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溺愛夢中
エドワードの浮気?
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ジャクソンは今、どこぞの家政婦ばりに扉の隙間から覗き見える光景に釘付けとなっている。
「違う、こう動くんだ」
「そう言われても…あ゛あ゛!もういやだ!」
屋敷内のダンスホールで、父エドワードが母ではない女性と踊っている。
その事が信じられず、ジャクソンの頭は大混乱。
そして少しショックを受けている。
「ほら、もう一度初めからやるぞ」
「いやだ!もう疲れた!」
「ミシェル、我が儘を言うな」
逃げようとする女性の腰を抱き寄せて、また踊り出す。
その光景を扉の隙間から覗いているジャクソンは、今にも泣き出しそうな顔。
「どうして?どうして母さまじゃない人と踊っているの?どうして何度も踊るの?」
「ジャクソン?何してるの?」
「母さま!」
「何か見ているの?……あら」
「母さま!違います!あっ、待って母さま!」
まさかのカロリーナ登場に、焦って誤魔化そうとしたジャクソンだが時すでに遅し。
扉を開けて、中へ入っていってしまった。
大変なことになる!
そう思ったジャクソンは、カロリーナの後を追う。
「母さま!」
「エディ…そろそろ宜しいんじゃなくて?」
「え?母さま?」
カロリーナの呆れたような物言いに、何がなんだか分からないジャクソン。
てっきり泣くか怒るかすると思った。
「カロリーナ!なんとかしてよ!」
「ミシェルがいつまでも上達しないからだ」
「ミシェルって言うな!マイケルだ!」
「あら、とても可愛らしいのに」
カロリーナまでも一緒に話を始めてしまい、ジャクソンはもうパニックと怒りを隠しきれない。
「父さま!どういうことです!?どうして母さまではない女性と踊っているんですか!?」
ぷりぷりと怒り出した息子に、父ではなくミシェル改めマイケルが屈んで話し出した。
「はじめまして、ジャクソン。俺はマイケルだ」
「おっ……おれ?」
先程までよりぐっと低い声で自己紹介をされて、ジャクソンの頭にはさらに疑問符が浮かんでいく。
「俺は男だよ。こんな格好してるけどな」
「えっと……女の人の服を着るのが…好き?」
「違うって!仕事!仕事で仕方なく!」
「……お仕事?」
訝しげな目をするジャクソンに、決して趣味ではないと言い訳をする。
「女の振りしなきゃならない仕事があるんだよ。しかも踊らなくちゃいけないってんだから…もういやだ!エドワード、お前がやれ!」
「声色まで変えて変装できるのはお前くらいだ。諦めてしっかり働いてこい」
女装して潜入捜査を行う役目を拝命されたマイケル。
見た目はともかく、女の踊りなど出来ないから無理だと訴えたところ、習えばいいと言われてしまい今に至ったのだ。
「いくらマイケルでも疲れたでしょ?軽食を用意したから少し休憩しましょう」
「ありがとう!」
「カロリーナに触るな」
どさくさに紛れて抱きつこうとしたが、エドワードの腕の中にあっさりと囲われてしまった。
「なんだよ、ケチだな。声変えればいいのか?ほら…んんっ……カロリーナ、私と踊らない?」
「まぁ、お上手」
「消されたいのか?マイケル」
カロリーナに関しては冗談が通じないエドワード。
例え友人であっても容赦はしない。
「冗談だってば。ごめんごめん」
「ふんっ」
「ねぇ、エドワード。あなたも疲れてる?」
「いや、大丈夫だよ。どうして?」
「私も少し踊りたいの」
「君の願いならいくらでも」
カロリーナお気に入りのワルツが流れ始め、優雅に踊りながらふたりの世界に入る。
「少し嫉妬してしまったわ」
「マイケルに?」
「ミシェルに」
「今日だけ許して、愛しのカロリーナ」
「…なんだか夫が浮気しているみたい…」
相手が本物の女性なら、例え王命だとしても決して許諾しないエドワード。
そして、世界屈指の魔力持ちに国を滅ぼされないよう、そんな事は決して命じない王家。
敵にするより味方でいてほしい。
「…今すぐマイケルを帰す」
カロリーナを傷付けてしまったと内心焦りまくりのエドワードは、すぐにマイケルを帰そうと提案するも愛妻に却下される。
「いいの…ミシェルはマイケルだもの」
「君を傷付けてまでやることじゃない」
「違うの…大丈夫、マイケルだって分かってる」
「カロリーナ…」
なぜか頬を染めて胸にすり寄る愛妻を「可愛い…抱きたい」と思いながら窺っていると、大好物の上目遣いで見上げてきた。
「エディ…エドワード」
