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【番外編】公爵令嬢の憂鬱 2
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背中にあたるふわふわの感触に、ここは天国?と思いながら目を覚ますと、見慣れた天井が視界に入って自分の部屋なのだと分かった。
『お嬢様!!』
もぞもぞと動いたことに気付いた専属の侍女が泣きながら駆け寄ってきて、その後すぐにお父様達を呼びに部屋を出ていく。
『……そうだ…確か、マクローラン様とのお茶会で倒れたんだっけ』
倒れるに至ったその理由を思い出してまた嘔吐いてしまい、ゲホゲホと咳き込んでいるところにお父様とお母様が来た。
『エマ!』
泣いているお母様に抱き締められて、その温かさに私まで泣けてきて…
『エマ……』
お父様は私の頭を優しく撫でてくれて、それがまた温かくて…尚更泣けてきた。
こんなに心配をかけて、私は何をしているんだろうか。次期公爵として頑張るなど、たかがひとつの恋がうまくいかないからと…情けない。
『お父様…お願いがあります』
『珍しいね、お願いだなんて。なんだい?エマの願いならなんでも叶えてあげるよ』
『私を次期公爵の立場から外してください』
私の言葉にお父様とお母様が驚いた顔をした。
でも、もう自分の心を傷付けたくない。
『ダメなんです』
『エマ…あなた何を……』
『お母様、ごめんなさい……私、お父様とお母様に孫を見せてあげることが…出来ません…』
マクローラン様以外の人となんていやだ。結婚できなくてもいい。でも仕方ないから他の人とだなんて考えられない。
『…っ、だから…っ…どうか分家の中から優秀な方を後継者として養子に迎えてください。私は…どこかの修道院に参ります』
『ダメよ!あなた一体何を言っているの?なぜそんなことを…修道院になんて行かせないわ!』
『そうだぞ、エマ。何もそんな…結婚したからと言って、必ず子が出来るとは限らない。結果として出来なかったなら、その時にエマが夫と相談して分家から養子を迎えればいい』
あぁ、勘違いをさせてしまった…そう思った。
『それではお相手の方に失礼ですわ。私は…妻としての務めが…そう言った行為が……どうしても出来ません…出来ないんです。想像しただけでも気分が悪くなって…だから…お父様達に孫を見せてあげることが出来ない…ごめんなさい…』
『エマ…そんな……』
『……どういうことだ?エマ…?まさか…誰かに嫌なことでもされたか?…誰だ?誰にされた!!』
『あなた、落ち着いて』
『落ち着いていられるか!まだ十五歳の娘がこんな…ここまで嫌がるなど他に理由があるか!?』
『違います!』
私の言葉足らずのせいで、大好きなお父様を悩ませてしまったことに苦しくなった。
『違うんです!そうじゃなくて…マクローラン様以外とは…無理なんです』
言いたくなかった。もしも言ってしまえば、お父様が権力でどうにかしてしまうかもしれないと分かっていたから、それだけは避けたくて。
『マクローラン?…まさか奴と……』
『何もありません!マクローラン様はいつだって紳士で…私が一方的にお慕いしていただけで…それに対しても、いつも丁寧にお断りされておりました。でも…ダメなんです…マクローラン様以外とって考えると…それだけで…っ』
『エマ!』
不意に考えてしまって嘔吐く私の背を、お母様が優しく擦ってくれて、情けない自分にまた泣けてきてしまった。
『っ……、申し訳ありません…でも…どうか…』
