雨はやさしく嘘をつく

黒崎優依音

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第七章 認め合う絆

公的認知

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sideルアルク



白大聖堂の鐘が、荘厳に鳴り響いた。

壇上に立つルアルクは、純白の神官服に身を包み、リシェリアの小さな手を取る。

その髪には、ユリカが結んでくれた白いレースのリボンが揺れていた。



聖火の光を受けて、リボンは淡く光を返す。



「この子、リシェリア・セラ・ナーバ・アストレイドは……私、ルアルク・ノア・アストレイドの、実の娘であると、ここに誓います」



堂内に静寂が落ちる。

ルアルクの声は震えていた。

弱さゆえではない。

胸の奥を満たす想いと、溢れる涙が喉を塞いでいたのだ。



「この子が、生まれてきてくれたことに……私は心から感謝しています。どうか、祝福を」



その瞬間、リシェリアの体から白い光が迸った。

花びらのような粒子が舞い、聖堂を満たしていく。

人々は言葉を失い、やがてどよめきが広がった。



「……直系の白……!」



「いや、それ以上だ……」



年老いた神官が震える声で呟く。



「聖女の再来……かもしれぬ」



祭壇の下で黙していたアストレイド家の当主――ルアルクの父が、ゆっくりと立ち上がる。



「この子は教会の至宝だ。我らの庇護のもと、導き育てねばならぬ」



その瞳に宿るのは“孫”への慈しみではなく、冷たい所有の光。



「ルアルク様。あなたのご息女であるからこそ、この子を教会に――」



見習いの神官が声を張り上げた、その時。





壇上に影が差す。



漆黒の髪、スカイブルーの瞳。

肩章に輝くガーディアンの紋章。

シェイが静かに歩み出て、にこやかな笑みのまま鋭く言い放った。



「……勝手に“うちのお姫様”を連れていこうとしないでくださいよね、お父さま」

にこやかなまま、わざと親しげに呼びかけて刺す。



堂内の空気が一瞬ざわめいた。

ルアルクはシェイを見やり、深く頷いた。

そして再び、観衆をまっすぐに見据える。



「――彼女は、僕の娘でもあり、彼の娘でもある。

 リシェリア・セラ・ナーバ・アストレイド。

 この国において、正式に“二人の父”から認められた子です」



その言葉は短く、しかし揺るぎなく放たれた。

ルアルクの藍の瞳に、涙が滲む。



静寂ののち、堂内のあちこちから嗚咽が広がった。

育てのシスターたちが、手を合わせて泣いている。



「ユリカ……本当によかった……」



リシェリアは壇上から駆け出した。

「パパー!」



シェイが膝を折り、両腕を広げる。

「はい、お姫様。よく頑張りましたね」



少女は彼の胸に飛び込み、リボンを揺らして笑った。

その頭に結ばれた白いレースが、聖火の光を受けてきらきらと輝く。



ルアルクは一歩下がり、その光景を穏やかに見守った。

けれどユリカは口元を押さえ、涙をこぼさずにはいられない。

安堵と恐れと祈りが入り混じるままに。









式が終わり、夜の大聖堂を後にする。

人々のざわめきが遠のいた頃、ルアルクはひとり、屋敷の裏庭に足を運んだ。



涼やかな風が頬を撫で、枝葉がさらさらと揺れる。

胸の奥に張り詰めていたものがほどけると同時に、押さえ込んでいたものがあふれ出す。



「……よかった。君は……本当に、幸せになったんだね」



