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集え!華やかな世界!!…の裏方達
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かつて私がワクテカしながら日々働いていたお店はとてもきらびやかで、大きなシャンデリアや天井まである高級ボトル棚があった。
お客様をお迎えする席は高級革張りのもので…素肌があたるとヒヤッとしたっけ。
そのせいもあり、極ミニドレスを着ている時なんかは太股の接触面積を極力減らしたくてやたら浅く座ったりして、そのおかげかいい筋トレになっていたのはいい思い出。
さて。
この世界には革張りなどなく、あるのは上質で極上な手触りがする布張り…うん、染みがついたら最悪だわ。
「ねぇ、エルザ。この前の面接者の中に染み抜きが得意そうな人っていたかしら?」
「染み抜きでございますか?確か…こちらのご令嬢は石鹸や洗剤を特産として手掛けるシャボン領の出身ですし、ご実家は…平民ですが老舗の洗濯屋のようですね」
「シャボン出身…あぁ、栗毛の小動物みたいな子のことね?確か名前はリエル。裏方希望だったけれど、王都に来てまで実家と同じ仕事をしてくれるかしら」
「身辺調査報告書によれば、老舗ではあるもののここ数年はかなり売上を落としているようで、生活も苦しいみたいです」
「なるほど…だから王都に出稼ぎに出たのね」
面接では、第一印象の見た目や人柄…会話スキルと希望職種(表か裏か)をざっくり聞き出しただけに留めた。
中には口に出せない事情を抱えている子もいるだろうし、どちらにせよ候補は調査するし。
「リエルは再度面接するわ」
私のお店は裏方もなかなかの厚待遇だから、今回の募集でもかなりの応募数となっていた。
そして、再度面接を受けることになった子には初回分と合わせて交通費を渡すことになっている。
その上、採用となれば準備中の待機期間も割安ながら給与保証するとあって、早急にお金を必要とする者にはうってつけだ。
「リエルが受け入れてくれるなら、彼女を軸に何人か補助を選出しましょう」
裏方希望者の中には、かつて貴族のお屋敷で洗濯係を担当していた者もいる。彼女達はいわゆるプロでもあるから、そこに専門的知識と道具を与えてくれるリエルが加われば最強だわ。
「軽食も提供されますし、ナフキンやクロスも膨大な量になることが予想されますしね」
「えぇ」
店内でもそれなりの食事を提供出来るようにするけれど、ゆくゆくは市街の店舗と協力して同伴やアフターも浸透させていきたい。
「その為にも、洗濯場は一番日当たりのいい場所にしてもらわなくちゃね」
比較的晴れの日が多いこの国なら、そう時間もかからずパリッと干せると思うわ。
「クロスやシーツが風になびく光景、早くこの目で見たいわぁ」
「そんなこと仰るご令嬢は、世界広しと言えどお嬢様くらいかと思います」
「あらそう?」
まぁ、そんなものかもしれないわね。
「さて、お次は店内清掃か…」
「こちらのご令嬢など如何でしょうか」
さすがエルザ。私が何を欲するかの先読みが、いつにも増して研ぎ澄まされているわね。
「クリナップ領のハイジ…没落した貴族のご令嬢なのね。確かこの領地って……」
「お嬢様がご推察されます通り、国境沿いで異国の商品を多く取り扱う大商会のある領地です。なかなか珍しい日用品などもある事から、王都で贔屓にしている者も多いようですね」
「……私は貴女の知識量にビックリよ」
「お嬢様の人生をかけた事業でございますので、出入りする者は子猫一匹とてその出自を調べ尽くしますわ」
「……子猫、見かけたら教えてね」
クリナップ領のフラピング男爵…と言えば、質の良い羽毛で作られた毛ばたきを手掛けていたわよね。わりと流通があったはずなのに、没落?
