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◇本編
64.
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「...............本当、女神様め!めちゃくちゃ足元見やがって。俺の純粋な「恋心」を選択肢にしやがった」
テオルドはブツブツ悪態を付きながらリリアからコートをゆっくりと剥がした。見慣れているはずなのに指先が震える。彼女はこの10年であまりに美しく育ってしまった。ここ数年本当楽しみで仕方なかった。
そっと頬に触れてみる。柔らかな肌の感触。グッと目の辺りが熱くなる。小さなピンクの唇に指先を当てる。暖かくて柔らかい。
「.........しょうがない。これが俺が選んだ選択肢なんだ。だが後悔はしないさ。これ以外手に入らないんだから」
テオルドはリリアを優しく抱き起こしその人の質量だけで喜びに惚けながらも閨着を着せて行く。柔らかくて暖かくて壊れそうな人の形をした愛しい鳥。
賢く、愛情深く、危険を顧みず俺を守ろうと命を投げ出す行動力と慈悲深さ。10年を掛けて見守り育てた女だ。人生の中でなによりも尊い。
諦め掛けた12歳の時、もう離さないと決めてしまったから。
今もまた失い掛けたが、何処かで必ず帰って来ると信じていた。
だが羽根が消えて行くそれを見た時、胸の中に怒りと悲しみが吹き出しそうになった。全てを壊してやろうかと思うほどに。
リリア。奇跡の俺の鳥。
やっとお前と抱き合える
やっとお前に愛を囁ける
やっとお前を引き留められる
さあ、早く目を覚ませリリア
お前の声を聞かせてくれ
お前の緑の瞳に俺を映してくれ
お前の柔らかい唇で.....名前を呼んでくれ
2人でこの10年を祝おう。
そしてこれからの約束をするんだ。
もう、どこにも行かないでくれ。
俺の腕の中で一生お前は眠るんだ。
俺の半身として.........
************
「参りましょう、ビオルテルダ様。屋根を伝って林へ出ます。この国に私の知り合いが居りますので秘密裏に匿ってもらいましょう」
「.........。」
「どうかされましたか?」
「ねえ、シャリル。無駄よ。貴方には見えないだろうけど私には良く見えるの。あの林の中は兵が一杯居るわ。動かないから待機してるのよ」
「成る程。では警備が少ない場所は.........」
「.........無いわ。凄いわね、あの子。兵を固まらせず前後に配置させてる。突破するには数が多いわね。直ぐ囲まれるわ。ねえ、それよりさっきの見た?樫のあの大木の所で白い女が浮いてたの」
「ええ。あれは何だったのでしょう.........」
「.........あれ、切り札になると思わない?」
「.........人質、ですか?」
「それもあるけど.........あの子の悲しみに歪んだ顔、見れるかも知れないわね。ふふ。先程屋敷の中で騒がしくなっていた二階の左端の客室辺り。あそこに居るのよ。もう少し様子を見ましょうか」
「屋根の上から解りましたか?私は.........」
「沢山の足音と振動がしていたわ。耳を着けてご覧なさい?目で見えなくても見えて来るから」
「.........貴方は凄い」
「勿論よ。私は死なないわ。任務はまだ終わって無いもの。ちゃんとついて来なさいよ?」
「.................お供致します」
テオルドはブツブツ悪態を付きながらリリアからコートをゆっくりと剥がした。見慣れているはずなのに指先が震える。彼女はこの10年であまりに美しく育ってしまった。ここ数年本当楽しみで仕方なかった。
そっと頬に触れてみる。柔らかな肌の感触。グッと目の辺りが熱くなる。小さなピンクの唇に指先を当てる。暖かくて柔らかい。
「.........しょうがない。これが俺が選んだ選択肢なんだ。だが後悔はしないさ。これ以外手に入らないんだから」
テオルドはリリアを優しく抱き起こしその人の質量だけで喜びに惚けながらも閨着を着せて行く。柔らかくて暖かくて壊れそうな人の形をした愛しい鳥。
賢く、愛情深く、危険を顧みず俺を守ろうと命を投げ出す行動力と慈悲深さ。10年を掛けて見守り育てた女だ。人生の中でなによりも尊い。
諦め掛けた12歳の時、もう離さないと決めてしまったから。
今もまた失い掛けたが、何処かで必ず帰って来ると信じていた。
だが羽根が消えて行くそれを見た時、胸の中に怒りと悲しみが吹き出しそうになった。全てを壊してやろうかと思うほどに。
リリア。奇跡の俺の鳥。
やっとお前と抱き合える
やっとお前に愛を囁ける
やっとお前を引き留められる
さあ、早く目を覚ませリリア
お前の声を聞かせてくれ
お前の緑の瞳に俺を映してくれ
お前の柔らかい唇で.....名前を呼んでくれ
2人でこの10年を祝おう。
そしてこれからの約束をするんだ。
もう、どこにも行かないでくれ。
俺の腕の中で一生お前は眠るんだ。
俺の半身として.........
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「参りましょう、ビオルテルダ様。屋根を伝って林へ出ます。この国に私の知り合いが居りますので秘密裏に匿ってもらいましょう」
「.........。」
「どうかされましたか?」
「ねえ、シャリル。無駄よ。貴方には見えないだろうけど私には良く見えるの。あの林の中は兵が一杯居るわ。動かないから待機してるのよ」
「成る程。では警備が少ない場所は.........」
「.........無いわ。凄いわね、あの子。兵を固まらせず前後に配置させてる。突破するには数が多いわね。直ぐ囲まれるわ。ねえ、それよりさっきの見た?樫のあの大木の所で白い女が浮いてたの」
「ええ。あれは何だったのでしょう.........」
「.........あれ、切り札になると思わない?」
「.........人質、ですか?」
「それもあるけど.........あの子の悲しみに歪んだ顔、見れるかも知れないわね。ふふ。先程屋敷の中で騒がしくなっていた二階の左端の客室辺り。あそこに居るのよ。もう少し様子を見ましょうか」
「屋根の上から解りましたか?私は.........」
「沢山の足音と振動がしていたわ。耳を着けてご覧なさい?目で見えなくても見えて来るから」
「.........貴方は凄い」
「勿論よ。私は死なないわ。任務はまだ終わって無いもの。ちゃんとついて来なさいよ?」
「.................お供致します」
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