小さな声が夜に溶け、目尻から温い雫が伝う。

そのとき、背後から足音が駆け寄ってきた。



「お父様……泣いてるの?」



振り返ると、リシェリアが心配そうにのぞきこんでいた。

慌てて袖で涙を拭い、笑みを作る。



「ごめんね、リシェリア。少し……光が、まぶしくて」



少女はにこっと笑うと、小さな体でぎゅっと抱きついてきた。

「大丈夫だよ。リシェが守ってあげるね。

 ……今日のお父様、かっこよかったよ!」



不意を突かれた言葉に、ルアルクの肩が震える。

幼い日の記憶――自分が差し出した白いリボンに、涙を浮かべて笑ったユリカの姿が重なる。

あの時と同じように、胸の奥が焼けつくように熱くなった。



「……ありがとう。僕の、大切な娘」



抱きしめたリシェリアの髪に、白いリボンが夜気の中でやわらかく揺れていた。



少し離れた場所で、黒髪の青年が控えめに微笑む。

「泣き虫ルーくん、やっぱり健在ですね」



ユリカはシェイに視線を向け、かすかに笑みを返した。

「……でも、そこが彼のいいところで、リシェには何よりの安心なんです」



夜風に揺れる木々のざわめきが、家族を包み込むように静かに響いていた。









荘厳な式典が終わり、参列者たちの熱気が去ったあと。

白大聖堂の奥にある会議室では、重い扉が閉ざされ、厚い帳が下ろされていた。



長机の上には、一枚の報告書。

そこには、確かに記されていた。

――「白の魔力を宿す子の存在」



「……見ただろう。あの輝き」

老神官の声は震えていた。

「間違いなく直系の“白”だ」



「いや、それだけでは済まぬ」

別の神官が唇を噛む。

「白であれば、教会の象徴として迎える。

 だが、あの子は……光が強すぎる。あれは……」



「聖女の再来……」

誰かが呟いた瞬間、場の空気がぴんと張りつめた。



そのとき。

奥の席で沈黙していたアストレイド家の当主が、ゆっくりと立ち上がった。



「……愚か者め。浮き立つのはまだ早い」



低く響く声。

冷たい瞳は、壇上で誓いを口にした“あやつ”を思い出すように細められている。



「奴の言葉を真に受けるな。

 これまでも幾度、失態を重ねてきたではないか」

「で、ですが……あの光は――」

「裏を取れ。あの子がどの程度の“白”か、必ず知れ」



卓の上に置かれた報告書の隅に、彼の手が重く落ちた。

従者が深く頭を下げ、影に消えていく。



会議室には、冷たい沈黙が残る。

その沈黙の底で、静かに、しかし確実に――黒幕の歯車が動き始めていた。





sideユリカ



聖堂を出ると、夜気がひんやりと肌を撫でた。

外にはまだ人々が残っていて、口々に祝福の声をかけてくる。

「おめでとうございます!」

「お父様、立派だった……」

「リシェリア様、なんて愛らしい……」



温かな視線が、雨上がりの夜空の星灯りのように降りそそぐ。

その真ん中で、リシェリアは嬉しそうに笑い、白いレースのリボンを揺らしていた。

宝物だったあのリボンが彼女の銀髪に結ばれた姿を見たとき、胸の奥が熱くなった。



「お父様、かっこよかったね!」

リシェリアが無邪気に言って、両手を広げる。

ルアルクが抱き上げると、歓声がさらに大きく広がった。

その声に、胸が少し軽くなった。



――公の場では、もう誰もこの子を“父のいない子”とは呼べない。

けれど本当の意味での父親は、すでに二人も彼女の傍にいてくれたのだ。



(この子は守られる。誰にも奪わせない……)



