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第1章
何でも屋とアリネスの少女(第1話)
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ライアー「はぁ…はぁ…!」
周りから発砲音が鳴っている。瓦礫だらけの場所を走っていた。
焼けただれた人間、
破壊された戦車、
どこからともなく聞こえてくる悲鳴、
ライアー「畜生が…!」
ここは、戦場。
人と人が殺しあう無法地帯。
ライアー「ーッ!!?」
途端目の前が真っ白に光った、フラッシュグレネード!?
ライアー「しまーっ!!?」
目がやられ、体制が崩れた、そのまま…後ろに倒れる…
ダンガ「おい!危ない!」
ライアー「…へ?え!?ウワァァァァ!!?」
そのまま俺は盛大に脚立から落っこちた。
ダンガ「大丈夫か?」
俺の今回の依頼主のダンガさんが心配してくれる、見た感じは筋肉隆々と怖そうなイメージが付きそうだが、そんな見た目とは裏腹に優しい人だ。
ライアー「な、何とか…」
そんな筋肉マッチョなダンガさんとは違い、普通の体型で作業服を着て、ガラの悪そうな顔をしてるのが俺。
立ち上がりながらさっきまでの事を思い出してた。確か…
ダンガ「頼むぞ?俺はそうゆう細かい作業は性に合わなねぇんだからよ」
ライアー「はーいよ…」
思い出した、ダンガさんの家の換気扇の修理をしに来たんだった…。
ライアー「…何で思い出しんだろ…」
確か、さっきまであの時の光景を…、
ダンガ「どうかしたか?」
ライアー「いや別に…あともう少しで終わります」
ダンガ「そうか、じゃあ先に払っとくぞ」
そう言って、ダンガさんは俺に報酬金を払って家に入ってった。
終わり次第、帰って良いらしい。
ライアー「…終わり、と」
脚立から降り、担いで帰路に着いた。
俺の名前はライアー、
ここで何でも屋を営んでいる。
社長は俺、会計士も俺、従業員も俺…。
…うん、1人で営んでるさ…泣
ここはスラム街…と言ってもそこまで環境は悪くない。
道はちゃんと整地がされてるし、建物は崩れているものなんて、そうそう無い。
但し…それは、環境の話だ。
ライアー「…?」
建物の間の裏路地から、叫び声が聞こえる。その声はだんだんと近づいて来てた。
?「あ、アンタ!助けてくれ!」
そう言った男は俺にすがりつくように助けを懇願して来た。その後ろから3人ほどの追っ手の姿が見える。
すがりついて来た男を観察すると、金も地位も無さそうな、いかにもスラム出身の男…と言った感じだ。
チンピラ「おいおーい、何だその男は?」
チンピラ2「知るかよ、どっちにしろ邪魔なら殺しちまえば良い」
チンピラ3「おい、にいちゃんや。痛い目に会う前にその男をこっちに寄越した方が賢いぜ?」
追っての連中…と言うか、チンピラだな。その連中が追いついて来たので、そいつらを見ると手には鉄パイプや刃物をチラつかせていた。
ライアー「…勝手にすれば?俺は関係無い」
そう言うとすがりついてた男の顔が真っ青になる
?「た!頼む!一生のお願いだ!」
チンピラ「話のわかる奴で助かるぜ…ほら、寄越しな」
俺は男の首を掴み、チンピラに投げようとすると…
?「金ならある!ここに!50ゴールドだ!」
ゴールド、
ここ、ギルハートではゴールドが通貨だ。
それは日本円で1ゴールド=100円
つまり、この男は5000円を払うと言ったのだ。
俺は素早く、その男を俺の後ろへ投げた
チンピラ2「…あ?」
チンピラ3「何のつもりだテメェ…」
ライアー「たった3人を黙らせるだけで50ゴールド?そりゃ…」
言いながら、俺は脚立でチンピラのうちの1人をぶっ叩いてた。
ライアー「儲け話だなぁぁ!!」
チンピラ「テメェ…!?」
脚立を手放し、構える。
俺は武器を脚立以外は何も持ってなかったが関係なかった。
鉄パイプを持ったチンピラが鉄パイプを振り下ろしてくるが、バックステップで下がって回避をし、そのままハイキックを顔面に入れて、建物の壁に叩きつけた。
チンピラ2「オラァ!!」
その叩きつけた後ろからもう1人のチンピラがナイフを刺しに来た。
チンピラ2「なっ!?」
ライアー「甘いな」
突き出した右腕をしゃがんで回避し、
右腕を掴み…
ライアー「よいしょっとぉ!!」
そのまま背負い投げを決め、地面に叩きつけた。
?「…つ、強い…」
武器を持ったチンピラ3人を無力化…、言葉にすれば簡単だが、現実にするとは…。
チンピラ3「ぐぅ…テメ…!!?」
脚立でぶん殴られた男が立ち上がったがこの惨状を見て、また尻餅をついた。
ライアー「…まだか?」
チンピラ3「こ、降参だ!やめてくれ!」
怯えきった顔で、そう頼んできた。
ライアー「…ならこの2人連れてさっさとどっか行け」
チンピラ3「あ、あぁ…」
チンピラが倒れた2人をひきづって行った。
ライアー「それで、報酬は?」
?「こ、これだ」
確かに、50ゴールドだった。男はどうやら嘘をつくつもりは全く無かったらしい。
ライアー「…んじゃあな」
俺がそこから立ち去ろうとした時、
拍手が聞こえた。
ライアー「…ん?」
拍手は男とチンピラ達が来た路地裏から聞こえた、見るとスーツを来た60~70代だろうか?白髪かかった頭に体は太っている。とてもスラム街出身とは見えない。
アルセーヌ「失礼しました、とても見事なものですから…。私、アルセーヌと申します」
そう言った老人は深々とお辞儀をした。
ライアー「…貴族か」
アルセーヌ「いかにも…それと、失礼ながら、その男を拘束させていただきます」
そう言って老人は俺に助けを求めた男を指差した。
アルセーヌ「その男は私の経営する店から盗みを働いたのですよ…おい、拘束しろ」
すると、何処からともなく屈強なボディーガードが男を拘束した。
?「ヒィィ!た、助けームグゥ!?」
言い終える前に口を押さえつけられてた。
アルセーヌ「助けないんですね?」
アルセーヌは俺をますます興味深そうに見て来る
ライアー「ああ、あれ以上は金を持ってなさそうだからな」
アルセーヌ「…なるほど、先程の男達から守ったのは金でしたか…」
ライアー「…お前が仕掛けたのか?」
アルセーヌ「ええ…と言っても、貴方の力を示すつもりで雇ったのではないのですがね」
話を聞くと、チンピラは盗みを働いた男を捕まえる為に雇ったらしい。
アルセーヌ「それにしても好都合でしたよ…」
ライアー「俺に用か?」
アルセーヌはコクリと頷くと、
アルセーヌ「貴方にー[裏の仕事]を依頼しに来ました…」
やっぱりな、と思った。
どうやら、「そっち」の依頼だ。
ライアー「…うちの事務所まで来い。ここじゃ…誰がいるか分からんからな」
俺とこの依頼主、アルセーヌと共に俺の事務所まで行く事になった。
俺の事務所は3階建て、3階は屋外へ出られる建物だ。スラム街にしちゃあ、立派な建物だな。
その1階部分は、広間の中心に丸いテーブルがあり、それを2人用の椅子が囲うように並べられていた。周りには様々な[表向きの]仕事道具が掛けられていた。
俺は本来なら普通の仕事を受ける1階を無視し、2階へ上がる。アルセーヌにも来るように伝えた。
2階は酒場のような作りだ。カウンターがあり、そこに寄りかかる為の1人用の椅子がいくつかある。アルセーヌはそこに座った。
俺は酒場なら本来バーテンダーがいる場所に立つ。
ライアー「じゃあ…依頼の内容に入ろうか」
言いながら、後ろに飾られている置物をどかし、レバーを下に降ろすと…
アルセーヌ「…ほう」
壁一面が、後ろに隠してあった壁と交換されて中から銃器や重火器がずらっとかけられていた。
ライアー「俺はあいにく、剣術や、魔法みたいな才能は無い…が」
アルセーヌを見て、
ライアー「人を仕留める脳だけはある。さて、依頼はどんなんだ?」
アルセーヌ「…なるほど、分かりました…。では内容を伝えますね」
アルセーヌは、ゴソゴソとポケットから何かを取り出してカウンターに置いた、それは…
ライアー「写真?」
アルセーヌ「見てください、これですよ」
2枚の写真のうち、見せてきたのは肌が褐色の女性の写真だ。
ライアー「これが…?」
アルセーヌ「彼女を、保護して貰いたい」
