何でも殺(や)の裏事情

ピッチャン

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第1章

何でも屋とギルハート(第2話)

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あの時はそう思ってた。
ライアー「…マヌケ顔だな」
隊長を名乗った男は顔が潰されていた、見た感じ、手榴弾を顔面からモロ食らったようだ。
ライアー「…やっぱりな」
最近は戦闘も激化していた、なので俺はよく、チームの自己紹介はいらないと言っていた。
理由?目の前にある死体がそれだ。
ライアー「結局、すぐに死ぬ」
人の名前なんて、偉大な奴だけ残っていく。
戦場で死んだ兵士は、無法地帯の墓跡に刻まれて終わりだ。
ライアー「…俺も」
勝手に消えるんだろうな。



ヒロ「ライアー…ライアー!」
大声で呼ばれる声でやっと起きた。
ライアー「ん…あぁ…?」
ヒロ「仕事の時間でしょ!起きて!」
ライアー「あー…そうだったな…」
目の前の褐色の少女はヒロ、つい1週間前に従業員になった。
ヒロ「ダンガさんの工事現場で待ってるよ!」
そう言うとヒロはさっさと出てった
ライアー「…変わりすぎじゃね…」
初めて会った時は、「弱々しい女の子」って感じなのに…今では元気な「少年」と言った感じだ。
ライアー「はぁ…」
俺はいつもの作業着を着て、よく頼み事をしてくれる常連のダンガさんの工事現場へ向かった。


依頼主、ダンガ、前も自宅の換気扇を直すのに頼まれたが、今回はダンガさんの仕事を手伝う依頼のようだ。
ダンガさんは工事現場の社長さんらしい、まあ、あんな筋肉マッチョなのも頷けるよな。
仕切りの入り口にダンガさんが立っていた、遠くから見てもムキムキなマッチョだな…暑苦しい。
ダンガ「よお!やっと来たか」
ライアー「来ましたよ…ファァァァ…」
ダンガ「…情け無い顔だな…」
ライアー「眠いんですよ!朝6時に集合って!」
ダンガ「すまんな、うちの部下にやらせる為の準備をして欲しいんだが…部下と時間帯が被ると大変だろう?」
ライアー「まあ…妥当な考えですけど…で、どうすれば良いですか?」
ダンガ「これだ」
と言って指差したのは、よく工事現場で建物を建てる時、その外回りに設置するあの足場みたいなのと、鉄パイプがあった。それも物凄い量だ
ライアー「…何をするんですかね…?」
ダンガ「これを中の奥まで運んで欲しい」
ライアー「舐めちゃってるの?」
あまりにも無理ゲーを頼まれたので思わず真顔で言ってしまった。
ダンガ「あのな…部下たちは1日ぶっ通しで仕事をしてるんだ。だから初っ端からこんな重労働させたくねぇんだよ」
ライアー「俺にはさせるのね…」
ダンガ「暇そうだからな」
ライアー「無理ゲーだ…」
ダンガ「そうか?お前の優秀な従業員は凄かったぞ?」
ライアー「へ?」
すると中からヒロの姿が見えて、こっちに来る。
ヒロ「やっと来たのね…ほら、さっさと終わらせましょ!」
と言って、鉄パイプを数十本、金属の足場の板を10枚以上を軽々と持って奥へ行った。
ライアー「…頭おかしい」
ダンガ「それはこっちの台詞だ、あんな小さな少女がどうやったら…」
ヒロは残党グループ、ギルハートから救出した少女だ。
ギルハート、目的は分からずじまいだったが人体実験をまた繰り返してるようだった。
ヒロもその1人だ。ヒロは旧帝国時代に抹殺命令を受けられた一族、アリネスの一族だった。
しかし…アリネスは褐色の肌と変わった血液の色を持ってるだけなはずだ。
だと言うのに、言うのに…
あの馬鹿力が説明がつかなかった、俺はどう考えても人体実験の結果としか言いようがない。成功したのか失敗したのかも不明だが、その代償としてあの力を手に入れたようだ。
ライアー「…運ぶかぁ…」
ダンガ「俺もやるからすぐに終わるだろう」
ライアー「どっちかと言えば、ヒロがやるからだろ…」
作業は予想通り、あっけなく終わった。


