未完】風神アウィンの受難〜全属性神族の番になれる愛妻は女神らしい。いや、俺のだからな?〜

平川

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第五章 「勝者」と「陰謀」

91.そんなの....無理だ!

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「あ、う......ん」
「どうやって?」
「..................」
「アウィン.........私.........何かしたのね?」
「君は.........サラだよな?」
「!」

「.........ああ.........サラ.........」

 彼女の光る身体を力無く抱き寄せる。

 女神になるのは構わない。でも.........サラで無くなるのだけは嫌だ。俺はその不安で胸が一杯になっていた。

「.........アウィン.........私天界に来てから、たまに記憶が無くなるの。ふとした瞬間に。気付いたら時間が経ってて.........」
「.........うん」
「その間に貴方を傷つけたの?私もしかして病気?」
「違うよ.........違う」
「.........き.........嫌いにならないで.........っアウィン.....側に居たいの.........アウィンと....一緒に.........う...っ.........家族になりたいよ」

 サラは.........俺のサラはそう言って震えて泣いた。
 彼女の願いは俺と家族になる事.........なんて小さくて、なんて困難な事なんだ。もっと簡単に考えてた。
 でも女神は........神だ。いくら俺が神族であろうと所詮は神の血を引く人間だ。だが神はそれ自体が力の根源。格が違うのだ.........。サラが本当の女神に覚醒したら.........人間であるサラの人格は.........消滅してもおかしく....ない。事実もう1人の人格が存在していた。過去世のルナでは無いのだ。あちらが女神の人格なら.........もう.........もうすぐ......サラが消える?

「はっ.........そんなの.....無理だ!........」

「! うぅ....わあん!ア...ウィン.........ごめんなさい!」
「.........ああ、違うよ。サラに言ったんじゃ無い。.........ちょっと違う事考えて.........」

 顔を上げしゃくり泣きながら俺を見つめるサラのオレンジが.........やっぱり可愛いくて。失くしたくなくて。今更どうにも出来ないし、番だから惹かれたけど好きになったのはそれじゃ無い、もう解ってる。

 そうだ。『サラ』だから愛してしまったんだ。彼女だから妻にしたかった。家族になりたかった。

「.........サラ.........愛してる」
「あ.........ああ.........」
「お前を愛してるよ、サラ」
「う、うん。アウィン.........私もずっとアウィンが大好き。愛してる.............うっうぅ...っ」
「これから何があろうと変わらないから。信じてな?いや、覚えてて欲しい。.........例え真の女神に覚醒しても.........ずっと.....お前だけだって、覚えてて.........」
「...ぐす......はい、アウィン。私は貴方の妻だもの。忘れたりしないわ。もし全てを忘れても貴方だけは思い出す。私が生きる理由は貴方なんだもの」
「サラ.........」

 俺とサラは口付けを交わす。深く、深く、溶け合う様に。
 番の匂いはしない。でもサラからはふと甘い飴の匂いがした。

 口の周りを赤く染めてカリカリカリカリ飴を齧っていた姿。
 ひよこまみれになりながらリンゴ突かれ涙目になってた。
 化粧室から飛び出して来て真っ赤な顔して俺の胸を叩いて怒って........

 全部.........可愛くて堪らない俺のサラ。


 お前を全てを掛けて愛してるよ。
 嘘.........偽り無く.........



********
 


 あの時

 落ちて来た命は愛の片割れ

 腹に入れる前に気になった

 いつも甘くて美味しかったから

 久しぶりに目を開けると

 白い子が.........泣いていたの

 くたびれてうずくまって泣いていたの

 したで包んで引き寄せたわ

 なにをそんなに泣いているのか

 甘い愛はどうしたのか

 もう喰べられないのか

 だからその子の頭を呑み込んだわ

 みてきたもの

 きいてきたもの

 やったこと

 されたこと

 全部知った

 するとね、なんだか気になりはじめたの

 こんなことはじめて

 だから.........

 少しだけ

 目を閉じないで見ていたの


 成る程


 起きてて.........良かった

 じゃあ、すこし



 であそぼうか









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