ライアー「…誘拐されたのか?」
アルセーヌ「そんなところです。彼女はここにいます」
残った1枚を見せてきた、そこには…
ライアー「森林…建物?…南の森林地帯か?」
ギルハートの南には森林が広がっている。昔、そこは反乱軍が攻めた為、火の海になったが今ではすっかり元通りだ。
アルセーヌ「ええ、その森の中の一番北部の方にこの施設があると情報を受けました」
ライアー「…まて、場所も分かってるのなら、アンタの権力と金で何とかなるんじゃないか?」
アルセーヌ「…ここは廃墟では無いのです」
廃墟ではない、場所は割れてるのに行かない、となれば…
ライアー「組織化された連中が、占拠してるのか」
アルセーヌ「流石、話が早いですね」
ライアー「どこの組織だ?反乱軍の残党グループか?それとも野盗か?」
が、アルセーヌの口から出たのは全く予想外の単語だった。
アルセーヌ「ギルハント」
ライアー「…何?」
旧帝国の国名であり、暴君の王でもある名前だ。
アルセーヌ「その残党グループかと思います」
ライアー「…まだ生きてたのか」
あの連中…なるほど、
アルセーヌ「そのようで…私も何回か傭兵を雇い送り込んだのですが…」
俺には縁がある連中だ…
ライアー「無理だろうな、奴らのやり方は知っている」
どうせ、人体実験での「失敗作」か、バケモノか、はたまた奴隷を使ったのか…。どれにしろ、これは俺の仕事だ
ライアー「分かった、この依頼を受けよう」
アルセーヌ「本当ですか!」
ライアー「ただし」
アルセーヌの言葉を遮り、条件を出す。
ライアー「俺の仕事は成功するとは限らない。だから基本的に後払いだ」
アルセーヌ「…弱気ですね」
噂と聞いてた男とは違うとでも思ってるのだろう。
ライアー「当たり前だ、今回の相手はギルハントの連中だからな。それに失敗した時に後始末をする羽目になるよりマシだろ」
アルセーヌ「…分かりました。終わり次第、この番号に…」
電話番号を記した紙を受け取り、交渉は終わった。
ネズミ「ヒヤヒヤしましたよ…」
アルセーヌ「ネズミか」
そのネズミと呼ばれた男は、チンピラに追われてた「役」のあの男だった。
ネズミ「さて、あの男。如何でしたか?」
アルセーヌ「予想より、ダメそうなだな。ただの便利屋と変わらない」
ネズミ「期待は出来ないと?」
アルセーヌ「そうだな、まあ、せいぜい頑張って貰おうか。失敗しても良し、成功するなら…殺すまでだ」
アルセーヌとネズミはそのまま、邸街へと消えた。
ライアー「…贖罪か」
事務所に残っていた俺はボヤいた。
ギルハントとは、切っても切れない腐れ縁があるようだ。
ライアー「…」
外を見ると、夜だった。ちょうど良かった…
ライアー「行くか」
そのまま、闇に消えた。
俺の装備は、ハンドガン(以後、HGと呼ぶ)とナイフだ。
南部の森林までは、ギルハートのスラム街から出てすぐの場所だ。
教えられた場所へ向かうと…
ライアー「確かに…あったな」
写真と同じ建物が確かにあった。俺は建物の正面であろう場所に回り込み双眼鏡で観察をする。
ライアー「敵影なし…ん?…監視カメラか…」
正門と思われた場所には、辺り一面を監視する為に設置したと思われる監視カメラが1台あった。
ライアー「…ふむ…別の方法で入るか」
俺はハンドガンを片手に側面の壁に沿って歩いた。すると、通気用ダクトがあったのだ。
ライアー「…入れるか…?」
近くにあった、ゴミを足場にダクト内に上半身を突っ込むんで見ると人がギリギリ入れそうな大きさだと分かった
ライアー「…行けるな」
俺はそのまま、匍匐(ほふく)前進で進む。それにしても人がギリギリで入れるほどデカイとはな…そんなに必要なのか?
答えはすぐに分かった。
ライアー「…」
室内に入ったので、ダクト内から顔を覗かせると建物の1階には、人間が1人とエレベーターがあったのだ。
ライアー「…地下か」
建物は2階以降は無かった、ならば向かう先は地下しかない。そしてダクトも地下に向かう形になってた。
流石にダクトを通って下には行けない、エレベーターに乗るか…
俺は敵を見るとこちらには気づいてない、全身に一式の装備を着ていた。武器はアサルトライフル…AK -47か?それともAK -M?まあ、どちらにしろ関係ないかと思った。
それもそのはず、後ろからHGでズドン、だからだ。
ライアー「扉ばっかり見てるからだ」
今更だが、HGにはサプレッサーを装備させてる、なので発砲音はならない。
俺はダクトから部屋に降りると、動かなくなった奴からアサルトライフル(以後、AR)を奪い、弾を確認する。
ライアー「…ギルハント兵か…」
近くでじっくりと見て、確信した。
頭には黒のガスマスク、体には白よりな灰色の防弾チョッキ。
間違いなく旧帝国当時の兵士の装備だ。
ライアー「…進むか」
エレベーターに乗ると「B3」のボタンを押し、降りた。
ライアー「はぁ…」
エレベーターから出た所すぐ、敵兵に囲まれていた。
そりゃそうだ、正面の扉に監視カメラを設置してるんだから、エレベーターにもあるよなそりゃ…。
敵兵「どうする、コイツ」
敵兵2「拘束するに決まってるだろ」
状況は、ARを持った敵兵4人に囲まれていた。俺は両手を挙げている。HG右手に持っている。
敵兵「取り敢えず、その拳銃を寄越せ」
正面に立っていた兵士が銃を構えたまま右手を伸ばしてきた。
ライアー「へいへい…」
持っていたHGを渡し…直前で
ドンッ!!!
敵兵2、3、4「!!?」
敵兵の胸を打ち抜き、しゃがんだ。
残りの3人が俺に向けて発砲しようとするがサイトの狙い越しには俺の姿が消えていたので判断が鈍っていた
兵士2「ガァ…!?」
兵士3「ギィアアアァァア!!?」
その隙に左右の兵士の足と太ももを撃ち抜く。
後ろにいた兵士が撃ったと思ったらー
兵士4「ーッ!!」
俺が振り向きざまに腰のナイフを引き抜き、太ももに刺した。
ライアー「よっと」
そのまま、太ももからナイフを抜き、HGで頭を撃つ。
左右に残った兵士も容赦なく撃ち抜いて黙らせた。
ライアー「…いつからだろうな」
こんな風に人を殺す事に躊躇がなくなったのは…
ライアー「…?」
感傷に浸っていたが、とある事に気付いた。
ライアー「ふーん…」
増援が…来ない…。
少なくても、4人も殺したので暴れてるはずだが…一向に兵士が来ないのだ。
ライアー「行くか」
隠れる必要も無くなってきたようだ。少なても、誰も来ないこの状況なら。
ライアー「あ、そうだ」
強制停止させられたエレベーターを見ると、俺は地下2階で降ろされていたようだ。
一方、
地下3階ー
技術者「た、助けてくれぇえ!!」
医者「ヒィィィ!!」
兵士「こ、この!バケモノー!」
兵士も医者も技術者も、その「化け物」の前にしてはー、殺される対象だけであった。
化け物「…オマエか…」
その化け物とはかけ離れている容姿の「少女」はー、そう、静かに言った。
数10分後…
ライアーは地下3階には既についていた。地下はそれほど広くない…が、今はそれどころではなかった。
ライアー「…何だこれ…ひっでえな…」
壁も地面も、一面血だらけだった。
ライアー「…チッ」
思わず顔をしかめてしまうような死体があった。それも1つだけではなく、大量に。
ライアー「…あの時はこんな無残な死体は無かったぜ…」
電気は通ってたので嫌でも元々は人間だった「それ」を見る事になる…うえ…。
その時
?「助けてくれぇぇぇぇ!!あ、あ、あぁぁぁ!!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
断末魔…まさにそれだった。思わず体が硬直してしまいそうな程。
ライアー「…」
HGを構えながら、慎重に進んだ。
曲がり角を曲がったところで、「それ」を見た。転がっていた死体ではない。
返り血を盛大に浴びていて真っ赤なので誰か分からない…が、間違いなく兵士ではない。
ライアー「誰だ!」
思わず叫んだ、今までの兵士なんか比べ物にならないほどの殺気が感じられたからだ。
?「…オマエか」
ライアー「あ?」
そう言った「それ」は、飛びかかって来た。
ライアー「ッ!!」
距離は20mほどあったのにも関わらず、「それ」は一回のジャンプで来たのだ。
化け物かよ!!