「なんだい…カロリーナ」
「踊りの練習が終わったら…ふたりになれる?」
「すぐにでも」
「もうっ…お仕事の為なんだから、それはちゃんとやってほしいの。終わってからでいいから…」
「すぐに習得させる」
夫が女性と踊ることに嫉妬をして、昼間から愛し合いたいと言う愛妻。
そんなカロリーナからの誘いとあっては、何よりも優先したい。
「いいの…ゆっくり仕上げてあげて。私もゆっくり湯浴みしたいし。とてもいい香りの香油をいただいたのよ」
「分かった…楽しみにしておくよ」
すでに始まりそうな雰囲気のふたりを、軽食を摂りながら眺めるマイケルとジャクソン。
「なぁ…俺、もう帰った方がよくない?」
「いえ、母さまにも準備がありますから」
父と部屋に籠る前の母が、いつも湯浴みをして準備しているのを知っている息子。
そして昼間から籠ってしまうと、大抵は翌朝まで顔を見ることはない。
今も踊りそっちのけで熱く口付けを交わしている。
「ジャクソンも大変だな…兄弟多くなるぞ」
「賑やかでいいじゃないですか。大歓迎です」
6歳になったジャクソンには、4歳の妹エレナ、2歳の弟オリバーがいるが、そろそろ新しい兄弟が増えるような気がしている。
「マイケル、休憩は終わりだ。さっさと覚えろ」
長い口付けを終わらせたエドワードに引きずられ、地獄の特訓が始まった。
◆ ◆ ◆
「カロリーナ…いい香り」
「そうでしょう?お茶会でいただいたの。これをつけると夫婦仲も良くなるって言われて…エディ?」
「リーナ…これ、媚薬入りだ…しかもかなり強い」
魔力を駆使して毒や媚薬の類いを遮断し、一切効かないはずのエドワードの目が明らかに影響を受けていることを表している。
「え、媚薬?でも…」
「遮断を解いた…リーナ…もっと嗅がせて…」
「え、あの、、っ、」
図らずも夫が媚薬に冒される状態となり、一体どうなってしまうのか…カロリーナは胸が早鐘を打つのを抑えられない。
もちろん、期待をして。
「カロリーナ…朝まで…いや、明日も一日中部屋に籠って愛し合おう…愛し合いたい…」
「エディ…」
ずくりと下腹部が疼く。
どれだけの精を流し込まれるのだろうか…
三人目の授乳が思いの外長引いた為か、なかなか四人目の懐妊とならないでいる。
そろそろ…と思いながらも、妊娠中には出来ない激しい交わりをもう少し続けたいと互いに思うふたり。
「カロリーナ…手をそこについて…早く…」
「…エディ…」
ドロリと欲情した夫の目に従い、促されるままに部屋の扉に手をつく。
「カロリーナ…そのまま…」
「あの…きゃっ、、」
「素敵だよ、とても美味しそうだ…」
薄い生地の部屋着をバサッと捲り、露になった尻を撫でながら、屈んで唇を這わせ口付ける。
「カロリーナ…もうこんなに濡らしてる…」
「やっ、、エディ…ベッドへ…っ」
既に濡れて潤っている秘部に後ろから指を這わされ、その快感に耐えきれなくなったカロリーナは場所を変えようと提案するが、夫は聞き入れない。
「ダメだよ…それに、あまり声を出しちゃいけないよ」
「……えっ…あっ、、なんで…っ」
「媚薬でうまくコントロール出来ないから、防音をかけられないんだ…恥ずかしいだろう?だから我慢するんだよ…っ」
「やぁっ…っ、、あ…っ、、ん、、」
言い終わると同時に奥まで突き入れられ、反射的に高い嬌声をあげたが必死で抑える。
その様子を見て口角をあげるエドワード。
媚薬でコントロール出来ないなんて、愛妻の羞恥を煽りたいだけの嘘。
実際はしっかり防音済みである。
だが、せっかくなのだからと媚薬の効能は体に取り込むチートっぷり。
「さぁ…愛し合おう、カロリーナ…っ」
ふたりが部屋から出てきたのは、二日後の朝だった。
「違う、こう動くんだ」
「そう言われても…あ゛あ゛!もういやだ!」
屋敷内のダンスホールで、父エドワードが母ではない女性と踊っている。
その事が信じられず、ジャクソンの頭は大混乱。
そして少しショックを受けている。
「ほら、もう一度初めからやるぞ」
「いやだ!もう疲れた!」
「ミシェル、我が儘を言うな」
逃げようとする女性の腰を抱き寄せて、また踊り出す。
その光景を扉の隙間から覗いているジャクソンは、今にも泣き出しそうな顔。
「どうして?どうして母さまじゃない人と踊っているの?どうして何度も踊るの?」
「ジャクソン?何してるの?」
「母さま!」
「何か見ているの?……あら」
「母さま!違います!あっ、待って母さま!」
まさかのカロリーナ登場に、焦って誤魔化そうとしたジャクソンだが時すでに遅し。
扉を開けて、中へ入っていってしまった。
大変なことになる!