「フラピング男爵家は、当主が少し前から体調を崩してあまり現場に出なくなり、その頃から経理を任されていた者が横領を働いていたそうです」
「なるほど…」
「そのせいで資金繰りが悪化の一途を辿り、立ち行かなくなったとされています。ただ、代々受け継がれてきた爵位ですので…王家の一時預かりという形を取っておられるそうです」
「……王妃様、フラピング男爵の手掛ける毛ばたきをコレクションされているものね」
元は真っ白な羽毛に様々な色を付けたものが人気を博し、王妃様の私室には本来の役目を遂げることのない多数の毛ばたきが陳列されている。
「エルザ……資金と時間はどのくらいあれば復興させられるかしら」
あの毛ばたきは、確かに飾るだけでも目を引く逸品と言えるわ。それに加え、驚くほど繊細に埃を除去する高い実用性もある。
「納品までを見据えますと期間は三ヶ月もあれば充分かと思われます。資金は…そうですね、五千万キャルといったところでしょうか」
「……貴女って本当に侍女?」
「お褒めに預かり光栄でございます」
「じゃぁ、書類を纏めてハイジから話をつけてもらいましょう。フラピング男爵家は一家総出で家業に勤しむ家系だから、手入れは任せられるし」
「商会とも懇意にしていますから、その他の用具も多種多様なものを仕入れられますわね」
「……楽しそうね、エルザ」
あとで珍品逸品を揃えてあげようかしら。
「さてさて……」
「設備修復であれば、こちらの者が」
……もう何も言うまい。
「えっと…あら?この人って……」
「店舗建設の指揮補佐を務めております」
「ファシリティ伯爵家の三男で、貴族子息にしてはキャリアが長い事に驚いた覚えがあるわ」
「三男となりますれば、ゆくゆくは独立が求められますからね。確かに早い方ではありますが」
なかなかに聡明で賢いと評判のファシリティ伯爵家三男カーティス。学問の分野でも高い成績をあげているのに、趣味の建築に没頭していると噂には聞いていたけれど…まさか七歳から弟子入りしていたとは思わなかった。齢二十五歳でキャリア十八年!私の年齢じゃないの!!
「………………………なぁに?ロベルト」
感心して書類を眺めていたら、物凄く熱い…むしろ痛い視線を感じた。犯人はひとりだ。
「いえ…特に」
「凄いなぁ…って思っていただけよ」
「…………俺だって努力しています」
「そうね、いつもありがとう」
ニコッと笑顔を見せたのに、ロベルトはジト目でぶすっとしたままだった。
同じ貴族の三男だものね。
もっと妬いてくれていいのよ?うふふ。
「表舞台に顔を出す給仕は、やはり男性のみに致しますか?」
エルザがチラリと視線を流したけれど、ちゃんと分かってるわよ?斜め後ろからビシバシあっつい視線が飛んできてるから。
「給仕は男性のみにしたいわ。お酒を提供するわけだし、お店に対してもだけれど何より女の子の身の安全を第一にしたいから」
「では、執事科を出たこちらの者達を候補になさると宜しいかと」
「執事科なら剣術や体術の嗜みも求められるものね、なかなかいい人材だわ」
「纏め役となる者は、個人的にこの者をお薦めしたく……」
「エルザのお薦め?それならむしろ大歓迎だけれど…あぁ、なるほどね」
渡された履歴書たるものに記されている名前を見て、合点がいった。
「ヒョードル・クリチャード、二十三歳…ランドルフの再従兄弟ね」
「っ、なりません!!」
「落ち着いて、ロベルト」
「ですがっ……申し訳ございません…っ…」
ヒョードル・クリチャード…若くして先陣をきり敵陣に飛び込んでは、数々の偉業を成し遂げてきた白き魔神。
昔から何かと私にちょっかいを出してきてはいたけれど…その原因はむしろロベルト。彼の反応が面白いからなだけで、そこに恋慕など微塵もないことを知っているわ。
それに……
「結婚式は来月よね?」
「はい、漸く……です」