両腕を掴まれ、そのまま勢いよく押し倒される
ライアー「グッ…!なっ…!?」
振りほどこうとするも、「それ」の腕力が予想以上に強すぎた。
俺の腕がミシミシと鳴る、「それ」は顔を近づけると静かに囁いた
?「…助けて…」
ライアー「!」
そこで気づいた、同時に俺は「それ」の腹部を蹴り飛ばした。
今の…まさか…!
「それ」は俺の少し前で腹部を抑えて蹲っている。
ライアー「クッソ…」
立ち上がり、「それ」を見ると顔だけを上げてこちらを睨んでた…。
「それ」もとい…その「少女」は俺の目標の保護対象だ
保護じゃなく、捕獲の間違いじゃないのか…。
そう思いつつ俺は少女を拘束しようと近づくと、また驚異的なジャンプで離れた。
ライアー「あっぶね!」
巻き込まれそうになって、尻餅をついた
少女「…マダ、ミツケテナイ…」
そう言った少女は、そのまま走って逃げた。
ライアー「あ!待て!」
素早く立ち上がって、少女を追いかけ始めた。
ライアー「はぁ…はぁ…」
着いた場所は…一番奥の部屋だった。部屋は小さな部屋で、更に扉を通れば大きな部屋に入る事が出来る間取りになってた。大きな部屋は、今いる小さな部屋には、机と、パソコン、何らかの資料が散乱してた。壁一面がガラスで出来ており、そこから大きな部屋を見ると手術台が見えた。もちろん、両方の部屋は何処かしらが赤色に染まっている。
少女の姿はまだ確認できてない。
ライアー「…人体実験…か」
机に散乱してた紙を手に取る、そこには写真と番号が書いてあった。
実験番号…0245…1854…etc
何人もいたがどれもこれも失敗している…失敗…失敗内容は「対象が死亡」と書いてあった。
ライアー「…クソが」
胸糞悪くなる、あの時と同じだ、
そこで俺はパソコンを見た。
ライアー「…あ」
思わず口が開く、それもそのはず、先程の保護対象ならぬ少女が映っていたからだ。
表示内容は[アリネス]とだけ書かれてた。
ライアー「…アリネス…?」
聞き覚えがある、が、何だったかまでは思い出せない。
?「助けて!お願い!」
そこでガラスをドンドンと叩かれ、俺はそちらに顔を上げた。
見るとガラスを叩いていたのは白衣を着た女性だ、歳は30代だろうか?眼鏡をしており、実験に熱中したせいか髪や服の手入れは全くしてないようだ。
ライアー「待ってろ、そっちに行く」
俺は情報も知りたくなったので、その女性を助ける事に決めた。
大きな部屋に行く扉は少しだけ頑丈に作られているが、開ける事は簡単だった。
ライアー「おい、大丈夫か」
?「彼女が!彼女が来るの!」
ライアー「彼女…」
少女の事を指していると分かった。俺はその白衣の女性を落ち着かせて、小さな部屋に戻った。
ライアー「落ち着け、俺は味方だ。何があった?」
女性「…味方…なの?見たところ兵士とは違いそうだけど…?」
意外と女性には洞察力と冷静さが残ってたようだ。
ここは変に貫き通すより、本当の事を言うか…。
ライアー「ああ、俺はとある依頼で来た。依頼内容は少女の保護だ」
女性「保護?捕獲の間違いじゃないの?」
皮肉そうに女性は言う
ライアー「全くもってその通りだな…彼女の情報が知りたい」
女性「どうして?保護したらその依頼主に届けるんじゃないの?」
ライアー「少女に興味を持った。そのパソコンと言い、書いていた内容と言い、何かあるだろ」
女性は少し考えた後…
女性「…分かったわ、教えてあげる。ただし一つだけ条件があるわ」
ライアー「何だ」
女性「少女を確保したら、私も助けて欲しいの。この施設から…脱出を手伝って」
白衣を着た女性はマーシャルと言う名前だった。
マーシャル「つまり、彼女…実験番号0023は成功したのよ。人体実験に」
ライアー「…それであの馬鹿力か」
マーシャル「そうね、彼女の筋力、瞬発力、脚力…全ての身体能力が飛躍的に向上したと言えるわ」
マーシャルが言うには、少女は0423と言う人実験番号を持ち…名前は持っていない。そして、施設生活が一番長いらしい。それも施設と施設を行き来したりしてるため。
ライアー「もう一つ気になってる事がある。彼女は何故人を襲ってる?」
マーシャル「…記憶を残したせいね」
ライアー「記憶?けど…」
マーシャル「言いたい事は分かるわ、人体実験をする時に基本的には記憶を全て消すわ」
だろうな、と思った。それがギルハートのやり方だった、「一部」を除いてはだが。
マーシャル「私が…残したの」
ライアー「何?」
マーシャル「私が…こっそり記憶の削除をしないように設定したのよ。そしたら…」
ライアー「…人を襲い始めたと」
マーシャル「そうよ、けど後から知ったわ…彼女がアリネスの生き残りだったなんて…」
ライアー「アリネスの生き残り…?」
アリネス…確か…
マーシャル「『アリネスの褐色は、火で焦がしても誰も気づきやしない』」
その、ひどく差別された言葉で思い出した。
ライアー「アリネス人か…!」
マーシャル「…そうよ、旧帝国の時代に抹殺された」
当時、何故だったかは不明だが、アリネス人と帝国人とのトラブルがあった。結果的に帝国裁判でアリネス人の全てが悪と印を押され…帝国による抹殺が実行されたのだ。
それだけじゃない、アリネス人は基本的に他の部族や国とは関わらない「呪われた人達」と言われていた。
ライアー「…アリネスは褐色の肌そして、人間離れした血…」
マーシャル「…私も初めて見たわ、あんな真っ白で透明な血は…」
そう、血の色が特徴的なのもアリネスの特徴なのだ。
ライアー「…つまり、彼女は幼少期の頃の記憶があるせいで…」
マーシャル「人を襲ってるとか思えないわ、恨みがあるのは間違いなく帝国兵たちよ」
ライアー「…」
俺はふと思った、何故そんな少女を今回の依頼主アルセーヌは欲しがってるのだろうと。
マーシャル「とにかく、彼女を捕まえるならこれを使って」
マーシャルは白衣のポケットから何かを取り出した。
ライアー「…注射器?」
マーシャル「強力な睡眠薬が入ってるわ、それを指して一気に注入すれば…」
ライアー「眠るって訳かい」
マーシャルは頷いて答えた。
ライアー「分かった、だがまずはお前の脱出を手伝う」
マーシャル「あら、優先するのは私なのね?」
ライアー「対象を保護するのに、守りながらなんて出来るかよ…簡単に事が済みそうなのを先に選んだだけだ」
そう言いつつ、部屋から廊下へ出る。取り敢えず、地上まで行けば後はマーシャル1人でも何とかなるだろう…
が、マーシャルと進んで、違い2階に戻った所で、「少女」はいた。
ライアー「…チッ」
マーシャル「…か、隠れるわね?」
マーシャルはいいながら物陰に隠れた
少女「…オマエか…」
ライアー「来いよ、負けねえぞ?」
俺が言い終わると、最初の時と同様に少女は飛びかかってきた。俺は受け止めずスライディングで避けて、振り返る。
少女も行き過ぎたようで、すぐさま振り返ったがワンテンポ反応が遅い。
俺はスライディングから立ち上がりダッシュで少女に近づきながら注射器を持った。少女は後ろにジャンプして逃げようとするも、俺が腕を掴むのが早かった。そのまま、注射器を腕に突き刺し、一気に押し込む。
少女「ーッ!!」
顔を歪ませながら、少女は後ろへジャンプして逃げた、刺された箇所と俺を交互に見て
少女「ナニヲシタノ…?」
ライアー「そうだな、言えるとするなら…」
少女がフラフラと立っている、そんな少女に近づいて耳元で囁いた
ライアー「助けに来た」
少女「…」
完全に眠ったようだ、俺は少女を抱きかかえた
マーシャル「…凄いわね」
ほんの数十秒で決まった事にだろうか?それとも、驚異的な戦闘にだろうか?
