記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第9章 激突・ギャングレオ盗賊団

第114話 ギャングレオ城喧嘩祭り③

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「も、者ども! 出会えでアリンス!」

 ピィイイイ!

 アリンス口調が笛を吹いて下っ端たちを呼び寄せる。

「てやんでい。ついでだからゼロラの旦那の戦いを見ていくでい」
「あっしも気になるところですねい」

 そしてやっぱり戦わない幹部二名。

「さあ! サイバラの兄貴の仇をとるでアリンス!」

 だからやったのお前だろって。

 アリンス口調の号令で下っ端が襲い掛かってくるが――

 ドカァ! バキィ! グシャァ!

 ――やっぱり瞬殺。

「あああ!? どうするでアリンス!? サイバラの兄貴もいないでアリンスのに!?」

 あたふた慌てふためくアリンス口調。指揮を執っていたサイバラがいなくなったせいで、対策が練れないようだ。

 ブォオオ…… ブォオオオオン……!

「ん? 何だこの音は?」

 さっきサイバラが閉じ込められた部屋から奇妙な音が聞こえる。

「サイバラ隊長……まさか"アレ"を使うつもりでやすか……?」

 部長(仮)がビビり始める。"アレ"ってなんだ?

 ギュイイイイィイン! バキバキバキバキィ!!

「こ、今度はなんだ!?」

 サイバラが閉じ込められた部屋のカンヌキが内側から奇妙な刃によって切断され始めてる!? サイバラの奴、まだやるつもりか!?

 ボカァアアン!

「待たせたなぁ、ゼロラー! 最近入荷したばかりのとっておきを見せてやるぜー!!」

 カンヌキが完全に切断され、扉を蹴り飛ばして部屋の中から奇妙な剣のような武器を持ったサイバラが現れた。
 サイバラ、本日五回目の出撃! しぶといにも程がある!

「なんだその武器は!? 剣なのか!? 刃が回転している!?」

 サイバラが持っている武器はよく見ると刃の部分が高速で回転している。さっきのカンヌキを切断する様子を見ると、ただならない破壊力を持っているようだ!

「この"チェーンソー"でてめえをバラバラにしてやるぜー!!」
「てやんでい、サイバラ隊長! そいつは木材切断用でい!」

 主任(仮)の説明も我関せずとばかりに、サイバラが"チェーンソー"とやらで斬りかかってくる。

「くっ!? あの武器はマズイ!」

 俺はサイバラの攻撃をとっさに避けた。
 俺が避けたのは正解だった。サイバラが振るい下ろした"チェーンソー"は俺の近くにあった木のイスを真っ二つ……というよりは抉るように引き裂いてしまった。

「工作の時間だぜぇえ!!」

 あんなもので斬られたらケガなんかじゃ済まない! <鉄の防御>でも防げる保証がない! 最悪死ぬ! てか、俺を試すために戦ってるんじゃなかったのか!?

「お前ホント頭に血が上ると見境なくなるよな!」
「問答ぉお、無用ぉお!!」

 あー、ダメだ。やっぱり話が頭に入ってないみたいだ。こうなったら力づくで止めるとするか。
 あの武器は厄介だが、回転する刃を支えるためなのか、サイバラの馬鹿力でもかなりの振動が伝わっているのが伺える。

「やってみる価値はあるか……」

 俺は右足に<鉄の防御>をかけて力を込める。

「くたばりやがれぇえ!!」
「一か八か!!」

 サイバラが改めて俺目がけて振り下ろした"チェーンソー"を……。

 ガキィイイイン!

 右足のカカト落としで地面に叩きつけた。
 接触の際に火花が飛び散り、刃は地面に突き刺さった。

「あばばばば!? ふ、震え、振動!? 振動がばばばばば!?」

 刃が突き刺さってしまったせいで"チェーンソー"の刃の回転が止まってしまい、その振動が全てサイバラに伝わる。狙い的中だな。

「そ、そうだ! で、<電撃肉体強化魔法>で……でべべべべべ!!?」

 サイバラが<電撃肉体強化魔法>でパワーを上げて引き抜こうとするが、逆に"チェーンソー"の出力の方が上がってしまったようだ。

「どうなってんだ、あれ?」
「あの"チェーンソー"は電気の力で動いてやす。あっしが思うに、<電撃肉体強化魔法>のエネルギーが"チェーンソー"の方に流れちまったんでしょうねい」

 部長(仮)が説明してくれた。要するにまた自爆かよ。

「お前はいい加減に……寝てろ!」
「アブビィイイイン!!??」

 "チェーンソー"を持って震えまくってるサイバラの顔面を蹴り飛ばしてダウンさせる。
 流石にこれで終わり――

「く、くそがぁ……! ま、まだだ……! まだ忍衆が残ってる……!」

 終われ! こいつ、しぶとさだけは過去最強クラスだな!
 よろめきながらもサイバラは奥の部屋へと向かって行った。
 サイバラ、本日五度目の撤退である。

「……これ、まだやらなきゃいけねえのか?」
「てやんでい。サイバラ隊長が諦めてくれるのを願うしかないでい」

 頭領の元に行く前にすでに疲れた……主に精神的に。
 とにかくここまで来たら先へ進まないわけにもいくまい。俺は呆れながらも先へと向かうことにした。


「あ、ゼロラの旦那。トイレはよろしかったですかい?」
「……一応行っておく」
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