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6. 欲しいものは ※
しおりを挟むラルフが演奏を終え、メリッサのいる舞台袖に戻ってくる。ラルフが、メリッサを見て驚いた顔をする。
「どうして、泣いてるの?」
メリッサは、ラルフの演奏を聴きながら、勝手に涙が溢れていた。
「……ラルフの、優しくて温かい音色が、やっぱり好きだと思ったの」
ラルフが何も言わす、メリッサの手を取り、舞台袖の階段を降り端へと移動する。ラルフがメリッサの手をぎゅっと握った。
「……メリッサ、僕は、もう前と同じようには戻れない。けれど、メリッサとの関係を、終わらせたくはないんだ」
「……卒業すれば、ラルフとは会えなくなる……。私は、だから、残りの時間を、今までみたいに過ごせたらと思っていたの。私も、ラルフとの関係を壊したくない」
「……メリッサと、会えなくなるなんて、考えられない」
「ラルフ……でも、」
「家柄も見た目も、成績や身体能力だって、自分で望んで手に入れたものじゃない。僕が自分で唯一望んだのが、ピアノを弾くことだったんだ。……メリッサのピアノを弾く姿も、音色も好きだ。ピアノのことだけじゃない。いつの間にか、メリッサ自身を好きになっていた。……人と関わって、こんな気持ちなったのは初めてだったんだ。僕がピアノを弾くこと以外で、心から欲したのは、メリッサだけだったんだ」
ラルフの真剣な目で、見つめられてしまう。
「……ラルフ、でも、私、何も無い。ピアノを少し、弾くことくらいしか……」
「違う、メリッサ。君がいてくれるだけで、僕は、僕のままでいられるんだ」
繋いでいた手を、ラルフの手で包み込む様に持たれ、その手に、ラルフが唇を寄せた。
なんの取り柄もない、ピアノが少し得意なだけの、コンプレックス持ちの自分が、ラルフを好きになるなんて、身の程知らずだと心の底でずっと思っていた。
――友達だったら、そばにいられる。
そんなずるい考えで、ラルフに対して、友達以上の気持ちを抱いているのに、見ないふりをしていた。
「……メリッサは、僕のことが好き?」
ラルフが、掠れたような声で言う。顔が赤くなっているのが、自分でも分かるくらいに熱くなっている。
「……好き……」
小さくて、声が震えていたけれど、言葉にすると、すとんと自分の胸に落ちる。
「……友達と、してじゃなく?」
ラルフの手に力がこもった。こくりと頷くと、ラルフが呆けたような顔をする。
「……夢、みたいだ」
そう、ラルフが呟き、肩を寄せ抱きしめられてしまう。舞台袖に、人が増えている。ソロのステージが終わり、次は連弾やアンサンブルの番になる。
「……ラルフ、そろそろ行かなきゃ」
もうすぐ、メリッサとラルフの出番だ。ラルフがメリッサの手を取り、軽やかな足取りで、舞台上のライトが照らされる中へと二人で出て行った。
ラルフとの演奏は楽しい。多少のミスタッチなんて気にならない。掛け合うようなメロディに、ラルフと目が合い自然と笑顔になる。身体全体で音楽を感じるような演奏に、気分が高揚したまま最後の一音を弾き終えた。二人でお辞儀をし、会場から拍手が鳴り響く。舞台袖にはけながら、自然とラルフと手を繋いでいた。二人とも何も言わないけれど、いつものあの場所へと足が向かっていた。
練習室の扉を閉めた瞬間、ラルフに引き寄せられ、抱きしめられてしまう。ラルフが熱っぽい目で覗き込み、唇が重なった。唇を喰むようになぞられ、ラルフの熱い舌が侵入してくる。舌と舌が絡み合い、初めての感覚に頭がクラクラする。息が苦しくなって、ラルフの服をぎゅっと握ると、そっと唇が離れた。余裕の無さそうな、ラルフの顔が視界に入る。