どちらにしろ、変わらないと思った。
ライアー「…ん?」
俺は少女の首元にぶら下がってた物を手に取るとそこには「0023」と彫られていた四角形の金属だった。
ライアー「…」
俺は無言でそれを引きちぎった。紐でかかっていたので簡単に取れた。
それをさっさと捨てた。
ライアー「やっとか…」
マーシャル「ええ…」
少女を抱きかかえながらだと、時間がかかった…。
やっと地上に出た、建物からはまだだがな。
ライアー「…敵がいなくて助かったわ…」
マーシャル「…貴方も無理と感じる事があるのね」
当たり前だろ…。心の中で思っても言わない言わない。
扉を開け、外に出るとー
?「待ってたぞ!!」
怒号が響いた、
ライアー「ッ!!」
思わず少女をマーシャルに渡し、HGを構えた。
?「貴様が今回の侵入者か」
そう言った、機械と肉体が合わさった、俗に言う人造人間は火炎放射器をこちらに向けながらそう言った。
ライアー「誰だ」
ガスマスクで顔が見えなかったが、ギルハートの連中だろうと分かっていた。
こうゆう時に限って増援が来るんだな…。
バーン「俺様の名前はバーンだ!!貴様は名乗んなくて構わんぞ?どうせ真っ黒に燃えるんだからな!」
ライアー「…あっそ」
その、バーンとか言う奴は両腕に火炎放射器を装着しており、それを支えて対象を燃やす為に上半身はむき出しな機械で覆われていた。
バーン「ふん!貴様もそこにいるガキと一緒にしてやる!!」
ライアー「…?」
ガキ?…少女の事か…?
…まさか
ライアー「アリネスの抹殺に参加したか?」
バーン「当たり前だ!私を知らんようだな!『アリネスの褐色は、火で焦がしても誰も気づきやしない、なら燃やすまでだ!』」
そう言ったバーンは俺を睨み、火炎放射器を向けてきた。
ライアー「マーシャル、建物に戻れ。火の海になるぞ」
マーシャル「え、ええ…あ!」
ライアー「どうした!」
振り向くと少女が立っていたのだ、あれほどの睡眠薬を投与したにも関わらず。
少女「…オマエか…!」
少女はバーンを睨んでた、だが歩く事が出来ないようで、フラフラと倒れこむのをマーシャルが受け止めた。
バーン「グハハハハハハハ!!ガキだな!その程度で何が出来ると言うのだ!!」
バーンは嘲笑う、マーシャルもバーンを睨んでた。
ライアー「マーシャル、戻れ」
バーン「ほお?貴様はやるようだな!」
バーンは俺に狙いを定めたようだ
マーシャル「大丈夫なの?」
ライアー「…大丈夫だ」
マーシャルは建物に戻った、これで外には俺とバーンだけだ。
ライアー「さて…やるか…『炎のバーン』さんや」
バーン「何?貴様…何故、その名前を知ってる?」
かつて、アリネスの抹殺の時、バーンはそう呼ばれていたのだ。
ライアー「当たり前だろ…お前は有名だったじゃないか」
バーン「ククク…機嫌取りか?」
ライアー「だけど…」
ライアー「『何でも殺』まで有名じゃなかったよなぁ?バーンさん?」
バーン「!!?」
バーンの顔が一気に険しくなる、それもそうだ、その悲惨な名前を持ってることを知ってるのは数人しかいない。
バーン「…誰だ、貴様は…」
ライアー「俺?俺は普通の何でも屋さんだよ、ああ、ただのな」
皮肉気味に言った。
ライアー「さあ、さっさと燃やしてみろよ。ただし…」
そこで静かに怒りを示した。
ライアー「絶対にお前は殺してやるよ…テメエが泣いて謝ってもその涙さえも、撃ち殺してやる」
バーン「…ふふふ、上等だ!貴様が泣いてもこの炎で!!燃やし尽くしてやる!!」
ライアー「行くぞ…!」
バーン「オルァァァァァァ!!」
既に真っ暗な空が炎で明るくなったー
決着はすぐについた、バーンの下半身は血だらけになり、火炎放射器も左腕の奴はちぎれてた。
対する俺は、右腕を少し火傷した程度だ。
バーン「嘘だ…嘘に決まってる…」
そう言ってるバーンは木に寄りかかってる、虚ろな声で何回も言ってた。
ライアー「…じゃあな」
バーン「ま、待て!貴様は誰だ!?場合によってはギルハートの兵にーッ!!?」
容赦なく、ナイフを口に突き立てた。
ライアー「お前の戯言は聞き飽きた」
そのまま、切り裂いた。
マーシャル「…貴方の方が怖いと思ってしまうわよ…」
ギルハントに帰る道中、マーシャルが急にそう言いだしたのだ
ライアー「何だよ今更だろ…(ーー;)」
マーシャル「急に顔文字使われても困るわよ…」
ライアー「…そんな事より、お前はこれからどうする?」
マーシャル「…そうね、もうギルハートには戻れない。それにもう戻りたくないわ」
ライアー「だろうな」
マーシャル「…新帝国で働くのも悪くないかもね」
ライアー「お?医者か?マッドドクター?」
マーシャル「貴方の治療はお断りね」
ライアー「何でだよ…」
そんなくだらない事を言いながら、俺たちは少女をおんぶしながら帰った。
アルセーヌ「それで、どうでした?」
場所は、俺の事務所に戻ってる。
アルセーヌに今回の件を電話越しに話してた。
ライアー「そうだな…単刀直入に言おう」
アルセーヌ「はい?」
ライアー「失敗だ、少女は殺した」
アルセーヌ「…そうでしたか…」
ライアー「それともう一ついいか?」
アルセーヌ「何でしょう?」
少し、ニヤニヤしながら
ライアー「貴方は何でアリネスの少女を欲しがったんだ?」
アルセーヌ「それは流石に…」
ライアー「聞いたぜ?貴方様の一族はアリネス人の帝国裁判で印を押したうちの一つの貴族だと」
アルセーヌ「…」
ライアー「恨みでもあったのかな?アルセーヌ様?」
分かってると思うが俺の口調は皮肉たっぷりだ。
アルセーヌ「…ない」
ライアー「あ?」
アルセーヌ「貴様には!関係ない!」
ガチャン!!と、電話の受話器を叩きつけるかのように切られた。
ライアー「何だよあのジジイ…」
ブツブツ文句を言いながら、俺は少女を見た。
ライアー「酷え奴だよな」
少女「…あの」
少女の滑舌は前より慣れたのか、カタコトな言葉ではなかった。
ライアー「どうした?」
少女「…何で渡さないんですか…?」
ライアー「そんなの…はぁ…ろくな扱いを受けないだろ。あんなジジイに渡しても」
少女「でも、お金が貰えないんですよね…?」
ライアー「ん、まあな」
少女「ならどうして…」
ライアー「あーのーなー」
言葉を遮り、頭を掻く。
ライアー「俺はお前が欲しいんだよ」
少女「へっ…?」
ライアー「うちは何でも屋だ、俺は何でもやる。どんなに汚ねえことでも」
そこまで言い、少女を見る。
ライアー「アリネスの少女、お前さんが都合が良い。その身体能力、身元が割れない、そして…お前さんの過去を調べるのも都合が良いぞ」
少女「…分かりました」
ライアー「あ、え、お?こ、こんなに早く了承が得られるなんてな」
少女「私は昔の記憶があやふやです…だから知りたい。貴方とも何かの縁かも知れないし…」
ライアー「じゃ、うちの部下になるか?」
少女「はい!私0023は」
ライアー「待て待て待て、番号じゃなくて名前…」
少女「わ、分からないんですよ…」
ライアー「ああ…そうだった…そうだな…うーん…」
アリネス…褐色…白い血…0023…
少し考えた後、決めた。
ライアー「ヒロ、ヒロなんてどうだ」
少女「間違えなく、考えてた事関係無かったですよね!?」
な、何のことやら…。
…やめろ、変な目で見るな、マジで思いつかなかったから…。
ライアー「良いだろ、ヒロで!」
ヒロ「…分かりました」
ライアー「良し!改めてよろしくな、ヒロ」
ヒロ「はい、よろしくお願いします…」
こんな人についてって良いんだろうか…?