ダンガ「また頼むぞ!」
ヒロ「はーい!」
ライアー「…疲れた…」
朝6時から始まった作業は朝8時に終わっていた、幾ら何でも早く終わりすぎだろ…ヒロがいなかったら昼を過ぎてたぞ…。
ヒロ「さ!帰ろ!」
ライアー「…ソウダネー」
疲れを感じさせないヒロはスタスタと歩く、とんでもない少女だ。
ライアー「…待て、ヒロ」
俺はダンガさんからの報酬と手持ちの財布の金を見て、決めた。
ライアー「朝食から外食にしようぜ」
ヒロ「ほんとっ!?」
ライアー「ああ、余裕がある」
ヒロ「じゃあじゃあ、ドルヒュネを食べたい!」
ライアー「」
ど、ど、ドルヒュネ?な、何だそれ。
だいたい食文化は君たちが住んでる世界と同じ物が出る。白いお米や、パン、麺類、ケーキなどなど…マイナーな物まである。
…で、話を戻そう、ドルヒュネって何?
それがデカデカと顔に出てたのであろう、ヒロが俺の顔を見て説明してくれた
ヒロ「わ、私が住んでた村で出てたんだよ!名前も確かそんな名前で…」
ライアー「…見た目は?」
紙とペンを渡し、描かせてみると…
ヒロ「これ…」
ライアー「イカじゃん、魚介類じゃん」
見事なイカが描かれていた、ちゃんと焼いてある表現まで描いてあった。
ヒロ「い、いか?」
ライアー「…屋台で売ってあったはずだから」
ヒロ「やった!」
そこで俺はヒロに気になって聞いた
ライアー「…思い出したか?」
ヒロ「…ごめん、そこまでは」
ライアー「ま、いいよ」
従業員になったヒロ、それからはまず何を覚えてるかの確認に入った。
現段階では…
自分の名前と年齢、通貨、文字、言語、などの基本的な事だけだった。
つまり、このギルハートの歴史やら、文化やらが全て知らないのだ。
それにあの建物であった時に言っていた
「…オマエカ…」
あの台詞さえも、何を意味してるのか分かってない。
まあ、この1週間である程度は教えたり経験をしたが…まだまだだ。
ライアー「ほら、行くぞ」
ヒロ「はーい!」
テンション高めな「少年」を連れて屋台に行く事にした。

ヒロ「あっつあっつ…」
ライアー「ゆっくり食べろ」
普通の住宅街は、いろんな場所に店やら屋台が並んでる。
俺たちはその1つの屋台で焼きイカを買った。
周囲も他の屋台が賑わってたり、店が繁盛してたりと、スラム街では見られない光景が広がってる。
と、周りを見ながらイカを食べてるとイカを買った店主が声をかけてきた。
店主「お、そういや兄ちゃんはスラムで何でも屋をやってたよな」
ライアー「ん、まあな」
店主「すまんが頼みがあるんだ…頼んでくれるか?」
ライアー「金さえ出してくれれば」
そう聞いた店主の顔は助かったと言わんばかりにホッとしてた。
店主「すまんが、これを警察署にいる弟に渡してくれないか?」
そう言いながら渡してきたのは焼きイカ。
ライアー「…わ、分かった」
何で警察署にいる弟に焼きイカを渡すんだ…???
てっきり昼飯を忘れたから弁当でも持って行くのかと思ったら…焼きイカ。
店主「これで良いか?」
ライアー「…ああ」
金を先払いで払ってくれた以上、ちゃんと仕事はするが…疑問だらけだし、店主の台詞もダジャレに聞こえてくるし、俺はこれ以上話しても良いことはないと思い、届ける事にした。
店主「頼むよー」
ヒロ「…ほんとによく頼まれるわね」
ライアー「まあな」
俺が営んでる何でも屋は結構、巷で有名だ。スラム街、住宅街、邸街、出身関係なしに色んな人から頼まれる。
ライアー「警察署ね…西だな」
ヒロ「はーい!行こう!」
再度、徒歩で移動を開始することになった。