初恋を長いこと拗らせていたヒョードルは、その不器用さ故に溜まる鬱憤を戦地で発散していたに過ぎない。輝かしいとされる偉業も、元を辿れば拗らせ童貞野郎の憂さ晴らし結果なのだ。
「あれだけの才能なのに…勿体なくもあるわね」
「……頼まれたそうですから」
「おねだりではなくて?」
可愛い可愛い大好きな婚約者に、うるうるのオメメでおねだりされたら…そりゃそうなるか。
「戦地に行けば数ヶ月帰らないこともザラだものね…不安だろうし、寂しくもなるからね」
「俺は何処にも行きません」
「行かせないわよ?貴方の居場所は私の傍だけ」
あらあら。見えないはずの尻尾が、ブンブンと勢いよく振られているような気がするわ。
これでご機嫌は急上昇ね。
「ヒョードルなら侯爵家次男だし…あんな風貌で執事科出身なのよね」
「それも頼まれたそうです」
「婚約者ちゃんは、おねだり上手ね」
洗濯・清掃・設備・給仕の主軸と補佐の候補は決まった。あとは衣装管理とヘアメイク、そして護衛ね。
「ヘアメイクの講師と指導は、予定通りエルザに担当してもらうわ。様々なタイプの子を揃えるから、大変だと思うけれど……勿論、お給金は今までよりぐんとアップよ」
「謹んでお受け致します」
「それから護衛に関してだけど、これも予定通り店舗責任者はランドルフに任せるから、補佐となる者の選抜もお願いしておいて」
「えっ!?ランドルフ…だけですか……?」
あら…尻尾がしゅんっ…てなっちゃった。
「貴方はオーナー付きだから。役不足?」
「決して離れません」
「よろしくね」
よかった。さっきより振り幅が大きい。
「さぁ、こんなところかしら。不足する箇所が見付かればその都度埋めていきましょう」
「畏まりました。お嬢様、このまま会食に向かわれますか?それとも一度屋敷にお戻りになられますか?」
「時間も迫っているし、このまま向かうわ。お化粧直しだけお願いできる?」
「勿論でございます」
今夜、手頃な規模と金額の屋敷購入の為に契約を交わす。今後の生活リズムも変わるし、経営者としてなるべく自由に身動きを取れるようにしておきたいから。
「折角なら、持ってきた新作のドレスに着替えもしようかしら。ロベルト、少し待っていてね」
「畏まりました」
これは第一歩よ。
いつか貴方と同じ道を歩くための一歩。
お客様をお迎えする席は高級革張りのもので…素肌があたるとヒヤッとしたっけ。
そのせいもあり、極ミニドレスを着ている時なんかは太股の接触面積を極力減らしたくてやたら浅く座ったりして、そのおかげかいい筋トレになっていたのはいい思い出。
さて。
この世界には革張りなどなく、あるのは上質で極上な手触りがする布張り…うん、染みがついたら最悪だわ。
「ねぇ、エルザ。この前の面接者の中に染み抜きが得意そうな人っていたかしら?」
「染み抜きでございますか?確か…こちらのご令嬢は石鹸や洗剤を特産として手掛けるシャボン領の出身ですし、ご実家は…平民ですが老舗の洗濯屋のようですね」
「シャボン出身…あぁ、栗毛の小動物みたいな子のことね?確か名前はリエル。裏方希望だったけれど、王都に来てまで実家と同じ仕事をしてくれるかしら」
「身辺調査報告書によれば、老舗ではあるもののここ数年はかなり売上を落としているようで、生活も苦しいみたいです」
「なるほど…だから王都に出稼ぎに出たのね」
面接では、第一印象の見た目や人柄…会話スキルと希望職種(表か裏か)をざっくり聞き出しただけに留めた。
中には口に出せない事情を抱えている子もいるだろうし、どちらにせよ候補は調査するし。
「リエルは再度面接するわ」
私のお店は裏方もなかなかの厚待遇だから、今回の募集でもかなりの応募数となっていた。
そして、再度面接を受けることになった子には初回分と合わせて交通費を渡すことになっている。
その上、採用となれば準備中の待機期間も割安ながら給与保証するとあって、早急にお金を必要とする者にはうってつけだ。