彼女、ヒロは不安に思いながら、この社長を見たのだったー。
周りから発砲音が鳴っている。瓦礫だらけの場所を走っていた。
焼けただれた人間、
破壊された戦車、
どこからともなく聞こえてくる悲鳴、
ライアー「畜生が…!」
ここは、戦場。
人と人が殺しあう無法地帯。
ライアー「ーッ!!?」
途端目の前が真っ白に光った、フラッシュグレネード!?
ライアー「しまーっ!!?」
目がやられ、体制が崩れた、そのまま…後ろに倒れる…
ダンガ「おい!危ない!」
ライアー「…へ?え!?ウワァァァァ!!?」
そのまま俺は盛大に脚立から落っこちた。
ダンガ「大丈夫か?」
俺の今回の依頼主のダンガさんが心配してくれる、見た感じは筋肉隆々と怖そうなイメージが付きそうだが、そんな見た目とは裏腹に優しい人だ。
ライアー「な、何とか…」
そんな筋肉マッチョなダンガさんとは違い、普通の体型で作業服を着て、ガラの悪そうな顔をしてるのが俺。
立ち上がりながらさっきまでの事を思い出してた。確か…
ダンガ「頼むぞ?俺はそうゆう細かい作業は性に合わなねぇんだからよ」
ライアー「はーいよ…」
思い出した、ダンガさんの家の換気扇の修理をしに来たんだった…。
ライアー「…何で思い出しんだろ…」
確か、さっきまであの時の光景を…、
ダンガ「どうかしたか?」
ライアー「いや別に…あともう少しで終わります」
ダンガ「そうか、じゃあ先に払っとくぞ」
そう言って、ダンガさんは俺に報酬金を払って家に入ってった。
終わり次第、帰って良いらしい。
ライアー「…終わり、と」
脚立から降り、担いで帰路に着いた。
俺の名前はライアー、
ここで何でも屋を営んでいる。
社長は俺、会計士も俺、従業員も俺…。
…うん、1人で営んでるさ…泣
ここはスラム街…と言ってもそこまで環境は悪くない。
道はちゃんと整地がされてるし、建物は崩れているものなんて、そうそう無い。
但し…それは、環境の話だ。
ライアー「…?」
建物の間の裏路地から、叫び声が聞こえる。その声はだんだんと近づいて来てた。
?「あ、アンタ!助けてくれ!」
そう言った男は俺にすがりつくように助けを懇願して来た。その後ろから3人ほどの追っ手の姿が見える。
すがりついて来た男を観察すると、金も地位も無さそうな、いかにもスラム出身の男…と言った感じだ。
チンピラ「おいおーい、何だその男は?」
チンピラ2「知るかよ、どっちにしろ邪魔なら殺しちまえば良い」
チンピラ3「おい、にいちゃんや。痛い目に会う前にその男をこっちに寄越した方が賢いぜ?」
追っての連中…と言うか、チンピラだな。その連中が追いついて来たので、そいつらを見ると手には鉄パイプや刃物をチラつかせていた。
ライアー「…勝手にすれば?俺は関係無い」
そう言うとすがりついてた男の顔が真っ青になる
?「た!頼む!一生のお願いだ!」
チンピラ「話のわかる奴で助かるぜ…ほら、寄越しな」
俺は男の首を掴み、チンピラに投げようとすると…
?「金ならある!ここに!50ゴールドだ!」
ゴールド、
ここ、ギルハートではゴールドが通貨だ。
それは日本円で1ゴールド=100円
つまり、この男は5000円を払うと言ったのだ。
俺は素早く、その男を俺の後ろへ投げた
チンピラ2「…あ?」
チンピラ3「何のつもりだテメェ…」
ライアー「たった3人を黙らせるだけで50ゴールド?そりゃ…」
言いながら、俺は脚立でチンピラのうちの1人をぶっ叩いてた。
ライアー「儲け話だなぁぁ!!」
チンピラ「テメェ…!?」
脚立を手放し、構える。
俺は武器を脚立以外は何も持ってなかったが関係なかった。
鉄パイプを持ったチンピラが鉄パイプを振り下ろしてくるが、バックステップで下がって回避をし、そのままハイキックを顔面に入れて、建物の壁に叩きつけた。
チンピラ2「オラァ!!」
その叩きつけた後ろからもう1人のチンピラがナイフを刺しに来た。
チンピラ2「なっ!?」
ライアー「甘いな」
突き出した右腕をしゃがんで回避し、
右腕を掴み…
ライアー「よいしょっとぉ!!」
そのまま背負い投げを決め、地面に叩きつけた。
?「…つ、強い…」
武器を持ったチンピラ3人を無力化…、言葉にすれば簡単だが、現実にするとは…。
チンピラ3「ぐぅ…テメ…!!?」
脚立でぶん殴られた男が立ち上がったがこの惨状を見て、また尻餅をついた。
ライアー「…まだか?」
チンピラ3「こ、降参だ!やめてくれ!」
怯えきった顔で、そう頼んできた。
ライアー「…ならこの2人連れてさっさとどっか行け」
チンピラ3「あ、あぁ…」
チンピラが倒れた2人をひきづって行った。
ライアー「それで、報酬は?」
?「こ、これだ」
確かに、50ゴールドだった。男はどうやら嘘をつくつもりは全く無かったらしい。
ライアー「…んじゃあな」
俺がそこから立ち去ろうとした時、
拍手が聞こえた。
ライアー「…ん?」
拍手は男とチンピラ達が来た路地裏から聞こえた、見るとスーツを来た60~70代だろうか?白髪かかった頭に体は太っている。とてもスラム街出身とは見えない。
アルセーヌ「失礼しました、とても見事なものですから…。私、アルセーヌと申します」
そう言った老人は深々とお辞儀をした。
ライアー「…貴族か」
アルセーヌ「いかにも…それと、失礼ながら、その男を拘束させていただきます」
そう言って老人は俺に助けを求めた男を指差した。
アルセーヌ「その男は私の経営する店から盗みを働いたのですよ…おい、拘束しろ」
すると、何処からともなく屈強なボディーガードが男を拘束した。
?「ヒィィ!た、助けームグゥ!?」
言い終える前に口を押さえつけられてた。
アルセーヌ「助けないんですね?」
アルセーヌは俺をますます興味深そうに見て来る
ライアー「ああ、あれ以上は金を持ってなさそうだからな」
アルセーヌ「…なるほど、先程の男達から守ったのは金でしたか…」
ライアー「…お前が仕掛けたのか?」
アルセーヌ「ええ…と言っても、貴方の力を示すつもりで雇ったのではないのですがね」
話を聞くと、チンピラは盗みを働いた男を捕まえる為に雇ったらしい。
アルセーヌ「それにしても好都合でしたよ…」
ライアー「俺に用か?」
アルセーヌはコクリと頷くと、
アルセーヌ「貴方にー[裏の仕事]を依頼しに来ました…」
やっぱりな、と思った。
どうやら、「そっち」の依頼だ。
ライアー「…うちの事務所まで来い。ここじゃ…誰がいるか分からんからな」
俺とこの依頼主、アルセーヌと共に俺の事務所まで行く事になった。
俺の事務所は3階建て、3階は屋外へ出られる建物だ。スラム街にしちゃあ、立派な建物だな。
その1階部分は、広間の中心に丸いテーブルがあり、それを2人用の椅子が囲うように並べられていた。周りには様々な[表向きの]仕事道具が掛けられていた。
俺は本来なら普通の仕事を受ける1階を無視し、2階へ上がる。アルセーヌにも来るように伝えた。
2階は酒場のような作りだ。カウンターがあり、そこに寄りかかる為の1人用の椅子がいくつかある。アルセーヌはそこに座った。
俺は酒場なら本来バーテンダーがいる場所に立つ。
ライアー「じゃあ…依頼の内容に入ろうか」
言いながら、後ろに飾られている置物をどかし、レバーを下に降ろすと…
アルセーヌ「…ほう」
壁一面が、後ろに隠してあった壁と交換されて中から銃器や重火器がずらっとかけられていた。
ライアー「俺はあいにく、剣術や、魔法みたいな才能は無い…が」
アルセーヌを見て、
ライアー「人を仕留める脳だけはある。さて、依頼はどんなんだ?」
アルセーヌ「…なるほど、分かりました…。では内容を伝えますね」
アルセーヌは、ゴソゴソとポケットから何かを取り出してカウンターに置いた、それは…
ライアー「写真?」
アルセーヌ「見てください、これですよ」
2枚の写真のうち、見せてきたのは肌が褐色の女性の写真だ。
ライアー「これが…?」
アルセーヌ「彼女を、保護して貰いたい」
ライアー「…誘拐されたのか?」
アルセーヌ「そんなところです。彼女はここにいます」
残った1枚を見せてきた、そこには…