『それならマクローランと婚約を結ばせよう』
『なりません!無理に…無理に縛るような、そんなことしたくありません!私はすぐにでも修道院に参ります!それでもマクローラン様にご無理を強いると言うのなら、この場で自決致します!』
『エマ!やめて!!』
筆頭公爵家の令嬢として、いざと言うときには自決する覚悟を持つことも教育されており、枕元に忍ばせていた短剣を取り出し首元にあてた。
『お父様、お願いです…娘として最後の我儘にございます…どうか…どうかお聞き届けください』
本気だった。マクローラン様と結ばれないなら修道院で生涯神に仕え、マクローラン様に無理強いさせるなら命など惜しくない…と。
その思いを信じて欲しくて、短剣を持つ手に力を込めると痛みが走った。
『っ!!……マクローラン、入れ!』
『…え?』
お父様の言葉の意味が分からずきょとんとしてしまっていると、部屋の入り口からマクローラン様が姿を現した。
『え……どうして…』
『マクローランとの茶会で倒れたから、何かしら原因がこいつにもあると思って待機させていた』
『……そんな…マクローラン様は何も……』
迷惑をかけてしまった。
他の人に触られたくない、子など作りたくないからと我儘なことを考えたばかりに、誰よりも迷惑をかけたくなかった人に…
『…っ、ごめんなさい、また…貴方に迷惑を…』
もうダメだ…生きていることで迷惑をかけてしまう…もう死ぬしかない、そう思って、まだ首元にあてたままの短剣をグイッと引こうとした時…
『やめろ!!』
『いやぁっ!離して!もう生きていたくない!貴方に迷惑かけたくないの!離して!!』
『結婚しよう!』
『……な、なに…?…そん、なの…そんな…同情なんていらない…私は……私は…やだ!マクローラン様、血が!血が出てる!!』
『そんな事はどうでもいい!』
短剣を取り上げられた際、マクローラン様の掌をザックリと切ってしまった事に気付いてパニックになる私を、そんな事よりと言って落ち着かせようとしてくる。
『今日は、君と改めて話をしようと思っていたんだ。俺は仕事をするしか脳のない男で、嘗て…長年の婚約者にも愛想を尽かされたような男だ。でも、それでもずっと好意を寄せ続けてきてくれた君と、一度ちゃんと話をしようと思って…君を見舞いたいと公爵にお願いした』
真剣な面持ちで話すマクローラン様からお父様へと視線を移すと、なんとも言えない…困ったような、怒ったような顔をしていた。
『エマニエル嬢、俺は正直…恋だの愛だのを信じることが出来なかった。家同士の繋がりの為であっても縁があったのだからと思っていた相手には裏切られ、その後近付いてきたのは、明らかに俺の容姿や稼ぎ、財産に興味を持っているとしか思えない女性達ばかりで…辟易していた』
驚いた。でも少し考えれば分かることだ。これだけの容姿と収入がある人を、独身の令嬢達が放っておくわけがなくて…
『だからその…君もどうせ同じなのだろうと…自分で言うのもなんだけど…どうせ、俺の容姿に興味を持っているのだろうと…そう思っていた』
『そんなこと…』
『それに、君は一回りも年下だし…いつか俺よりも若くて気の合う男が現れたら、きっとそっちを選ぶだろうって…そうも思っていた』
カチンときた。
彼が婚約者に裏切られて傷付いたのは分かっているけれど、まるでそんな不実者と同列にされたような気がしたし、何より私の思いを舐めている。
『馬鹿にしないで!私の気持ちをなんだと思ってるんですの!?貴方に恋してから八年近く、貴方以外に好意を抱いた事など欠片もございません!