道中、
ヒロ「…」
珍しい物を見るかのようにジッと見てるヒロ、視線の先には…何とまあ、胡散臭い占い屋があった。
しかし、この世界で占いは胡散臭いと思うがそうではない。
ライアー「魔法で見てるんだ、見ててみろ」
すると中から男性が出てくる、満足そうな顔だ。
ライアー「良い結果が出たみたいだな」
ヒロ「何を占ったの?」
ライアー「色々だ。今日の占いや、未来予知、運命の人とか探してくれるらしいぜ?」
ヒロ「分かるのっ!?」
ライアー「…半分は嘘だろ…」
魔法だからってそこまで力があったら苦労はしねぇよ…。
ヒロ「何だ…」
途端つまらなそうな顔をする、だろうな俺もそうだったし。
ライアー「だけど、魔法自体は凄いぞ」
ヒロ「見た事ない…」
ライアー「これから行く場所で見れるぞ」
ヒロ「へ?警察署で?」
ライアー「そうだ」
アレを初めて見た時の俺の感想は、こうだった。
ライアー「カオスだぞ」

警察署に着いた俺たちは早速、受付の人を訪ねた
受付人「はい…分かりました、では、少々お待ちを…」
ライアー「すみません、ありがとうございます」
用件を伝え、店主の弟を来るまで待つ事にする。
その間、ヒロが警察署のロビーの窓から中庭を見てた。中庭は、手前、真ん中、奥と、3つに仕切られている。と言っても、地面に白線が書いてある程度で仕切られてるだけで実際には何の意味も無い。
そこに広がってた光景は…
兵士「ハァァァ!!」
兵士2「く…このぉ!!」
ガキィィン!!!と金属と金属が激しく当たり火花を散らす。兵士が手にしてたのは組手用のロングソードだ。
ロングソードを持った2人は本気で相手を仕留めようと、剣を振るっては避け、弾き、突き、また避けて…といった感じに経験がある動きを見せる。

だが、それ以上に奥にはもっと凄い光景があった。
魔法使い「ファイヤ!!」
ガスマスクの男「うおっ!!」
杖から炎の塊を出したと思えば、それを相手めがけて放つ。火の塊と化したそれは相手に当たるかと思えば、それを回避する。
ガスマスクの男「仕返しだ!」
そう言って男が構えたのは火炎放射器。ちょうどバーンを思い出すような火炎放射器が一丁、魔法使いに向けられたかと思うと容赦なく炎で薙ぎ払う。
魔法使い「魔法の盾!!」
が、その炎は面白い事に魔法使いの目の前で真っ二つに裂けた。魔法で障壁を作ったみたいだ。

そして…極め付きは…更にその奥。
何と、重戦車とそれと同じくらいのサイズのトカゲが向き合ってたのだ。
トカゲの背中には、馬に乗るかのように人が1人乗っていた。
戦車が主砲を撃つ、中庭は「少しだけ」広いが、主砲が発射されて端の壁から壁までの距離など一瞬で到達できる距離だ。
何が言いたいかというと、あんな至近距離で撃たれたら、反応できずに的になるだけだ。
が、そのデカイトカゲは、そんなの御構い無しにサイドステップで避けた。
トカゲの背後の壁に主砲が当たった瞬間、今度はトカゲが攻めた。
ジャンプをしたかと思えば、戦車の上に乗り、そこからトカゲの口から炎を乗っかってた戦車に向かって吐き出した。
あのままじゃ戦車は丸焦げだな、俺はそう思った。
以外にも戦車は対処法を持ってたらしい、戦車の表面装甲が軽く光る。
トカゲ「ピィァァァァァァァ!!?」
トカゲがその光を喰らい、また飛んで距離をとった。
ライアー「…電磁装甲か」
ヒロ「で、電磁?」
ライアー「ああ、本来は被弾を避けるものだが…アレは違うな。どうやら表面に電流を流すものだ。触ったら痛えだろうな」
ヒロ「へー…」
目をキラキラさせながら見てるヒロ。どうやら随分とお気に召したようだ。