ライアー「森林…建物?…南の森林地帯か?」
ギルハートの南には森林が広がっている。昔、そこは反乱軍が攻めた為、火の海になったが今ではすっかり元通りだ。
アルセーヌ「ええ、その森の中の一番北部の方にこの施設があると情報を受けました」
ライアー「…まて、場所も分かってるのなら、アンタの権力と金で何とかなるんじゃないか?」
アルセーヌ「…ここは廃墟では無いのです」
廃墟ではない、場所は割れてるのに行かない、となれば…
ライアー「組織化された連中が、占拠してるのか」
アルセーヌ「流石、話が早いですね」
ライアー「どこの組織だ?反乱軍の残党グループか?それとも野盗か?」
が、アルセーヌの口から出たのは全く予想外の単語だった。
アルセーヌ「ギルハント」
ライアー「…何?」
旧帝国の国名であり、暴君の王でもある名前だ。
アルセーヌ「その残党グループかと思います」
ライアー「…まだ生きてたのか」
あの連中…なるほど、
アルセーヌ「そのようで…私も何回か傭兵を雇い送り込んだのですが…」
俺には縁がある連中だ…
ライアー「無理だろうな、奴らのやり方は知っている」
どうせ、人体実験での「失敗作」か、バケモノか、はたまた奴隷を使ったのか…。どれにしろ、これは俺の仕事だ
ライアー「分かった、この依頼を受けよう」
アルセーヌ「本当ですか!」
ライアー「ただし」
アルセーヌの言葉を遮り、条件を出す。
ライアー「俺の仕事は成功するとは限らない。だから基本的に後払いだ」
アルセーヌ「…弱気ですね」
噂と聞いてた男とは違うとでも思ってるのだろう。
ライアー「当たり前だ、今回の相手はギルハントの連中だからな。それに失敗した時に後始末をする羽目になるよりマシだろ」
アルセーヌ「…分かりました。終わり次第、この番号に…」
電話番号を記した紙を受け取り、交渉は終わった。
ネズミ「ヒヤヒヤしましたよ…」
アルセーヌ「ネズミか」
そのネズミと呼ばれた男は、チンピラに追われてた「役」のあの男だった。
ネズミ「さて、あの男。如何でしたか?」
アルセーヌ「予想より、ダメそうなだな。ただの便利屋と変わらない」
ネズミ「期待は出来ないと?」
アルセーヌ「そうだな、まあ、せいぜい頑張って貰おうか。失敗しても良し、成功するなら…殺すまでだ」
アルセーヌとネズミはそのまま、邸街へと消えた。
ライアー「…贖罪か」
事務所に残っていた俺はボヤいた。
ギルハントとは、切っても切れない腐れ縁があるようだ。
ライアー「…」
外を見ると、夜だった。ちょうど良かった…
ライアー「行くか」
そのまま、闇に消えた。
俺の装備は、ハンドガン(以後、HGと呼ぶ)とナイフだ。
南部の森林までは、ギルハートのスラム街から出てすぐの場所だ。
教えられた場所へ向かうと…
ライアー「確かに…あったな」
写真と同じ建物が確かにあった。俺は建物の正面であろう場所に回り込み双眼鏡で観察をする。
ライアー「敵影なし…ん?…監視カメラか…」
正門と思われた場所には、辺り一面を監視する為に設置したと思われる監視カメラが1台あった。
ライアー「…ふむ…別の方法で入るか」
俺はハンドガンを片手に側面の壁に沿って歩いた。すると、通気用ダクトがあったのだ。
ライアー「…入れるか…?」
近くにあった、ゴミを足場にダクト内に上半身を突っ込むんで見ると人がギリギリ入れそうな大きさだと分かった
ライアー「…行けるな」
俺はそのまま、匍匐(ほふく)前進で進む。それにしても人がギリギリで入れるほどデカイとはな…そんなに必要なのか?
答えはすぐに分かった。
ライアー「…」
室内に入ったので、ダクト内から顔を覗かせると建物の1階には、人間が1人とエレベーターがあったのだ。
ライアー「…地下か」
建物は2階以降は無かった、ならば向かう先は地下しかない。そしてダクトも地下に向かう形になってた。
流石にダクトを通って下には行けない、エレベーターに乗るか…
俺は敵を見るとこちらには気づいてない、全身に一式の装備を着ていた。武器はアサルトライフル…AK -47か?それともAK -M?まあ、どちらにしろ関係ないかと思った。
それもそのはず、後ろからHGでズドン、だからだ。
ライアー「扉ばっかり見てるからだ」
今更だが、HGにはサプレッサーを装備させてる、なので発砲音はならない。
俺はダクトから部屋に降りると、動かなくなった奴からアサルトライフル(以後、AR)を奪い、弾を確認する。
ライアー「…ギルハント兵か…」
近くでじっくりと見て、確信した。
頭には黒のガスマスク、体には白よりな灰色の防弾チョッキ。
間違いなく旧帝国当時の兵士の装備だ。
ライアー「…進むか」
エレベーターに乗ると「B3」のボタンを押し、降りた。
ライアー「はぁ…」
エレベーターから出た所すぐ、敵兵に囲まれていた。
そりゃそうだ、正面の扉に監視カメラを設置してるんだから、エレベーターにもあるよなそりゃ…。
敵兵「どうする、コイツ」
敵兵2「拘束するに決まってるだろ」
状況は、ARを持った敵兵4人に囲まれていた。俺は両手を挙げている。HG右手に持っている。
敵兵「取り敢えず、その拳銃を寄越せ」
正面に立っていた兵士が銃を構えたまま右手を伸ばしてきた。
ライアー「へいへい…」
持っていたHGを渡し…直前で
ドンッ!!!
敵兵2、3、4「!!?」
敵兵の胸を打ち抜き、しゃがんだ。
残りの3人が俺に向けて発砲しようとするがサイトの狙い越しには俺の姿が消えていたので判断が鈍っていた
兵士2「ガァ…!?」
兵士3「ギィアアアァァア!!?」
その隙に左右の兵士の足と太ももを撃ち抜く。
後ろにいた兵士が撃ったと思ったらー
兵士4「ーッ!!」
俺が振り向きざまに腰のナイフを引き抜き、太ももに刺した。
ライアー「よっと」
そのまま、太ももからナイフを抜き、HGで頭を撃つ。
左右に残った兵士も容赦なく撃ち抜いて黙らせた。
ライアー「…いつからだろうな」
こんな風に人を殺す事に躊躇がなくなったのは…
ライアー「…?」
感傷に浸っていたが、とある事に気付いた。
ライアー「ふーん…」
増援が…来ない…。
少なくても、4人も殺したので暴れてるはずだが…一向に兵士が来ないのだ。
ライアー「行くか」
隠れる必要も無くなってきたようだ。少なても、誰も来ないこの状況なら。
ライアー「あ、そうだ」
強制停止させられたエレベーターを見ると、俺は地下2階で降ろされていたようだ。
一方、
地下3階ー
技術者「た、助けてくれぇえ!!」
医者「ヒィィィ!!」
兵士「こ、この!バケモノー!」
兵士も医者も技術者も、その「化け物」の前にしてはー、殺される対象だけであった。
化け物「…オマエか…」
その化け物とはかけ離れている容姿の「少女」はー、そう、静かに言った。
数10分後…
ライアーは地下3階には既についていた。地下はそれほど広くない…が、今はそれどころではなかった。
ライアー「…何だこれ…ひっでえな…」
壁も地面も、一面血だらけだった。
ライアー「…チッ」
思わず顔をしかめてしまうような死体があった。それも1つだけではなく、大量に。
ライアー「…あの時はこんな無残な死体は無かったぜ…」
電気は通ってたので嫌でも元々は人間だった「それ」を見る事になる…うえ…。
その時
?「助けてくれぇぇぇぇ!!あ、あ、あぁぁぁ!!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
断末魔…まさにそれだった。思わず体が硬直してしまいそうな程。
ライアー「…」
HGを構えながら、慎重に進んだ。
曲がり角を曲がったところで、「それ」を見た。転がっていた死体ではない。
返り血を盛大に浴びていて真っ赤なので誰か分からない…が、間違いなく兵士ではない。
ライアー「誰だ!」
思わず叫んだ、今までの兵士なんか比べ物にならないほどの殺気が感じられたからだ。
?「…オマエか」
ライアー「あ?」
そう言った「それ」は、飛びかかって来た。
ライアー「ッ!!」
距離は20mほどあったのにも関わらず、「それ」は一回のジャンプで来たのだ。
化け物かよ!!
