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後日談6
しおりを挟む参列者への挨拶を終える頃、店の常連や、近所の人達が次々とやってくる。ララは人が入ってくる度に、久々の再会を喜び、話に花を咲かせていた。
レオンは、自分達のために忙しそうに働いてくれている、ハリソンとララの母を見て、ホールの手伝いを買って出る。沢山の料理や酒を軽々と運ぶレオンを見て、ララの母が喜んでくれている。手伝いをしながら、来てくれた人と話をし、ララはこんな中で育ってきて、あんな風になったのだなと、レオンは一人で納得していた。
参列者の中に、常連や近所の人達も加わり、酒も入り盛り上がってきた頃、ダニエルと並んで酒を飲んでいたパウラに呼び止められる。
「レオンさん! ララが、乾杯の連続でかなり飲んでるんです。随分と酔ってそうなので、ちょっと様子を見てもらえませんか?」
ほとんどがララの親しい人ばかりなので、自分は邪魔だろうと、ホールの手伝いばかりをしていた。楽しそうな話し声は、ずっと聞こえてはいたが、ララが酔っていることに全く気づいていなかった。
「パウラさん、ありがとうございます」
ホールを見渡し、ジョッキを持って、常連らしい男性と話をしているララを見つける。
「ララさん」
「あっ、レオンさん!! いま丁度レオンさんの話をしてたんですよ! ほら! ベンさん、素敵でしょ? 私の旦那様」
ララが赤らんだ顔で、ジョッキを持ったままレオンの腕に、もたれる様にひっついてくる。
「おお!! 確かに、俺よりも強そうだな」
力仕事でもしていそうな、体格の良い年嵩の男性がレオンを見上げる。
「強いです! この筋肉は見た目だけじゃありません!!」
と、シャツの袖を捲り、露わになっていたレオンの腕の筋肉を、ポンポンと叩いている。
「……申し訳ありません。ララさんが酷く酔っているようなので、失礼させて頂きますね」
「ああ、旦那も大変だな! ララの世話をよろしく頼んだ!!」
「えっ、酔ってないですよ。レオンさん!!」
ララが手に持っていたジョッキを取り、ララの腰に手を添え、ハリソンのいるカウンターへと移動する。
「ハリソンさん、すみません、お水をもらえますか?」
「はい、どうぞ。ララちゃん随分と酔ってるな。先に家に帰るかい?」
「……でも、皆さん、せっかく来て頂いてるのに、良いんでしょうか?」
「もう一通り挨拶はしただろう? 皆、それぞれでもう楽しんで飲んでるから、大丈夫だよ。ララちゃん、緊張や疲れもあって、酔っぱらったんじゃないかな。早く休ませてやってくれるかい?」
「……ありがとうございます」
カウンターの席に、もたれるように座っていたララに、水を飲ませる。
「……お水、おいしい。ありがとう、レオンさん」
ふにゃりとした笑顔で言われる。
「ララさん、帰りましょうか」
「えっ、でも、まだみんないるのに」
「ハリソンさんが、心配してましたよ。ララさんが、疲れて酔ったんじゃないかと」
「……酔ってないのに」
「……ララさん、顔が赤いです。帰りましょう」
ハリソンの店から、新居までは歩いて行ける距離にあった。日が暮れて、肌寒くなっていたので、ララの肩に自分の上着をかけ、腰を支えながら夜道を歩く。
「レオンさん、大丈夫。一人で歩けます!」
「ララさん、でも、足元がふらついています」
ララと一緒に住み始め、一緒の寝室の同じベッドで寝るようになった。お互いに仕事もあるので、ララからくっついてきても、次の日のことを考えると無理をさせられず、何もせずに寝てしまう日も多かった。気持ちは満たされていたが、柔らかなララの身体に触れると、自分の中の欲望が込み上げてきてしまい、その衝動を宥めながら、レオンは生活していた。明日は二人とも休みだが、先程ハリソンに、早く休ませてやってくれと言われたのが、頭をよぎる。
ララがにこにこと、赤らんだ顔でレオンの顔を見上げる。
「今日は、お店のお手伝いを沢山して下さって、ありがとうございました! 母がとても喜んでました」
「良かったです。私も、ララさんの育った場所を知ることができて、嬉しかったです」
「シャツの袖を捲って、働くレオンさんの姿、格好良かったです!!! 私も、素敵なレオンさんを、常連さんや、ご近所さん達に知ってもらえて嬉しかったです!」
「そうですか……」
思わず顔が赤くなる。
「……ララさんは、沢山の方に、可愛がられて育ったんですね」
「はい! あのお店に来る人達のおかげで、こうして大きくなりました。あ、もちろん、母もハリソンさんもです」
「はい」
舌足らずな喋り方が、いつもよりも幼く聞こえる。
家に着き、ララは居間のソファに座り込んでしまう。
「ララさん、着替えて寝ましょうか」
「……レオンさん、このドレス、後ろが外せなくて……」
と、ララに背中を向けられてしまう。レオンが、おそるおそる背中のホックを外していく。ララの白い背中が露わになる。ララは、いつもとはちがう、背中を編み上げて締めてある、硬い下着をつけていた。これも自分では外せないだろうと、通してあるリボンを解いていく。
「楽になりました! ありがとうございま、んっ」
ララがこちらを向いた瞬間、肩を手で寄せ、こちらを向かせる。唇を押しつける様に重ね、ララの柔らかな唇を喰むようにして味わってしまう。
「ん、ふ」
唇を離し、ララの顔を見ると、とろんとした目で、
「レオンさん?」
と、不思議そうに名前を呼ばれた。
「っ、すみません。急に」
「ううん。嬉しい」
と、笑顔で言う。コルセットから押し上げられた、胸の膨らみが、白くて、眩しいくらいに感じてしまう。ララの頸に手を添え、クッションにそっと押し倒す。吸い寄せられる様に、もう一度ララに口づけた。
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