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◇式前30日の記録
33.衝撃
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脚に力の入らないリリアを横抱きにしてソファにそのままドカリと座る。
「.........なんか、すまん。いきなり.........(勢い無いと何か上手く出来ない気がして)えっと.........どうしよう」
「.........お話.........して?」
「話か.........。あ、そうだ。今日の事で確認したい事があったんだった。(キスの仕方の事で頭一杯ですっかり忘れてた)朝のバラの花の所で蕾がポンポン開いたの覚えてるか?」
リリアはテオルドの胸の中で朝の事を思い出していた。
「うん。ビックリしたね?」
「あの時何考えてた?」
「ん?あの時?えっと.........確か.........プロポーズの話をしてて、後、屋根から飛び降りた時の話になって.........テオルドが.........笑って.........可愛いなって」
「ん?可愛い?」
「少年みたいに素直で可愛いなって」
「.................少年って.......」
「そしたらホワホワ幸せな気持ちになったよ」
「ふむ。じゃあ、小川での事は?俺がリリアの脚にキスしたら光って魚がデカくなったの、覚えてるか?その時はなんて思ったんだ?」
「んーと.........あの時は.........テオルドが.........カッコよくて。王子様みたいだなって思ってたら脚にキスしたから、わーーーってなった」
「やっぱりどちらも俺絡みか.........」
つまりリリアの《聖》の具現化はテオルドに対して何らかの驚きや感動が鍵になっている。
「ねぇ、どうしてそんな事聞くの?」
「.........あのさ、あれをやったのはリリアなんだよ。バラの花が急に開いたり、魚の稚魚が突然大きく育ったり。お前は気付いてないけど.........その.........実は.........」
「(女神から創られた女神の娘で次期女神、とか言って良いのか?喜ぶかな?それとも.........)」
「テオルド。ちゃんと言って?聞きたい。貴方は何を知ってるの?」
リリアの美しい顔がテオルドに向けられる。澄んだ緑色の瞳がテオルドの青空の瞳を捕らえて離さなかった。
「うっ.........(もう、リリアは綺麗だな。本当困る).........話す前に1つだけ言わせてくれ」
「うん?何?」
「.........お前が何者であろうと、俺は変わらないから」
「うん」
「離さないから」
「テオルド.........うん。ワタシも離れない」
「そっか。じゃあ、約束な?儚くなるその日まで側に居てくれ」
「ヤダー!」
「ええ!」
「死んじゃダメよ!」
「それは流石に無理だろ。いつかはだよ」
「女神様にお願いする!ダメならワタシも一緒に逝く!」
「.........きっとそれは、無理だ」
「何で?何で?一緒に.........」
「.................リリア。お前は.........女神の本当の娘だからだ」
「え?」
「おそらく一緒には逝けない。お前は天界に帰らないと.........」
「え?何?」
「.........お前は.........次期女神候補の正真正銘女神様の本当の娘なんだ。他の創り出された命とは違う。女神様が300年掛けて産み出した無二の存在。シラサギは仮の姿で、今のこの姿が本当の姿なんだ。.........俺は異能ではあるが唯の人だ。一緒には逝けない。そもそも女神なんだから.........死ぬ事は無いのかもな」
「? 何を言ってるの?」
「リリア.........君は.........女神になるんだ」
「.........っ!」
テオルドの頭は冷えていた。充分冷静だった。愛した人がたまたま女神候補だっただけだ。今すぐ成る訳でも無い。おそらく長い年月が必要だろう。もしかしたらテオルドが儚くなってからも長い間女神にはなれないのかも知れない。
テオルドの役目は生きている間、リリアを愛する事だともう解っている。餓死も悪神化もさせるつもりは無い。後はリリアがそれを受け入れ《聖》の具現化の力を操れるようになればそれで万事済む筈、そう思っていた。
だが、リリアは.........リリアの『愛し方』は
「イヤ!そんなのヤダーーーーーーーー!」
「え?」
『ボンッッ』
「え?」
「ゴァーーーーーーーー!」バサァッ
「ーーーーっ!?」
「ゴアゴァーーーゴァ....ゴ.....ゴァ?」
「リ.........リリア.........」
「ゴア?」
「う.........嘘だろ?」
「ゴアゴァ!!ーーーゴッ」
リリアの『愛し方』は命を懸けてテオルドを愛する自己犠牲愛。
そして共に逝けない事実はなにより彼女にとって耐えられない絶望。
あまりの衝撃に