男「失礼、貴方たちがイカ焼きを持ってきた人ですか?」
と、ロビーから中庭を見てる俺たちに背後から声がかけられた。
振り返ると、真面目そうで若い男性がいた。新兵だろうか?
ライアー「ああ、もしかして弟さん?」
マスト「はい!自分、マスト一等兵であります!」
ビシッ!と敬礼のポーズをとりながら真面目な新兵は答えた。
ライアー「アンタの兄さんからだ」
マスト「ありがとうございます!…兄貴…何でイカ焼きなんだ…昼飯じゃないのか…」
マストは中身を見て、本当にイカ焼きと分かった瞬間、項垂れていた。
ライアー「…それは兄貴に聞いとけ」
ヒロ「ねーねー!マスト…マスト…」
マスト「一等兵でありますよ」
ヒロ「い、い…」
どうやら発音が難しいようだ。
ライアー「マストで良いだろめんどい」
ヒロ「マスト!アレをもっと近くで見てみたい!」
と言って指差したのは、中庭だ。
マスト「えーと…それは…」
マストが困った顔で俺を見た、そりゃそうだろう。一等兵の権限で市民を入れるなんて事できるわけがない。
だが、そこで意外な人物が来たのだ。
男「良いじゃないか、入れてあげれば良い」
マスト「た、大佐!!」
俺たちの会話に割って入って来たのは、少し威厳のある顔つきの人物だ、だが少し若く見える。上腕二頭筋が恐ろしいほど太く、あの腕ならロケットランチャーを片手で撃てるのではないかと思ってしまう。
そして何より、俺はこいつを知っていた。
ライアー「…リアークか」
リアーク「…あの時以来だな、ライアー」
ライアー「お前はもう大佐になってるなんて聞いてないぞ?」
リアーク「…お前がロクに来ないからだ」
マスト「???」
ヒロ「???」
マストとヒロは俺たちの関係を知らないので不思議そうな顔をしてる。
マスト「大佐殿、この男とは知り合いですか…?」
リアーク「まあ、な。昔、同じ戦場の地を踏んだ」
ライアー「…んで?中庭には入っても良いのか?」
俺はさっさと話を変えた、その話題には触れたくなかったからだ。
リアーク「ああ、もちろんだ」
ライアー「良かったな、ヒロ」
ヒロ「うん!!」
リアーク「…お、お前の仕事はこんな少女も部下にするのか…?」
ライアー「リアーク、今の言葉を撤回する羽目になるぜ?」
リアーク「ほう…?マスト一等兵、君もついて来てくれ」
マスト「は、はい!」
俺たちは中庭に降りる事になった。

リアーク「…」
ライアー「面白い顔だな笑。そんな表情ができるなんて知らなかったぞ?」
リアーク「か、彼女は一体…?」
まあ、予想通りと言うか、何というか…。
中庭ではヒロの無双が起こっていた。相手が剣を持ってようと、銃器を持ってようと、魔法を放ってこようとモンスターが来ようと。
全て!無意味!!!
…てな感じだ。
ライアー「ギルハント」
そのワードを出すと、リアークも顔をしかめる
ライアー「連中の残党から救出した実験体だ」
リアーク「…なるほど、奴らがいるのか…」
ライアー「ま、あの子が結局は全てを消したけどな」
マスト「ギルハント…ですか?大佐も参加して反発を起こしたんですよね?」
リアーク「…反乱の最後に参加した程度だ」
ライアー「マストはどれくらい知ってるんだ?」
マスト「あの旧帝国の暴君ギルハントから、その従兄弟であるギルハート姫が反乱を導き、反乱を見事!成功させたんですよ!」
間違ってはいない、間違ってはいないが…。
リアーク「ライアー、今はそんなもんだ」
ライアー「…」
そんな綺麗ごとしか学んでないなんてな…。
マスト「え、ええと…?」
リアーク「気にするなマスト一等兵、彼なりの過去があるんだ」
マスト「は、はぁ…」
ヒロ「わー!凄い!凄ーい!」
ヒロの喜んでる声が俺たちの空気を断ち切った。
見ると…
ライアー「お、オゥ…なんだアレ…」
リアーク「二足歩行の機械、『ブロードソルジャー』だ。だが実戦経験は無いし、武器もまだまだ検討中だ」
ライアー「…ネーミングセンスは皆無だな」
リアーク「俺じゃ無い、上層部が考えたんだ」
見事な二足歩行のロボットがだ、しかしスマートとはかけ離れていた。
全体的にデカく、太く、動きが遅かった。
そして何より特徴的なのが、人間みたいな形のはずが、上半身が無かった。
その代わり、腰の部分がデカイ頭みたいだ。
…ズルイ表現だが、カー●ィから手足が生えてるみたいなものだ(自分の表現が下手くそでごめんなさい)
ちょうど、上半身と下半身を繋ぐ腰の部分に赤い点、つまり目のようなものがポツンとついてた。
それがゆっくりと腕のアームを上下させている。ヒロは楽しそうに腕にひっついてたりしてた。
ライアー「にしても、随分と強化をするんだな『警察』が」
リアーク「…お前は知ってるだろうが」
マスト「…軍は持たない国、ギルハート…」
そう、新帝国のギルハート姫は軍を持つことを禁止してる。旧帝国のせいだ。
ライアー「ああ、土地の開拓を進めるんだろ?」
リアーク「まだ先だと思ってたが…お姫様は早くしたいらしくてね」
流石、お姫様は世界を知りたいようだ。
ここ、ギルハートが森林やら砂漠やらで囲まれているのは知ってるよな?
しかし、その殆どが未開の土地だ。
だからこそ、ギルバート姫は知りたいらしい。
ライアー「警察に大規模な仕事が来るのも近いな」
リアーク「ああ、全くだ」
マスト「でも!もしかしたら、全く新しい世界を見つける事ができるんですよね!?」
リアーク「…そ、そうだな…」
マストはどうやら好奇心が高いみたいだ、リアークも大変だな。

