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第25章 新たなる世界へ
第372話 ルクガイア沖海戦②
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「ほら! ジフ兄はそっちの船をお願い! シシ兄はあっちね!」
「この馬鹿妹がぁあ! 放り投げるんじゃねぇえ!」
「後で覚えとれよぉお! 説教したるからなぁ! 説教!!」
ボクの方はとりあえず、ジフ兄とシシ兄をそれぞれ別の船に魔法で投げ飛ばす。
ボクはボクで宙に浮いたまま、ボーネス公爵の艦隊の中央正面へと躍り出る。
「成程。風魔法を使って船の速度を上げているのか。だからこんなに早く包囲できたんだね」
ボーネス公爵による艦隊の船は、六隻とも全て帆船だ。
風魔法の使い手さえいれば、潮風の影響を無視して高速で船を動かせる。
シシ兄の所有する貨物船が帆のない、風に頼らない設計なのが裏目に出たね……。
「でも、仕方ないね。こんなことになるのは完全に想定外だよ。ボクも今はできることをしよう」
敵は六隻。ここはとりあえず、ボクが囮になるとしよう。
貨物船はマカロンが守っているとはいえ、無理はさせたくないからね。
「ほーら! ボクに攻撃してみなよー! ボーネス公爵もジャコウもいるんだよねー!? 君達の計画を失敗させたボクはここだよー! クハハハハ!」
ボクは艦隊のど真ん中で精一杯煽る。
敵もそれに反応してくれたみたいで、ボクへと砲撃を集中させてくれる。
「上手いこと狙ってくるものだね。味方同士で撃ち合わないよう、ボクに砲撃を集中させてくるよ……!」
ボーネス公爵の艦隊は思ったより優秀なようだ。
それぞれの船が相打ちにならないよう、的確な距離をとって砲撃してきている。
ボクは空を飛びながらそれを躱してるけど、正直結構疲れる。
空を飛び続けるのって、魔力をかなり使うんだよね。
「ここはボーネス公爵がいる旗艦を狙った方が早いかな? どれどれ――」
ボクは空を飛びながら、改めて両手を眼前で窓を作るように構える。
そこから覗く景色で、望遠鏡のように確認する。
周囲にある七つの魔力の塊は防御に徹底。これで少しの間は停止していても耐えられる。
「……見つけた。あの、ひと際大きな船が旗艦みたいだね」
概ね予想通りというか、ボーネス公爵が乗っているのは六隻の中でも、一番大きな船に乗っていた。
ジャコウはその隣にある船に乗ってるようだね。
二人とも血走った眼をしてるね。あれは完全に正気を失ってるよ。
「さてと。それじゃあ早速、あの船に攻撃を――」
そう思って、ボクは指先から雷を放とうとした――
ボガァアン!!
「くっ!? 砲撃!? ボクに当たった!?」
そんな矢先に、ボクの体が爆炎に包まれた。
砲撃の一発がボクに直撃したようだが、この砲撃はただの砲撃ではなかったようだ。
「炸裂弾か……!? ボ、ボクの魔力の塊が……!?」
ボクが食らったのは、普通の砲弾よりも強力な爆炎を巻き起こす炸裂弾。
そのせいでボクの魔力の塊は、七つ全てが一気に砕け散ってしまった――
ボク自身が疲れていたのもあるのだろう。
このボクがこうも簡単に撃ち落とされるとは――
魔力の制御を失ったボクの体は、そのまま海へと落ちて行く。
そして海の中で、潮に流されていく――
こんなところで終わるとはね――
折角、改革の戦いで協力できなかった分、戦えると思ったのにさ――
こんな終わり方は、あんまりじゃないかな?
最後のゼロラ殿との思い出が、"失恋"なんてさ――
――ザバァ!
