愛した人は青空の瞳〜御使いシラサギと3つの選択〜

平川

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◇本編

95.

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「お久しぶり~~~~~~~~~~~!神託以来ね?」
「........えっと.........え?神託?女神様.........?これ夢の中ですか?」
「そうよー。あ、忘れてた。久しぶりじゃ無いわ。じゃあ、初めましてね?ちょっと何よー元気無いわね?ふふふっ!どう?今幸せ?幸せ?ねぇ、幸せ?」

「.........あ、はい」

「何よーー気に入らなかって事?私の白い娘は。私に似てとっても可愛くて綺麗で美しいでしょ?」
「あ、はい。リリアの事ですよね?似て.........るんですね?」
「あ、そうか!人間には私の姿見えないんだったわ。うっかりしちゃった」


 そこにあるのは唯の眩しい光。


「.........女神様。10年間、『御神託』の通りにして来ましたよ。満足ですか?」
「あらあら、まだまだこれからよ~~~~。この先も沢山の国から狙われるわよ?この国超一等地なんだもの。金銀の鉱山に宝石、肥沃な大地。快適な気候。自然災害も無く海にも山にも近い。最高よね?」
「人間の私に国を護らせるのは.........信仰が薄れているからですよね?貴方の御力は弱まっていると言う事ですか?」
「そうよ。人は過酷な境遇、環境であればある程信仰が強まる。この国を........幸せにし過ぎちゃった」

「.................」

「でもね、仕方ないの。この国は初めて私が創った国だったから。愛しくて仕方なかったの。ふふ」
「.................」
「でも、いつか終わりが来る事はわかってたわ。だから今度はこの国に生きる貴方達が自分で自分を護るの。貴方にその役を押し付けてごめんなさいね?だから二択にしたんだけど」
「あれは完全に一択でしたよ。人間の姿まで見せておいて。.........そうだ。聞いて良いですか?」
「ふふ。本当の姿を見せてあげただけよ。で、なぁに?」


「リリアは.........

 貴方の本当の娘ですね?」


「.................そうよ。言ってるじゃない。「私の白い娘」って」
「貴方が創り出した.........命ですか?」
「私の血と肉でお腹から産み出した娘よ?まあ、確かに他の命とは創り方は違うけど。凄く時間が掛かったわ。300年くらいかしら?生まれてからも上手く行かなくてね~。身体を変化させて、始めは蜂や蜘蛛の家族を作ったりして。カナブンと共同作業をさせたりシラサギのコロニーで生活させたり。色々やってみたけど中々魂が育たなくて。始めはヤキモキしたものよ。でも貴方の側で少しづつ適量の『悪気』を吸収し始めてからぐんぐん育つ様になった。しかも「好意」の感情まで芽生えて。怪我して帰って来た時これだ!って思ったわ。可愛い子には旅をさせるって本当ね~」
「.........色々間違えて無いか?て、言うか俺の所に落ちて来たのは偶然?」
「そうよー。まあ、肉片と魂さえ有れば何とでもなるから。唯、まだ弱くて直ぐ記憶は消えちゃうからあの日助けてくれて良かった。ありがとう」
「そうなんだ.........出逢いは偶然なのか。それは.........嬉しい。ふふっ。ああ、それと、『悪気』を吸収しているって.........払っているのではないのですか?」
「あの子は《聖》よ。『悪気』は単純に《悪》よね。悪を吸い上げ聖に変えることで更に天界での位が上がって行くわ。出来る事も増えて行く。貴方は《邪同化》の異能で『悪気』を吸い込んで強くなるでしょ?相反する存在同士よね。でも逆にそれが安定を生み出した。まあ、今はまだまだダメダメだけどいずれ女神になるでしょう。だって私の白い娘なんだもの。ふふ」
「.................本当、参った。俺の妻になる女は本物の女神候補だったとは.........」



「妻と言えばあの赤い子もそうよ」
「.........っは!?」
「10年前に出会っていれば、ね?」
「な.........いや、有り得ない.........」
「それは貴方が【覇王】を選ばなかったからよ。あの赤い子は『悪気』を常に放出する異能持ちなの。貴方とあの子が番えば.........全ての能力が上がる。最強よね?まあ、人では無くなるだろうけど」

「.................」

「沢山愛してあげてね?私の白い娘を《聖》にするにも《悪》にするにも.........貴方次第よ?【覇王】の魂を持つ者よ。まあ、あの子の「愛し方」自己犠牲が優ってて危なっかしいけど。貴方の強運の犠牲にしないでよ?.........あら?そろそろ時間かしら。じゃあ、私の白い娘を頼んだわよ?ふふ.........」
「.........はい、留め置きます、女神さ.........いや、お義母様」
「やだ!やめてよ!老けちゃうじゃない!」

「ははははっ」
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