BLゲームの脇役に転生したはずなのに

れい

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交差する視線

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桜の花びらが舞う窓の外を眺めながら、午前の授業はどこか上の空で過ぎていった。
気づけば、昼休み。


中庭のベンチに座り、ラスと並んでパンをかじっていると、影が落ちた。
見上げれば、スコーピオが立っている。
無言でこちらを見下ろし、やがて視線を逸らして隣の木陰に腰を下ろす。

「……俺らの近くで飯食うとか、珍しいな」

思わず小声で呟く。
すると隣のラスが、少し笑った。

「気になるんじゃない。……アリーのこと」

「……え? 俺?」
「他に誰がいるんだよ」

軽口のように返す。
でもラスの目は笑っていなかった。
その奥で、冷たい光がかすかに揺れているのを俺は気づかない。
(……ラスってほんま面倒見ええなぁ)
そう思うだけで、深く考えなかった。

だから気づかない。
ラスの言葉に混じる棘や、視線の端に潜む独占欲の色に。
木陰からこちらをじっと窺う、スコーピオの視線に。

俺が無自覚にパンを頬張る横で、ラスはふっと目を伏せた。
春風に舞った花びらが彼の肩に落ち、それを払う仕草は妙に静かだった。

その一方で、スコーピオの眼差しは何も言わずにこちらを追い続ける。
アリーが笑えば、その笑みを盗み取るように。
ラスがアリーの肩に近づけば、奥歯を強く噛むように。



「……ここ、空いてる?」

唐突にかけられた声に、パンを飲み込み損ねそうになった。
振り返ると、そこに立っていたのは――シリウス。
手にしたサンドイッチを少し掲げ、控えめに笑っている。

「もちろん」
ラスが先に答えた。
けれどその笑みは、どこか張りついたように固い。
スコーピオは黙ったまま、木陰からこちらを射抜いている。

「ありがと。……アリエス、だよね?」

名を呼ばれた瞬間、心臓が跳ねた。
視線を合わせれば、柔らかい光のような眼差し。
自然で、人を惹きつける強さを持っている。

(――来た。ほんまに、来たんや)

俺が“最初の友達”になる。
この流れは、最初から決まっていた。

ベンチに並んだ俺とシリウス。
その片側で、ラスが静かに視線を落とす。
もう片側では、スコーピオが無言でこちらを睨み続けていた。

三方向の視線が交錯する。
それでも俺だけは――無自覚に胸を高鳴らせていた。

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