年が離れているからなんだって言うんです!それを言うなら私だって不安なんですよ!?知ってますか?貴方に付きまとう私に、貴方と同じ年頃の女性達が笑ってなんと言ってきたか。小娘、つるぺた、女としての魅力なし、相手にされるわけがない、その他もろもろ!だから努力しました!貴方に釣り合いたくて努力したんです!!胸はマッサージすると大きくなると聞いて毎日したし、太らないように運動もして、腰にくびれを作るためにお母様へ助言も求めたんです!それに!貴方以外と子を成すなど言語道断!死んだ方がマシだと言っているんです!短剣を返して!!』
ハァハァと息を切らしながら言い切って、さぁ返してと手を伸ばすと…抱き締められました。
『君からエスコートをしてほしいと言われた時、本当は頷きたかった。でも、それで君の将来を潰してしまうのが怖くて…いつかやっぱりあなたではないと言われるのが怖くて…頷けなかった』
『とんだヘタレですわ!』
『でも気になって仕方なくて…実はこっそり君のドレス姿を見に行った。白のドレスに…青と金の刺繍が施されているのを見て…もしかして俺の色なのかなって嬉しかった』
『貴方以外の色などお断りです!』
『そのあとから君が臥せっていると聞いて、心配で堪らなくなった。だけど俺が見舞う権利などはないと思っていたし…でもやっぱり心配で…半年経っても良くならないと聞いて、漸く君を失いたくないんだと覚悟ができた』
『…遅すぎですわ』
『君と再会したら、その覚悟を伝えようと思っていたんだ。だけど君は俺ではない別の人と結婚すると言った…遅すぎたんだと後悔したんだ。もっと早く君に応えていればって…そしたら君が倒れて…とても帰る気にはなれなくて…盗み聞きなんかしてごめん』
マクローラン様の抱えていた思いを抱き締められたまま聞いて、ハッと思い出す。
『マクローラン様!傷!治療しないと!』
『どうでもいい。それよりも、エマニエル嬢』
『は、はい』
抱き締められる腕が外されてちょっと寂しいななんて思ったら、真剣な眼差しで見据えられて思わず姿勢を正す。
『また改めてちゃんとした場を設けたいとは思っているけれど、今伝えたい』
『…はい』
『エマニエル・フォレスト公爵令嬢…どうか、俺と結婚してください』
夢だった。
いつか大好きなマクローラン様にプロポーズされて、お嫁さんになることが夢だった。
『はいっ!!大好き!!!』
『うわっ…と…危ないよ』
『愛してます!マクローラン様!』
『俺も……愛してる、大切にする』
ふたりの世界に浸っていたところにお父様の咳払いが響いて、治療の為にマクローラン様はお父様に引きずられていき、私も首の傷の治療を受けることに。
『ごめんなさい、お母様』
ガーゼがされた首元に手をあてるお母様の表情はとても悲しそうで、そうさせてしまった自分の行動を恥じた。
『……大好きなのね、マクローラン様が』
『はい』
『幸せにおなりなさい』
『はい…ありがとう、お母様』
それから一週間後、私とマクローラン様の婚約が正式に発表され、マクローラン様の公爵家婿入りも同時公表となった。
『お嬢様!!』
もぞもぞと動いたことに気付いた専属の侍女が泣きながら駆け寄ってきて、その後すぐにお父様達を呼びに部屋を出ていく。
『……そうだ…確か、マクローラン様とのお茶会で倒れたんだっけ』
倒れるに至ったその理由を思い出してまた嘔吐いてしまい、ゲホゲホと咳き込んでいるところにお父様とお母様が来た。
『エマ!』
泣いているお母様に抱き締められて、その温かさに私まで泣けてきて…
『エマ……』
お父様は私の頭を優しく撫でてくれて、それがまた温かくて…尚更泣けてきた。
こんなに心配をかけて、私は何をしているんだろうか。次期公爵として頑張るなど、たかがひとつの恋がうまくいかないからと…情けない。
『お父様…お願いがあります』
『珍しいね、お願いだなんて。なんだい?エマの願いならなんでも叶えてあげるよ』
『私を次期公爵の立場から外してください』
私の言葉にお父様とお母様が驚いた顔をした。
でも、もう自分の心を傷付けたくない。
『ダメなんです』
『エマ…あなた何を……』
『お母様、ごめんなさい……私、お父様とお母様に孫を見せてあげることが…出来ません…』
マクローラン様以外の人となんていやだ。結婚できなくてもいい。でも仕方ないから他の人とだなんて考えられない。
『…っ、だから…っ…どうか分家の中から優秀な方を後継者として養子に迎えてください。私は…どこかの修道院に参ります』
『ダメよ!あなた一体何を言っているの?なぜそんなことを…修道院になんて行かせないわ!』
『そうだぞ、エマ。何もそんな…結婚したからと言って、必ず子が出来るとは限らない。結果として出来なかったなら、その時にエマが夫と相談して分家から養子を迎えればいい』
あぁ、勘違いをさせてしまった…そう思った。