そう思ったジャクソンは、カロリーナの後を追う。
「母さま!」
「エディ…そろそろ宜しいんじゃなくて?」
「え?母さま?」
カロリーナの呆れたような物言いに、何がなんだか分からないジャクソン。
てっきり泣くか怒るかすると思った。
「カロリーナ!なんとかしてよ!」
「ミシェルがいつまでも上達しないからだ」
「ミシェルって言うな!マイケルだ!」
「あら、とても可愛らしいのに」
カロリーナまでも一緒に話を始めてしまい、ジャクソンはもうパニックと怒りを隠しきれない。
「父さま!どういうことです!?どうして母さまではない女性と踊っているんですか!?」
ぷりぷりと怒り出した息子に、父ではなくミシェル改めマイケルが屈んで話し出した。
「はじめまして、ジャクソン。俺はマイケルだ」
「おっ……おれ?」
先程までよりぐっと低い声で自己紹介をされて、ジャクソンの頭にはさらに疑問符が浮かんでいく。
「俺は男だよ。こんな格好してるけどな」
「えっと……女の人の服を着るのが…好き?」
「違うって!仕事!仕事で仕方なく!」
「……お仕事?」
訝しげな目をするジャクソンに、決して趣味ではないと言い訳をする。
「女の振りしなきゃならない仕事があるんだよ。しかも踊らなくちゃいけないってんだから…もういやだ!エドワード、お前がやれ!」
「声色まで変えて変装できるのはお前くらいだ。諦めてしっかり働いてこい」
女装して潜入捜査を行う役目を拝命されたマイケル。
見た目はともかく、女の踊りなど出来ないから無理だと訴えたところ、習えばいいと言われてしまい今に至ったのだ。
「いくらマイケルでも疲れたでしょ?軽食を用意したから少し休憩しましょう」
「ありがとう!」
「カロリーナに触るな」
どさくさに紛れて抱きつこうとしたが、エドワードの腕の中にあっさりと囲われてしまった。
「なんだよ、ケチだな。声変えればいいのか?ほら…んんっ……カロリーナ、私と踊らない?」
「まぁ、お上手」
「消されたいのか?マイケル」
カロリーナに関しては冗談が通じないエドワード。
例え友人であっても容赦はしない。
「冗談だってば。ごめんごめん」
「ふんっ」
「ねぇ、エドワード。あなたも疲れてる?」
「いや、大丈夫だよ。どうして?」
「私も少し踊りたいの」
「君の願いならいくらでも」
カロリーナお気に入りのワルツが流れ始め、優雅に踊りながらふたりの世界に入る。
「少し嫉妬してしまったわ」
「マイケルに?」
「ミシェルに」
「今日だけ許して、愛しのカロリーナ」
「…なんだか夫が浮気しているみたい…」
相手が本物の女性なら、例え王命だとしても決して許諾しないエドワード。
そして、世界屈指の魔力持ちに国を滅ぼされないよう、そんな事は決して命じない王家。
敵にするより味方でいてほしい。
「…今すぐマイケルを帰す」
カロリーナを傷付けてしまったと内心焦りまくりのエドワードは、すぐにマイケルを帰そうと提案するも愛妻に却下される。
「いいの…ミシェルはマイケルだもの」
「君を傷付けてまでやることじゃない」
「違うの…大丈夫、マイケルだって分かってる」
「カロリーナ…」
なぜか頬を染めて胸にすり寄る愛妻を「可愛い…抱きたい」と思いながら窺っていると、大好物の上目遣いで見上げてきた。
「エディ…エドワード」
「なんだい…カロリーナ」
「踊りの練習が終わったら…ふたりになれる?」
「すぐにでも」
「もうっ…お仕事の為なんだから、それはちゃんとやってほしいの。終わってからでいいから…」
「すぐに習得させる」