「リエルが受け入れてくれるなら、彼女を軸に何人か補助を選出しましょう」
裏方希望者の中には、かつて貴族のお屋敷で洗濯係を担当していた者もいる。彼女達はいわゆるプロでもあるから、そこに専門的知識と道具を与えてくれるリエルが加われば最強だわ。
「軽食も提供されますし、ナフキンやクロスも膨大な量になることが予想されますしね」
「えぇ」
店内でもそれなりの食事を提供出来るようにするけれど、ゆくゆくは市街の店舗と協力して同伴やアフターも浸透させていきたい。
「その為にも、洗濯場は一番日当たりのいい場所にしてもらわなくちゃね」
比較的晴れの日が多いこの国なら、そう時間もかからずパリッと干せると思うわ。
「クロスやシーツが風になびく光景、早くこの目で見たいわぁ」
「そんなこと仰るご令嬢は、世界広しと言えどお嬢様くらいかと思います」
「あらそう?」
まぁ、そんなものかもしれないわね。
「さて、お次は店内清掃か…」
「こちらのご令嬢など如何でしょうか」
さすがエルザ。私が何を欲するかの先読みが、いつにも増して研ぎ澄まされているわね。
「クリナップ領のハイジ…没落した貴族のご令嬢なのね。確かこの領地って……」
「お嬢様がご推察されます通り、国境沿いで異国の商品を多く取り扱う大商会のある領地です。なかなか珍しい日用品などもある事から、王都で贔屓にしている者も多いようですね」
「……私は貴女の知識量にビックリよ」
「お嬢様の人生をかけた事業でございますので、出入りする者は子猫一匹とてその出自を調べ尽くしますわ」
「……子猫、見かけたら教えてね」
クリナップ領のフラピング男爵…と言えば、質の良い羽毛で作られた毛ばたきを手掛けていたわよね。わりと流通があったはずなのに、没落?
「フラピング男爵家は、当主が少し前から体調を崩してあまり現場に出なくなり、その頃から経理を任されていた者が横領を働いていたそうです」
「なるほど…」
「そのせいで資金繰りが悪化の一途を辿り、立ち行かなくなったとされています。ただ、代々受け継がれてきた爵位ですので…王家の一時預かりという形を取っておられるそうです」
「……王妃様、フラピング男爵の手掛ける毛ばたきをコレクションされているものね」
元は真っ白な羽毛に様々な色を付けたものが人気を博し、王妃様の私室には本来の役目を遂げることのない多数の毛ばたきが陳列されている。
「エルザ……資金と時間はどのくらいあれば復興させられるかしら」
あの毛ばたきは、確かに飾るだけでも目を引く逸品と言えるわ。それに加え、驚くほど繊細に埃を除去する高い実用性もある。
「納品までを見据えますと期間は三ヶ月もあれば充分かと思われます。資金は…そうですね、五千万キャルといったところでしょうか」
「……貴女って本当に侍女?」
「お褒めに預かり光栄でございます」
「じゃぁ、書類を纏めてハイジから話をつけてもらいましょう。フラピング男爵家は一家総出で家業に勤しむ家系だから、手入れは任せられるし」
「商会とも懇意にしていますから、その他の用具も多種多様なものを仕入れられますわね」
「……楽しそうね、エルザ」
あとで珍品逸品を揃えてあげようかしら。
「さてさて……」
「設備修復であれば、こちらの者が」
……もう何も言うまい。
「えっと…あら?この人って……」
「店舗建設の指揮補佐を務めております」
「ファシリティ伯爵家の三男で、貴族子息にしてはキャリアが長い事に驚いた覚えがあるわ」
「三男となりますれば、ゆくゆくは独立が求められますからね。確かに早い方ではありますが」
なかなかに聡明で賢いと評判のファシリティ伯爵家三男カーティス。学問の分野でも高い成績をあげているのに、趣味の建築に没頭していると噂には聞いていたけれど…まさか七歳から弟子入りしていたとは思わなかった。齢二十五歳でキャリア十八年!私の年齢じゃないの!!