両腕を掴まれ、そのまま勢いよく押し倒される
ライアー「グッ…!なっ…!?」
振りほどこうとするも、「それ」の腕力が予想以上に強すぎた。
俺の腕がミシミシと鳴る、「それ」は顔を近づけると静かに囁いた
?「…助けて…」
ライアー「!」
そこで気づいた、同時に俺は「それ」の腹部を蹴り飛ばした。
今の…まさか…!
「それ」は俺の少し前で腹部を抑えて蹲っている。
ライアー「クッソ…」
立ち上がり、「それ」を見ると顔だけを上げてこちらを睨んでた…。
「それ」もとい…その「少女」は俺の目標の保護対象だ
保護じゃなく、捕獲の間違いじゃないのか…。
そう思いつつ俺は少女を拘束しようと近づくと、また驚異的なジャンプで離れた。
ライアー「あっぶね!」
巻き込まれそうになって、尻餅をついた
少女「…マダ、ミツケテナイ…」
そう言った少女は、そのまま走って逃げた。
ライアー「あ!待て!」
素早く立ち上がって、少女を追いかけ始めた。
ライアー「はぁ…はぁ…」
着いた場所は…一番奥の部屋だった。部屋は小さな部屋で、更に扉を通れば大きな部屋に入る事が出来る間取りになってた。大きな部屋は、今いる小さな部屋には、机と、パソコン、何らかの資料が散乱してた。壁一面がガラスで出来ており、そこから大きな部屋を見ると手術台が見えた。もちろん、両方の部屋は何処かしらが赤色に染まっている。
少女の姿はまだ確認できてない。
ライアー「…人体実験…か」
机に散乱してた紙を手に取る、そこには写真と番号が書いてあった。
実験番号…0245…1854…etc
何人もいたがどれもこれも失敗している…失敗…失敗内容は「対象が死亡」と書いてあった。
ライアー「…クソが」
胸糞悪くなる、あの時と同じだ、
そこで俺はパソコンを見た。
ライアー「…あ」
思わず口が開く、それもそのはず、先程の保護対象ならぬ少女が映っていたからだ。
表示内容は[アリネス]とだけ書かれてた。
ライアー「…アリネス…?」
聞き覚えがある、が、何だったかまでは思い出せない。
?「助けて!お願い!」
そこでガラスをドンドンと叩かれ、俺はそちらに顔を上げた。
見るとガラスを叩いていたのは白衣を着た女性だ、歳は30代だろうか?眼鏡をしており、実験に熱中したせいか髪や服の手入れは全くしてないようだ。
ライアー「待ってろ、そっちに行く」
俺は情報も知りたくなったので、その女性を助ける事に決めた。
大きな部屋に行く扉は少しだけ頑丈に作られているが、開ける事は簡単だった。
ライアー「おい、大丈夫か」
?「彼女が!彼女が来るの!」
ライアー「彼女…」
少女の事を指していると分かった。俺はその白衣の女性を落ち着かせて、小さな部屋に戻った。
ライアー「落ち着け、俺は味方だ。何があった?」
女性「…味方…なの?見たところ兵士とは違いそうだけど…?」
意外と女性には洞察力と冷静さが残ってたようだ。
ここは変に貫き通すより、本当の事を言うか…。
ライアー「ああ、俺はとある依頼で来た。依頼内容は少女の保護だ」
女性「保護?捕獲の間違いじゃないの?」
皮肉そうに女性は言う
ライアー「全くもってその通りだな…彼女の情報が知りたい」
女性「どうして?保護したらその依頼主に届けるんじゃないの?」
ライアー「少女に興味を持った。そのパソコンと言い、書いていた内容と言い、何かあるだろ」
女性は少し考えた後…
女性「…分かったわ、教えてあげる。ただし一つだけ条件があるわ」
ライアー「何だ」
女性「少女を確保したら、私も助けて欲しいの。この施設から…脱出を手伝って」
白衣を着た女性はマーシャルと言う名前だった。
マーシャル「つまり、彼女…実験番号0023は成功したのよ。人体実験に」
ライアー「…それであの馬鹿力か」
マーシャル「そうね、彼女の筋力、瞬発力、脚力…全ての身体能力が飛躍的に向上したと言えるわ」
マーシャルが言うには、少女は0423と言う人実験番号を持ち…名前は持っていない。そして、施設生活が一番長いらしい。それも施設と施設を行き来したりしてるため。
ライアー「もう一つ気になってる事がある。彼女は何故人を襲ってる?」
マーシャル「…記憶を残したせいね」
ライアー「記憶?けど…」
マーシャル「言いたい事は分かるわ、人体実験をする時に基本的には記憶を全て消すわ」
だろうな、と思った。それがギルハートのやり方だった、「一部」を除いてはだが。
マーシャル「私が…残したの」
ライアー「何?」
マーシャル「私が…こっそり記憶の削除をしないように設定したのよ。そしたら…」
ライアー「…人を襲い始めたと」
マーシャル「そうよ、けど後から知ったわ…彼女がアリネスの生き残りだったなんて…」
ライアー「アリネスの生き残り…?」
アリネス…確か…
マーシャル「『アリネスの褐色は、火で焦がしても誰も気づきやしない』」
その、ひどく差別された言葉で思い出した。
ライアー「アリネス人か…!」
マーシャル「…そうよ、旧帝国の時代に抹殺された」
当時、何故だったかは不明だが、アリネス人と帝国人とのトラブルがあった。結果的に帝国裁判でアリネス人の全てが悪と印を押され…帝国による抹殺が実行されたのだ。
それだけじゃない、アリネス人は基本的に他の部族や国とは関わらない「呪われた人達」と言われていた。
ライアー「…アリネスは褐色の肌そして、人間離れした血…」
マーシャル「…私も初めて見たわ、あんな真っ白で透明な血は…」
そう、血の色が特徴的なのもアリネスの特徴なのだ。
ライアー「…つまり、彼女は幼少期の頃の記憶があるせいで…」
マーシャル「人を襲ってるとか思えないわ、恨みがあるのは間違いなく帝国兵たちよ」
ライアー「…」
俺はふと思った、何故そんな少女を今回の依頼主アルセーヌは欲しがってるのだろうと。
マーシャル「とにかく、彼女を捕まえるならこれを使って」
マーシャルは白衣のポケットから何かを取り出した。
ライアー「…注射器?」
マーシャル「強力な睡眠薬が入ってるわ、それを指して一気に注入すれば…」
ライアー「眠るって訳かい」
マーシャルは頷いて答えた。
ライアー「分かった、だがまずはお前の脱出を手伝う」
マーシャル「あら、優先するのは私なのね?」
ライアー「対象を保護するのに、守りながらなんて出来るかよ…簡単に事が済みそうなのを先に選んだだけだ」
そう言いつつ、部屋から廊下へ出る。取り敢えず、地上まで行けば後はマーシャル1人でも何とかなるだろう…
が、マーシャルと進んで、違い2階に戻った所で、「少女」はいた。
ライアー「…チッ」
マーシャル「…か、隠れるわね?」
マーシャルはいいながら物陰に隠れた
少女「…オマエか…」
ライアー「来いよ、負けねえぞ?」
俺が言い終わると、最初の時と同様に少女は飛びかかってきた。俺は受け止めずスライディングで避けて、振り返る。
少女も行き過ぎたようで、すぐさま振り返ったがワンテンポ反応が遅い。
俺はスライディングから立ち上がりダッシュで少女に近づきながら注射器を持った。少女は後ろにジャンプして逃げようとするも、俺が腕を掴むのが早かった。そのまま、注射器を腕に突き刺し、一気に押し込む。
少女「ーッ!!」
顔を歪ませながら、少女は後ろへジャンプして逃げた、刺された箇所と俺を交互に見て
少女「ナニヲシタノ…?」
ライアー「そうだな、言えるとするなら…」
少女がフラフラと立っている、そんな少女に近づいて耳元で囁いた
ライアー「助けに来た」
少女「…」
完全に眠ったようだ、俺は少女を抱きかかえた
マーシャル「…凄いわね」
ほんの数十秒で決まった事にだろうか?それとも、驚異的な戦闘にだろうか?