「……メリッサの、可愛い胸に、触りたい」
ラルフが呟くように言い、メリッサは、高揚した気分のまま、初めての感覚を味わい、気持ちがいっぱいいっぱいになり固まってしまう。ラルフがメリッサの顔を覗き込んで、「だめかな?」と、切なげな表情で言う。
「……メリッサに触れてから、ずっとおかしいんだ。メリッサに、触れたくてしょうがなかった」
ラルフに真剣な目で、そんなことを言われ、メリッサは頭がかっと熱くなってしまう。
「ラルフに触れられると……変に、なるの」
「…………それは、僕が触れて、嫌じゃない?」
「……ラルフのおかげで、自分の嫌いだった部分を、少し、好きになれたの。ラルフが触れてくれるのが、嬉しい」
ラルフの顔が真っ赤に染まった。
「……嬉しくて、頭がおかしくなりそうだ……」
ラルフがメリッサを抱き上げ、ピアノの閉じた蓋の上に座らせる。メリッサはボレロを脱ぎ、首元のリボンを解いた。ラルフがもどかしそうに、メリッサのブラウスのボタンを外していく。下着の肩紐と一緒に、ブラウスも脱がされ、メリッサの胸の膨らみが露わになった。ラルフが、うっとりとした表情で、メリッサの胸を見つめる。メリッサは羞恥心に駆られ、思わず腕で隠してしまう。
「メリッサ、よく見せて」
ラルフには、もう何度も胸を見せているし、触れられ、何だったら吸われてまでいるのに、ラルフのことが好きだと自覚した今、恥ずかしくしょうがなくなってしまう。
ラルフが、メリッサの腕をそっと外し、胸の先にちゅっとキスをする。小さな乳輪をなぞるように舌を這わせ、胸の膨らみに隠れている乳首を、舌先でちろちろと舐められる。
「ん、ぁ、や」
胸をきゅっと持たれ、胸の先にラルフが吸いつく。舌先で柔く刺激されては、強く吸いつかれるのを繰り返される。
「っ、ラルフっ、ぅんっ」
は、と息を吐きながら、ラルフがメリッサの胸から唇を離した。熱を孕んだ目で見上げられる。
「……胸以外にも、触れてもいい?」
メリッサが、ぼんやりとした頭で頷くと、ラルフは、スカートの裾の中へと手を這わせた。
「ラ、ラルフ、待って」
「ごめん、メリッサ、待てない」
「待って!!! だ、だって、何か、出てきちゃってる……」
メリッサが思わず叫ぶと、ラルフの手がピタッと止まった。メリッサは、以前ラルフに胸を触られた時にも、とろっとした液体が股の間から出てきて、不思議に思っていた。粗相をしていると、ラルフに思われたら、恥ずかしくて死んでしまう。
「メリッサ、それは……」
ラルフの顔が真っ赤になる。
「それは……?」
「っ、ちょっと待って、やばい」
「? ラルフ? 何が……」
止まっていたラルフの手が、再びメリッサのスカートの中へと入っていく。
「ラルフ! だから、だめだってば!!」
下着の上から、ラルフの指が股の間をなぞる。
「や、やめっ」
「……濡れてる」
「やだぁ……」
――ラルフにばれてしまった。恥ずかし過ぎる。
そんなメリッサの思いをよそに、ラルフは夢中で、メリッサの間に、自分の指を擦りつける。
「んっ、や、あっ」
メリッサは訳も分からず、与えられる刺激に身体を震わせた。中からどんどん粘液が溢れてくる。花芯を、下着の上から擦られ、強い刺激にますます中から溢れてきてしまう。
「やっ、ぁんっ、それ、だめぇ……んっ」
ラルフの顔が近づき、唇が重なる。口の中を舌で弄られながら、ラルフの長い指で、間をくちくちと擦られてしまう。メリッサは、あの、変な感覚の連続に頭がぼうっとしてきて、与えられる刺激に身を委ねた。
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