「………………………なぁに?ロベルト」
感心して書類を眺めていたら、物凄く熱い…むしろ痛い視線を感じた。犯人はひとりだ。
「いえ…特に」
「凄いなぁ…って思っていただけよ」
「…………俺だって努力しています」
「そうね、いつもありがとう」
ニコッと笑顔を見せたのに、ロベルトはジト目でぶすっとしたままだった。
同じ貴族の三男だものね。
もっと妬いてくれていいのよ?うふふ。
「表舞台に顔を出す給仕は、やはり男性のみに致しますか?」
エルザがチラリと視線を流したけれど、ちゃんと分かってるわよ?斜め後ろからビシバシあっつい視線が飛んできてるから。
「給仕は男性のみにしたいわ。お酒を提供するわけだし、お店に対してもだけれど何より女の子の身の安全を第一にしたいから」
「では、執事科を出たこちらの者達を候補になさると宜しいかと」
「執事科なら剣術や体術の嗜みも求められるものね、なかなかいい人材だわ」
「纏め役となる者は、個人的にこの者をお薦めしたく……」
「エルザのお薦め?それならむしろ大歓迎だけれど…あぁ、なるほどね」
渡された履歴書たるものに記されている名前を見て、合点がいった。
「ヒョードル・クリチャード、二十三歳…ランドルフの再従兄弟ね」
「っ、なりません!!」
「落ち着いて、ロベルト」
「ですがっ……申し訳ございません…っ…」
ヒョードル・クリチャード…若くして先陣をきり敵陣に飛び込んでは、数々の偉業を成し遂げてきた白き魔神。
昔から何かと私にちょっかいを出してきてはいたけれど…その原因はむしろロベルト。彼の反応が面白いからなだけで、そこに恋慕など微塵もないことを知っているわ。
それに……
「結婚式は来月よね?」
「はい、漸く……です」
初恋を長いこと拗らせていたヒョードルは、その不器用さ故に溜まる鬱憤を戦地で発散していたに過ぎない。輝かしいとされる偉業も、元を辿れば拗らせ童貞野郎の憂さ晴らし結果なのだ。
「あれだけの才能なのに…勿体なくもあるわね」
「……頼まれたそうですから」
「おねだりではなくて?」
可愛い可愛い大好きな婚約者に、うるうるのオメメでおねだりされたら…そりゃそうなるか。
「戦地に行けば数ヶ月帰らないこともザラだものね…不安だろうし、寂しくもなるからね」
「俺は何処にも行きません」
「行かせないわよ?貴方の居場所は私の傍だけ」
あらあら。見えないはずの尻尾が、ブンブンと勢いよく振られているような気がするわ。
これでご機嫌は急上昇ね。
「ヒョードルなら侯爵家次男だし…あんな風貌で執事科出身なのよね」
「それも頼まれたそうです」
「婚約者ちゃんは、おねだり上手ね」
洗濯・清掃・設備・給仕の主軸と補佐の候補は決まった。あとは衣装管理とヘアメイク、そして護衛ね。
「ヘアメイクの講師と指導は、予定通りエルザに担当してもらうわ。様々なタイプの子を揃えるから、大変だと思うけれど……勿論、お給金は今までよりぐんとアップよ」
「謹んでお受け致します」
「それから護衛に関してだけど、これも予定通り店舗責任者はランドルフに任せるから、補佐となる者の選抜もお願いしておいて」
「えっ!?ランドルフ…だけですか……?」
あら…尻尾がしゅんっ…てなっちゃった。
「貴方はオーナー付きだから。役不足?」
「決して離れません」
「よろしくね」
よかった。さっきより振り幅が大きい。
「さぁ、こんなところかしら。不足する箇所が見付かればその都度埋めていきましょう」
「畏まりました。お嬢様、このまま会食に向かわれますか?それとも一度屋敷にお戻りになられますか?」
「時間も迫っているし、このまま向かうわ。お化粧直しだけお願いできる?」
「勿論でございます」
今夜、手頃な規模と金額の屋敷購入の為に契約を交わす。今後の生活リズムも変わるし、経営者としてなるべく自由に身動きを取れるようにしておきたいから。
「折角なら、持ってきた新作のドレスに着替えもしようかしら。ロベルト、少し待っていてね」
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