どちらにしろ、変わらないと思った。
ライアー「…ん?」
俺は少女の首元にぶら下がってた物を手に取るとそこには「0023」と彫られていた四角形の金属だった。
ライアー「…」
俺は無言でそれを引きちぎった。紐でかかっていたので簡単に取れた。
それをさっさと捨てた。
ライアー「やっとか…」
マーシャル「ええ…」
少女を抱きかかえながらだと、時間がかかった…。
やっと地上に出た、建物からはまだだがな。
ライアー「…敵がいなくて助かったわ…」
マーシャル「…貴方も無理と感じる事があるのね」
当たり前だろ…。心の中で思っても言わない言わない。
扉を開け、外に出るとー
?「待ってたぞ!!」
怒号が響いた、
ライアー「ッ!!」
思わず少女をマーシャルに渡し、HGを構えた。
?「貴様が今回の侵入者か」
そう言った、機械と肉体が合わさった、俗に言う人造人間は火炎放射器をこちらに向けながらそう言った。
ライアー「誰だ」
ガスマスクで顔が見えなかったが、ギルハートの連中だろうと分かっていた。
こうゆう時に限って増援が来るんだな…。
バーン「俺様の名前はバーンだ!!貴様は名乗んなくて構わんぞ?どうせ真っ黒に燃えるんだからな!」
ライアー「…あっそ」
その、バーンとか言う奴は両腕に火炎放射器を装着しており、それを支えて対象を燃やす為に上半身はむき出しな機械で覆われていた。
バーン「ふん!貴様もそこにいるガキと一緒にしてやる!!」
ライアー「…?」
ガキ?…少女の事か…?
…まさか
ライアー「アリネスの抹殺に参加したか?」
バーン「当たり前だ!私を知らんようだな!『アリネスの褐色は、火で焦がしても誰も気づきやしない、なら燃やすまでだ!』」
そう言ったバーンは俺を睨み、火炎放射器を向けてきた。
ライアー「マーシャル、建物に戻れ。火の海になるぞ」
マーシャル「え、ええ…あ!」
ライアー「どうした!」
振り向くと少女が立っていたのだ、あれほどの睡眠薬を投与したにも関わらず。
少女「…オマエか…!」
少女はバーンを睨んでた、だが歩く事が出来ないようで、フラフラと倒れこむのをマーシャルが受け止めた。
バーン「グハハハハハハハ!!ガキだな!その程度で何が出来ると言うのだ!!」
バーンは嘲笑う、マーシャルもバーンを睨んでた。
ライアー「マーシャル、戻れ」
バーン「ほお?貴様はやるようだな!」
バーンは俺に狙いを定めたようだ
マーシャル「大丈夫なの?」
ライアー「…大丈夫だ」
マーシャルは建物に戻った、これで外には俺とバーンだけだ。
ライアー「さて…やるか…『炎のバーン』さんや」
バーン「何?貴様…何故、その名前を知ってる?」
かつて、アリネスの抹殺の時、バーンはそう呼ばれていたのだ。
ライアー「当たり前だろ…お前は有名だったじゃないか」
バーン「ククク…機嫌取りか?」
ライアー「だけど…」
ライアー「『何でも殺』まで有名じゃなかったよなぁ?バーンさん?」
バーン「!!?」
バーンの顔が一気に険しくなる、それもそうだ、その悲惨な名前を持ってることを知ってるのは数人しかいない。
バーン「…誰だ、貴様は…」
ライアー「俺?俺は普通の何でも屋さんだよ、ああ、ただのな」
皮肉気味に言った。
ライアー「さあ、さっさと燃やしてみろよ。ただし…」
そこで静かに怒りを示した。
ライアー「絶対にお前は殺してやるよ…テメエが泣いて謝ってもその涙さえも、撃ち殺してやる」
バーン「…ふふふ、上等だ!貴様が泣いてもこの炎で!!燃やし尽くしてやる!!」
ライアー「行くぞ…!」
バーン「オルァァァァァァ!!」
既に真っ暗な空が炎で明るくなったー
決着はすぐについた、バーンの下半身は血だらけになり、火炎放射器も左腕の奴はちぎれてた。
対する俺は、右腕を少し火傷した程度だ。
バーン「嘘だ…嘘に決まってる…」
そう言ってるバーンは木に寄りかかってる、虚ろな声で何回も言ってた。
ライアー「…じゃあな」
バーン「ま、待て!貴様は誰だ!?場合によってはギルハートの兵にーッ!!?」
容赦なく、ナイフを口に突き立てた。
ライアー「お前の戯言は聞き飽きた」
そのまま、切り裂いた。
マーシャル「…貴方の方が怖いと思ってしまうわよ…」
ギルハントに帰る道中、マーシャルが急にそう言いだしたのだ
ライアー「何だよ今更だろ…(ーー;)」
マーシャル「急に顔文字使われても困るわよ…」
ライアー「…そんな事より、お前はこれからどうする?」
マーシャル「…そうね、もうギルハートには戻れない。それにもう戻りたくないわ」
ライアー「だろうな」
マーシャル「…新帝国で働くのも悪くないかもね」
ライアー「お?医者か?マッドドクター?」
マーシャル「貴方の治療はお断りね」
ライアー「何でだよ…」
そんなくだらない事を言いながら、俺たちは少女をおんぶしながら帰った。
アルセーヌ「それで、どうでした?」
場所は、俺の事務所に戻ってる。
アルセーヌに今回の件を電話越しに話してた。
ライアー「そうだな…単刀直入に言おう」
アルセーヌ「はい?」
ライアー「失敗だ、少女は殺した」
アルセーヌ「…そうでしたか…」
ライアー「それともう一ついいか?」
アルセーヌ「何でしょう?」
少し、ニヤニヤしながら
ライアー「貴方は何でアリネスの少女を欲しがったんだ?」
アルセーヌ「それは流石に…」
ライアー「聞いたぜ?貴方様の一族はアリネス人の帝国裁判で印を押したうちの一つの貴族だと」
アルセーヌ「…」
ライアー「恨みでもあったのかな?アルセーヌ様?」
分かってると思うが俺の口調は皮肉たっぷりだ。
アルセーヌ「…ない」
ライアー「あ?」
アルセーヌ「貴様には!関係ない!」
ガチャン!!と、電話の受話器を叩きつけるかのように切られた。
ライアー「何だよあのジジイ…」
ブツブツ文句を言いながら、俺は少女を見た。
ライアー「酷え奴だよな」
少女「…あの」
少女の滑舌は前より慣れたのか、カタコトな言葉ではなかった。
ライアー「どうした?」
少女「…何で渡さないんですか…?」
ライアー「そんなの…はぁ…ろくな扱いを受けないだろ。あんなジジイに渡しても」
少女「でも、お金が貰えないんですよね…?」
ライアー「ん、まあな」
少女「ならどうして…」
ライアー「あーのーなー」
言葉を遮り、頭を掻く。
ライアー「俺はお前が欲しいんだよ」
少女「へっ…?」
ライアー「うちは何でも屋だ、俺は何でもやる。どんなに汚ねえことでも」
そこまで言い、少女を見る。
ライアー「アリネスの少女、お前さんが都合が良い。その身体能力、身元が割れない、そして…お前さんの過去を調べるのも都合が良いぞ」
少女「…分かりました」
ライアー「あ、え、お?こ、こんなに早く了承が得られるなんてな」
少女「私は昔の記憶があやふやです…だから知りたい。貴方とも何かの縁かも知れないし…」
ライアー「じゃ、うちの部下になるか?」
少女「はい!私0023は」
ライアー「待て待て待て、番号じゃなくて名前…」
少女「わ、分からないんですよ…」
ライアー「ああ…そうだった…そうだな…うーん…」
アリネス…褐色…白い血…0023…
少し考えた後、決めた。
ライアー「ヒロ、ヒロなんてどうだ」
少女「間違えなく、考えてた事関係無かったですよね!?」
な、何のことやら…。
…やめろ、変な目で見るな、マジで思いつかなかったから…。
ライアー「良いだろ、ヒロで!」
ヒロ「…分かりました」
ライアー「良し!改めてよろしくな、ヒロ」
ヒロ「はい、よろしくお願いします…」
こんな人についてって良いんだろうか…?
彼女、ヒロは不安に思いながら、この社長を見たのだったー。
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