そう思うと安堵の涙が滲む。

けれど同時に、胸の奥が冷たく締めつけられる。



――あの白い光を、教会が見逃すはずがない。

人々の祝福の声に混じって、鋭い視線がひそかに潜んでいる気がした。

あの子の名を呼んでしまった瞬間から、世界がこちらに牙を向き始めている。





式が終わり、参列者たちが引き上げていく。

人々の祝福に囲まれながら、シェイはリシェリアを抱き直した。

さっきまでお父様に抱かれていた小さな体は、もう一人の父の腕の中で安らかに揺れている。



彼の腕の中で眠りに落ちていくリシェリアを見つめながら、ユリカは小さく祈る。



「……どうか、この子を……」

その祈りを聞きとめたように、隣で歩くシェイがふっと微笑んだ。

「大丈夫です。僕たちが、必ず」



その穏やかな声に、恐怖は消えない。

けれど、ほんのわずか――心があたたかさに包まれ、前へ進む力を取り戻せた。







sideルアルク



認知の儀を終え、屋敷の大広間には温かな灯りと人々のざわめきが満ちていた。

長い卓に料理が並び、ささやかながら心のこもった祝宴が始まる。公の場ではなく、家族や近しい者たちだけの、ひとときの安らぎ。



葡萄酒の甘酸っぱい香りが杯から立ちのぼり、焼き栗や香草をまぶした魚の香りが漂う。開け放たれた窓からは、秋の虫の音がかすかに届き、夜の空気を澄んだものにしていた。



リシェリアは目を輝かせながら走り回り、やがて隅に置かれた古びたピアノに気づいた。



「ねえお父様!これ弾いてもいい?」

小さな足で椅子によじ登り、両手で鍵盤をぽんぽんと叩く。

途切れ途切れの音が飛び出して、場に小さな笑いが広がった。



ルアルクは少し驚いたように微笑み、そっと娘の隣に座る。

「じゃあ……その音に合わせてみよう」



白い指が鍵盤に触れた瞬間、拙い音の連なりが柔らかな旋律に変わる。

即興の調べが流れ、リシェリアは「すごーい!」と拍手しながらさらに鍵盤を叩く。

その音もルアルクの手に導かれ、ひとつの曲になっていった。



ユリカは少しためらいながらも、ルアルクに促されてピアノの前に腰を下ろす。

彼女の指先が奏でる童謡のような旋律が加わると、室内は一層あたたかくなる。



「……僕は聞いているだけで」

シェイは苦笑していたが、リシェリアが振り返って「パパも!」と手を引く。

観念したように一音だけ押した途端、音を外して耳まで赤くなる。

だがルアルクがその音をさりげなく旋律に組み込み、リシェリアは声を立てて笑った。



低く澄んだ音が木の床に響き、ランプの炎が揺れてカーテンに淡い影を踊らせる。



ミーナが「まあ……」と目を細め、トマスもぎこちなく拍手を送る。

シェイは居心地悪そうに肩をすくめながら、音に耳を澄ませていた。

普段ほとんど使われないこの部屋が、いまは家族の音で満ちていく。

それに気づいたのか、彼の表情がわずかに和らぐ。





やがて夜も更け、ユリカとリシェリアは先に休んだ。

静かになった卓に、シェイとルアルク、ミーナとトマスだけが残る。



杯を重ねたシェイの頬は赤く染まり、笑みが抜けきらない。

ふらりとルアルクの肩に腕を回し、にやにやと囁いた。



「ルーくんってさ……いい人すぎて……ほんと、ずるいですよね。

 真面目で、優しくて……ピアノまで弾けちゃう」



掛け値なしの声だった。

ルアルクは一瞬だけ目を瞬かせ、やがて静かに微笑んだ。

「……ありがとうございます」



シェイはさらに盃をあおり、口元を緩める。

「でも……俺だってチートですからね。

 魔法も、医術も……おまけに、顔もいい」



ルアルクが真顔で答える。

「……それを自分で言うのは、どうかと思います」



ミーナは困ったように笑みをこぼし、トマスは小声で「それは……否定できませんが」と呟く。



ちょうど戻ってきたユリカがその場面を見て、思わず吹き出した。

「シェイさん……お酒は控えた方がいいのでは」



「ほら、みんな認めてるじゃないですかぁ」

シェイは嬉しそうに笑いながら、腰の剣をぽん、と軽く叩く。

「それに……こいつ、よくお喋りするんですよ。黙ってればいいのに」



「……前にも仰ってましたけど……剣が、喋るんですか?」

ユリカが目を丸くする。

ルアルクは静かに頷いた。

ミーナとトマスは顔を見合わせ、言葉少なにうなずくだけ。

彼らにとっては、もう見慣れた光景だった。



シェイはふっと笑って二人をまとめて抱き寄せ、低い声を落とした。

「……ルーくんも、ユリカさんも。どちらも、僕にとって大切なんです」



そう告げたまま、彼はその肩に身を預け、静かに眠りに落ちた。



ユリカとルアルクは顔を見合わせ、思わず苦笑する。

ミーナがそっと毛布をかけ、トマスが静かに盃を片づけた。



ランプの灯りがゆらめき、笑いと温もりが夜を包み込んでいった。









sideルアルク



朝の光が差し込む居間に、湯気の立つ茶器が並べられていた。

ミーナが用意してくれた温かな朝食の香りが漂う。



そこに現れたシェイは、妙に背筋を伸ばし、ぎこちない笑みを浮かべている。

普段ならもっと自然に挨拶するはずなのに、どこか落ち着かない。

湯気の向こうで視線を逸らすたび、かえって気恥ずかしさが増す。



昨夜、彼が胸の奥にしまい込んできた想いを、酒に押し出されるように口にした――そのことをルアルクははっきり覚えていた。

だからこそ、いまのぎこちなさも理解できる。

忘れたふりをしてやることが、彼にできる精一杯の気遣いだった。



ユリカは何も触れず、いつも通りに微笑んで茶を注ぐ。

「どうぞ、熱いので気をつけてくださいね」



彼女の柔らかな声に、シェイはさらに目を泳がせた。

「……あ、ありがとうございます」



沈黙が続きそうになったところで、ルアルクは小さく笑みをこぼす。

「……シェイさん」

「……ルーくん、笑わないでくださいよ」



黒髪の青年は珍しく耳まで赤くし、俯いて茶を啜った。





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