『それではお相手の方に失礼ですわ。私は…妻としての務めが…そう言った行為が……どうしても出来ません…出来ないんです。想像しただけでも気分が悪くなって…だから…お父様達に孫を見せてあげることが出来ない…ごめんなさい…』
『エマ…そんな……』
『……どういうことだ?エマ…?まさか…誰かに嫌なことでもされたか?…誰だ?誰にされた!!』
『あなた、落ち着いて』
『落ち着いていられるか!まだ十五歳の娘がこんな…ここまで嫌がるなど他に理由があるか!?』
『違います!』
私の言葉足らずのせいで、大好きなお父様を悩ませてしまったことに苦しくなった。
『違うんです!そうじゃなくて…マクローラン様以外とは…無理なんです』
言いたくなかった。もしも言ってしまえば、お父様が権力でどうにかしてしまうかもしれないと分かっていたから、それだけは避けたくて。
『マクローラン?…まさか奴と……』
『何もありません!マクローラン様はいつだって紳士で…私が一方的にお慕いしていただけで…それに対しても、いつも丁寧にお断りされておりました。でも…ダメなんです…マクローラン様以外とって考えると…それだけで…っ』
『エマ!』
不意に考えてしまって嘔吐く私の背を、お母様が優しく擦ってくれて、情けない自分にまた泣けてきてしまった。
『っ……、申し訳ありません…でも…どうか…』
『それならマクローランと婚約を結ばせよう』
『なりません!無理に…無理に縛るような、そんなことしたくありません!私はすぐにでも修道院に参ります!それでもマクローラン様にご無理を強いると言うのなら、この場で自決致します!』
『エマ!やめて!!』
筆頭公爵家の令嬢として、いざと言うときには自決する覚悟を持つことも教育されており、枕元に忍ばせていた短剣を取り出し首元にあてた。
『お父様、お願いです…娘として最後の我儘にございます…どうか…どうかお聞き届けください』
本気だった。マクローラン様と結ばれないなら修道院で生涯神に仕え、マクローラン様に無理強いさせるなら命など惜しくない…と。
その思いを信じて欲しくて、短剣を持つ手に力を込めると痛みが走った。
『っ!!……マクローラン、入れ!』
『…え?』
お父様の言葉の意味が分からずきょとんとしてしまっていると、部屋の入り口からマクローラン様が姿を現した。
『え……どうして…』
『マクローランとの茶会で倒れたから、何かしら原因がこいつにもあると思って待機させていた』
『……そんな…マクローラン様は何も……』
迷惑をかけてしまった。
他の人に触られたくない、子など作りたくないからと我儘なことを考えたばかりに、誰よりも迷惑をかけたくなかった人に…
『…っ、ごめんなさい、また…貴方に迷惑を…』
もうダメだ…生きていることで迷惑をかけてしまう…もう死ぬしかない、そう思って、まだ首元にあてたままの短剣をグイッと引こうとした時…
『やめろ!!』
『いやぁっ!離して!もう生きていたくない!貴方に迷惑かけたくないの!離して!!』
『結婚しよう!』
『……な、なに…?…そん、なの…そんな…同情なんていらない…私は……私は…やだ!マクローラン様、血が!血が出てる!!』
『そんな事はどうでもいい!』
短剣を取り上げられた際、マクローラン様の掌をザックリと切ってしまった事に気付いてパニックになる私を、そんな事よりと言って落ち着かせようとしてくる。
『今日は、君と改めて話をしようと思っていたんだ。俺は仕事をするしか脳のない男で、嘗て…長年の婚約者にも愛想を尽かされたような男だ。でも、それでもずっと好意を寄せ続けてきてくれた君と、一度ちゃんと話をしようと思って…君を見舞いたいと公爵にお願いした』
真剣な面持ちで話すマクローラン様からお父様へと視線を移すと、なんとも言えない…困ったような、怒ったような顔をしていた。
『エマニエル嬢、俺は正直…恋だの愛だのを信じることが出来なかった。家同士の繋がりの為であっても縁があったのだからと思っていた相手には裏切られ、その後近付いてきたのは、明らかに俺の容姿や稼ぎ、財産に興味を持っているとしか思えない女性達ばかりで…辟易していた』
驚いた。でも少し考えれば分かることだ。これだけの容姿と収入がある人を、独身の令嬢達が放っておくわけがなくて…
『だからその…君もどうせ同じなのだろうと…自分で言うのもなんだけど…どうせ、俺の容姿に興味を持っているのだろうと…そう思っていた』
『そんなこと…』
『それに、君は一回りも年下だし…いつか俺よりも若くて気の合う男が現れたら、きっとそっちを選ぶだろうって…そうも思っていた』
カチンときた。
彼が婚約者に裏切られて傷付いたのは分かっているけれど、まるでそんな不実者と同列にされたような気がしたし、何より私の思いを舐めている。
『馬鹿にしないで!私の気持ちをなんだと思ってるんですの!?貴方に恋してから八年近く、貴方以外に好意を抱いた事など欠片もございません!