「陛下! リョウ大神官です! 撃ち落とされたのは、リョウ大神官でした!」
このまま潮に流されながら、海の底に沈むと思ったボクだけど、誰かに引き上げられて助かった。
周りを見てみると、小舟に乗った王国騎士団の面々がボクを引き上げてくれたようだ。
「おお! やはりそうだったか! さあ! 早く甲板へと引き上げるのだ!」
ボクも聞き覚えのある声に従い、ボクと王国騎士団が乗った小舟が上へと上がっていく。
どうやらこの小船の隣に、もう一隻大きな船があるようだ。
ボーネス公爵の艦隊とは違う。
ボク自身が潮に流されたせいでたどり着いたこの船には、ルクガイア王国の国章が帆に描かれている。
こんな船を動かせる人間――それはルクガイア王国でも限られてくる。
そして、ボクも聞いた声から、それが誰なのかは分かる――
「無事だな!? リョウ大神官! ここまでよく健闘してくれた! 後は余達に任せておけ!」
「こ、国王陛下……?」
「この馬鹿妹がぁあ! 放り投げるんじゃねぇえ!」
「後で覚えとれよぉお! 説教したるからなぁ! 説教!!」
ボクの方はとりあえず、ジフ兄とシシ兄をそれぞれ別の船に魔法で投げ飛ばす。
ボクはボクで宙に浮いたまま、ボーネス公爵の艦隊の中央正面へと躍り出る。
「成程。風魔法を使って船の速度を上げているのか。だからこんなに早く包囲できたんだね」
ボーネス公爵による艦隊の船は、六隻とも全て帆船だ。
風魔法の使い手さえいれば、潮風の影響を無視して高速で船を動かせる。
シシ兄の所有する貨物船が帆のない、風に頼らない設計なのが裏目に出たね……。
「でも、仕方ないね。こんなことになるのは完全に想定外だよ。ボクも今はできることをしよう」
敵は六隻。ここはとりあえず、ボクが囮になるとしよう。
貨物船はマカロンが守っているとはいえ、無理はさせたくないからね。
「ほーら! ボクに攻撃してみなよー! ボーネス公爵もジャコウもいるんだよねー!? 君達の計画を失敗させたボクはここだよー! クハハハハ!」
ボクは艦隊のど真ん中で精一杯煽る。
敵もそれに反応してくれたみたいで、ボクへと砲撃を集中させてくれる。
「上手いこと狙ってくるものだね。味方同士で撃ち合わないよう、ボクに砲撃を集中させてくるよ……!」
ボーネス公爵の艦隊は思ったより優秀なようだ。
それぞれの船が相打ちにならないよう、的確な距離をとって砲撃してきている。
ボクは空を飛びながらそれを躱してるけど、正直結構疲れる。
空を飛び続けるのって、魔力をかなり使うんだよね。
「ここはボーネス公爵がいる旗艦を狙った方が早いかな? どれどれ――」
ボクは空を飛びながら、改めて両手を眼前で窓を作るように構える。
そこから覗く景色で、望遠鏡のように確認する。
周囲にある七つの魔力の塊は防御に徹底。これで少しの間は停止していても耐えられる。
「……見つけた。あの、ひと際大きな船が旗艦みたいだね」
概ね予想通りというか、ボーネス公爵が乗っているのは六隻の中でも、一番大きな船に乗っていた。
ジャコウはその隣にある船に乗ってるようだね。
二人とも血走った眼をしてるね。あれは完全に正気を失ってるよ。
「さてと。それじゃあ早速、あの船に攻撃を――」
そう思って、ボクは指先から雷を放とうとした――
ボガァアン!!
「くっ!? 砲撃!? ボクに当たった!?」
そんな矢先に、ボクの体が爆炎に包まれた。
砲撃の一発がボクに直撃したようだが、この砲撃はただの砲撃ではなかったようだ。
「炸裂弾か……!? ボ、ボクの魔力の塊が……!?」
ボクが食らったのは、普通の砲弾よりも強力な爆炎を巻き起こす炸裂弾。
そのせいでボクの魔力の塊は、七つ全てが一気に砕け散ってしまった――
ボク自身が疲れていたのもあるのだろう。
このボクがこうも簡単に撃ち落とされるとは――
魔力の制御を失ったボクの体は、そのまま海へと落ちて行く。
そして海の中で、潮に流されていく――
こんなところで終わるとはね――
折角、改革の戦いで協力できなかった分、戦えると思ったのにさ――
こんな終わり方は、あんまりじゃないかな?
最後のゼロラ殿との思い出が、"失恋"なんてさ――
――ザバァ!
「陛下! リョウ大神官です! 撃ち落とされたのは、リョウ大神官でした!」
このまま潮に流されながら、海の底に沈むと思ったボクだけど、誰かに引き上げられて助かった。
周りを見てみると、小舟に乗った王国騎士団の面々がボクを引き上げてくれたようだ。
「おお! やはりそうだったか! さあ! 早く甲板へと引き上げるのだ!」
ボクも聞き覚えのある声に従い、ボクと王国騎士団が乗った小舟が上へと上がっていく。
どうやらこの小船の隣に、もう一隻大きな船があるようだ。
ボーネス公爵の艦隊とは違う。
ボク自身が潮に流されたせいでたどり着いたこの船には、ルクガイア王国の国章が帆に描かれている。
こんな船を動かせる人間――それはルクガイア王国でも限られてくる。
そして、ボクも聞いた声から、それが誰なのかは分かる――
「無事だな!? リョウ大神官! ここまでよく健闘してくれた! 後は余達に任せておけ!」
「こ、国王陛下……?」
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