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第6話 帰宅
しおりを挟む和食屋を出たあと、二人で揃って俺の家まで帰ったのだが、玄関前で沙耶はそれじゃ先に荷物を取りに行くねとのことで一旦わかれた。
多分だけど、送ってくれたのだろう。男の夜の一人歩きは確かに危ないんだけど、まだ昼だから大丈夫なんだけどね。
あー、もしかしたら出来るだけ一緒に居たかったとかかもな。うん。しっくりきた。こっちっぽい気がするし、そうだと嬉しいな。
さて、引っ越してきたばっかりで部屋はどこも綺麗なんだけど、せっかく沙耶との生活が始まるんだ軽く掃除だけでもしておこう。
実際ほんとに汚れてないから、気持ちだけにはなっちゃうが拭き掃除でもしておくか。
そういえば空いている二部屋のどっちがいいかもわかんないや。
さっき玄関前まで来てたんだし、一回見てもらえばよかったか…。と少し後悔するも、まぁすぐ終わるしとりあえず両方やっておくか。と気持ちを切り替える。
そうして取り掛かった掃除もすぐに終わり、大して疲れてもないが、ふぅ…いい汗かいた。なんて思っていたが。ふと、気付く。
あれ?そういえば、軽くしか荷物持ってこないってことは布団なんかも絶対持ってこないよな?と。
引っ越したばかりの我が家に予備の布団なんかもちろん無い。
----------------うん!なるようになるだろ!
一応沙耶が来たら聞いてみる感じで!
まだ昼過ぎで買いに行こうと思えば買いにも行けるし、一緒に寝るってなってもキングサイズのベッドだから大丈夫だ!
キングサイズなのは、まあわかるだろ。皆まで言わせるな。
まあ、婚約者だし?結婚はまだ先だけど、結婚してるようなもんだし先に初夜迎えるのも問題ないはず!
うん。雰囲気みて決めるか。俺は大歓迎だしな。
一緒に寝ることになったら、我慢できる自信なんてないが…いや、むしろ我慢できない方の自信しかねえよ!
いや、まてよ。でもそうか。俺がこういう気持ちなら大体の女性も同じ気持ちなのか…?
急に気が楽になったわ。沙耶が来るまでソファーに寝っ転がってよーっと。
ソファーでゴロ寝しながら、テレビをつけて見たもののどの番組にチャンネルをかえても、薄着の女性が気になって視聴を諦めた。さきほど、夜のことを考えてたからな、今は目の毒だ。
そういえば沙耶との婚約をまだ伝えていなかったなと、母親に連絡を入れておき、あとはネットの動画配信サイトで猫の動画を見てただただ癒された。
そうして時間をつぶしウトウトし始めた頃に、家のチャイムが鳴った。
そういえば、さっきは一緒に家に入るもんだと思ってたからカギ渡してなかったや。
予備というか婚約者用にまとめて渡されてるし、あとで渡そう。
防犯モニターで沙耶であることを確認し、声掛けしまずはエントランスのカギを開けてあげる。
あ、そうそう。俺の住むマンションはオートロックだ。
俺の住んでいるこのマンションは、桜庭高校に徒歩15分で行ける好立地に、各部屋は広い間取りでセキュリティもしっかりしている。
俺以外の住民も、桜庭高校関係者専用のマンションって訳じゃないが、だいたいはそうらしい。卒業生とかな。
ちゃんと引っ越しの挨拶もしなきゃなと思って、なにがいいかな?そば?って母親に聞いてみたら止められた。
なんでも男の場合は、挨拶なんてしない文化らしい。
男の住居、いわばテリトリーに玄関先とはいえ踏み込んじゃ駄目よ?達也もだからね?といった感じのことを諭された。
そのうち出前取って普通に玄関先で受け取る気だったわ。
この世界の常識も、まだまだわかんないことあるもんだな。
とまあ、そんな感じの我が家だが、マンション付近で今朝は誰とも会わなかったし、もしかしたら上級生ぐらいはいるかもだな。
今日は入学式で一部の先輩達以外は一年生の行事だし。
そういったわけで、高校の周りにはこうした男性専用のマンションが多いようだ。(うちのマンションもそのひとつ)卒業しても居座っちゃう男もいるらしいからね。
そうしてやってきた借りてきた猫か!ぐらいの緊張感が伝ってくる沙耶を迎え入れると、沙耶は玄関で立ち止まり口を開く。
「おじゃじゃまーす」
お邪魔します?かな?そんな噛み方すんだ。新発見。
防犯モニターで見てはいたが改めて沙耶の姿を確認すると、リュックとでかめの紙袋が目に入る。
それに、制服から薄ピンクの薄手のニットに茶色のチェック柄ラップミニスカートに着替えていた。かわいい。
リュックは背負ってしまっているので、両手に下げている紙袋を受け取りつつ告げる。
「これからは、ただいま。だよ?おかえり沙耶。あがってあがって」
自分自身噛んだ自覚があるのだろう、少し頬に赤みのある顔で
「ただいま。」
恥ずかしそうに、それでいて嬉しそうに告げた。
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