ビー!!ビー!!ビー!!

笑ったその時だった、中央から響くサイレンの音に反応したのは。
リアーク「何だっ!!!」
大声で叫ぶ。見るとヒロが遊んでいたロボットの様子がおかしい。
マスト「あ、アレ?『ブロードソルジャー』の様子が…」
ライアー「リアーク、アレを壊しても良いのか?」
リアーク「何でそんな事を聞く!」
ライアー「先に確認したい事だ!」
リアーク「構わん!最悪の場合は破壊しろ!」
するとその声に反応したかのようにロボットは近くにいたヒロを叩き潰す為にアームを振り下ろしてた
ヒロ「あっぶない!!」
ヒロは後ろ跳びで俺の目の前まで飛んで避けてきた…オイ!
ライアー「あぶね!」
ヒロ「あ!ごめん!」
思わずぶつかりそうになり、身構えちまっただろ!
マスト「だ、ダメです!ブロードソルジャーの制御が効きません!」
リアーク「クソ、魔法使いはいるか!!」
魔法使い「ここに!」
素早く反応したのは、近くにいた魔法使いだ。5人いた。
リアーク「氷結で奴の足を固めろ!」
魔法使い「了解!」
リアークが指示を出すと、魔法使いは展開する。
魔法使い「「「アイスボールッ!!」」」
5人が同時に放つと、その氷の塊はロボットの脚部に当たり、一気に固まった。
リアーク「下がれっ!!撃つぞぉ!!」
見るといつのまにか、リアークの肩には対戦車のロケットランチャーを担いでた。
マスト「距離よし!角度よし!発車用意よし!」
マストが素早くロケットランチャーの調整を行う。
リアーク「撃つ!!!」
ドンッ!!とデカイ音が鳴ったと思えば、ロケットの弾はその動きを止められた金属の物体に迷う事なく直撃した。
ライアー「平和ボケしてねぇんだな、リアーク!」
リアーク「当たり前だ!」
怒鳴り返すリアーク、最近は戦闘をしていないのか、少し興奮気味のようだ。
ヒロ「こ、壊れたのかな?」
ライアー「…いや」
様子を軽く見たが…ロボットは直撃した部分がワイヤーやら、骨組みなどで露出しながらも立ち上がろうとしていた。
ライアー「おい、リアーク、コイツはAIか?」
リアーク「そうだ、そこの説明がまだだったな」
ヒロ「えーあい?」
ライアー「そうだ、AIだ。機械が自分で考えて動くんだ」
ヒロが急に黙り込んだ。
ヒロ「…生きているの?」
ライアー「あ?」
ヒロ「それは…生命はあるの?」
そこで俺は気づいた、ヒロの目が虚ろな目をしてることに。
リアーク「来るぞ!」
ロボットの方を見ると、既に立ち上がっており突進で接近していた。
ライアー「…チッ」
ヒロ「死んでるのかな…生きてるの…?」
横に走れば余裕で避けれるが…ヒロが動かない。
ライアー「ヒロ!!その疑問は後にしろ!」
ヒロ「…きっと、生きたいんだろうな…」
ライアー「ヒロ!!!」
まずい、もう距離が近い…!