年が離れているからなんだって言うんです!それを言うなら私だって不安なんですよ!?知ってますか?貴方に付きまとう私に、貴方と同じ年頃の女性達が笑ってなんと言ってきたか。小娘、つるぺた、女としての魅力なし、相手にされるわけがない、その他もろもろ!だから努力しました!貴方に釣り合いたくて努力したんです!!胸はマッサージすると大きくなると聞いて毎日したし、太らないように運動もして、腰にくびれを作るためにお母様へ助言も求めたんです!それに!貴方以外と子を成すなど言語道断!死んだ方がマシだと言っているんです!短剣を返して!!』
ハァハァと息を切らしながら言い切って、さぁ返してと手を伸ばすと…抱き締められました。
『君からエスコートをしてほしいと言われた時、本当は頷きたかった。でも、それで君の将来を潰してしまうのが怖くて…いつかやっぱりあなたではないと言われるのが怖くて…頷けなかった』
『とんだヘタレですわ!』
『でも気になって仕方なくて…実はこっそり君のドレス姿を見に行った。白のドレスに…青と金の刺繍が施されているのを見て…もしかして俺の色なのかなって嬉しかった』
『貴方以外の色などお断りです!』
『そのあとから君が臥せっていると聞いて、心配で堪らなくなった。だけど俺が見舞う権利などはないと思っていたし…でもやっぱり心配で…半年経っても良くならないと聞いて、漸く君を失いたくないんだと覚悟ができた』
『…遅すぎですわ』
『君と再会したら、その覚悟を伝えようと思っていたんだ。だけど君は俺ではない別の人と結婚すると言った…遅すぎたんだと後悔したんだ。もっと早く君に応えていればって…そしたら君が倒れて…とても帰る気にはなれなくて…盗み聞きなんかしてごめん』
マクローラン様の抱えていた思いを抱き締められたまま聞いて、ハッと思い出す。
『マクローラン様!傷!治療しないと!』
『どうでもいい。それよりも、エマニエル嬢』
『は、はい』
抱き締められる腕が外されてちょっと寂しいななんて思ったら、真剣な眼差しで見据えられて思わず姿勢を正す。
『また改めてちゃんとした場を設けたいとは思っているけれど、今伝えたい』
『…はい』
『エマニエル・フォレスト公爵令嬢…どうか、俺と結婚してください』
夢だった。
いつか大好きなマクローラン様にプロポーズされて、お嫁さんになることが夢だった。
『はいっ!!大好き!!!』
『うわっ…と…危ないよ』
『愛してます!マクローラン様!』
『俺も……愛してる、大切にする』
ふたりの世界に浸っていたところにお父様の咳払いが響いて、治療の為にマクローラン様はお父様に引きずられていき、私も首の傷の治療を受けることに。
『ごめんなさい、お母様』
ガーゼがされた首元に手をあてるお母様の表情はとても悲しそうで、そうさせてしまった自分の行動を恥じた。
『……大好きなのね、マクローラン様が』
『はい』
『幸せにおなりなさい』
『はい…ありがとう、お母様』
それから一週間後、私とマクローラン様の婚約が正式に発表され、マクローラン様の公爵家婿入りも同時公表となった。
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