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◇本編
41.
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ビオルテルダはゆっくりと歩き部屋に入って行く。
先程までリングライト公爵家の子息であるテオルドと歓談していた。
口調も滑らかな社交性が高い美麗な男性だ。紺色の艶の有る短い髪。鼻筋が通った涼しげなマスク。ブルーの爽やかな目元に反して芯の強そうな眉。歯を見せない笑い方。女性に対する立ち振る舞い。虚栄心も自惚れも無く淡々とこなされるエスコート。会話の内容も突っ込んだ事など一つも聞いては来ない。突き放す態度は取られてはいないが、別に興味は無いのだと言われているようだ。
ビオルテルダは美しく妖艶な美女だ。背は低くは無いが適度に筋肉の付いた健康的な白い肩を曝け出し、赤いピッタリとした豪華な刺繍のされたマーメイドドレスの中から長い手足が出ている。歩く度にスリットからチラリとカモシカの様な切れ上がったふくらはぎが見える。赤い薄いオーガンジーが首のチョーカーから胸下までを覆い、深い谷間が見えている。普通の男なら目を釘付けにするような装いだ。下品では無いが自分の美しさを体現出来るドレス。プラチナブロンドの髪を引き立たせるべく計算された刺繍。非は全く見当たらない。
だが、欲情を示す態度や言動は一切無かった。
部屋に誘ったが断られた。
薬入りの飲み物食べ物嫌味なく全て躱される。
指輪の針を刺そうにもこちらから触ろうとすればスッと手を取られ微笑まれる。まるで後ろに目が付いている様だ。
隣に座りしな垂れかかればスッと位置を変えられ腰を取られたかと思ったら他の男性に話し掛け、流れる様に立ち上がり男に手を取らせる。
10も下の歳の男に上手く扱われた悔しさが沸沸と沸き起こる一方で、堪らなく欲しくなった。
手に入れたい。
あの飄々とした顔を歪ませたい。
泣きながら許しを乞う姿を想像してビオルテルダは高揚する。
今まで手にして来た男達は皆一様に早々にして這いつくばり美しく白い整った自身の脚が履いている靴先を舐めて来た。
国に連れて帰り飼うのも有りかと思い始める。暫くは楽しめそうだ。
最後は新しいコレクションにしてしまえる。彼は美麗な顔をしている。一石二鳥、いや、計画が成功すれば一石三鳥。俄然楽しくなって来た。
そんな事を考えていた時、部屋に報告が来る。
蛇は失敗に終わったと。
腹を空かせた猛毒の蛇に鳥の匂いを染み込ませた油を少しずつ舐めさせ、夜会であの白い鳥を襲わせる手筈だったが、護衛に阻まれたようだ。全く使えない。いや、自分も成果は出していない。仕方が無い。もう直ぐ夜も深くなる。既に兵も待機済み。もう一度あの男を呼び出し拘束してからゆっくりと美しい貴族子息達を捕まえて回ろう。既に何人かは確保した。
ああ。早く綺麗な血にしなければ。
ビオルテルダは豪華な大粒の赤い宝石が付いた鞘を掴む。柄を持ちスラリと引き抜いた。細いが良く磨がれた刃が鈍くロウソクの明かりで光る。
それは自身の愛剣。
何百と言う男達の首を粛清と快楽の為に落として来た
白亜のレイピアだった。
先程までリングライト公爵家の子息であるテオルドと歓談していた。
口調も滑らかな社交性が高い美麗な男性だ。紺色の艶の有る短い髪。鼻筋が通った涼しげなマスク。ブルーの爽やかな目元に反して芯の強そうな眉。歯を見せない笑い方。女性に対する立ち振る舞い。虚栄心も自惚れも無く淡々とこなされるエスコート。会話の内容も突っ込んだ事など一つも聞いては来ない。突き放す態度は取られてはいないが、別に興味は無いのだと言われているようだ。
ビオルテルダは美しく妖艶な美女だ。背は低くは無いが適度に筋肉の付いた健康的な白い肩を曝け出し、赤いピッタリとした豪華な刺繍のされたマーメイドドレスの中から長い手足が出ている。歩く度にスリットからチラリとカモシカの様な切れ上がったふくらはぎが見える。赤い薄いオーガンジーが首のチョーカーから胸下までを覆い、深い谷間が見えている。普通の男なら目を釘付けにするような装いだ。下品では無いが自分の美しさを体現出来るドレス。プラチナブロンドの髪を引き立たせるべく計算された刺繍。非は全く見当たらない。
だが、欲情を示す態度や言動は一切無かった。
部屋に誘ったが断られた。
薬入りの飲み物食べ物嫌味なく全て躱される。
指輪の針を刺そうにもこちらから触ろうとすればスッと手を取られ微笑まれる。まるで後ろに目が付いている様だ。
隣に座りしな垂れかかればスッと位置を変えられ腰を取られたかと思ったら他の男性に話し掛け、流れる様に立ち上がり男に手を取らせる。
10も下の歳の男に上手く扱われた悔しさが沸沸と沸き起こる一方で、堪らなく欲しくなった。
手に入れたい。
あの飄々とした顔を歪ませたい。
泣きながら許しを乞う姿を想像してビオルテルダは高揚する。
今まで手にして来た男達は皆一様に早々にして這いつくばり美しく白い整った自身の脚が履いている靴先を舐めて来た。
国に連れて帰り飼うのも有りかと思い始める。暫くは楽しめそうだ。
最後は新しいコレクションにしてしまえる。彼は美麗な顔をしている。一石二鳥、いや、計画が成功すれば一石三鳥。俄然楽しくなって来た。
そんな事を考えていた時、部屋に報告が来る。
蛇は失敗に終わったと。
腹を空かせた猛毒の蛇に鳥の匂いを染み込ませた油を少しずつ舐めさせ、夜会であの白い鳥を襲わせる手筈だったが、護衛に阻まれたようだ。全く使えない。いや、自分も成果は出していない。仕方が無い。もう直ぐ夜も深くなる。既に兵も待機済み。もう一度あの男を呼び出し拘束してからゆっくりと美しい貴族子息達を捕まえて回ろう。既に何人かは確保した。
ああ。早く綺麗な血にしなければ。
ビオルテルダは豪華な大粒の赤い宝石が付いた鞘を掴む。柄を持ちスラリと引き抜いた。細いが良く磨がれた刃が鈍くロウソクの明かりで光る。
それは自身の愛剣。
何百と言う男達の首を粛清と快楽の為に落として来た
白亜のレイピアだった。
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