「ゴアーーー.........」バサッバサァ
本人の意思とは関係無くシラサギに姿を変えてしまったリリアだった。
「.........なんか、すまん。いきなり.........(勢い無いと何か上手く出来ない気がして)えっと.........どうしよう」
「.........お話.........して?」
「話か.........。あ、そうだ。今日の事で確認したい事があったんだった。(キスの仕方の事で頭一杯ですっかり忘れてた)朝のバラの花の所で蕾がポンポン開いたの覚えてるか?」
リリアはテオルドの胸の中で朝の事を思い出していた。
「うん。ビックリしたね?」
「あの時何考えてた?」
「ん?あの時?えっと.........確か.........プロポーズの話をしてて、後、屋根から飛び降りた時の話になって.........テオルドが.........笑って.........可愛いなって」
「ん?可愛い?」
「少年みたいに素直で可愛いなって」
「.................少年って.......」
「そしたらホワホワ幸せな気持ちになったよ」
「ふむ。じゃあ、小川での事は?俺がリリアの脚にキスしたら光って魚がデカくなったの、覚えてるか?その時はなんて思ったんだ?」
「んーと.........あの時は.........テオルドが.........カッコよくて。王子様みたいだなって思ってたら脚にキスしたから、わーーーってなった」
「やっぱりどちらも俺絡みか.........」
つまりリリアの《聖》の具現化はテオルドに対して何らかの驚きや感動が鍵になっている。
「ねぇ、どうしてそんな事聞くの?」
「.........あのさ、あれをやったのはリリアなんだよ。バラの花が急に開いたり、魚の稚魚が突然大きく育ったり。お前は気付いてないけど.........その.........実は.........」
「(女神から創られた女神の娘で次期女神、とか言って良いのか?喜ぶかな?それとも.........)」
「テオルド。ちゃんと言って?聞きたい。貴方は何を知ってるの?」
リリアの美しい顔がテオルドに向けられる。澄んだ緑色の瞳がテオルドの青空の瞳を捕らえて離さなかった。
「うっ.........(もう、リリアは綺麗だな。本当困る).........話す前に1つだけ言わせてくれ」
「うん?何?」
「.........お前が何者であろうと、俺は変わらないから」
「うん」
「離さないから」
「テオルド.........うん。ワタシも離れない」
「そっか。じゃあ、約束な?儚くなるその日まで側に居てくれ」
「ヤダー!」
「ええ!」
「死んじゃダメよ!」
「それは流石に無理だろ。いつかはだよ」
「女神様にお願いする!ダメならワタシも一緒に逝く!」
「.........きっとそれは、無理だ」
「何で?何で?一緒に.........」
「.................リリア。お前は.........女神の本当の娘だからだ」
「え?」
「おそらく一緒には逝けない。お前は天界に帰らないと.........」
「え?何?」
「.........お前は.........次期女神候補の正真正銘女神様の本当の娘なんだ。他の創り出された命とは違う。女神様が300年掛けて産み出した無二の存在。シラサギは仮の姿で、今のこの姿が本当の姿なんだ。.........俺は異能ではあるが唯の人だ。一緒には逝けない。そもそも女神なんだから.........死ぬ事は無いのかもな」
「? 何を言ってるの?」
「リリア.........君は.........女神になるんだ」
「.........っ!」
テオルドの頭は冷えていた。充分冷静だった。愛した人がたまたま女神候補だっただけだ。今すぐ成る訳でも無い。おそらく長い年月が必要だろう。もしかしたらテオルドが儚くなってからも長い間女神にはなれないのかも知れない。
テオルドの役目は生きている間、リリアを愛する事だともう解っている。餓死も悪神化もさせるつもりは無い。後はリリアがそれを受け入れ《聖》の具現化の力を操れるようになればそれで万事済む筈、そう思っていた。
だが、リリアは.........リリアの『愛し方』は
「イヤ!そんなのヤダーーーーーーーー!」
「え?」
『ボンッッ』
「え?」
「ゴァーーーーーーーー!」バサァッ
「ーーーーっ!?」
「ゴアゴァーーーゴァ....ゴ.....ゴァ?」
「リ.........リリア.........」
「ゴア?」
「う.........嘘だろ?」
「ゴアゴァ!!ーーーゴッ」
リリアの『愛し方』は命を懸けてテオルドを愛する自己犠牲愛。
そして共に逝けない事実はなにより彼女にとって耐えられない絶望。
あまりの衝撃に
「ゴアーーー.........」バサッバサァ
本人の意思とは関係無くシラサギに姿を変えてしまったリリアだった。
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