夫が女性と踊ることに嫉妬をして、昼間から愛し合いたいと言う愛妻。
そんなカロリーナからの誘いとあっては、何よりも優先したい。
「いいの…ゆっくり仕上げてあげて。私もゆっくり湯浴みしたいし。とてもいい香りの香油をいただいたのよ」
「分かった…楽しみにしておくよ」
すでに始まりそうな雰囲気のふたりを、軽食を摂りながら眺めるマイケルとジャクソン。
「なぁ…俺、もう帰った方がよくない?」
「いえ、母さまにも準備がありますから」
父と部屋に籠る前の母が、いつも湯浴みをして準備しているのを知っている息子。
そして昼間から籠ってしまうと、大抵は翌朝まで顔を見ることはない。
今も踊りそっちのけで熱く口付けを交わしている。
「ジャクソンも大変だな…兄弟多くなるぞ」
「賑やかでいいじゃないですか。大歓迎です」
6歳になったジャクソンには、4歳の妹エレナ、2歳の弟オリバーがいるが、そろそろ新しい兄弟が増えるような気がしている。
「マイケル、休憩は終わりだ。さっさと覚えろ」
長い口付けを終わらせたエドワードに引きずられ、地獄の特訓が始まった。
◆ ◆ ◆
「カロリーナ…いい香り」
「そうでしょう?お茶会でいただいたの。これをつけると夫婦仲も良くなるって言われて…エディ?」
「リーナ…これ、媚薬入りだ…しかもかなり強い」
魔力を駆使して毒や媚薬の類いを遮断し、一切効かないはずのエドワードの目が明らかに影響を受けていることを表している。
「え、媚薬?でも…」
「遮断を解いた…リーナ…もっと嗅がせて…」
「え、あの、、っ、」
図らずも夫が媚薬に冒される状態となり、一体どうなってしまうのか…カロリーナは胸が早鐘を打つのを抑えられない。
もちろん、期待をして。
「カロリーナ…朝まで…いや、明日も一日中部屋に籠って愛し合おう…愛し合いたい…」
「エディ…」
ずくりと下腹部が疼く。
どれだけの精を流し込まれるのだろうか…
三人目の授乳が思いの外長引いた為か、なかなか四人目の懐妊とならないでいる。
そろそろ…と思いながらも、妊娠中には出来ない激しい交わりをもう少し続けたいと互いに思うふたり。
「カロリーナ…手をそこについて…早く…」
「…エディ…」
ドロリと欲情した夫の目に従い、促されるままに部屋の扉に手をつく。
「カロリーナ…そのまま…」
「あの…きゃっ、、」
「素敵だよ、とても美味しそうだ…」
薄い生地の部屋着をバサッと捲り、露になった尻を撫でながら、屈んで唇を這わせ口付ける。
「カロリーナ…もうこんなに濡らしてる…」
「やっ、、エディ…ベッドへ…っ」
既に濡れて潤っている秘部に後ろから指を這わされ、その快感に耐えきれなくなったカロリーナは場所を変えようと提案するが、夫は聞き入れない。
「ダメだよ…それに、あまり声を出しちゃいけないよ」
「……えっ…あっ、、なんで…っ」
「媚薬でうまくコントロール出来ないから、防音をかけられないんだ…恥ずかしいだろう?だから我慢するんだよ…っ」
「やぁっ…っ、、あ…っ、、ん、、」
言い終わると同時に奥まで突き入れられ、反射的に高い嬌声をあげたが必死で抑える。
その様子を見て口角をあげるエドワード。
媚薬でコントロール出来ないなんて、愛妻の羞恥を煽りたいだけの嘘。
実際はしっかり防音済みである。
だが、せっかくなのだからと媚薬の効能は体に取り込むチートっぷり。
「さぁ…愛し合おう、カロリーナ…っ」
ふたりが部屋から出てきたのは、二日後の朝だった。
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