ヒロ「『機械よ、我ら生命に矛盾した子よ、今、アリネスの名の元に』」

急に唱え始めた。
俺が振り返るとヒロが唱えてたらしい、唱え終えたヒロは片腕を空へ伸ばした。

ヒロ「『白水の血の元に舞い降りろ!』」

空から雷が落ちたのだ、バカみたいに空は晴れていたにも関わらず、雷は迷う事なくヒロの伸ばした腕に直撃した。

ライアー「はあ…?」
そしてその腕には、体格に不釣り合いな程デカイ、機械の腕がついてた。
ライアー「あー…ヒロ…ちゃん?」
ヒロは気を失ってるのか、返事をしない。
ライアー「あ、やべ」
そこでロボットの存在を思い出し、振り返ると目の前にいた。
リアーク「ライアー!!」
同じく、一連の流れを見てて周りを忘れていたリアークが叫んだ

ヒロ「…!」
が、ロボットは俺の目の前から動かなかった。いや違う、動けなかったのだ。
ライアー「…マジかよ」
ヒロが機械の腕でロボットの突進を止めていたのだ、しかも片手で。
ヒロ「!」
そのままガッチリと掴んだと思えば、持ち上げた。
ライアー「おいおいおいおい…!」
ちょうど間に挟まれていた俺からしたら圧巻な光景だ。
少し離れた場所にマストとリアークは退避していた。
マスト「あ、あり得ない…あのロボットは戦車よりも重いはずなのに…!」
リアーク「…アリネス…なるほど…」
マスト「た、大佐?アリネスとは?」
リアーク「…それはな」

ヒロが容赦なく掴んだロボットを振り回して、投げた。
ライアー「俺のことを考えてくれよぉぉ!」
もちろん俺は伏せていた。頭を上げたら1発で吹き飛ばされるからだ。

あの状況で接近は不可能なので、リアークはマストに説明することにした。
リアーク「旧帝国時代、アリネスの一族は抹殺されたのは知ってるな?」
マスト「はい」
リアーク「その時、アリネス達は考えたんだ」
マスト「何をですか?」
リアーク「…何故、白い血を流しているのかと」

ライアー「…沈黙したか…」
ロボットは壁に直撃して、完全に停止したように見えた。
ヒロ「…」
ライアー「お前…何だこれ」
マジマジと見るが…やはり機械だ、それが腕の延長線上のように刺さっていた。

ロボットを見て、安全になったかと思い、説明を続ける
マスト「そ、それから?」
リアーク「彼ら彼女らは、調べた。だが完璧に調べる前に抹殺されてしまったよ」
マスト「じゃ、じゃあアレは…」
リアーク「…その答えがアレなのかもしれないな」
その機械の腕が理由なのかもしれない…

ライアー「…ん?」
小さな警報が聞こえる、もしや…
壁に叩きつけられたロボットを見る、そいつが壁から這い出てきてたのだ。
ライアー「マジかよ…しつこいな…」
俺はヒロを見た、
ライアー「まだやれるか、ヒロ!」
ヒロ「…」
途端、ヒロが倒れ込んだ。
ライアー「ちょちょちょ!!?どうした!?」
抱き起こすと、スヤスヤと眠ってた。
ライアー「寝るのかよ!」
リアーク「ライアー!立ち上がったぞ!?」
ライアー「んなの見れば分かる!リアーク!フラグ(手榴弾)とアサルトライフル(AR)を寄越せ!」
マスト「ここに!!」
投げてよこしてくれた、それを素早く受け取り構えた。
いい加減、このポンコツを止めるか!
ライアー「リアーク!援護しろ!弓兵に拘束するよう頼む!」
リアーク「分かってるから黙ってろ!弓兵!用意!」
この騒動を聞きつけて援軍として来た弓兵達を展開させた。
リアーク「撃てぇい!!!」
弓から撃たれたのは、引っ掛けフックにロープが繋がってる矢だった。
それをロボットの両腕に絡めた。
リアーク「引っ張れええええええ!!」
残った兵士たちがそのロープを引っ張り拘束する。これで一時的に動きは封じ込めた!
ライアー「喰らっとけよ、ポンコツが!」
フラグのピンを抜いた、走って接近した俺はリアークがロケットランチャーで露出した機械にフラグを投げ込みながら、ロボットの股下をスライディングで抜けた。
兵士「危ない!!」
リアーク「総員!離せ!」
そこでロボットが異変に気付いたのか、両腕に絡みついたロープ切り離そうとブンブン振り回した。
耐えられないと判断したリアークは素早く部下に指示を出したようで、振り回されて壁に投げ出されるマヌケな兵はいないようだ。
ライアー「…ったく、めんどくせぇな」
そのままロボットは露出した部分に手を突っ込んでた、フラグを取り出そうとしてんのか?
ライアー「させねえけどよぉ!!」
ARが火を吹いた、容赦なく引き金を引き続けた。
突っ込んでた腕のの関節を狙う、火花が散っているな…これなら、
と思ってたが、ロボットが爆発した。
フラグが爆発したようだ。
ライアー「うおっ…!!」
リアーク「退がれ!更に爆発するかもしれん!」
俺はロボットを迂回し、ヒロを抱きかかえて中庭から離れることにした…



