕を、ぎゅっと掴んだ。端までいって、ゆっくりと唇が離れた。は、と息をすると、レオンが心配そうに覗き込む。

「大丈夫、ですか?」

 いつもより、甘く優しい声で聞かれた。もしかしたら甘く聞こえるのは、自分の頭が溶けそうだからかもしれない。
 
「はい……」

 身体が熱っぽい。耳がむずむずする。
 レオンが、目を見張った。

「ララさん、耳が……」
「……出ちゃいました」

 レオンが、ぐっと何かに堪える様に、一瞬身体に力が入った。

「レオンさ、んっ」

 頸に手を添えられ、貪る様に唇を重ねられる。

「ふ……んっ」

 体重をかけられ、後ろに倒れてしまう。置いていたクッションに押しつけるように、口づけられた。

「んっ、ふ……」

 い、息が!
 吸えなくて、ぷるぷるしていると、レオンがぱっと離れた。はっと、息を吐く。

「す、すみませんっ」
「いえ……」

 ララに覆いかぶさっているレオンの身体が、ソファからはみ出てしまっている。ララの使っているソファが小さく感じる。

「……ソファ狭いですね。ベッドに、いきましょうか?」
「っ、良いんでしょうか?」
「はい。ベッドも狭いかもしれませんが」

 ふふ、と笑うと、レオンの顔がまた赤くなった。レオンの手を取り、寝室へと向かう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

呪われた王子さまにおそわれて

茜菫
恋愛
ある夜、王家に仕える魔法使いであるフィオリーナは第三王子フェルディナンドにおそわれた。 容姿端麗、品性高潔と称えられるフェルディナンドの信じられない行動に驚いたフィオリーナだが、彼が呪われてることに気づき、覚悟をきめて受け入れる。 呪いはフィオリーナにまで影響を及ぼし、彼女の体は甘くとろけていく。 それから毎夜、フィオリーナは呪われたフェルディナンドから求められるようになり…… 全36話 12時、18時更新予定 ムーンライトノベルズにも投稿しています。

異国の踊り子は「君はボクの番だよ」と求婚するヤンデレ王子に捕獲された

狭山雪菜
恋愛
ヘナは平民の出の"赤い旅団"トップに君臨する踊り子だ。幼い頃両親に決められた幼馴染兼婚約者は、酒にギャンブルに女と、どうしようもない男になっていた。 旅団に依頼された、テリアントロピア王国へと祝賀会への催し物で踊る事になったヘナは、仕事終わりのお祝いの会でレオンハルト・オスカル・テリアントロピア王子に出会い…… この作品は、「小説家になろう」でも掲載されております。

外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます

刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。

【完結】私の推しはしなやかな筋肉の美しいイケメンなので、ムキムキマッチョには興味ありません!

かほなみり
恋愛
私の最推し、それは美しく儚げな物語に出てくる王子様のような騎士、イヴァンさま! 幼馴染のライみたいな、ごつくてムキムキで暑苦しい熊みたいな騎士なんか興味ない! 興奮すると早口で推しの魅力について語り出すユイは、今日も騎士団へ行って推しを遠くから観察して満足する。そんなユイが、少しだけ周囲に視線を向けて新しい性癖に目覚めるお話…です?

「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。 絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

洗浄魔法はほどほどに。

歪有 絵緖
恋愛
虎の獣人に転生したヴィーラは、魔法のある世界で狩人をしている。前世の記憶から、臭いに敏感なヴィーラは、常に洗浄魔法で清潔にして臭いも消しながら生活していた。ある日、狩猟者で飲み友達かつ片思い相手のセオと飲みに行くと、セオの友人が番を得たと言う。その話を聞きながら飲み、いつもの洗浄魔法を忘れてトイレから戻ると、セオの態度が一変する。 転生者がめずらしくはない、魔法のある獣人世界に転生した女性が、片思いから両想いになってその勢いのまま結ばれる話。 主人公が狩人なので、残酷描写は念のため。 ムーンライトノベルズからの転載です。

処理中です...