リアーク「ふう…」
ライアー「見事な指揮だな、大佐?」
リアーク「テメェは一回この立場になってみろ、嫌でも味わえるぞ?」
ライアー「味わいたくないし、何を味わえるのか知りたくもない」
リアーク「…爆発はしてないな」
ロビーに戻った俺たちは、窓から中庭を見る。先程まで暴れまくってたロボットは中央部分で沈黙していた。
リアーク「こっからは爆発処理班と解体処理班の仕事だ」
ライアー「俺たちは、関係ないな」
リアーク「…俺の仕事は増えたんだがな…始末書を書かなきゃならん」
俺を睨んでくる、もちろん今回の件に関わって派手に壊してしまったからだろうな。
ライアー「まーまー、か弱い市民を助けるためって書けば良いだろ?」
リアーク「何故、市民が警察署の中庭に市民がいるんだよ…」
ライアー「…誤魔化してくれ」
リアーク「これ以上、面倒ごとを作る前に帰ってくれ…」
ライアー「はいはい、分かってまスゥー」
リアーク「帰れ」
マスト「あの、大佐…」
リアーク「どうした、マスト一等兵」
マスト「彼等は…何者なんでしょうか?」
リアーク「…そうだな」
離れていく、おんぶをしている男を見て。
リアーク「腐れ縁の友人だ」


俺は、歴史博物館の図書館にいた。
調べ物をしながら、さっきまでの会話を思い出してた…

ライアー「…結局、何も覚えてないか」
ヒロ「う、うん」
ライアー「…はぁ」
事務所の2階で夕飯を食いながら、警察署で何を覚えてたか聞いたが…
ライアー「ロボットと遊び疲れたんだな?」
ヒロ「そうだよ!」
ニコニコしながら返事を貰った…これ以上、追求しても無駄か…。
…あの機械も謎だ…
ライアー「ヒロ、夕飯食い終わったら後は自由にしてろ。風呂にはちゃんと入って歯を磨けよ」
そう言った俺は足早に図書館に向かった。

ライアー「…これか」
「アリネスの伝承」と言う、胡散臭い本を見てた、
それのとあるページに書かれていた。
[アリネスは、神の子を見極め、神自身を己に宿すことができた。王であるギルハントはそれを恐れ…]
文章は続いてたが、重要なのはこの『神』だ。
ライアー「…神の子ねぇ…」
あの機械が、神の子とでも言うのだろうか?
ライアー「…ふーむ…」
信仰なんて信じない主義だから、さっぱしだった。
ライアー「神って何だよ…」
そんな素敵な存在がいるなら、もっと素敵な世界にして欲しかったよ…。
そんなくだらないことを考えながら、俺は本を戻すのに、本棚に入れて…
ライアー「…待てよ」
ヒロが機械をを付ける時、確か何かを唱えてたよな…?
えーと…確か…

『我ら生命に矛盾した子よ』

俺は素早く本棚から本を引き抜いた、
文章を見る

『神の子を見極め、己に宿すことができた』

ライアー「…子を見極め…?…己に宿すことができた…?」

じゃあ、ヒロについた、あのデカイ腕は…

ライアー「神…なのか…?」
また、謎が増えてしまった…。
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